2009/08/23

Saya's 薬学ニュース vol.101-新型インフル確認死者数が千人突破/総医療費の増額、医療従事者の増員が最大の争点/日本発抗癌剤「ミリプラチン」が登場へ/ネクサバール®錠200mgを安全にお使いいただくために/インフル薬にお茶の力

<Today's news>
1. 確認死者数が千人突破 新型インフルでWHO集計
2. 総医療費の増額、医療従事者の増員が最大の争点

3. 日本発抗癌剤「ミリプラチン」が登場へ
4. ネクサバール®錠200mgを安全にお使いいただくために

おまけ. インフル薬にお茶の力 カテキン加工、タミフルより効果

確認死者数が千人突破 新型インフルでWHO集計
2009年8月5日 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
世界保健機関(WHO)が4日発表した7月31日現在の新型インフルエンザの感染状況によると、感染が確認された人の総数は海外領土などを含めた168カ国・地域で16万2380人、このうち死者が1154人とWHO集計ベースで初めて千人を超えた。

夏にも関わらず感染者が増え続けていることから、秋や冬のさらなる感染拡大が予想されるであろう。新型のみにかかわらず、一般的なインフルエンザにも備えて高齢者に対する予防注射を徹底してほしい。

総医療費の増額、医療従事者の増員が最大の争点◆Vol.3
2009年8月5日-m3.com 上昌広 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
両党のホームページを見れば、民主党は自民党よりもはるかに医療にウエイトを置いていることがわかる。また、民主党は、マニフェストの冒頭で、予算・工程表、さらに財源を説明しているが、自民党は、これらに関して情報を提供していない。
民主党の説明は一応、辻褄は合っている。しかしながら、政権担当経験のない民主党の実行力に、多くの国民が疑問を持っていることは否定できない。

両党のマニュフェスト内容の比較は、衆議院議員選挙において重要な内容として議論されているが、この記事でも詳細に意見が記載されている。気になるトピックが含まれていればぜひ読んでみていただきたい。
【総医療費】【地域医療対策】【開業医への対応】【医師不足問題】【医療事故】【新型インフルエンザ対策】

日本発抗癌剤「ミリプラチン」が登場へ
2009年8月4日 (火)-薬事日報

[要約]
肝細胞癌治療薬「ミリプラ動注用70mg」(一般名:ミリプラチン水和物、大日本住友製薬が製造販売)の承認を審議し、了承した。承認されれば日本発の抗癌剤となる。 「ミリプラ動注用」は、腫瘍血管に沈着する造影剤に抗癌剤を混ぜ合わせ、肝動脈に注入する「リピオドリゼーション」という方法で用いる。 造影剤で腫瘍の血流を阻害し、栄養動脈を閉塞することにより、抗癌剤による抗腫瘍効果を向上させる。類薬に、アステラス製薬の「スマンクス肝動注用」がある。

ネクサバール®錠200mg(一般名:ソラフェニブトシル酸塩製剤)肝細胞癌領域で安全にお使いいただくために
2009年8月5日-ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
ネクサバール®は進行性肝細胞癌に対し、腫瘍の増殖と血管新生の両方を抑えることにより生存期間を延長したはじめての経口薬です。本剤は適応追加にあたり、肝細胞癌患者を対象とした全例調査の実施が義務付けられております。本コンテンツでは、全例調査ならびに本剤の適正使用・安全使用のために必要な情報をご紹介しています。

ネクサバール錠の服用には、医師からの説明が必要であり、薬局で薬を渡す際「服用ダイアリー」を持っているかどうかの確認が必要になります。もし持っていない場合は、「服用ハンドブック」を用いて指導を行い、処方確認センターへの連絡が義務付けられています。
詳細を確認したい場合は、上記のページへ飛んでコンテンツを視聴してみてください。

おまけ...カテキン,インフルエンザ

インフル薬にお茶の力 カテキン加工、タミフルより効果 2009年7月31日10時59分-asahi.com

[要約&コメント]
緑茶に含まれるカテキンを加工してインフルエンザ治療薬に応用する技術を、大阪大学と横浜市衛生研究所の共同チームが開発した。季節性インフルエンザや鳥インフルエンザで効果が確認された。治療薬タミフルよりも約100倍、感染を抑える効果があるという。感染を防ぐ作用もあるため、鼻やのどに噴霧する予防薬への応用も期待できるという。

カテキンの効果はもうすでに皆さんご存じのことと思うが、現在新型インフルエンザの流行が騒がれている時期でもあるため、期待大の内容である。これらカテキンの製品化がどこまで実現できるかは定かではないが、見守っていきたい内容である。

2009/08/21

Saya's 薬学ニュース vol.100-SU薬が見直されている理由/どの党に投票?マニフェスト徹底比較/薬局から劇薬相次ぎ盗難/薬剤師の配置適合率は93%/タミフルが無料に

<Today's news>
1. 糖尿病治療でSU薬が見直されている理由
2. どの党に投票?マニフェスト徹底比較
3. 薬局から劇薬相次ぎ盗難 愛知・大府市
4. 薬剤師の配置適合率は93%

おまけ. タミフルが無料に
[要約&コメント]
肥満を伴う軽症2型糖尿病および肥満を伴わない軽症2型糖尿病のそれぞれについて、第1選択薬を選択してもらうアンケートにおいて、以下のような結果がでた。
肥満を伴う軽症2型糖尿病ではBG薬を選んだ人が最も多く(35.9%)、次いでSU薬(19.9%)。
一方、肥満を伴わない軽症2型糖尿病では、SU薬が35.6%と最も多く、次いでαGI。
SU薬は膵β細胞を疲弊させる可能性があるとして使用は控えられていたが、その常識が変わりつつあるという。その理由として、「確実な血糖降下作用、副作用が少ない点が評価されているほか、グリメピリドが持つインスリン抵抗性改善作用に期待する医師が増えているようだ」「インスリンとの相性がよい」というのももう一つの理由である。
2009年08月04日-m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
両党が言及した項目は、結構一致しています。(1)後期高齢者医療制度、(2)診療報酬改定、(3)大学病院のあり方、(4)救急・産科医療等の体制、(5)医学部定員、(6)臨床研修制度のあり方、(7)社会保険病院・厚生年金病院の存続問題、(8)新型インフルエンザ・難病・肝炎・がん対策など。
真っ向から意見が対立する施策は見当たりませんが、それぞれの内容は異なります。

衆院選に向けてマニュフェストが公表されたが、その内容の比較を行っている記事。項目は似ているものの、内容については相違点が大きくみられる。相違点を比較するのに一読してみるのもよいだろう。

[要約&コメント]
愛知県大府市柊山町の「スター薬局」で、店内が荒らされ向精神薬と降圧剤(劇薬を含む)などが盗まれているのを出勤してきた店長が見つけた。同市内で同じようなケースがみられたことから、同一犯による連続窃盗事件とみて調べている。

盗難ニュース。自分の周りでは起こらないと思っていたのに、カナダの研修先の薬局で盗難が入ったことがある。結局麻薬等のありかを突き止めら得ず、現金1万円程度盗まれただけの被害で済んだが、ドアのかぎの修理などで出費があった様子。薬が盗まれなかっただけ良かったと思ったほうがよいのだろうか。オープンして4ヶ月間ですでに2件の盗難...一度入られた薬局は二度やられるんだとか?

2009年8月3日 (月)-薬事日報

[要約&コメント]
医療法に基づく病院への立入検査の2007年度結果を公表した。それによると、医療法等に定める薬剤師配置の標準数に適合する病院の比率は92・8%で、前年から0・9ポイント上昇したことが分かった。ただ、北海道・東北や中国では90%に達しておらず、依然として地域差がみられた。
薬剤師数の適合率は改善傾向にあるが、他の項目と比べると、医師数の86・9%、職員の健康管理の87・1%、患者相談体制の92・6%に次いで低い。
近畿が97・4%、次いで関東が95・3%、北陸・甲信越と四国が94・3%、東海が94・0%と、9割台半ばの水準となっているのに対し、北海道・東北は87・8%、中国は89・8%

薬剤師不足は採用率をみていると明らかであるが、近畿地方が最も多いのは少し驚いた。関東がトップと思っていたが…北海道や東北では、医師不足の割合に近い割合を示している。これをもとに就職先を考えることもできるのではないだろうか。

おまけ...

2009/08/03 Mon 09:23-オランダニュース

[全文]
本日付AD紙によれば、早ければ来週からインフルエンザの治療薬といわれる「タミフル」が無料で薬局で入手できる。ただしホームドクターか保健所(GGD)の処方箋が必要。 今のところ保健所からの処方箋を持っていけば無料で入手できるが、ホームドクターの処方箋では数10ユーロ支払わねばならない。 現在オランダでは500万回分のタミフルが在庫にあるという。

2009/08/19

Saya's 薬学ニュース vol.99-糖尿病入院患者の低血糖が高死亡率に関連/60歳以上の97%が“COPD”の疑い/「レーシック手術で感染症」50人が提訴/抗精神病薬「クロザリル」を発売/ 医療改革“真夏の戦い”へ

<Today's news>
1. 糖尿病入院患者の低血糖が高死亡率に関連
2. 50代の69%、60歳以上の97%が“COPD”の疑い
3. 「レーシック手術で感染症」50人が提訴
4. 抗精神病薬「クロザリル」を発売 ノバルティスファーマ

おまけ. 医療改革“真夏の戦い”へ 米大統領に妥協圧力

みなさんこんにちは。
大変ご無沙汰しております。時間に余裕が出てきましたので、さっそく薬学ニュースを再開させたいと思います。今後とも皆さんよろしくお願いいたします。


糖尿病入院患者の低血糖が高死亡率に関連
2009/07/31(金)-ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
入院中に低血糖症を起こした糖尿病患者は、入院中あるいは1年以内の死亡リスクが有意に高いことが新しい研究で示された。 低血糖症を来した日が1日増えると、入院中の死亡リスクが85.3%増加し、退院後1年間の死亡リスクも65.8%増加した。さらに、低血糖症を来した日が1日増えると入院日数も2.5日伸びることが判明した。「直前に食べた食事のような明らかな理由による低血糖症であっても、自然に生じた低血糖症と同様にリスクが高いのかどうかを調べる総合的分析はできない」と述べている。

この内容からみると、ここで述べられている低血糖症状とは、自然に起きる低血糖症状のことを主に指していることがわかる。特に入院患者の場合は状態が重症化し、食事を摂れないケースもある。そんなときに入院前とお同じ治療をしていては低血糖を引き起こすリスクも高くなるということである。
低血糖のリスクはみな承知の上であるが、このように具体的な数字でみると1日の低血糖発現も侮ることはできない。

50代の69%、60歳以上の97%が“COPD”の疑い
2009/07/31(金)-ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
40歳以上で10年以上の喫煙者のCOPDの疑いが、40代で20%、50代で69%、60代では97%と、年代とともにと急増するという。ファイザー株式会社が行った調査からわかった。また、COPDの疑いがある人のうち68.4%(253/370人)は、ニコチン依存症であることもわかったという。
私の祖父もCOPDで他界した。何度言ってもタバコだけはやめなかった。そして病院にも行こうとしなかった。祖父は当時80近くだったので、この割合を知っていたら…と思うことがある。すでに依存症だったのだろう。

「レーシック手術で感染症」50人が提訴
2009/08/03(月)-ケアネット.com 記事提供:読売新聞 ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です
[要約&コメント]
東京都中央区の診療所「銀座眼科」(閉鎖)で、レーザーを照射して視力を矯正する「レーシック手術」を受けた患者に感染症被害が多発した問題で、患者50人が「感染症の危険を知りながら手術を続けた」として、元院長などに計約1億3000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。 手術を受けた患者が感染性角膜炎になり、「衛生管理を見直さず、感染被害を続発させた責任は大きい」と主張している。

今はやり(?)のレーシック手術。友人の何人かもすでに手術を受け、良好な視界を手に入れたことを喜んでいる。ただし、おこなう場所に関しては選らぶ必要がありそうだ。実際に手術を行った友人の紹介など、信頼を重視して選ぶほうがよさそうだ。

抗精神病薬「クロザリル」を発売 ノバルティスファーマ
2009年8月3日 (月)-薬事日報

[要約&コメント]
ノバルティスファーマは、抗精神病薬「クロザリル錠25mg、同100mg」(一般名:クロザピン)を新発売した。クロザリルは、日本初の治療抵抗性統合失調症治療薬。2種類以上の抗精神病薬で十分な効果が得られない患者に対して、効果を発揮する。ただし副作用発現が多くみられたことから、「クロザリル患者モニタリングサービス」(CPMS)が運用され、医師や保険薬局はCPMSへの登録が義務となる。

この薬が開発されたのは1960年代と古く、他の向精神薬開発の糸口となった薬であるという。ただし、無顆粒球症等の重篤な副作用のため開発は中止された。他の薬で治療困難な患者に効果が認められ今回販売に至ったが、使用には厳格な副作用・血中濃度モニタリングが必要となる。副作用発現に十分注意する必要のある薬なので要注意である。

商品名: クロザリル錠
一般名:クロザピン
規格:25mg、100mg
用法用量:初日は12.5mg(25mg錠の半分)、2日目は25mgを1日1回経口服用する。3日目以降は症状に応じて1日25mgずつ増量し、原則3週間かけて1日200mgまで増量。維持量は1日200~400mgを2~3回に分けて経口服用。最高用量は1日600mgまで。
副作用:無顆粒球症、めまい、立ちくらみ、吐き気、口渇等
注意:糖尿病患者には原則投与しない、白血球数検査が必要

おまけ...米国の国民皆保険制度改革

医療改革“真夏の戦い”へ 米大統領に妥協圧力
2009年8月3日-ケアネット.com  提供:共同通信社 ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
オバマ氏は、約4700万人が無保険状態であることに加え「重病にかかったり失業すると保険が適用されない」という現状のいびつさを指摘。保険会社の「もうけすぎ」も批判し、公的保険の導入で競争を強め、健全化を図ると訴えている。これに対し、改革反対の共和党デミント上院議員らは「政府は余計な手を出すな」との立場。政府主導の国民皆保険は「社会主義への一歩で米国の自由に対する脅威」という保守派の価値観が根底にある。
7月30日付のニューヨーク・タイムズ紙の世論調査結果によると、69%が「公的保険を導入し国民皆保険となれば、自分の保険の質が低下する」と懸念を表明。一方で、公的保険がなければ「いつか自分の保険がなくなる」との回答も66%に上り、有権者の揺れる気持ちを示した。

医療ニュースではホットな話題の一つでもある米国の国民皆保険制度に関する議論。1兆ドル(約94兆6500億円)規模の支出を伴う改革をどう乗り切るのか。世論の反応も期待と不安が混ざっているのがわかる。しばし見守っていきたい議論である。