2009/03/20

Saya's 薬学ニュース vol.84-ミノドロン酸:骨吸収を強力に抑制する日本発のビスホス製剤/「ラシックス1ミリ」? 口頭指示で薬剤量間違え/医薬品ネット販売、厚労省のパブコメ結果に波紋/日本初のエストロゲンと黄体ホルモンの配合剤ウェ-ルナラ配合錠が発売/エイズ報告08年も過去最多

<Today's news>
1. ミノドロン酸:骨吸収を強力に抑制する日本発のビスホス製剤
2. 「ラシックス1ミリ」? 口頭指示で薬剤量間違え
3. 医薬品ネット販売、厚労省のパブコメ結果に波紋
4. 日本初のエストロゲンと黄体ホルモンの配合剤ウェ-ルナラ配合錠が発売

おまけ. エイズ報告08年も過去最多 6年連続、1545人 「医療ニッポン」

ミノドロン酸:骨吸収を強力に抑制する日本発のビスホス製剤
2009. 2. 19-日経DI

[要約&コメント]
骨粗鬆症治療薬のミノドロン酸水和物(商品名:リカルボン錠1mg、ボノテオ錠1mg)が製造承認を取得した。ミノドロン酸は、骨粗鬆症に適応のある経口ビスホスホネート製剤としては、国内4成分目となる。
今回承認されたミノドロン酸は、日本で創製された初めての経口ビスホスホネート製剤である。
*他の経口ビスホスホネート製剤3成分
●エチドロン酸二ナトリウム(商品名:ダイドロネル錠)
●アレンドロン酸ナトリウム水和物(商品名:ボナロン錠、フォサマック錠)
●リセドロン酸ナトリウム水和物(商品名:アクトネル錠、ベネット錠)

経口ビスホスホネート製剤は、世界でも多く用いられている薬である。週に1度だけの服用を可能にしたことから、飲み忘れることなく効果を維持させることができ、重宝されている。他の3成分が親しまれている中、日本ではじめて創製された経口ビスホスホネート製剤として、どこまでシェアを伸ばせるのか。副作用なども同じことから、難航することも予想される。


「ラシックス1ミリ」? 口頭指示で薬剤量間違え
2009/02/17 22:08-キャリアブレイン

[要約]
医師が薬剤の投与を口頭で指示する際、薬剤の単位などを明確に伝えなかったため、薬剤量を間違えた事例が報告されたことから、財団法人・日本医療機能評価機構は「やむを得ず口頭指示を行う際は、薬剤の単位を省略せず、明確に量や条件を伝える」よう注意を呼び掛けている。
事例としては、医師Aが新生児に「ラシックス1mg」を静脈注射することを意図して、医師Bに「ラシックスを1ミリ投与してください」と口頭で指示したところ、医師Bは「ラシックス1mL(10mg)」を投与したものと、医師Cが「生理食塩水9mLで10倍に希釈したエフェドリン2mL」(エフェドリンとして8mg)を投与することを意図して、医師Dに「エフェドリン2ミリ投与してください」と口頭で指示したところ、医師Dが「希釈していないエフェドリン2mL(80mg)」を患者に投与したものなどがある。

医薬品ネット販売、厚労省のパブコメ結果に波紋
2009/02/17 21:18-キャリアブレイン

[要約&コメント]
厚労省が募集した「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」に関するパブコメに対し、2353件が寄せられたとしているが、同社が厚労省側に問い合わせたところ、このうち反対意見は2303件と全体の97%に上った。これに対し、反対する意見を一切反映することなく、省令案とほぼ同一内容の省令を公布した」という批判の声が上がっている。

確かに、今までずっとネット販売の規制に関して追ってきたが、規制することだけを推し進め、反対意見に対する対策などが見られなかったのが私としての見解でもあった。なので、このような批判はあってしかるべきであると思うし、これに対する厚労省の対応が気になるところである。

日本初のエストロゲンと黄体ホルモンの配合剤ウェ-ルナラ配合錠が発売
2009/02/19(木)-日経DI

[要約&コメント]
バイエル薬品株式会社は17日、エストロゲンと黄体ホルモンの配合剤として日本初となる閉経後骨粗鬆症治療薬「ウェールナラ配合錠」を発売した。副作用としては、乳房不快感(23.6%)、乳房痛(10.0%)、性器分泌物(9.7%)などが挙げられた。
閉経後骨粗鬆症は、閉経に伴うエストロゲンの欠乏に基づく骨吸収亢進が原因で骨量減少をきたすとされており、この治療にはエストロゲンの補充が有効であることが知られているが、子宮を有する女性にエストロゲンを単独で長期投与する場合、子宮内膜肥厚・過形成のリスクをもたらすことから、子宮内膜保護を目的とし、黄体ホルモン製剤を併用することが一般的とされている。

ホルモン療法に対し抵抗のある人たちにも、副作用の心配を低減させられる薬が開発されたようである。ただし、副作用は57.9%に認められたことから、服用後使用感に対する配慮が必要になりそうである。

おまけ…AIDS

エイズ報告08年も過去最多 6年連続、1545人 「医療ニッポン」
2009年2月19日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
厚生労働省のエイズ動向委員会は18日、国内で2008年に新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者は1113人、エイズ患者は432人で、計1545人(大半は男性(1442人))に上るとの速報値を発表した。感染者・患者の合計報告数は03年以降、6年連続で過去最多を更新した。
感染経路は、同性間の性的接触が最も多く、感染者・患者で計964人。

感染者1545人中、男性感染者が1442人という数に非常に驚きました。異性間性交渉によって感染しやすいのは女性なのに、それ以上に同性間での性的接触が感染の原因になっていることがあるなんて。どなたか、なぜ同性間の性的接触が最も感染率が高いか、ご存じな方いらっしゃいますか?基本的な知識だと思いますが、ご存知の方がいらしたら教えてください。

*匿名さんより、HIV感染に関して勉強になるサイトをご紹介いただきました。
『HIV感染のメカニズム』 http://www.living-together.net/hivaidsguide/2/2.htm
同性間のフェラチオやアナルセックスが感染率上昇の原因だったのですね。コメントの投稿ありがとうございました。

2009/03/14

Saya's 薬学ニュース vol.83-3割の病院で薬剤師が剤形・処方変更などに関与/「ジフェンヒドラミン塩酸塩」の睡眠への影響を確認/クラビット後発品 保険収載にたどり着くのは?/6年制での大学院議論開始

<Today's news>
1. 3割の病院で薬剤師が剤形・処方変更などに関与
2. 睡眠ポリグラフィで「ジフェンヒドラミン塩酸塩」の睡眠への影響を確認
3. クラビット後発品 保険収載にたどり着くのは?
4. 6年制での大学院議論開始‐薬学系人材養成の検討会が初会合


3割の病院で薬剤師が剤形・処方変更などに関与
2009. 2. 10-日経DI

[要約&コメント]
約3割の病院で薬剤師が、剤形変更や処方変更、投与量、投薬・注射の提案を行うなど、幅広い業務に携わっている実態が明らかになった。(日本病院薬剤師会による調査)
回答があった項目な中では、「処方薬の剤形変更の処方を提案している」が最も多く、33.1%に達した。以下に、「薬物療法中の状態を定期的にモニターし、処方変更、投与量の変更、投薬・注射の中止の提案」(29.3%)、「医師が指定した慢性期の患者さんについて、定期処方のdo処方を行っている」(13.6%)、「保険薬局で後発医薬品に変更した処方薬を診療録に反映させるための代行入力を行っている」(9.4%)、「ワーファリンなど手術前中止薬をチェックし、処方削除のオーダー入力をしている」(5.7%)などが続いた。

これらのほとんどが、医師の同意の上で行っている業務であるというが、法律上ではグレーゾーンに入るものもあるという。法律を守ることはもちろん大切なことであるが、法律にがんじがらめにされて何もしなければ、新たな職能の獲得にはつながらない。グレーゾーンがあるからこそ、新たな職能開拓につなげられるのである。

睡眠ポリグラフィで「ジフェンヒドラミン塩酸塩」の睡眠への影響を確認
2009/02/12(木)-日経DI

[要約&コメント]
エスエス製薬株式会社は、ジフェンヒドラミン塩酸塩*の睡眠構築と、翌日のQOL(Quality of Life:生活の質)に及ぼす影響を確認し発表した。
徐波睡眠(Stage3+4)及びREM睡眠の出現量を抑制せず、Stage2を有意に増加させることがわかり、また、実睡眠時間(就寝時間-覚醒時間)および睡眠効率(実睡眠時間/観察時間×100)を有意に改善することで、翌日の身体的疲労及び集中力をも改善し、日中のQOLの改善にも有用であることが示唆されたという。
*ジフェンヒドラミン塩酸塩
ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン剤)の中でも、とくに催眠鎮静作用の強いことが知られている。欧米でも睡眠導入を目的としたOTC医薬品として利用されている。

抗ヒスタミン薬の睡眠効果は、花粉症の薬を試したことのある人であれば体験している人も多いのではないだろうか。その効果からOTC医薬品で睡眠改善薬として販売されるようになり、睡眠で悩む人の中では喜んだ人も少なくないだろう。エスエス製薬株式会社の睡眠改善薬といえば「ドリ〇ル(ジフェンヒドラミン50mg含有)」であるが、正直効果は疑っていた。
患者さんの中には、処方せん薬で服用しているような睡眠薬と同じもの、と勘違いしている人も多いので、異なることを説明した上で、今回の結果をお伝えするのもよいかもしれない。

クラビット後発品 保険収載にたどり着くのは?
2009/02/12 17:35-キャリアブレイン

[要約&コメント]
昨年の後発品業界の話題は、血圧降下剤「アムロジピン」一色だった。これに対し、今年の目玉となる後発品の一つが、抗菌剤「レボフロキサシン」(第一三共のクラビット)だ。承認を得た会社数は32社に上る。このうち何社が保険収載にたどり着くかが今後、注目すべきポイントとなる。安定供給や先発品との特許係争といった“不安要素”を抱える後発品は、厚労省の胸算用ひとつでふるいに掛けられるのが実情である。

後発品の承認、保険収載に関わる話をあまり耳にすることのなかった自分としては、興味深い内容であった。このようなバトルが繰り広げられていたとは。後発医薬品の普及を目指す厚労省、そしてその恩恵にあずかる後発医薬品メーカー。この両者の間にどのようなやりとりが繰り広げられるのであろうか。

6年制での大学院議論開始‐薬学系人材養成の検討会が初会合
2009年02月17日-薬事日報

[要約&コメント]
会合で文科省は、薬学系大学院のあり方に関して、
●6年制と4年制で異なる薬学系大学院の人材養成の目的をどう明確化するか
●薬学系大学院に必要な教育研究内容
●教育内容に応じた設置基準上の専任教員数  等について検討が必要とした。
癌専門薬剤師やトランスレーショナルリサーチを推進する研究者の育成など、臨床現場でより高度な医療を提供するための人材を養成する場とする点について委員間の賛同が得られたものの、学部で6年間、大学院で4年間学んだ学生の「就職先」を懸念する声があがった。

3年前から、6年制及び4年制大学を同時並行させていくことになり、いくつかの大学では2種類の募集をかけたが、実際のところ4年制への入学希望者は少ない、という結果となった。その大きな理由としてはやはり就職の面であろう。4年制へ進んでも薬剤師の免許は取れない。研究をしたい、と思って入学しても、4年間もあれば将来を考え直すこともあり、高校生の時点では選択肢の広がる6年制を選ぶのも無理はない。果たしてどのような見解を示すのであろうか。

2009/03/13

Saya's 薬学ニュース vol.82-「インターネットで買えないとイヤ」な薬、トップは?/富山薬売り、高齢者も勉強/献血者数6年ぶりに増加 HIV陽性者は過去最多を更新/ゾニサミド:少用量製剤でパーキンソン病にも適応を拡大

<Today's news>
1. 「インターネットで買えないとイヤ」な薬、トップは「サプリメント」
2. 富山薬売り、高齢者も勉強 改正薬事法、資格取得で 「スクランブル」
3. 献血者数6年ぶりに増加 HIV陽性者は過去最多を更新
4. ゾニサミド:少用量製剤でパーキンソン病にも適応を拡大


「インターネットで買えないとイヤ」な薬、トップは「サプリメント」
2009/02/20 12:31 -CNET Japan

[要約&コメント]
2009年6月の改正薬事法施行にともない、一部を除く市販薬についてインターネットなどによる通信販売を禁止する省令に対し、一般の人がどのように考えているのか調査を行った。インターネットを利用して購入できなくなると最もイヤな医薬品を聞いたところ、「どれもイヤではない」が53.2%を占めたが、「サプリメント」が13.4%、「コンタクトレンズ」が11.1%と1割を超えた。
インターネットを利用した医薬品購入でメリットだと思う点を択一選択式で聞くと、35.9%が「時間を気にせず購入できる」と回答。次いで「人目を気にせずに商品を比較・検討できる」が18.2%、「宅配してくれる」が15.2%、「わからないことをネット検索しながら購入を検討できる」が12.3%と続いた。
コンビニでの販売に関しても、肯定の意見のほうが多かった。

想定していた風邪薬などの明記がないのに少し驚かされたが、この結果を見る限り思ったよりも一般の人たちの不便さは感じとれない。500名近くにしか聞いていない事もあるのだろう。ネット販売のメリットの一つとして、「分からないことをネット検索しながら購入検討できる」が挙げられていたのに少しショックであり、現実を突きつけられた感じであった。店頭でいかに薬剤師が活用されていないかがわかる。。。

富山薬売り、高齢者も勉強 改正薬事法、資格取得で 「スクランブル」
2009年2月19日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
高齢者の多い「越中富山の薬売り」として知られる薬配置販売業者は、経過措置として当面は登録販売者の資格は必要ないが、「消費者の信頼を得よう」と資格取得に懸命だ。昨年10月に合格発表があった富山県の第1回試験。受験者1104人のうち、配置販売業は460人。受験した同業者の半数が60-80代で、この年代の合格率は約4割と平均を約2割下回った。
「富山の置き薬」は300年以上の歴史。しかし薬剤販売の規制緩和に反対する全国薬害被害者団体連絡協議会は「スモンの原因となった整腸剤キノホルムは大衆薬だった。置き薬の被害もあったはず」と主張。配置販売業者も試験や資格できちんとした知識を持つべきだとして「経過措置」に反対してきた。

「富山の置き薬」は薬学の知識がある人であればだれもが聞いたことのある話だろう。300年の歴史があるために、この経過措置はとられたのであろう。そんな高齢者でも、信頼を勝ち得ようと必死に学んでいる姿は、薬を扱う者としてのプライドさえも見受けられる。このような倫理感も見習うべきであるように思う。

献血者数6年ぶりに増加 HIV陽性者は過去最多を更新 日赤調査の2008年間速報値
2009/02/16(月)-Care NET

[要約&コメント]
昨年1年間の献血者数は約507万7200人と前年を約13万7700人上回った。前年比増加は6年ぶり。献血者のうちHIV陽性者と判明は、10万人当たりの陽性者数は2.107人といずれも過去最多を更新。

10万人当たりの陽性者数2.107人を多くとるか少なくとるか。自分が陽性かもしれない、と思っている人ほど献血を恐れて受けていないのも事実。病院で輸血を利用している人の割合は、献血の量に比べていったいどのくらいなのだろうか?

ゾニサミド:少用量製剤でパーキンソン病にも適応を拡大
2009. 2. 13-日経DI

[要約]
パーキンソン病のうち、レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬*を使用しても十分に効果が得られなかった場合にゾニザミド*(商品名:トレリーフ錠25mg)が適応にあり、ゾニサミドを処方する際にはレボドパ含有製剤と併用することが定められている。
パーキンソン病治療には1日1回25mgで使用するのに対し、てんかん治療では「通常、成人は最初1日100~200mgを1~3回に分割経口投与する。以後1~2週ごとに増量して通常1日量200~400mgまで漸増し、1~3回に分割経口投与する」となっており、パーキンソン病とてんかんとでは用量が異なることに注意したい。

*おもな抗パーキンソン病薬
レボドパ含有製剤やドパミン受容体刺激薬、ドパミン放出促進薬(アマンタジン塩酸塩)、MAO-B阻害薬(塩酸セレギリン)、抗コリン薬(塩酸トリヘキシフェニジルなど)、ノルアドレナリン補充薬(ドロキシドパ)、末梢COMT阻害薬(エンタカポン)等
*ゾニザミド
長い半減期(62時間)を持つ抗てんかん薬として、錠剤(商品名:エクセグラン錠100mgほか)と散剤(商品名:エクセグラン散20%ほか)が1989年6月から臨床使用されている。

2009/03/11

Saya's 薬学ニュース vol.81-「社会保障 ここが知りたい」ジェネリックを賢く使う 【2】/「異常行動との関連性なし」は変わらず タミフル/ジスロマックSR:1回の服用で効果が7日間持続/08年度から医学英語検定制度スタート

<Today's news>
1. 積極的な取り組み広がる  企業健保、国保、病院も 定期企画「社会保障 ここが知りたい」ジェネリックを賢く使う 【2】
2. 「異常行動との関連性なし」は変わらず タミフル・基礎WG
3. ジスロマックSR:1回の服用で効果が7日間持続

おまけ. 08年度から医学英語検定制度スタート グローバル化で問われる医学英語の実力

積極的な取り組み広がる  企業健保、国保、病院も 定期企画「社会保障 ここが知りたい」ジェネリックを賢く使う 【2】
2009年2月13日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
医療費を抑えるため、価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)を積極的に使う取り組みがここ数年、病院や企業の健康保険組合、自治体などで広がっている。
2003年に入院患者に対する診療報酬の定額制を導入した聖マリアンナ医大病院(川崎市)では、変更可能な薬は後発薬に変えた。薬剤部長は「年間2、3億円、全体の5%の薬剤費を節減できた。後発薬による問題は全く起きていない」と話す。「受診者はあまり実感できないかもしれないが、全体での削減効果は大きい」という。

昨日に引き続き、ジェネリック医薬品使用に対する記事の第二弾。一般処方導入で有名になった聖マリアンナ医大病院が一例として取り上げられていた。薬剤費の削減に関しては、昨日の記事では患者
一人一人に対する費用の削減が取り上げられたが、もともと価格の安い薬に関しては差額があまりなく安く感じないものもある。しかし、このように全体を見て考えるとかなりの削減になっているのがわかる。自分のために後発医薬品を選択するか、国の今後のために選択するか。それは個人の自由であるがこの事実は見過ごせないものである。

「異常行動との関連性なし」は変わらず タミフル・基礎WG
2009年2月13日-m3.com 提供:Japan Medicine(じほう) ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会・安全対策調査会の「リン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ(基礎WG)」は、インフルエンザ治療薬「タミフル」の服用と異常行動との因果関係を調べるために、国内外の研究者らが実施した非臨床試験などに関する文献5件について検証した。「異常行動との関連性は認められない」という結論を覆すような結果は得られなかった。

タミフルをめぐる異常行動に関する見解は今のところ因果関係なし、と言う認識でよいということだろうか。新型インフルエンザが叫ばれている中で、タミフルの使用が果たしてよいものかどうかの結論は未だに出ていないが、この結論らであれば、使用は推奨されるということであろうか。さらに見ていく必要がありそうである。

ジスロマックSR:1回の服用で効果が7日間持続
2009. 2. 5-日経DI

[要約&コメント]
アジスロマイシン*水和物の新剤形製剤である「ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g」が製造承認を取得した。これまでの製剤では、1日1回、3日間投与すると、7日間効果が持続するもので、今回承認されたジスロマックSRは、さらに服用回数を減らし、1回服用するだけでその効果が7日間効果が持続するように設計された、成人用ドライシロップ製剤である。本製剤では、「マイクロスフェア製剤」(ポリマーからなる粒子径が数μm程度の球状の製剤)という新しい技術を採用することで、高用量(1回2g)の服用を可能にしている。
食事の影響を受けやすく、空腹時の服用が基本となる。具体的には、「食後2時間以上経過してから服用し、服用後は2時間以上食事を控えること」と患者に指導する。
*アジスロマイシン
エリスロマイシンの基本骨格に窒素原子を導入することで、感染病巣への優れた薬剤移行性と長い半減期を実現し、軽症から中等症の急性呼吸器感染症に優れた臨床効果を発揮する抗菌薬である。

3回の服用で1週間作用が持続するという特徴でも十分であったのに、さらに1回の服用まで回数が提言されている。ここで問題になるのは、副作用の発言である。患者によっては1回だけの服用で1週間も悩まされる可能性があることは見逃せない内容である。服薬指導の例も参考にしてもらいたい。

おまけ…医学英語

08年度から医学英語検定制度スタート グローバル化で問われる医学英語の実力
2009年2月6日-m3.com 提供:Japan Medicine(じほう)  ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
医学英語検定試験(医英検)は、日本の医療・医学の国際化を普遍的に推進することを目的として、日本医学英語教育学会が08年度から開始した医学・医療に特化した英語検定試験。グローバル化の加速で、今や日本の医療現場も英語での対応を迫られる機会が増えている。在日外国人も急増し、医療機関でも医療通訳の必要性が認識され始めている。「医師だけでなく、看護師などのコメディカルも簡単な問診ぐらいは英語でできないといけない。それ以外の病院の事務、福祉分野などのスタッフも、ある程度、医学英語を知っておく必要がある。医療に関係する人たちには、少なくとも3級は取ってほしい。世界で活躍したい人は将来、さらに上の2級、1級を目指してほしい」

薬剤師に対しては特に記載がないが、薬局に訪れる外国人も東京付近では多いのが事実である。日本のシステムでは、すべてが日本語で印刷・カウンセリングされ、日本が全く駄目な外国人にとっては理解する要素が見当たらない。これに挑戦する薬剤師はいったいどのくらいいるのだろうか?

2009/03/10

Saya's 薬学ニュース vol.80-レンドルミン錠をD錠と誤解し口中で溶かしていた患者/成人大うつ病に最良な第2世代抗うつ薬はセルトラリン/グレープフルーツと薬物による作用をキノコが軽減/「社会保障 ここが知りたい」ジェネリックを賢く使う①

<Today's news>
1. レンドルミン錠をD錠と誤解し口中で溶かしていた患者
2. 成人大うつ病に最良な第2世代抗うつ薬はセルトラリン
3. グレープフルーツと薬物による作用をキノコが軽減
4. 医療費負担減に効果大  医師らに抵抗感も 定期企画「社会保障 ここが知りたい」ジェネリックを賢く使う 【1】

おまけ.

大変久しぶりの投稿となってしまいました。
住む都市を移動したり、と少々立て込んでおりましたので、薬学ニュースをチェックしていただいていた方には、謝罪申し上げます。少し落ち着いてきましたので、また継続して投稿できるよう心がけていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。古い記事もございますが、興味深い記事で見逃すことができませんのでしたので、掲載させていただきます。

レンドルミン錠をD錠と誤解し口中で溶かしていた患者
2009. 2. 12-日経DI

[要約&コメント]
ほかの医療機関、薬局で口腔内崩壊錠のレンドルミンD錠(一般名:ブロチゾラム)を交付されていた患者が、普通錠に変更されたにもかかわらず、それを認識せず口中で溶かして服用を続けていた例。幸いなことに、寝付きが悪くなったなどの問題や、口腔内の異常などの有害事象も特に認められなかったが、実際このような事例は多くの薬局で起きているのではないだろうか?

薬局で起きやすい事例として紹介した。幸いなことに特に健康面で被害はなかったが、患者側からすれば不信感にもつながりかねない。患者さんの満足感を得るためにもこのような気づきが必要なのではないだろうか?日本特有のお薬手帳のシステムを、あなたの薬局では使い切れていますか?

成人大うつ病に最良な第2世代抗うつ薬はセルトラリン
2009. 2. 12-日経DI

[要約]
第2世代の抗うつ薬12剤*の大うつ病に対する効果と患者の受容度を評価したところ、セルトラリン*が最も効果的である、という結論が導かれた。効果と受容度という観点からみると、エスシタロプラムとセルトラリンが最も良好と考えられた。しかし、エスシタロプラムは特許期限期間が残っているという理由から、コストの観点も加えると、既に後発品が利用できるセルトラリンが最良と考えられたわけである。
反対に、レボキセチンは大うつ病に対する急性期治療の第1選択としては用いるべきではない、と著者らは述べている。
*第2世代の抗うつ薬12剤
ブプロピオン、シタロプラム、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、ミルナシプラン、ミルタザピン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンの12剤
*セルトラリン
商品名:ジェイゾロフト
薬効・薬理:セロトニンの受容体を特異的,選択的に遮断
副作用:,吐き気,ねむ気,口の渇き,めまい,頭痛,下痢など

グレープフルーツと薬物による作用をキノコが軽減
2009年2月12-m3.com 提供:WebMD ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
食用キノコが、グレープフルーツジュースが薬剤を変化させる作用を中和する、との研究発表がなされた。
様々な薬剤による副作用のリスクを上昇させることで知られているグレープフルーツ。グレープフルーツジュースはおいしいだけでなく、身体にも非常に良い。抗酸化物質や他の有用な化合物を豊富に含んでいる。癌や心疾患の防止に役立つ可能性すらあるというエビデンスが存在する。以前、ある非食用の真菌が、グレープフルーツと薬物の相互作用の原因となる化合物を何らかの形で吸収することを見出したが、今回食用のキノコでも同じような作用があることが発見された。

「グレープフルーツ、少しでも食べちゃいけないの?ジュースもだめ?」という訴えを聞いたことのある薬剤師は少なくないのではないだろうか?私も、個人的にはグレープフルーツと相性の悪い薬は飲みたくないのが本音である。ある種のキノコにこのような作用があることがわかれば、薬に配合することも可能であるし、グレープフルーツを服用したい人にのみ服薬指導をすることも可能である。ただし、分量などは人によってあいまいであるため、どうしてもグレープフルーツを食べたい人には、その他の薬を勧めるほうが妥当かもしれない。患者によっては、一度グレープフルーツをダメ、と言われるとすべての薬がだめなのだ、と思いこむようなケースもあるので、同じ高血圧や高脂血症の薬でも種類が違えば問題ないことも伝えてあげると親切であろう。

医療費負担減に効果大  医師らに抵抗感も 定期企画「社会保障 ここが知りたい」ジェネリックを賢く使う 【1】
2009年2月13日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約]
ジェネリック医薬品(後発薬)の普及を国が本格的に進めている。健康保険組合が組合員に使用を促す動きも。後発薬を安心して飲んでいいのか、専門家の意見を参考にしてみよう。
患者の中では、安価の費用に大変満足している人も多いが、薬剤師や医師の中には先発医薬品メーカーに対する配慮もあり抵抗感のある人も未だに多い。「安かろう悪かろう」のイメージで固定観念をぬぐい切れていない人も多いことと思うが、実際先発品だからよいというわけではない。先発品の欠点を時間をかけることで後発品により改良するという利点もあるのである。