2009/01/31

Saya's 薬学ニュース vol.70-ワクチンの予防接種後副反応報告書を公表/レセプト請求電子化は違憲/薬害C型肝炎訴訟和解の困難さ/アルツハイマー患者に抗精神病薬は死亡率をUPさせる?/フランと日本の医療

<Today's news>
1. 各種ワクチンについて予防接種後副反応報告書を公表  厚労省
2. レセプト請求電子化は違憲 「営業侵害」医師ら提訴へ
3. 国の同意、2割不透明:薬害C型肝炎訴訟 「フィブリン糊、判断困難」
4. アルツハイマー病患者において抗精神病薬により長期死亡率が上昇する

おまけ. わが国の在宅医療とフランスからの示唆

各種ワクチンについて予防接種後副反応報告書を公表  厚労省
2009年1月15日-m3.com 提供:WIC REPORT(厚生政策情報センター)

[要約&コメント]
厚生労働省は平成18年度の「予防接種後副反応報告書」を公表した。これは、平成18年4月1日から平成19年3月31日までの間に厚労省に報告された予防接種後副反応報告を報告基準にある臨床症状ごとに単純集計し、まとめたものである。
対象とされたワクチンは、定期接種として実施されたジフテリア・百日せき・破傷風混合、ジフテリア・破傷風混合、麻しん、風しん、麻しん・風しん混合、日本脳炎、ポリオ(急性灰白髄炎)、BCG、インフルエンザである。
参考資料:予防接種後副反応報告制度について(PDFファイル)

ここでは詳しく紹介しませんが、参考資料のPDFファイルにそれぞれのワクチンによる副反応事象が記載されています。是非活用下さい。

レセプト請求電子化は違憲 「営業侵害」医師ら提訴へ
2009年1月16日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
診療報酬明細書(レセプト)のオンライン請求を義務化するのは「営業の自由の侵害で違憲だ」として、国に対しオンライン請求の義務がないことの確認と一人当たり100万円の慰謝料を求め、横浜地裁に提訴することが15日、分かった。(提訴は21日)
弁護士は「オンライン請求には高額の設備投資が必要で、対応できない医療機関は廃業するしかない。国会の立法によらない省令で一律に義務化するのは、憲法の保障する営業の自由の侵害だ」と訴えている。
類似記事:診療報酬の「電子申請義務化は違憲」…国を提訴へ(ケアネット 提供:読売新聞)

とうとう提訴に至ったレセプトオンライン請求義務化に対するの問題。先日匿名さんにコメントを頂いたように、オンライン化が義務化されれば、地域医療や歯科医療に多大な損害を与えることとなる。この訴訟により、オンライン化への動きも大きく変化を加えられるのではないだろうか。引き続き、今後の動きに注目したい。

国の同意、2割不透明:薬害C型肝炎訴訟 「フィブリン糊、判断困難」
2009年1月16日-毎日新聞社

[要約&コメント]
薬害C型肝炎訴訟の原告約1400人のうち、被害者救済法に基づく和解に国が同意するかどうか未定(保留)の被害者が、全体の2割の約270人に上ることがわかった。薬害肝炎被害者は、病状に応じ1200万~4000万円の給付を受けられるが、その前に国と裁判上の和解が必要になる。
保留のケースは...
(1)血液製剤フィブリノゲンを接着剤として調合した「フィブリン糊(のり)」で感染した...因果関係の判断ができない<160人>
(2)ウイルス処理が比較的有効だった時期(85年8月以前)に投与され、大量の輸血も受けた<10人>
(3)医師らの投薬証明だけでカルテなどがない...投薬証明に加え、医師らを尋問した上で判断が必要<100人>
--に大別される。

保留にされている間に、病状は進行し続け、死に至ることも実際に起きている。これらの訴訟には時間がかかり、さらに実際感染が多数起きた時期は40年近くも前のことになるので、もちろん証拠となる書面を入手することももはや困難である。国としては救済したい思いがあっても、どの程度でラインを引くべきなのか最も難しい部分なのだろう。両者の間で、よい方法が生み出されることを祈るばかりである。

アルツハイマー病患者において抗精神病薬により長期死亡率が上昇する
2009年1月19日-m3.com  提供:Medscape ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
新しい試験で抗精神病薬の処方を受けるアルツハイマー病患者の長期死亡率上昇が示され、アルツハイマー病患者の神経精神症状の治療のため有害性の少ない代用療法の必要性が浮き彫りになっていると研究者は述べる 。抗精神病薬(チオリダジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、トリフロペラジン、リスペリドン等)は複数の症状(攻撃性、苦痛等)がみられる患者においてのみ使用し、例外的状況を除いて、3ヵ月以上使用すべきではないと訴えている。

実際、6~12週間抗精神病薬を投与した場合、中程度の効果が得られているとのことなので、精神症状には第一選択薬として広く用いられているとのこと。ガイドラインもあくまでガイドラインでしかなく、新たな知見に合わせて改良されていくべきである。

おまけ...フランスの医療

わが国の在宅医療とフランスからの示唆
2009年1月19日-医学書院

[要約&コメント]
フランスと日本の医療制度には,極めて多くの共通点がある。医師は自由開業制であり,患者は受診におけるフリーアクセス権を持つ。また,国民皆保険のもと豊富な種類の保険があり,保険会社・医療・被保険者は良好な関係がみられる。
フランスでは,在宅入院という概念があるのである。入院で行うことを在宅で行うという概念である。代表的なものは抗がん剤による化学療法である。対象にはその他手術後の管理,リスクの高い妊娠,点滴などがある。今後の日本でも,フランスのような高度な在宅医療が求められていく。その中で,診療所の医師が,どこまで在宅医療を担えるのかは大きな課題である。

フランスの医療が日本の医療と似ていること、ご存知でしたか?私は知りませんでした...医療費などはどうなっているのでしょうか?日本と同じようにたくさんの負債を抱えているのでしょうか?
新たな薬剤師の職能拡大域として、在宅医療が注目されている。癌患者の多くも、自宅での療養を望んでいる人が多い事もあり、フランスでニーズが拡大したのも納得である。しかし、癌のような疾患を在宅で行う事を可能にするのは、日本にとって大きな課題となるであろう。他国では可能にしている、という事は日本でも不可能ではない。いい手本があるのであれば、有効に利用するべきである。

2009/01/30

Saya's 薬学ニュース vol.69-インフルエンザ予防接種妊婦もOK/不況により症状あっても受診「我慢」が6割近く/コンビニ、スーパーでの医薬品販売は人気になりそう?/医薬品販売制度改正後のルールづくりは?/ピンクリボンの認知度に大きな男女差

<Today's news>
1. インフルエンザワクチン 「妊婦さんもOK」 予防接種、医師に相談を
2. 症状あっても受診「我慢」が6割近く
3. コンビニ、スーパーで買うのは「頭痛薬」など
4. 医薬品販売制度改正で都道府県に協力要請-厚労省

おまけ. ピンクリボンの認知度に大きな男女差

インフルエンザワクチン 「妊婦さんもOK」 予防接種、医師に相談を
2009.1.7 08:29-産経新聞

[要約&コメント]
 妊婦がインフルエンザワクチンの接種を希望する場合は接種してよいという日本では初の公式見解が、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が作った「産婦人科診療ガイドライン産科編2008」(日本産科婦人科学会発行)に明記されている。インフルエンザは妊婦がかかると重症化しやすいとされており、予防の選択肢の一つとして期待が高まりそうだ。
妊婦には、「生ワクチン*」は原則として禁忌だが、「不活性化ワクチン*」は接種可能だ。

妊婦への予防接種は聞いたことがなかった。未だに医師の判断に任されてはいるが、質問があった時にある程度エビデンスを混ぜながら話せるので良い材料となった。完全に安心とは言えないので、状況を見つつになるであろう。
*生ワクチン
病原性を弱めたウイルスや細菌などをワクチンにしたもの
*不活化ワクチン
培養したウイルスや細菌などを精製してホルマリン処理などをして病原体を無毒化したもの

症状あっても受診「我慢」が6割近く
2009/01/19 21:22-キャリアブレイン

[要約&コメント]
景気の悪化が深刻になる中、今年は「我慢」して医療機関にかからない場合があると考える人の割合が全体の6割近くに上ることがわかった。どんなときに「我慢」するかとの問いには、「(重くない)風邪」と答えた人が約半数で、「歯痛」や「頭痛」など、多数の市販薬がある症状では、医療機関に行かずに済ませる傾向が強いことが分かった。

この結果は、個人的にうれしいものであった。不況は無駄なものを排除する性質がある。日本人は、何かあるとすぐに病院へ行く傾向があるように感じる。そのため、病院では軽症の患者であふれる事もある。風邪の場合、病院にいっても出されるのは薬だけ、ゆっくり休んでくださいの一言である。そのために病院で長い間待たされて、もらわなくてもいいような菌をもらう事もある。市販薬があるなかで、それらをうまく利用し、セルフメディケーションを心がけていただきたい。それでも良くならない場合は病院へ行き検査を受けるべきであるが…そこで薬剤師としてどの程度まで患者に情報提供ができるか。この点が求められてくるのではないだろうか。

コンビニ、スーパーで買うのは「頭痛薬」など
2009/01/19 21:30-キャリアブレイン

[要約&コメント]
今年6月の改正薬事法施行後、コンビニやスーパーなどで一般用医薬品(OTC)を購入したいとする人が66%に上ることがわかった。(夜間の緊急時には85%に上昇している。)購入する医薬品としては、頭痛薬などが挙げられた。年代別では、40歳代で肯定的な見方をする回答が最も多く7割を超えたが、60歳代では4割が「購入したいと思わない」と回答している。

コンビニでの医薬品購入が可能になれば、夜間急きょ薬が必要になった場合の不安はなくなるであろう。登録販売者がしっかりと応対する条件であれば問題ないし、利便性が向上することはうれしいことでもある。ただし、登録販売者がどのように顧客に関わっていくのか、その点が課題である。

医薬品販売制度改正で都道府県に協力要請-厚労省
2009/01/20 21:56-キャリアブレイン

[要約&コメント]
厚生労働省医薬食品局は、1月20日の「全国厚生労働関係部局長会議」で、今年6月の改正薬事法施行に伴う医薬品の購入者からの相談体制の整備などについて、都道府県の担当者に協力を求めた。医薬品についての情報提供や相談対応で薬局・薬店などが順守すべきルールを厚労省が明確にした後、各都道府県において現場指導を徹底するよう求めているほか、購入者からの通報や相談に対応する体制の整備なども必要としている。「ルールについては、法令や通知などで順次伝えていく」としている。

ちょうどコンビニでの販売の話をしたすぐ後に見つけた記事。私が気になった対応についてである。今の段階ではまだ“手探り段階”であることが見てとれる。薬剤師としても、登録販売者がどのようなルールの中で医薬品の販売を行っていくか知っている必要がある。厚労省の意向が発表されたら紹介していこうと思う。

おまけ...乳がん/ピンクリボン

ピンクリボンの認知度に大きな男女差
2009/01/19 21:38   キャリアブレイン

[要約&コメント]
ピンクリボン運動の内容を知っている女性の割合は72.5%(「詳しく知っている」15.4%、「何となく知っている」57.1%)なのに対し、男性では45.0%(「詳しく」6.8%、「何となく」38.2%)。また、乳がん検診の受診状況を女性に尋ねたところ、受診経験者が半数を下回ることも分かった。年齢別でみると、「30歳代」が62.4%で最多。以下は、「20歳代」58.0%、「40歳代」56.2%、「その他」31.0%と続いた。

ピンクリボン運動は、2000年から広がっているとはいっても、多くの人が知り始めたのはここ数年なのではないだろうか。「余命1か月の花嫁」が上映されてから、その反響は大きく多くの場でピンクリボン運動や乳がん検診などが盛んに叫ばれるようになった。個人的にも応援しており、健診の普及にはかかわっていきたいと考えているが、未だに健診を受けたことがないので、帰国したらぜひ挑戦したい内容である。

2009/01/29

Saya's 薬学ニュース vol.68-血糖値測定器、指定外の試薬でも作動、注意!/糖尿病治療薬で女性患者の骨折リスクが倍増/健康食品会社が効能を記載し薬事法違反/死への恐怖、がん患者より医師の方が強い

<Today's news>
1. 血糖測定器、指定外の試薬でも作動
2. 糖尿病治療薬で女性患者の骨折リスクが倍増
3. 医薬品の効能うたい無許可販売、健康食品会社を書類送検

おまけ. 死への恐怖、がん患者より医師の方が強い

血糖測定器、指定外の試薬でも作動
2009/01/16 09:30   キャリアブレイン

[要約&コメント]看護師が血糖測定器に指定外の試薬を取り付けたために、誤った血糖値に気付かないで薬剤を投与したという。試薬の取り付け間違いで計測した血糖値(67mg/dL)を元にブドウ糖を投与したが、実際の血糖値は192mg/dLだっという。
今回は、「プレシジョンエクシード」に「LFSクイックセンサー」を取り付けて起こった事例である。「指定されていない試薬を取り付けても作動し、誤った値を表示する機器があることを周知する。血糖測定器が指定する試薬がわかるよう表示する」よう注意を呼び掛けている。詳細(財団法人・日本医療機能評価機構HP) http://jcqhc.or.jp/html/accident.htm#med-safe

           <血糖測定器への指定外の試薬の取り付け>

機械が違うのに作動してしまうのは怖いことである。血糖値が3倍近くも変わってしまうのであるから。。。この財団法人に関しては、Saya's 薬学ニュース vol.37のコメントで“ここから来たDMはゴミ箱直行”と記載してあったことを思い出し、ぞっとした。今回のこの記事も各病院に配布されていても、読まれていないのではないだろうか。普段の情報提供を怠ると、こういった重要な情報も重要としてとらえられない可能性もあるので、非常に怖いことである。

糖尿病治療薬で女性患者の骨折リスクが倍増
2009/01/16-ケアネット.com 提供:HealthDayNews

[要約&コメント]
2型糖尿病治療薬rosiglitazoneロシグリタゾン(商品名:Avandia、日本国内では未承認)あるいはピオグリタゾン(アクトス)*を服用する女性患者では骨密度が低下し、骨折リスクが2倍に上昇するとのことだ。一方、男性の服用患者では骨密度には影響は見られなかった。
「2型糖尿病には多くの治療選択肢があり、骨折の原因になるような薬剤を服用し続けることが最善とは思わない。可能性のあるすべての人はこれら2剤を避けるべきと警告する必要がある」と指摘している。

アクトスは、最近添付文書の改訂で「ビグアナイド系薬剤」との併用について新たに追記されたばかりの薬である。ホルモンの関係で骨粗鬆症にかかりやすくなる女性にとって、さらに骨折のリスクを増加させるような薬を服用するのは確かに避けるべき項目と考える。
*アクトス
商品名:アクトス
一般名:ピオグリタゾン
規格:15mg,30mg
薬効:糖尿病薬(インスリン抵抗性改善)
副作用:浮腫(むくみ),心不全,急激な体重増加,息苦しさetc

医薬品の効能うたい無許可販売、健康食品会社を書類送検
2009/01/19(月)-ケアネット.com 提供:読売新聞

[要約&コメント]
健康食品を耳鳴り改善などの効能をうたって販売したとして、東京都武蔵野市の健康食品販売会社「縄文健康研究所」と社長を薬事法違反(無許可販売、貯蔵)の疑いで横浜地検川崎支部に書類送検した。「ハチの子ミミン」「鮑凄六(あわびすごろく)」を、「耳鳴り・難聴が改善する人もいる」などと効能を示し、販売した疑いがある。

特定保健用食品の記載がないもので、効能をうたっているものは注意が必要である。効能が書いてある物の場合は、必ずトクホのマークを探してください。マークの記載がなく効能の記載があれば、承認を受けずに販売している可能性が高いです。

おまけ...癌患者

死への恐怖、がん患者より医師の方が強い
2009/01/14 23:00-キャリアブレイン

[要約&コメント]
医師はがん患者よりも死への恐怖感を強く抱いていることなどが、東大医学部附属病院のアンケート調査で分かった。
「死後の世界に対する見方」の項目では、がん患者と一般市民に比べ、看護師は死後の世界を肯定し、逆に医師は否定する傾向が見られた。
がん患者の死生観について「『伝統的死生観』には頼らず、死を思い、死を恐れず、充実した今を生きている、と言えるのではないだろうか」と指摘し、医師の死生観については「医師は科学的死生観を持っている。未来を希望する一方で、死を思うことは少なく、死への恐怖も強い」とし、がん患者の生き方に学び、歩み寄る必要がある」と話している。

2009/01/28

Saya's 薬学ニュース vol.67-使用上の注意改訂お知らせ/医薬品医療機器総合機構職員の権限はどこまで?/花粉症には「使い捨てコンタクトを」/皮膚局所麻酔の危険性を警告/病院に温度管理システム構築

<Today's news>
1. 3剤で使用上の注意改訂
2. 薬害で医薬品医療機器総合機構(PMDA)職員の権限をどうするか
3. 花粉症には「使い捨てコンタクト」を
4. FDAが皮膚局所麻酔薬の危険性を警告

おまけ. NEC、米NYセイント・ジョセフ病院にRFIDタグを活用した温度管理システム構築

3剤で使用上の注意改訂
2009年01月15日-薬事日報

[要約&コメント]
3種類の薬の使用上の注意改訂版が発表されたので紹介する。
①関節リウマチの治療薬「エタネルセプト」(商品名:エンブレル、ワイスが製造販売)
改訂内容:
1) 「警告」の項の結核に関する記載に「ツベルクリン反応などの検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている」ことを追記(症状の顕在化や悪化の恐れがあるため)
2) 「重大な副作用」の項に「皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症、多形紅斑、抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎、急性腎不全、ネフローゼ症候群」を追記
②悪性神経膠腫治療薬「テモゾロミド」(テモダールカプセル、シェリング・プラウが製造販売)
改訂内容:「重大な副作用」に「間質性肺炎」を追記
③B細胞性非ホジキンリンパ腫治療薬「リツキシマブ」(リツキサン、中外製薬が製造販売)
改訂内容:「重大な副作用」に「細菌、真菌、ウイルスによる重篤な感染症」と「進行性多巣性白質脳症」を追記

知識のアップデートにご利用ください。

薬害でPMDA職員の権限をどうするか
2009/01/15 22:17-キャリアブレイン

[要約&コメント]
厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が開かれ、薬害における独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の権限について多くの意見が出た。
提言取りまとめのために事務局が整理した論点は、
(1)薬害肝炎事件の経過から抽出される問題点
(2)これまでの主な制度改正等の経過
(3)薬害再発防止のための医薬品行政等の見直し―の3点で構成。(感染リスクの高い生物由来製品について、医療機関や企業以外に患者本人へ製剤名やロットなどを公開記録できるようにする方針を検討)
人数を増やすだけでなく、権限の範囲等も再検討が必要であるという主張もあり、検討が必要と考えられる。
参考記事:厚労省:薬副作用、分析を強化 来年度から、担当者を100人増員--方針(毎日新聞)

Saya's 薬学ニュース vol.55で紹介したPMDA増員の記事。PMDAで実際増員されるのは、公務員ではなく、現場経験の豊富は医療関係者など(医師、薬剤師、統計学の専門家ら)であり、国家公務員でないことから裁量に関する疑問も上がっている。

花粉症には「使い捨てコンタクト」を
2009/01/15 22:21-キャリアブレイン

[要約&コメント]
コンタクトレンズ使用者を対象に、「花粉症についての意識調査」を実施したところ、花粉の飛散時期にもコンタクトレンズを使用している人は74.5%で、「できればコンタクトレンズの使用を継続したい」と考えている人は88.3%もいたという。
眼科の専門家は、症状が出る前(1月)に眼科を受診することや、一度付着した花粉を完全に洗い流すことは難しいため、『1日使い捨てタイプ』に切り替えることを勧めている。

コンタクトの使用はもはや必須の時代になっているのかもしれない。そんな中でメガネをかけなさい、という指導はナンセンスであるため、どうにか影響を最小限に抑えるためにも、症状が出る前の受診はお勧めである。また、抗アレルギー薬は人によって合うものと合わないものがあるので、一つの薬が合わなくても医師と相談して合う薬を見つけるよう根気強く続けることも重要である。さらに、花粉症治療として目薬の使用が最も多いことも、コンタクトレンズの使用において注意すべき点である。

FDAが皮膚局所麻酔薬の危険性を警告
2009年1月16日/HealthDay News

[要約&コメント]
米国食品医薬品局(FDA)は消費者および医療従事者に対し、処方薬・市販(OTC)薬ともに皮膚に塗布する局所麻酔薬の不適切な使用により、生命にかかわるリスクが生じるとの警告を発した。
該当する麻酔薬は、皮膚表面に近い神経末端の感覚を鈍らせる作用のあるリドカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、プリロカインなどの麻酔成分を含有するもので、クリーム、軟膏およびゲル剤がある。不適切な方法で使用すると、薬剤が血流に取り込まれ、不整脈、痙攣(けいれん)、呼吸困難、昏睡さらには死亡などの反応を引き起こす可能性があるという。

リドカインを含むものには痔の治療薬(ex.ネリプロクト)などがある。特に、傷がある部分や、熱を持った部分に使用すると血中濃度が上昇しやすい傾向にあるため、その点を患者に指導する必要がありそうである。

おまけ…海外の病院

NEC、米NYセイント・ジョセフ病院にRFIDタグを活用した温度管理システム構築
2009年1月14日 12:01-RBB Today

[要約&コメント]
NECならびにNEC Unified Solutionsは、米国ニューヨーク州のセイント・ジョセフ病院において、アクティブRFIDタグを活用した温度管理システムを構築したことを発表した。
このシステムは、同病院内の薬品や血液などが格納されている冷蔵・冷凍庫に温度センサー付アクティブRFIDタグを設置し、同タグより定期的に温度データを収集することで、病院内に保存されている薬品や血液などの温度管理を行うもの。物質の温度に加え、物質の状態や位置情報の24時間常時監視が可能となり、より精密な品質管理が実現した。

日本の病院での温度管理はどのようになっているのだろうか。この記事を読んでふと疑問に思った。研究にも応用できる技術であるが、利用している施設はあるのだろうか?

2009/01/27

Saya's 薬学ニュース vol.66-グリベンクラミドの複数規格を重複服用してしまったら/感染症予防には手洗いが一番/抗HIV薬2品目の薬価収載を了承/医療機関向け総合予約システム「i-CALL(アイコール)」

<Today's news>
1. グリベンクラミドの複数規格を重複服用してしまった患者
2. 感染症予防には手洗いが一番-健康を維持する秘訣
3. 抗HIV薬2品目の薬価収載を了承-中医協総会

おまけ. 「いつでも・どこでも・簡単予約」医療機関向け総合予約システム「i-CALL(アイコール)」

グリベンクラミドの複数規格を重複服用してしまった患者
2009. 1. 14-日経DIオンライン

[要約&コメント]
ダムゼール錠1.25 mg(一般名:グリベンクラミド)を服用している患者で、入院前に1.25mg錠×2T、入院後は2.5mg錠×1Tを服用している。一方化の薬なので剤形が変更になった事に気付かず、グリベンクラミドが処方されていない、と勘違いをして入院前に処方されていた1.25mg錠×2Tを勝手に服用していたという。実質、合計で倍量5mg(2.5mg+{1.25mg×2})服用していたことになる。入院中に低血糖を起こし、グリベンクラミドが一時中止されたこともあったという。
幸いにも当該患者に低血糖など有害事象は起きていなかったが、入院時同様起こりうる可能性は高かった。剤形による外観の違いなどについては、勘違いを起こしやすいことを予測して服薬指導を行うこと(特に高齢者)、そして残薬の有無とその保管状況のチェックも忘れずに行うことが重要である。

この手の勘違いは、現場で働いていてもちらほら見かけるものであった。そのことから、薬歴から、薬の変更などがないかいつもチェックし、患者への口頭での確認も怠らないようにしてきたつもりだが、忙しくなるとその対応も疎かになりがちである。今回の件では特に有害事象が起きなかったことが幸いだが、今後の投薬活動で再度重要性を意識していくべきであろう。

感染症予防には手洗いが一番-健康を維持する秘訣
2009/01/14-ケアネット.com 提供:HealthDayNews

[要約&コメント]
医師も認める健康を保つ秘訣は手洗いである。専門家によると、手に微生物を付着させないことで、インフルエンザや風邪、その他の感染症を最も簡単かつ有効に予防できるという。
石鹸(せっけん)と水による基本的な手洗いでは、石鹸が洗い流されないように、最初に湯で手を湿らせてから石鹸を使うことが重要であり、その後15~30秒以上かけて手と指の表面を満遍なく強くこすり洗う。微生物の伝播(でんぱ)の確実な予防法としてアルコールを用いた消毒用ジェルの使用を勧めている。
最も原始的な方法であるが、それが最も効果的であるという。昔からの知恵はやはり大きな意味がを持っている。しかし、いくら手洗いうがいをしたからと言って、その方法を確実に行わなければ成果は得られない。上記の内容を参考にして、患者さんにもアドバイスしてみてはいかがでしょうか。

抗HIV薬2品目の薬価収載を了承-中医協総会
2009/01/14 22:30   キャリアブレイン

[要約&コメント]
HIVの細胞内への侵入を阻害する抗ウイルス剤「シーエルセントリ錠150mg」(ファイザー)と、「インテレンス錠100mg」(ヤンセンファーマ)の内用薬2成分2品目を新たに薬価収載に収載されることが認められた。
シーエルセントリ錠150mg(ファイザー)は、細胞内でのウイルス増殖を抑制する既存薬が効かない患者にも、効果が期待できるという。
類似記事:抗HIV薬2成分、16日付で薬価収載(薬事日報)

次々と薬の承認が決まってきているHIV治療薬。
未だに日本にはHIVは不治の病であり、治療には莫大な費用がかかる、と思っている人は少なくない。感染が広がる前に、HIVの治療や知識啓蒙の必要性が高いように感じる。

おまけ...IT

「いつでも・どこでも・簡単予約」医療機関向け総合予約システム「i-CALL(アイコール)」がさらに使いやすく進化
2009年1月14日 15:23-Techinsight japan

[要約&コメント]
ネットで予約受付できて、待ち状況を確認できれば、ちょうどいい時間に病院へ行けば待たなくても良い。医療機関向け総合予約システムi-CALLは、利用者が電話、携帯電話、タッチパネル、パソコンから診療の予約受付を行い、自分の診察時間が近づくとメールと電話による「お知らせコール」が届く。利用者は、待ち時間が有効に使えるだけでなく、上記の問題点が改善されることで「待合室の混雑解消」や「受付での電話応対や患者対応の効率化」が実現し、それが「ゆとりのある診察」につながる。

病院のある日は丸一日潰れる…そう思っている患者さんも多いのでは?そんな不満を少しでも解消できる方法があるのであれば、試してみる価値があるのではないだろうか。

2009/01/26

Saya's 薬学ニュース vol.65-癌の遅延性悪心・嘔吐予防に新薬期待/体外からコントール可能なDDS技術の開発/ED治療薬と相互作用を起こす薬56種類紹介/鳥インフルエンザ死亡者393人/脳死で「臓器提供したい」が4割越


*お知らせ*
Saya's 薬学ニュース vol.37で記載した「日本医療機能評価機構」と「オンラインレセプト請求義務化」に対する貴重なコメントを匿名さんよりいただきました。とても興味深い内容ですので、興味のある方は是非訪れてみてください。
*レセプト請求オンライン義務化によって起こる様々な弊害etc

2008. 9. 18-日経メディカルオンライン

[要約&コメント]
半減期の長い制吐剤パロノセトロンは、癌化学療法による遅延性の悪心や嘔吐にも予防効果のあることが、国内の多施設共同二重盲検無作為化フェーズ3試験で確認された。パロノセトロンは選択的セロトニン(5-HT3)受容体拮抗剤で、化学療法に伴う悪心や嘔吐を防ぎ、化学療法の継続を可能にする作用が報告されている。欧米では注射剤や経口剤がすでに承認されている。

日経メディカルオンラインのランキングに載っていた記事で、少し古いが将来有望な治験薬として紹介した。抗がん剤治療を行う人たちにとって、悪心嘔吐などの副作用は大きな障害となる。治療を続けたいのに続けられない。せっかく薬が効いているのに精神的に耐えられない人たちの少しでも救いになる薬が開発されることを、心から祈っている。


[要約&コメント]
金(ゴールド)ナノ粒子を用いた新しい薬剤送達システム(drug-delivery system:DDS)が開発された。この粒子は、赤外線への曝露により表面に付着した複数の薬剤を放出するという。
この新システムの大きな利点は、外部から操作することによって3~4種類の薬剤を送達できる可能性があること。現在、2種類の薬剤を放出できるDDSは存在するが、放出のタイミングはあらかじめ組み込まれており、体外から操作することはできない

癌の記事を続けて紹介しよう。今度は癌治療におけるDDSの技術についてだ。今回のDDS技術では、薬剤送達の分類に含まれる。抗ガン剤の多くが、癌細胞だけでなく正常な細胞までも攻撃してしまうことがある中で、このような技術は癌細胞のみへの到達率を上げることで、正常細胞の破壊による副作用を低減することも可能である。特に体外からの操作におりコントロールができるのはかなり魅力的である。

2009年1月5日/HealthDay News

[要約&コメント]
米国の消費者団体パブリック・シチズン(Public Citizen)が、勃起不全(ED)治療薬との有害な相互作用を生じる可能性のある物質56種類のリストを作成した。ある種の抗狭心症薬、降圧薬、グレープフルーツ果汁およびハーブ・サプリメントであるセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)などが含まれるという。降圧薬を使用している男性はED治療薬を避ける必要があると述べている。

EDの治療をしている人に最も気をつける内容は、心臓病の有無に関してだがそれ以外にもこれほど多くの薬に気をつける必要があるとは...アメリカの薬で記載してあるが、一般名から比較できるので活用していただきたい。

2009/01/14 11:56-キャリアブレイン
[要約&コメント]
世界保健機構(WHO)がこのほど発表した「感染確定症例数」(1月7日現在)によると、2003年11月-09年1月までに15か国で確認された「ヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)」の確定症例数は393件、死亡例数は248件だった。
WHOの報告書は「最も重要で、かつまだ答えの分からない疑問は、なぜ、03年より動物の間では60か国で集団発生が起こっているにもかかわらず、ヒト症例の90%(03年11月-08年5月までに報告された症例中)が5か国のみから報告されているのかという点である」としている。

この感染者数と死亡者数をみて少ないと感じるか、多いと感じるか。
90%以上の症例が血縁の家族内に発生している事実も見逃せない内容である。アジア諸国での観戦も多いので、油断はできない。いつ日本で発生してもおかしくはないのである。これまで報告されたいくらかの患者のうち、鳥類との接触がみられたことから、必要以上に鳥類に近づかない事も、簡単であるが重要な予防策になるであろう。海外へ行く人は特に注意が必要である。

2009/01/13 16:32-キャリアブレイン

[要約&コメント]
脳死判定後に「臓器提供したい」と答えたユーザーが、全体の43.1%(男性:40.2%、女性:46.7%)に上ることが明らかになった。年齢別では、30歳代が45.8%と最多で、40歳代が43.3%でこれに続いた。ただ、臓器提供の意思がある回答者のうち、何らかの方法で意思表示をしていると答えたのは46.5%で、半数以上は意思表示をしていなかった。
43.8%の人が臓器移植に何らかの関心を持っていることが分かった。
アイシェアのホームページ(http://release.center.jp/2009/01/1302.html

臓器移植への関心は、自分の想像よりも以外に高かった。実際に提供したいと考えている人達は中年の人に多かったが、関心を持っているレベルでは、20代が最も多い。中年になると自分の死に関してより具体的に考えるようになるからだろうか。提供したいと思っていても、意思表示をしていない人が半分以上いるのは残念なことである。事故などで急になくなってしまう場合、意思が伝えられないからである。自分もその一人に入るが、どうにかして意思表示カード作成までの流れをより一般的に、アクセスしやすいような啓もう活動が必要と感じた。

2009/01/25

Saya's 薬学ニュース vol.64-タミフル耐性インフルエンザの対策は「リスク分散」が基本/登録販売者試験で替え玉受験判明/ジェネリック薬業界は順調/女性向けの健康機器ブランドを発表

<Today's news>
1. 耐性ウイルスの出現は突然、対策はリスク分散が基本
2. 耐性ウイルスを意識した抗インフルエンザ薬治療を
3. 登録販売者試験で「替え玉受験」判明
4. 急成長のジェネリック薬業界、主要企業44社の売上は前年比14%の3480億円

おまけ. テルモ、女性向けの新しい健康機器ブランド

耐性ウイルスの出現は突然、対策はリスク分散が基本
2008. 3. 13-日経メディカル

[要約&コメント]
これまでタミフル耐性株はあまり伝播しないというのがWHOなどの見方だったが、ノルウェー(66%)やフランス(39%)などでの耐性出現率をみるとこういった認識を変えなければならないことに気付かされる。アマンタジン(シンメトレル)も同様に、耐性ができにくい薬と考えられていたが、事態は急変し高頻度で耐性が見られるようになったとのことだ。タミフル一辺倒という状況を見直すなどの、「リスクの分散化」が重要になるとのこと。

Saya's 薬学ニュース vol.60で耐性の広がりなどに関して記事を記載したが、事態は昔に比べて大きく変化していることを再認識させられる。耐性ができてしまった今、どのように耐性の増加を食い止められるか、など専門家の声が必要である。

耐性ウイルスを意識した抗インフルエンザ薬治療を
2008. 12. 17-日経メディカル

[要約]
耐性ウイルスの出現が騒がれている中で、治療指針では、A型、B型別に、ザナミビル(商品名;リレンザ)、タミフル、アマンタジン(商品名;シンメトレルなど)の3種類の抗インフルエンザ薬をどのように使っていくべきかが示されている。


登録販売者試験で「替え玉受験」判明
2009年01月14日-薬事日報

[要約&コメント]
奈良県では、2008年度第2回「一般用医薬品登録販売者試験」で、大阪府豊中市の配置販売業経営の男性(54歳)が、その息子(20歳)になりすまして受験していたことが判明したと発表した。男性の受験を無効とすると共に、替え玉受験については、有印私文書偽造および同行使の容疑で告発する予定だ。
類似記事:パーマかけ眼鏡外し…でも替え玉受験の父、息子になりきれず (m3.com)

登録販売者試験の替え玉受験。親が子供の資格のために、自分で勝手に行ったことだと語っていたが、果たしてこれが子供のためになる教育なのだろうか、と疑問に感じてしまう記事である。と同時に、もしこの替え玉が発覚せず、実際に免許を交付していたらどうなっていただろうか。全く知識のない登録販売者が薬剤師のいないドラッグストアなどにいる事態が発生することになる。倫理的に考えても誰のためにもならないのが現実である。

急成長のジェネリック薬業界、主要企業44社の売上は前年比14%の3480億円
2009/01/13 17:40-MarkeZine

[要約&コメント]
ここ数年急激に業績を伸ばしているジェネリック薬企業の現状と開発戦略について調査を行った。特に業績が急伸しているのは、病院での採用が増えている売上100億円以上の大手ジェネリック薬企業で、13社合計で5年間で68%という驚異的な伸びを示している。
類似記事:ジェネリック医薬品の売上高は前年より14%増(ケアネット.com)

後発品の使用に控え目になっている薬局に対し、ジェネリック薬企業では業績が伸びているのが明らかになった。国の後押しなどもあり、今後も成長を続けていく事が考えられるが、その分新薬企業の製薬会社がどのような状態なのか比較するものがあれば面白いと感じた。

テルモ、女性向けの新しい健康機器ブランド
2009/01/12-ケアネット.com

[要約&コメント]
テルモ株式会社は、女性向け商品の新ブランド「PREMIAGE」(プレミアージュ)を立ち上げた。「PREMIAGE」は「PREMIUM+AGE」の造語で、「これからの人生をより一層いきいきと」という願いを込めたとのこと。女性ホルモン(エストロゲン)の減少による体の様々な変化に着目し、女性の閉経前後(45~55歳)から急増する高血圧など生活習慣病予防につながる商品を展開していくという。

女性は妊娠や閉経などによりホルモンバランスが変わるために、様々な疾患に対し気をつけなければならない。更年期障害で悩んでいる人、これから妊娠をする人など、何かしらの不安を抱えている人は多いのではないだろうか。そんな女性の不安を少しでも取り除くことのできる製品が開発されるといいのだが。

2009/01/24

Saya's 薬学ニュース vol.63-中国抗生物質の乱用で死亡者多/インフルエンザQ&A 正しいマスクの着け方は?

<Today's news>
1. 中国、抗生物質の乱用深刻 毎年8万人が死亡
2. マスクの正しい着け方は? 新型インフルQ&A

中国、抗生物質の乱用深刻 毎年8万人が死亡
2009年1月13日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
中国青年報によると、中国の医学専門家は医療施設で抗生物質の乱用により毎年約8万人が死亡し、約800億元(約1兆500億円)の医療費の浪費を招いていると指摘した。2005年に薬の副作用で死亡した患者約20万人のうち、40%は抗生物質の乱用が原因だという。医療水準の低さや投薬による利益獲得が理由として挙げられる。

マスクの正しい着け方は? 新型インフルQ&A
2009年1月13日-m3.com 提供:毎日新聞社

[要約&コメント]
質問内容:マスクの正しい着け方は?
回答:顔とのすき間なくし、1日1枚使い捨てで
インフルエンザのウイルスは直径0・08-0・12マイクロメートル(マイクロは100万分の1)で、市販のマスクの目(約5マイクロメートル)よりはるかに小さい。しかし、ウイルスは単独で空気中を漂わない。唾液(だえき)などと一緒に約5マイクロメートルの大きさの飛沫(ひまつ)となって、人から人に感染する。

今話題のインフルエンザ、ものばかり揃えてもいざ使いかたが分からなかったり、ということがないようマスクの付け方を紹介することとした。自分でできる予防法から徐々に始めてみよう。

2009/01/23

Saya's 薬学ニュース vol.62-糖尿病は脳機能を低下させる/喫煙は大腸がんのリスクも高めることが判明!/餅の丸のみが胃潰瘍の原因?!/花粉症対策「症状がでてから」が6割近く/医療崩壊-医師不足を切り口に-

<Today's news>
1. 糖尿病は脳機能を低下させる
2. 喫煙は大腸癌の罹患と死亡のリスクも高める
3. もち丸飲みで胃かいように
4. 花粉症対策「症状が出てから」が6割近く

おまけ. 医療崩壊 ~医師不足を切り口に~(2)

糖尿病は脳機能を低下させる
2009年1月9日-m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
厳格にコントロールされている場合でも、軽度糖尿病により精神機能が低下するという。糖尿病患者の反応時間と認知速度は共に正常であったが、新しい言語情報を迅速かつ正確に処理する必要のある課題については遅れがみられた。この障害は速度には影響するが、言語の流ちょう性には影響しなかった。

臨床的に重要ではないとしても、脳にも影響を与えることは確かである。視力、末梢神経、腎機能、脳、もはや全身に及ぶ影響は糖尿病の恐ろしさを表している。自覚症状がないのは幸いなのか、悪化に気づけない恐怖というべきなのか…少なくとも糖尿病の可能性があると言われた人は、全身の機能が低下してどうにもならなくなる前に、どうか治療を始めていただきたい。

喫煙は大腸癌の罹患と死亡のリスクも高める
2009. 1. 9-NMオンライン

[要約&コメント]
喫煙は、肺癌のほか、口腔、咽頭 喉頭、食道、胃、腎臓、膀胱、子宮頸部、膵臓などの癌のリスクを高めることが示されている。だが、大腸癌と喫煙の関係を調べた研究では、一貫した結果が得られていなかった。
1日の喫煙本数が10本増えるごとに、リスクは7.8%(5.7%-10.0%)上昇した。10pack-years増加当たりのリスク上昇は4.4%(1.7%-7.2%)だった。リスク上昇傾向が認められるのは約10年を経過した時点で、統計学的有意性が見られるのは30年後からだった。

喫煙者には耳が痛い話かもしれない。これを聞いてもやめる気になれない、やめられないのは本人にとってもつらい話なのだろう。しかし、私には同情はできない。強い意志をもってやめている人たちは少なからずいるからである。現在全体的に喫煙者は減少傾向にあるが、未だに男女とも30%前後の値を示しているのが現実である。

もち丸飲みで胃かいように
2009/01/13 22:15-キャリアブレイン

[要約&コメント]
「食物が異常な大きさのまま胃内に長期間滞留した場合、胃酸が出続けて出血性病変を生じる可能性がある」という。食べ物が長時間残っていたため、胃液が出続け、胃角部で接触性の粘膜障害を来し、胃かいようができてしまうケースが見つかった。このほか丸飲みしたシラタキや結びコンニャク、ギョーザ、大量の寒天などでも起こる可能性があるとのことなので、注意が必要である。

胃潰瘍らしきものを持っている自分にとっては興味深い記事だったので紹介した。これを見た限りでは、胃潰瘍の原因も様々だなぁ、と感じてしまう。コンニャクや寒天は健康食品としても販売されているので、薬局で購入する際は一言注意を呼び掛けるのも親切かもしれない。

花粉症対策「症状が出てから」が6割近く
2009/01/13 15:48-キャリアブレイン

[要約&コメント]
日本人の5、6人に1人が罹患し、「国民病」ともなっている花粉症について、花粉症を自覚している人の6割近くが、症状が出てから対策を始めていることが明らかとなった。
また、「花粉症状に対し、どのような薬で治療しているか」との問いには5056人が回答。「市販の目薬」が1471人(29.1%)で最も多く、次いで、「病院での処方薬」が1243人(24.6%)、「市販の内服薬」が819人(16.2%)、「市販の点鼻薬」が768人(15.2%)などだった。

日本にいたころは、1月頃から花粉症に控えて薬を服用していたことを覚えている。だいぶ楽になるのだが、この調査ではその有用性を多くの人は知っていないようだ。今年の花粉は例年よりも多いとのことなので、あらかじめ準備が必要なのと、投薬時に花粉症薬を服用している人のためにも、来年のアドバイスをしてあげると喜ばれるかもしれない。

おまけ...

医療崩壊 ~医師不足を切り口に~(2)
2009年1月10日-NBオンライン

[要約&コメント]
日本全国には約9000の病院がある。2006年、医療費削減により全国の病院の43パーセントが赤字であったという。医業収入よりも医業費用のほうがかかっているために、医業をやればやるほど赤字になるのが公立病院の今の現状なのである。
また、救急医療の性質上、患者の出入りは予想がつかないため、救急体制を充実させようとすれば、採算性の悪化は避けられない構造になっている。

医師不足は医療界では重要なトピックの一つである。公立病院も次々と経営難に追い込まれることももはや日常茶飯事である。なぜこんなことが起きているのか、分かりやすく説明されているので一読の意味はありそうだ。

2009/01/22

Saya's 薬学ニュース vol.61-糖尿病疑いありの半数は未治療のまま/ヒアルロン酸自己注射の危険性/インフルエンザ今後も増加の可能性高い/米国医療の真相はいかに(本紹介)

<Today's news>
1. 40歳以上の3割が糖尿病‐半数は未治療者
2. ヒアルロン酸 しわ取り、自己注射「ダメ」 ネット頼り個人で輸入、後遺症に悩む例も
3. 喘息患者へのアプローチ
4. インフルエンザ、流行指標の4.7倍に増加

おまけ. サブプライム化する米国の医療『米国医療崩壊の構図』 

40歳以上の3割が糖尿病‐半数は未治療者
2009年01月09日-薬事日報

[要約&コメント]
厚生労働省の2007年度「国民健康・栄養調査」で、糖尿病が疑われる人は予備軍も含め、前年度より340万人増え2210万人に達し、特に40歳以上では29.0%と、10人に3人は糖尿病が疑われことが明らかになった。糖尿病が強く疑われる人で、治療を受けている人の割合(55.7%)は10年前に比べ改善したが、指摘を受けた人の半数は治療を受けていないことが分かった。
神経障害が最も多く11.8%、次いで腎症11.1%、網膜症10.6%、足壊疽0.7%の割合。

糖尿病は自覚症状が薄い分、医師から指摘されても危機感を感じにくい。「自分は大丈夫だろう」という理由のない自信を持ちたがる。これは、患者の無知からくるものが大きいように思う。せっかく検査を受けて早期発見ができても、治療に取り掛からなければ症状は悪化する一方。知識がない中で自分流に食生活を変えるだけでは改善が非常に難しい。早めに対応すれば、急激な悪化は防げるし、目を失ったり足を失ったり、透析のために毎日病院に通う必要もない。患者への情報公開を薬局でも積極的にやっていけるのではないだろうか。

ヒアルロン酸 しわ取り、自己注射「ダメ」 ネット頼り個人で輸入、後遺症に悩む例も
2009年1月11日-m3.com 提供:毎日新聞社

[要約&コメント]
インターネットで購入したヒアルロン酸を、自分で顔などに注射する行為が広がっている。ヒアルロン酸は関節や真皮に含まれ、化粧品の保湿成分として使われる。美容クリニックなどでは、しわの下に注射して目立たなくさせる美容法が提供されている。
ある患者は、クリニックで使用していたものと同じメーカーのヒアルロン酸を、香港の輸入代行業者を通して購入を試みた。掲示板の体験談などを基に07年12月、自分のほおや目の下に注射したところ、2、3カ月後、注射した部分の一部が膨らみ、しこりになった。クリニックでヒアルロン酸を分解する注射を打ったがしこりはなくならず、皮下にひきつれが起きる「異物肉芽腫症」と診断された。完全に元に戻すことは難しく、女性は「すごく後悔している」と話す。

美容整形は女性の綺麗になりたい、若くありたいという本能を魅惑する天国のような存在なのだろう。しかし、治療費は高いし、期間はかかるしで、道を踏み外してしまう人も少なくはないようだ。美容整形での治療は専門知識を持っている医師による施術(少なくとも免許を持っている医師であれば)なので、安全性はある程度確保されるが、インターネットでの購入を「ダメ」というのは賛成である。頭ごなしに否定しているわけではなく、それは、あなたのためだからなのです。手を出す前に賛否両論きちんと把握し、危険性を知ることは重要です。

喘息患者へのアプローチ
2009年1月12日-週刊医学界新聞

[要約&コメント]
喘息の重症度を決めるフォーカスを絞った問診がKeyとなる。日中に発作はあるか,夜間寝ている間の発作はあるかなど細かな問診が患者の長期治療戦略に大きく関係してくることは見落としがちだ。そのほか,何が誘発因子だったのか,アレルゲンへの曝露,感染症の有無,ピークフロー,肺機能検査の有無,救急外来での治療,なども重要なポイントである。

〈急性期の治療の基本〉
基本はβ2刺激薬(ベネトリン®)吸入,そしてステロイド(経口/注射)の投与。その他抗コリン薬の使用も重要。テオフィリン製剤に関しては明確なエビデンスがなく、他の薬剤との相互作用や血中濃度を考えると使いづらい点もある。
〈慢性期の治療の基本〉
急性増悪の予防のための教育とコントローラーの組み立て。(重症度を見分けることがポイント)
          <ステップに応じた投薬内容の決定>

〈治療のステップの背景〉 治療の基本は吸入ステロイドである。これに長時間作用性β2刺激薬を組み合わせたり,モンテルカストなどのロイコトリエン拮抗薬を組み合わせたりしてコントロールを図る。長時間作用性β2刺激薬だけで治療することは避ける。
〈薬物療法以外で重要な治療 〉
環境改善:喫煙歴,ネコなどペットに対するアレルギー,ゴキブリの有無など

ちょっと長くなってしまったが、医師がどのような考え方で薬を処方しているのかがわかりやすく記載されていたので掲載した。患者さんへの服薬指導にも応用できそうだ。

インフルエンザ、流行指標の4.7倍に増加
2009/01/13 15:43-キャリアブレイン

[要約&コメント]
インフルエンザが増加しており、昨年の第51週には、全国的な流行開始の指標である定点当たり報告数「1.0」を大幅に上回る「4.68」に達し、今シーズン最高を更新したことが明らかになった。
シーズンの12月までに全国的な流行が始まった場合、流行のピークが翌年の1月末または2月初旬になっており、今後さらに増加する可能性が高いとし、より一層の注意を呼び掛けている。

毎日話題に上るインフルエンザのニュース。つきませんね。さらに増加が見込まれるというのは良いニュースではありませんが、引き続き注意を要するということで、掲載しました。

おまけ...本紹介「米国の医療」
サブプライム化する米国の医療『米国医療崩壊の構図』 
2009年1月9日-NBonline(日経ビジネス オンライン)

[要約&コメント]
本書は米国医療システムに関して論じるレジナ・ヘルツリンガー・ハーバード大学経営大学院教授の3冊目の翻訳書である。2部構成で、前半が現在の米国医療サービス市場の“診断書”、後半がその病根を治療する“処方箋”となっている。
診断書の要点はジャック・モーガンという腎臓疾患患者が、民間医療保険を持ちながらも移植が間に合わず亡くなった理由を、1つのケーススタディーとして追求し、医療保険会社、非営利大病院、雇用主企業、連邦政府とあらゆる種類の規制に関して意見する専門家集団のすべてに、応分の責任があることを解明していく。

海外の医療制度比較などを行っている身としては、とても興味深い内容で読んでみたいと自然に思ったのだが、皆さんはどうでしょうか。実際カナダでも、手術まで待たされ、待たされ。。。。挙句の果てに待てずに亡くなるというケースがあるのが事実です。症例としては似ているかもしれませんが、この2カ国で決定的に違うのは何なのか。皆さんは気になりませんか?

2009/01/21

Saya's 薬学ニュース vol.60-オバマさん本日大統領就任!/新年初のスイッチOTCは?/喘息コントロール改善に良好な組み合わせ薬剤/Aソ連型は93%でタミフルに耐性/卸の合併話/薬害肝炎患者援助に遅れ(熊本)

<Today's news>
1. 新年初のスイッチOTCは「鼻と皮膚のアレルギー」が標的
2. ホルモテロール+低用量ブデソニド併用療法により喘息コントロールが改善する可能性
3. 今シーズンのAソ連型タミフル耐性ウイルス、日本で93%に見つかる
4. 【メディ・パルHD/アルフレッサHD】合併計画を白紙撤回

おまけ. 深層・真相:ウイルス性肝炎 患者団体など、県の対応遅れを批判 /熊本

今日は記念すべき日です。
アメリカで初の黒人大統領が就任した日。世界各国で取り上げられていましたね。
オマバ大統領は、先進国の中で唯一国民皆保険の唯一ない国アメリカに、導入する意向も示されていたことから、人種だけでなく、医療に関しても注目が集まりそうな大統領になりそうです。

新年初のスイッチOTCは「鼻と皮膚のアレルギー」が標的
2009. 1. 6-日経DIオンライン

[要約&コメント]
抗アレルギー成分「エメダスチンフマル酸塩」(医療用医薬品の商品名:ダレン、レミカットほか)を配合したスイッチOTC薬「ロートアルガード抗アレルギーカプセル」が13日に発売された。適応は成人(15歳以上)のみで、1回1カプセルを1日2回、朝食後および就寝前に服用。医師や薬剤師に相談するまでの期間は、鼻炎の症状に用いる場合は1週間、皮膚の症状では3日間の服用で症状の改善が見られない場合で推奨している。
アレルギーによる鼻炎と皮膚症状のどちらにも効くOTC薬は、2006年11月に発売されたエーザイのスイッチOTC薬「ハイガード」(配合スイッチ成分名:塩酸アゼラスチン)に次ぐ2剤目。

レミカットには眠気はもちろんのこと、肝機能障害も副作用として該当するので、用法どおりの服用が重要である。医師にかかるまでの期間なども一緒に覚えておくと患者にとっても有益ではないだろうか。

ホルモテロール+低用量ブデソニド併用療法により喘息コントロールが改善する可能性
2009年1月8日-m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
低用量ICS療法で十分な効果が得られない場合、ICS+長時間作用型β2刺激薬(LABA)併用療法や高用量ICS単剤療法により、喘息コントロールが改善する」と示している。良好な喘息コントロールの達成に有用でないことが示されたが、喘息増悪の減少と喘息コントロール不良時間の短縮が認められた。
*低用量ICS療法
低用量吸入コルチコステロイド吸入(ICS)は喘息維持療法

ブデゾニドは処方薬商品名パルミコートで知られる吸入ステロイド剤、ホルモテロールは処方薬商品名:アトックで知られるβ2刺激薬である。ステロイドの増量以外に有効な方法が見出されたことは喜ばしいことである。吸入薬であることから、内服薬に比べれば副作用が少ないとはいっても、あくまでステロイド薬。極端な注意が必要である。β2には心臓を刺激する作用もあるので、心臓の状態にも注意を払って頂きたい。

今シーズンのAソ連型タミフル耐性ウイルス、日本で93%に見つかる
2009. 1. 8-NMオンライン

[要約&コメント]
今シーズンにおいて、Aソ連型タミフル耐性ウイルスが、日本で93%に見つかっていたことが分かった。(14検体中13検体)世界全体では33検体中30検体から耐性ウイルスが検出された。出現頻度は91%と高率だった。日本では現在、Aソ連型のほか、A香港型、B型のウイルスが検出されている。混合感染の様相を呈しており、どの型のウイルスが流行の主流となるかは明らかではない。引き続き、タミフル耐性ウイルスの出現を意識した診療が求められよう。

Saya's 薬学ニュース vol.58でもタミフル耐性ウイルスの話題を盛りだくさんで紹介したが、Aソ連型の耐性が特に多くみられるようだ。日本では耐性率が低いとはいっても、型によっては高い率で耐性が見られるので、今後も注意が必要である。

【メディ・パルHD/アルフレッサHD】合併計画を白紙撤回
2009年01月09日-薬事日報

[要約]
今年4月に合併を予定していた医薬品卸最大手のメディセオ・パルタックホールディングスと2位のアルフレッサホールディングスは1月9日、合併契約を白紙撤回すると発表した。売上高4兆円規模の医薬品卸が誕生することになっていた。と肩を落とす取締役も。「公取委から断られたのではなく、審査が長すぎて営業に関わるため」と、自主的な決断だったことを説明。
参考記事:医薬品卸メディセオとアルフレッサ、合併を白紙撤回(キャリアブレイン)同内容を紹介

おまけ...薬害肝炎

深層・真相:ウイルス性肝炎 患者団体など、県の対応遅れを批判 /熊本
2009年1月9日-m3.com 提供:毎日新聞社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
国内最大の感染症といわれ、早期発見・治療が必要なB型やC型などのウイルス性肝炎対策について県の取り組みが遅れている。県の肝炎対策の方向性を決める肝炎対策協議会が未設置が一番の理由のようだ。厚労省の05年度の報告書で、各都道府県に設置を求めてから、昨年12月時点で設置されていないのは全国47都道府県中、熊本を含む4県だけだという。国から補助を受けて住民や医療機関に情報を提供したり、相談を受け付けたりする拠点病院がないため、情報が十分に行き届いていない可能性がある。

もう08年度も後半なのですが…と突っ込みたくなるような話題である。問題がない中での対応の遅れは、議員が薬害肝炎の問題をそれほど重要視していないかのようにとれる。この数年間の間になくなってしまう方や、悪化してしまう人もいることを、理解してはいないのではないだろうか。被害者の想いを一度聞いたほうがいい薬になるのでは?厳しいことを書いているが、患者の想いを知らなければ政治の舵をとれない人に、どうやって県を動かしていけるだろうか、と疑問に感じてしまう。

2009/01/20

Saya's 薬学ニュース vol.59-「高齢者に処方すべきでない薬」を紹介/血栓治療の重要ポイントをおさらい/グレープフルーツとバイアグラを一緒に飲むと?/タミフル耐性をいち早く検出するには/今話題のワンコイン健康診断

<Today's news>
1. これが「高齢者に処方すべきでない薬」だ!
2. 血栓症治療の基礎「Virchowの3原則は今日も生きている」
3. グレープフルーツジュースでバイアグラの作用増強を試みた患者
4. タミフル耐性をいち早く検出するには

おまけ. ワンコインで健康診断 フリーターらに人気

古いニュースが多いですが、日経メディカルオンラインのニュースで去年もっとも注目された記事の中から、薬学形のものをピックアップしてみました。面白い内容が盛りだくさんです。

これが「高齢者に処方すべきでない薬」だ!
2008. 4. 12-NMオンライン(年間ランキング)

[要約&コメント]
米国で用いられている高齢患者の薬剤処方の基準「Beers Criteria」の日本版に相当するもの。高齢者において、疾患や病態に関係なく一般に使用を避けることが望ましい薬剤46種類と、特定の疾患・病態において使用を避けることが望ましい薬剤25項目がリストアップされている。このリストは、日本医師会雑誌4月号に掲載されたほか、国立保健医療科学院疫学部のWebサイト上でもPDFファイルとして公開されている。

 <高齢者において疾患・病態によらず一般に使用を避けることが望ましい薬剤>

リストでは、副作用などの投与時のリスクが効果を上回ると考えられ、ほかに安全と考えられる代替薬がある薬剤を中心に掲載。高齢者に使用した際の起こり得る問題と、その重篤度も併記されている。

これは、おそらくもともと医師向けに作られたものだろうが、薬剤師にとって必要な資料でもある。医師が知らずに投与している薬でも、副作用の状況から判断して医師に伝えることができるからだ。薬局の薬剤師がどこまでできるかは何とも難しい話であるが、気づきのきっかけを作ることのできる資料として、是非皆さんにも活用していただきたいと思う。

血栓症治療の基礎「Virchowの3原則は今日も生きている」
2008. 12. 19-NMオンライン(年間ランキング)

[要約&コメント]
血栓症を抑制するために抗血小板薬や抗凝固薬が用いられてきたが、治療を強化すると出血性障害が増加するというジレンマに悩まされてきた。血小板のみをターゲットとした治療戦略のあり方の限界があり、血栓形成の要因として、血流の変化、血液成分の変化、血管壁の性状変化の3つが重要であるという学説(Virchowの三原則(Virchow's triad))を紹介している。
詳細PDFファイル:血栓形成とその対応──抗血小板から抗血栓へ(PDF)

脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす血栓の形成を抑制する抗血小板薬は、確かに予防の観点からは重要であるが、血小板のみで考えても高い治療の効果は得られない。患者さんと一緒に治療に向き合っていく中で何が大切なのかを改めて考えさせられた記事であった。

グレープフルーツジュースでバイアグラの作用増強を試みた患者
2008. 12. 24-NMオンライン(年間ランキング)

[要約&コメント]
患者は、バイアグラが1回の受診に付き7回分しか処方されないことに不満を抱いていた。度々病院に通うのが面倒だったし、薬局でいちいち薬の説明を受けるのが嫌だったからだ。ある時、街の本屋で薬に関する本を立ち読みしていてGJが薬の作用を強めることを知った。患者はGJにより本剤の作用を増強できれば、1回当たりの飲む量を減らせて服用回数を多くすることができるのではないかと考えた。
バイアグラとGJとの相互作用に関する検討結果は一定していない(AUCには有意な変化はないがCmaxは42%増加するという報告、AUCが23%増加するが、Cmaxには変化は見られないとの報告もある)。しかし、シルデナフィルは主にCYP3A4により代謝されるため、GFとの併用は降圧薬同様危険であるのがわかる。さらに、シルデナフィルあるいはバルデナフィルは、エリスロマイシン(商品名:エリスロシンほか)やイトラコナゾール(商品名:イトリゾールほか)と併用すると、前者の血液中濃度が上昇することが知られている。

情報があふれているこの世の中で、このような安易で危険な情報が簡単に流れているというのは非常に悲しいことである。知識がないだけに、その有効性を経験しても危険性まで気づくことはできないのである。この事実は薬局の薬剤師が投薬中に不審に思い尋ねた結果わかったことである。日々の投薬が不適正使用を食い止める唯一の砦になり得るのでは、ということを考えさせられる。このようなうわさが広がるのは早い。自分の受け持ちの患者にシルデナフィルを服用している患者がいたらとりあえず注意が必要である。

タミフル耐性をいち早く検出するには
2008. 12. 30-NMオンライン

[要約&コメント]
タミフル耐性問題が大きな課題となっている中、タミフルの臨床効果が実際に低下しているのを、いかに早く検出するかが重要」と指摘する。その上で、解熱時間が1つの指標になりうる。    <発症からタミフルの初回内服までの時間別にみた解熱まで時間>

解熱時間は、30時間前後に集約していることから、タミフルの初回内服から30時間以上経っても解熱しない場合は、再度受診するよう促す必要がある。
2007年後半から今年3月の調査では、耐性株の出現頻度は世界全体で16%にのぼり、2008年4~10月の調査では39%に拡大していた。日本でも全体では2.6%だったものの、鳥取県で37%という高頻度で耐性株が検出されるなど、今シーズンは耐性ウイルスを強く意識した診療が求めらる状況となっている。

ニュースの量から見ても、タミフル耐性インフルエンザの内容はHotなものになっている。唯一の治療薬が使えなくなったら...?新型のインフルエンザが大流行したら?人々の不安は高まる一方である。ただし、一つだけ言えることは、これらのウィルスは風邪の菌同様うがいや手洗いなど基本的な予防策も十分効果がある。できることを徹底してやっていくことが大切ではないだろうか。

おまけ...健康診断
ワンコインで健康診断 フリーターらに人気
2009.1.9 07:54-産経新聞

[要約&コメント]
「ワンコイン健診」と呼ばれる気軽に受けられる健康診断が好評だ。低額なうえ、数分で結果が分かる手早さが魅力で、定期的に受けることが望ましい健康診断から遠ざかりがちなフリーターや自営業者に加え、職場の定期健診では物足りない会社員らの支持を得ている。
検査内容は、大きく分けて「血糖値」「総コレステロール」「中性脂肪」「身長、体重、骨密度、血圧など」の4つ。1回の検査は数分で各500円(ワンコイン)、セットでは1500円で受けることができる。セットの場合、血液を採取した後、身長や血圧などを測る間に全項目の結果が用紙に打ち出される。その間、わずか10分程度。
その他関連記事:5分で結果、500円健診 若者向けに初の出店 (m3.com)

ワンコイン健診の話は、もともと知人から聞いていた話ではあったが、実際にニュースに載っていたので掲載することに。健康診断は、自営業やフリーターの人にはどうも二の次三の次に考えられ、さらに自分は健康と思い込むことで病状の悪化に気付かず気づいた時には…ということがよくある。運営者も当時看護師としてそういう人たちを多く見てきたことから思いついたアイディアだという。早期発見が今後継続して実行できれば、医療費拡大の大きな抑制策となる。塵も積もれば…である。個人的に応援している活動なので、頑張ってもらいたい。

2009/01/18

Saya's 薬学ニュース vol.58-インフルエンザ-タミフル耐性株の出現/癌死亡者の増加と人口減少/レセプトオンライン請求サービスで不具合/禁煙成功者47.1%(和歌山)/外国人患者に言葉の壁

<Today's news>
1. タミフル耐性株を宮城と滋賀で初めて分離
2. 鳥取県でタミフル耐性株が突出して多い理由
3. 癌死亡が34万人超に‐人口は過去最大の減少
4. 社会保険診療報酬支払基金向けレセプトオンライン請求サービスで不具合

おまけ. 励まし合って乗り切ろう 第11期禁煙教室受講生募集 和歌山・田辺 、 外国人患者に言葉の壁 群馬県が通訳を派遣 「列島ライトアップ」

タミフル耐性株を宮城と滋賀で初めて分離
2009/01/09 21:56-キャリアブレイン

[要約]
タミフルが効かないインフルエンザウイルスの「耐性株」が今シーズン、既に宮城県と滋賀県で分離されていることが明らかになった。国立感染症研究所では「耐性株が徐々に各地域に広がっている」としている。タミフル耐性株は、遺伝子の突然変異でインフルエンザのH1N1型ウイルスを構成するタンパク質の一部が変質したもので、2007年に北欧で増加傾向が確認されて以来、世界的に増加している。
鳥取県でタミフル耐性株が突出して多い理由
2008. 12. 25-日経メディカルオンライン

[要約&コメント]
世界的に広がっているA/H1N1型インフルエンザウイルスの「タミフル耐性」。諸外国に比べれば日本はまだ耐性化率が低いが、調べてみると、なぜか鳥取県だけ突出してA/H1N1型に占めるタミフル耐性株の比率が高かったのだという。

       <日本国内におけるA/H1N1タミフル耐性株の検出状況>

世界中で最もタミフル(一般名:オセルタミビル)を消費している国の割に、耐性株の出現率が低いことが驚かれている。また、耐性はH1N1の流行規模に依存する傾向が強く、米国ではこの型のインフルエンザが流行する可能性が高く、タミフル耐性株の出現頻度も66.2%と既に高い状態です。

日本はタミフルに依存している傾向が強いので、耐性が高い割合で起こっていても不思議ではなかったが、以外にも低い値で驚いた。しかし、このまま依存し続ければ、耐性ができるのも時間の問題、ということを忘れてはいけない。

癌死亡が34万人超に‐人口は過去最大の減少
2009/01/08 -薬事日報

[要約&コメント]
厚生労働省が公表した「2008年人口動態統計の年間推計」では、癌による死亡者は前年より6532人増え、34万3000人と過去最高になった。癌が脳卒中を抜いて、日本人の死亡原因のトップになったのは1981年のことで、それ以来増加傾向が続いている。2位は心疾患で18万4000人(前年より8461人増)、3位は脳血管疾患で12万6000人(1041人減)と推計している。
死亡数が増加した主要因は、高齢化の進展によるもので、人口の減少は2年連続。出産期の女性人口は減っており、厚労省は「本格的な人口減少社会に突入した」と分析している。

この数字を見るとさすがに驚かされる。周りに癌と戦っている人達がいるが、他にもこんなに多くの人が命を落としていたとは。高齢社会の日本にとっては避けられない事実なのだろう。とはいっても、癌は早期に見つかれば治療の見込みがある病気である。定期健診などで計画的に身体検査を行うことをお勧めする。

社会保険診療報酬支払基金向けレセプトオンライン請求サービスで不具合
2009/01/08-ITpro

[要約&コメント]
NTT西日本が「フレッツ・光プレミアム」上で提供するレセプトオンライン請求サービスを介した請求で接続しにくい状態が続いているほか、一度接続しても途中で切れてしまい請求を完了できないケースがあるという。障害は前日7日14時29分に発生し、は1月9日朝9時から復旧したとのこと。

このレセプトオンライン請求サービスに関してはSaya's 薬学ニュース vol.5で昔紹介したこともある。サービスの不具合はどの会社でも起きることであるが、対応の遅れは禁物である。ただし、今回の問題は、回復の見込みが立っていないと書かれていながらも、1日半で復旧したとのことなので、まずまずでは?と思うのは私だけだろうか。しかし、重要なのは今回起こった不具合を二度起こさないような対策がすぐに練られるべきであるということである。
訴訟の動きが先か、それとも制度化が先か。この点も目が離せない。

おまけ...禁煙

励まし合って乗り切ろう 第11期禁煙教室受講生募集 和歌山・田辺
2009年1月7日-m3.com 提供:毎日新聞社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
田辺市健康増進課は、市民対象の第11期禁煙教室の受講生15人を募集している。過去の参加者の禁煙成功率は47.1%。同課は「励まし合って乗り切りましょう」と参加を呼びかけている。無料。
医師による禁煙外来の説明、管理栄養士による禁煙継続のコツの紹介、禁煙した人との交流会があり、最終日の「卒煙式」のあと、禁煙して気付いたことなど参加者の意見交換を行う。

一般的な禁煙成功率の割合は十数%ということを聞いたことがある。これに比べればはるかに高い値なのではないだろうか。禁煙には同志の存在が重要であることがわかる。一人ではなかなか難しいのであろう。禁煙者の割合を減らす事で、肺がんなどのリスクを減らすことができ、市民の健康を維持していくには非常に意味のある取組なのでは、と感心した記事である。

外国人患者に言葉の壁 群馬県が通訳を派遣 「列島ライトアップ」
2009年1月8日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
在日外国人が215万人を突破し(2007年末現在)、定住化が進む中、医療現場で言葉の壁が問題となるケースが増加している。通訳を、外国人患者が連れてくる家族や友人に頼る場合が多く、正確かどうか分からないのが現状だ。群馬県は06年度から医療通訳者の派遣制度を実施しているが、ボランティアのため本来の仕事との調整が困難などの課題もあり、国に制度化を求める声が出ている。
▽専門用語に悪戦苦闘:普段使わない用語のため、一般会話が話せても医療現場では通用しない場合もある。正確な情報を伝えるためには欠かせない内容である。
▽国が制度化を:NPOによる活動のため、必要な時に人員を確保できない場合があり、運営が厳しい状態にあるのが現状。
などの問題を提示している。

この問題点は、自分も薬局の中で改善していきたい課題でもある。薬局の場合は、疾患など幅広く取り扱うため、一見広い知識や語彙が必要に感じられるが、第一段階の薬の説明に絞ってしまえば勉強範囲は限られてくる。また、薬袋や薬の説明書など、あらかじめフォーマットを作っておけば、最悪印刷して手渡すことでも大いに有効活用してもらえる。ただし病院の場合は、細かい症状を伝える、などさらに内容が複雑になるので難しいのは確かである。
外国人が日本で増えていることは確実であるし、これから増えていくことも分かっているはずである。国に制度化を願う気持ちは自然なことなのではないだろうか。

2009/01/17

Saya's 薬学ニュース vol.57-便秘で困る友人にベイスンを譲渡/「安全な薬の」落とし穴/海外のフィジシャンアシスタンって?

<Today's news>
1. ベイスン錠を「便秘にいい」と友人に渡した患者
2. 「安全な薬」の落とし穴
おまけ. フィジシャン・アシスタントって何?

ベイスン錠を「便秘にいい」と友人に渡した患者
2008. 11. 26-日経メディカルオンライン

[要約&コメント]
患者Aはベイスン錠(一般名:ボグリボース)を、同じ薬局で投薬を受けている友人B(高血圧で降圧剤を処方されている)に分け与え、Bがそれを服用していることが明らかとなった。Aは「私が今飲んでいるベイスンという薬は便も軟らかくなって、おならもよく出るし、あなたの症状にちょうどいいわ」と話したという。
発覚後処方医に問い合わせたところ、「特に問題なければ、処方された薬をきちんと服用するように、またベイスンの服用は中止させ、今後も一切譲り受けないよう指導してもらいたい」とのコメントを得た。

薬剤師から見れば、恐ろしいことをしてくれるものだ、という印象を受けるだろうが、患者にとってはどの薬がどんな内容の薬なのか、自分の薬でなければ尚更分からないものである。この患者にとっての常識を忘れてはいけない。それを知った上で、(他の人には譲渡しないだろう、と勝手に決め付けず)行うべき投薬について考える必要があるのではないだろうか。それにしても、何の健康被害も出ずよかった、というべきであろうか。

「安全な薬」の落とし穴
2009. 1. 8-日経メディカルオンライン

[要約&コメント]
2008年9月19日に厚労省から酸化マグネシウム*の添付文書の改訂が行われ、世間をにぎわせたのを覚えているだろうか。その記事に関して少し詳しく載っていたので紹介する。
製造・販売会社の推計によると、現在の酸化マグネシウムの処方せんの延べ発行枚数は年間おおよそ4500万枚に上る。約60年間にわたって使われてきた薬でもある。
*酸化マグネシウム
腸内の浸透圧を高めて体内から水分を引き出し、便を出しやすくする。その過程でマグネシウムイオンが体内に取り込まれるので、腎機能が低下していれば、電解質異常は起こり得る。

酸化マグネシウムの添付文書改訂に関しては、以前他の日にニュースで取り上げたが、薬剤師にとっては一種の衝撃だったのでは?副作用のない薬はない。酸化マグネシウムであっても他の薬であっても、何かしらの副作用が起こることを知らせておくことは大切である。

おまけ...海外の医療スタッフ

フィジシャン・アシスタントって何?
2008. 12. 22-日経メディカルオンライン

[要約&コメント]
physician assistant(PA)やnursepractitioner(NP)は、日本では医師にしか認められていないレベルの医療行為が行える米国のコメディカル資格である。医師不足解消の方策として、現在、日本でもにわかに注目が集まっているが、その実態については医療関係者にもまだよく知られていないようだ。
PAは、医師の監督の下に医療行為を行うことができる資格で、医師が行う医療行為の8割方をカバーするといわれている。専門学校で24~32カ月間のカリキュラムを履修して、国家試験を経て資格を得た後に州免許を取得する。英国にもPAの制度があるほか、カナダやオーストラリアなどでも実現しつつあるという。
PAはベトナム戦争から帰ってきた衛生兵を再教育したのがその起源とのことだ。

皆さんはこの資格についてご存知でしたでしょうか。私はカナダに在住しているにもかかわらず知りませんでした。アメリカなどが主流のようですね。戦争の衛生兵を再教育したことが起源、というのも納得です。今の日本の医師不足にも、もしかしたらうまく利用できるかも知れない、と思いませんか?

2009/01/16

Saya's 薬学ニュース vol.56-水虫の薬OTCで新発売/新型インフルエンザに対する対応×3で盛りだくさん!/海外で健康保険は使えるのか?

<Today's news>
1. 小林製薬、ジュクジュク水虫を乾燥させて治す水虫薬「タムチンキ パウダースプレー Z」を発売
2. 流入防止から現実路線へ 医療見直し、早期休校も 地方の動きや被害想定課題 「新型インフル、変わる行動計画」
3. 子どもら集団下校訓練 企業の姿勢にも変化 「新型インフル、変わる行動計画」
4. せきエチケットや手洗いを 日ごろからできる対策 「新型インフル、変わる行動計画」

おまけ.
海外で健康保険は使えるか 「経済ウイークリー」〈マネードクター〉


小林製薬、ジュクジュク水虫を乾燥させて治す水虫薬「タムチンキ パウダースプレー Z」を発売
2009年01月08日-マイライフ手帳@ニュース

[要約&コメント]
殺真菌成分ブテナフィン塩酸塩配合の「タムチンキ パウダースプレー Z」(70g、120g)にリニューアルして発売を開始した。同社生活者調査によると、水虫罹患者のうち35%の人がジュクジュクしたタイプの水虫に悩まされていることがわかり、さらにそのジュクジュク水虫罹患者で1年以内に水虫薬を使用した人の95%が、ジュクジュク水虫の病状を「不快」と答えているという。

[小売価格]
70g:2940円
120g:3990円(すべて税込)
小林製薬=http://www.kobayashi.co.jp/

塩酸ブテナフィンといえば、医療医薬品ではメンタックスに当たる。しかし、医療用に比べれば1/5の量しか含まれていないことに注意が必要である。

流入防止から現実路線へ 医療見直し、早期休校も 地方の動きや被害想定課題 「新型インフル、変わる行動計画」
2009年1月8日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約]
新行動計画とそれに基づく指針の特徴は、基本方針の転換だ。従来は新型インフルエンザ*の「流入防止」や「初期封じ込め」に対策が偏っていたが、改定版は、国内流入は避けられないとの「現実路線」に立ち、目的を「感染拡大を可能な限り抑制し、健康被害を最小限に」することと「社会・経済を破たんさせない」の2つに明確化。全国一律でなく、地域の実情に応じた対策を取れる仕組みも取り入れた。
-発生早期:患者を感染症指定医療機関だけに入院させて隔離
-まん延期:全医療機関が対応(入院は重症患者に限り、軽症者は自宅療養)
-患者発生時:全校休校(都道府県ごと)
現行の想定は、人口の25%の約3200万人が発症し、医療機関受診者は最大約2500万人、死者は同約64万人であるが、コンピューターでシミュレーションしたところ、国の想定の2倍ほどの52%の結果を得ていることから、被害は大きくなる可能性もあるとの事。

*新型インフルエンザ (補足)
新型インフルエンザ 鳥などのインフルエンザウイルスが人に感染しやすいよう性質を変えて発生する。誰も免疫がないため世界的に大流行する。20世紀は1918年発生のスペイン風邪(約4000万人が死亡)をはじめ10-40年間隔で計3回の大流行があった。68年発生の香港風邪から既に40年が経過し「次がいつ発生しても不思議でない」とされる。

子どもら集団下校訓練 企業の姿勢にも変化 「新型インフル、変わる行動計画」
2009年1月8日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
東京都荒川区立ひぐらし小学校(伊藤英夫(いとう・ひでお)校長)は、全校児童がマスクをして集団下校する新型インフルエンザの対策訓練を実施した。学校は感染症対策を進める上で重要な現場だが、こうした訓練はまだ全国的にも珍しい。
対応の遅れが指摘されていた企業にも姿勢の変化が出ている。

せきエチケットや手洗いを 日ごろからできる対策 「新型インフル、変わる行動計画」
2009年1月8日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
専門家が語る予防法を紹介する。
・予防の基本は手洗いうがい
-インフルエンザは感染者のせきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むほか、手などに付着したウイルスが口や鼻、目から体内に入って感染する。予防には感染者に近づかない、人込みを避けるなどのほか小まめな手洗いも有効。<15秒以上かけた手洗いと清潔なタオルの使用が重要>
・咳エチケット
-せきやくしゃみが出るときは他人にうつさないようマスクを着用。マスクがない場合は他の人から顔をそむけ1メートル以上離れる。
・非常食準備
-長期保存が可能な食料や日用品、医薬品(2週間分)、マスク(20-25枚/1人)を準備し、備蓄して負うこと。

今回はインフルエンザ情報を3つ並べて紹介した。新型インフルエンザに対する対策も、本格的にさらに深刻になってきている。専門家の中ではやっと、という声もあるが、遅かれ早かれ今の時点でこのように情報が発信されているのはありがたいことである。タミフルの問題も含め、詰め切れてない部分へのさらなる早急な対応を願っている。

おまけ...

海外で健康保険は使えるか 「経済ウイークリー」〈マネードクター〉
2009年1月7日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
質問内容:Q 海外旅行で健康保険は使えますか? 妻は国民健康保険です。

A 健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証を海外で使用することはできませんが、両保険とも海外の医療機関で病気やけがの治療を受けた場合は、いったん現地で全額を払い、帰国後に申請すれば事後に保険給付を受けられます。診療行為の対象範囲は日本で治療を受けた場合と同じです。一般的な海外旅行傷害保険でカバーされない既往症のある慢性疾患や歯科治療も対象ですので心配ありません。
用心のため、所定用紙を旅行に持参し、もし診療を受けたら、医師にその「診療内容明細書」「領収明細書」に記入を依頼。領収書をもらって帰国するか、あるいは帰国後所定用紙を送付して記入してもらいましょう。申請は、所定用紙と領収書をそろえ、健康保険組合(旧政府管掌保険の場合は健康保険協会)、国民健康保険の場合には市区町村の窓口へ。

日本の保険が使えるなんて、私は知りませんでした。(海外で生活しているくせに…)衝撃を受けたのでご紹介しました。ただし、日本の医療行為を基準に金額を設定しているようですので、その点は記事を確認するか、問い合わせをしてみてください。海外に旅行される方など、所定用紙をあらかじめGetして詳細を問い合わせておくとよいかもしれませんね。

2009/01/13

Saya's 薬学ニュース vol.55-厚労省副作用の分析を強化する旨を発表/後発品推進のため、6.1億円を予算にプラス/ネット販売の議論未だに続く/鳥インフルエンザで死亡-中国

<Today's news>
1. 薬副作用、分析を強化 来年度から、担当者を100人増員 厚労省方針
2. 後発医薬品関連は9.2億円‐「カード」配布などを実施
3. 薬の通販 規制で火花

おまけ. 鳥インフルエンザで死亡 北京の19歳女性

薬副作用、分析を強化 来年度から、担当者を100人増員 厚労省方針
2009年1月8日-m3.com 提供:毎日新聞社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
厚生労働省は来年度、発売された医薬品の副作用の原因を分析し、安全対策を検討する体制を強化する方針を固めた。担当者を約100人増やして現行の2倍以上とし、迅速な安全情報の提供や副作用の原因解明を目指す。最近、抗がん剤や関節リウマチなどで効き目の高い薬が登場する一方、重い副作用を伴うケースも増えているが、監視と分析の体制は欧米に比べ手薄になっていた。
現在、1日当たり約130件の副作用情報が寄せられているが、処理されているのは死亡例や特に重い副作用のある同約40件にとどまる。また、対応の遅れで被害が拡大した薬害肝炎の問題を重視した。

薬害肝炎の問題は、私が学生の時から徐々に活動が始まり、決着がつくまで長い年月がかかった。始めは支援する会の会員として活動に参加していたが、徐々に参加する時間がなくなり、最後はML(メーリングリスト)のみでの参加になってしまった。すべての結果が良い方向に向き、活動した人たちの思いがかなったことがうれしかったことを覚えている。
処理件数が130件に対して40件...処理されていないものが公表されずに苦しむ人の姿を想像しただけでも恐ろしい。これも従業員不足だったというのだろうか。

後発医薬品関連は9.2億円‐「カード」配布などを実施
2009年01月07日- 薬事日報

[要約&コメント]
厚生労働省の2009年度予算案で、後発品の使用促進関連費用が9・2億円に上ることが分かった。昨年12月20日の財務省原案内示では、9・2億円だったものの、同日の厚労省当初内示には、後発品使用を希望する患者の意思表示を容易にする「後発医薬品お願いカード」の配布に対する補助金約6・1億円が盛り込まれていなかったため、3・1億円と公表されていた。
厚労省医政局の「後発品の使用促進」は、前年度の4483万円を大幅に上回る1億1500万円となった。

後発品の使用促進は、この数字を見ると大きく前進したように見られる。保険者がすべての被保険者に「カード」を配布する方針は、どのような効果を得られるか。患者の多くが後発医薬品での処方や調剤を希望しているというアンケートから見れば、これも大きな前進につながるように感じる。認知度はすでに高くなっているので、これをどのように実行に移すかである。


薬の通販 規制で火花
2009年1月8日-m3.com 提供:読売新聞 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
今年6月の改正薬事法施行に伴い、厚生労働省は近く省令を改正し、市販薬のインターネット販売やカタログ販売は一部を除き禁止する。店舗での対面販売による安全な薬の提供を目指し法律を改正した。これに対し、ネット業界など関係者や内閣府の規制改革会議は反発、利便性と安全性をめぐり、対立を深めている。
鎮静剤で自殺図った男性のニュースでは、思い立ってから実行まで、わずか5日間。命は取り留めたが重い障害を負った男性は「びっくりするほど簡単に手に入ったから、あまり深く考えずにのんでしまった。後悔している」と話しているという。

Saya's 薬学ニュース vol.48の記事でも紹介したように、厚労省の思い通りに決定が下されたネット通販の件。未だに様々な人が意見をぶつけ合っているとの事だ。ネット販売の議論では、最後のほうで鎮静剤で自殺を図った男性のニュースが大きく取り上げられたが、今回初めて男性の生の声を聞いた。あまり深く考えずに薬を大量服用するということが本当に起きるのだろうか。TVや本の影響が大きいのかもしれない。ネット販売反対に関しては、今まで野放しにされていた内容をしっかりと規制していくという点から考えると妥当であるが、規制を行うだけで利便性を失う人たちに対する対応が語られないのが私としては気になる。何度も話している内容だが、誰か気づいてくれないものだろうか。

おまけ...鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザで死亡 北京の19歳女性
2009年1月7日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
北京市衛生局は6日、市内に住む女性(19)が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染し、5日朝に死亡したと発表した。女性は昨年12月24日に発病し、症状が重くなったため同月27日に入院した。新華社電によると、女性は福建省出身で同月19日、同郷の友人2人と河北省の市場に行き、アヒルを9羽買った。
中国では、07年末から08年初めにかけても、江蘇省や湖南省などで鳥インフルエンザ感染による死者が出た。中国では鳥インフルエンザの感染者は計31人、死者は計21人となった。

鳥インフルエンザの影響がいまも続いている。感染者に対する死者の割合も2/3。これは少ないとは言えない数字である。ワクチンなどがない分、感染したら怖い病気であることは間違いない。とにかく鳥との接触をなるべく避けるということしかないのではないだろうか。

2009/01/12

Saya's 薬学ニュース vol.54-タミフルをめぐる議論/がんのリスクを下げる食品/栄養剤誤投与で死亡/厚労省が考える後発品普及策/若者への啓発活動-献血

2009/01/06 00:00-共同通信社

[要約&コメント]
タミフル*の10代への使用中止による大きな問題は、通常のインフルエンザ治療では今のところ明らかになっていない。しかしこの薬は、発生が懸念されている新型インフルエンザ対策の大きな柱で、国や都道府県が備蓄を進めている。このため専門家からは「安全性について早く結論を出さないと、新型発生時に現場が混乱する恐れがある」との声が出ている。

現場では、「新型で死に至る危険があるなら、10代でもタミフルを積極的に使う」と話すが「何となくうやむやなまま使用差し控えの状態が続くと、安心して対策が進められない」という指摘もある。
*タミフル
商品名:タミフル 
一般名:リン酸オセルタミビル
インフルエンザウイルスが感染細胞から体内に広がるのを抑制する働きがある。国内販売開始は2001年2月。服用後の飛び降りなど異常行動の報告が相次ぎ、厚生労働省が07年3月、10代への使用を原則中止し、服用と異常行動の因果関係について調査を始めた。新型インフルエンザに対する効果も期待されるとして、国と都道府県が計2400万人分を備蓄、さらに増やす計画。

タミフルの危険性は去年あたりから頻繁に議論が重ねられるようになったが、未だにきちんとした答えは得られていない。確かに、対策として備蓄が進められているが、使うかどうかの時に迷っていては備蓄している意味がない。かといって、タミフルの使用がダメ、となった場合、新型インフルエンザには何で対応するというのだろうか。それを考えると回答次第では大きな壁が待ち受けているようにも思う。一刻も早い結論の導きが必要である。

2009年1月6日-m3.com 提供:毎日新聞社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
緑茶は、とくに女性で胃がんのリスクを下げるというデータが出ています。緑茶は、進行した前立腺がんを抑える可能性もありますが、大腸がん、子宮体がん、膵臓(すいぞう)がんでは効果はないようです。
一方、コーヒーは男性の膵臓がんのリスクを下げる可能性があります。さらに、肝がんでは、コーヒーをほぼ毎日飲む人は、男女ともリスクが約半分に減少したというデータもあります。
野菜は少量の摂取でも、胃がんのリスクを下げるようです。ただ、多く食べても、大きくリスクが下がるわけではないようです。肺がんや大腸がんでは、野菜・果物の摂取とあまり関係はないようです。

コーヒーの場合は、逆にガンの発生助ける場合もあるということを、何かの本で読んだことがある。そう考えると、一体どの情報を頼りにすればよいのか困ってしまうが、食品の場合は、これを摂れば絶対に大丈夫ということはなく、なんでも摂りすぎはよくなく、いろんな種類のものをバランスよく摂ることが最も効果的であるということ。頭で分かっていても難しい内容であるが…

2009年1月6日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
大阪府茨木市の「友紘会総合病院」で2日、女性の准看護師(45)が寝たきりの男性患者に誤って栄養剤を点滴で投与し、患者が間もなく死亡していたことが5日、分かった。栄養剤を胃に直接注入するためのチューブに装着する際、左腕につながった点滴用の補助具に誤ってつないだ。

誤投与した准看護師はこの日午前9時から勤務。「忙しくて間違ってしまった」と話しているという。担当するフロアには患者約50人がいたが、看護師2人とヘルパーで対応していた。
忙しさからの注意欠落...これが人を死に追いやることになるとは...薬局でも忙しさによる調剤ミスは多い。しかし、忙しかったから、ということはとても被害者の遺族には説明がつかないであろう。人手不足の問題がこのような被害を生んでしまうしまうことはとても切ない。人手を増やすことはとても大変なので、せめて人手不足でもミスを減らせるようなシステムづくりが必要である。

2009年01月06日-USFL.COM - New York,NY,USA

[要約&コメント]
小売り大手の値引きやメーカー間の価格競争などを受け、ジェネリック(後発コピー)処方薬の価格が低下していることが、医療情報IMSヘルスの調べで分かった。
ジェネリック薬の国内(米)処方件数は2008年9月までの1年間に前年比で5.4%増加した一方、売上高は2.7%減少した。価格競争は、骨粗しょう症治療薬やコレステロール抑制剤など非常に人気が高いブランド商品が出た分野で特に激しいとのこと。

アメリカでは、すでにジェネリック普及割合が50%以上もあるというのに、さらに去年に比べて5.4%も増加しているという。日本の普及率とはもはや比較にならない。ジェネリックの価格が下がることに関しては、包括医療を行っている米国の医療機関にとってはうれしい悲鳴ではないだろうか。

2008/12/31 14:35-キャリアブレイン

[要約&コメント]
若年層の献血離れが懸念される中、日赤や厚生労働省、都道府県などは、1月1日から2月28日までの2か月間、「はたちの献血キャンペーン」を行う。キャンペーンキャラクターは楽天イーグルスの田中将大投手(20)。日赤などは、「I can! 人は献血で人を救える。」をキャッチフレーズに、献血への理解と協力を訴えている。
全国の16-29歳の献血未経験者5000人に対して行った「若年層献血意識調査」では、過半数の54.1%が献血に「関心がない」と回答。

若い人たちの関心はここまで低かったのか…自分も血液検査嫌いでなかなか献血には出向けなかったが、帰国したら一度行ってみようと思う。少しでも、何か気付きがあれば人は動く。その気付きを与えられるかどうかが大きな課題になるであろう。若者にとって献血がどのようなものになれば積極的に受けるようになるか...若者にとってエイズに対する恐怖は少なからずあるが、エイズに感染している可能性があるという認識が薄い。献血とエイズの啓もう活動を一緒に行っていったらどうだろうか?

2009/01/10

Saya's 薬学ニュース vol.53-避妊用ピルが環境を汚染?!/緑内障の新発売/医薬品・医療機器等安全性情報12月/全国初禁煙条例?!/BMIも測れるトイレ

2009年01月05日 17:05-AFPBB News

[要約&コメント]
ローマ法王庁が発行する日刊紙に3日、「経口避妊薬は環境を汚染し、男性不妊の原因ともなっている」との見解を示した報告書が掲載された。、「ここ数年で、経口避妊薬を服用した女性の尿を通じて、数10トンものホルモンが自然界に放出され、環境に壊滅的なダメージを与えている」と警告。
しかし、ある避妊薬の研究機関は、「経口避妊薬として服用し体内に取り込まれたホルモンは、再び女性ホルモンの特性を持つことはない」、イタリア薬理学協会も、「ピル(経口避妊薬)に含まれるエストロゲンなどのホルモンは、プラスチックや消毒剤、食肉など、身の回りのあらゆる所に存在するものだ」との見解を示している。

タイトルを見て、驚きも交えながら記事を見に来てみたが、どうやら避妊用ピルが環境を汚染している、というのは過大表現である可能性もある。妊娠中絶に反対する教会として、皆にピルの悪いイメージを伝えたかったのか、それともそのエビデンスを示す研究結果が出たのか。この記事からは確かな情報はつかめなかった。

2008/12/16-参天製薬(株)

[要約&コメント]
商品の説明+副作用なども載せておきます。同系の点眼薬は第一もしくは第二選択薬として頻繁に処方されるようになっているので、確認が必要でしょう。
商品名:タプロス点眼液0 .0 0 1 5%
一般名:タフルプロスト(プロスタグランジンF2α誘導体)
薬効:ブドウ膜強膜流出路からの房水流出量増加
剤形:点眼薬2 . 5 m L
副作用:目の充血、まれに角膜障害、虹彩色素沈着

12月版-厚生労働省

[要約&コメント]
使用上の注意の改訂について(その202)
塩酸アマンタジン:本剤の投与を急に中止した場合,パーキンソン症状の悪化,悪性症候群,カタトニー(緊張病),錯乱,失見当識,精神状態の悪化,せん妄があらわれることがあるので,本剤の投与を中止する場合には,徐々に減量すること。
エベロリムス:心嚢液貯留:心嚢液貯留があらわれることがあるので,使用に際しては心電図,心エコー,胸部X線検査を行うなど,患者の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
シクロスポリン(経口剤,注射剤):血圧上昇があらわれることがあり,可逆性後白質脳症症候群,高血圧性脳症に至ることがあるので,定期的に血圧測定を行い,血圧上昇があらわれた場合には,降圧剤治療を行うなど適切な処置を行うこと。可逆性後白質脳症症候群,高血圧性脳症等の中枢神経系障害があらわれることがあるため、本剤を減量又は中止し,血圧のコントロール,抗痙攣薬の投与等適切な処置を行うこと。
本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。

薬の知識のアップデートにご利用ください。詳細は、各ページに飛んで確認してください。

2009年1月6日-m3.com 提供:共同通信社

[要約&コメント]
神奈川県の松沢成文(まつざわ・しげふみ)知事が2月県議会で成立を目指している全国初の禁煙条例。知事は当初、全面禁煙の方針だったが、反発を受け一部分煙の容認や猶予の対象拡大など"妥協"を重ねている。だが飲食などの業界や県議会の反対は依然根強く、成立には暗雲が垂れ込めている。県議会は経済情勢の悪化などを理由に挙げ「2月議会は予算案審議が最優先」「パチンコ店や飲食店の経営悪化につながりかねない」と慎重姿勢を崩していない。

全国初にこだわる知事。以前Saya's 薬学ニュース vol.33でタバコのアンケート結果を紹介したが、タバコで不快な思いをしている人は70%近い数字を出していた。タバコによる害はこれほどまでに明らかになっているのに、経済的な理由によりそれが阻められている。今年の1月から、カナダのアルバータ州でも、ついに薬局でのたばこの販売が中止された。これは2年近く前から議論されていた内容との事だ。日本でもこの程度かかってしまうのだろうか。

おまけ...
2008年12月25日-日経トレンディネット

[要約&コメント]
健康チェックシステムを搭載した住宅用トイレ「インテリジェンストイレ II」が発売された。2005年4月発売の初代は「尿糖値」「血圧」「体脂肪」「体重」の測定機能を搭載していたが、「インテリジェンストイレ II」では新たに、「尿温度」の測定機能を追加。「体脂肪」については「BMI値」(肥満度を表す体格指数)を表示するようにした。 「尿温度」測定は、深部体温の指標になり、測定を習慣化すれば女性特有のホルモンバランスを確認して、月経の時期、排卵日を予測できるという。「BMI値」測定は、子どもから大人までの肥満やメタボリックシンドロームの予防・健康管理につながる。

こんなトイレがあったのか!!とびっくりした記事。BMIはメタボリックが騒がれている今最も気になる値なのではないだろうか。でも、これおいくら?

2009/01/08

Saya's 薬学ニュース vol.52-薬剤師に対する認識変革を/花粉症に新たな目薬誕生/レセプトオンライン請求義務化にストップか

<Today's news>
1. 薬剤師に対する認識変革を
2. 花粉症対策の新しい目薬を発売-ロート製薬

おまけ. レセプトオンライン請求義務化の撤回求め、国を訴える

薬剤師に対する認識変革を-08年回顧と09年の展望(4) 薬剤師認定制度認証機構・内山充代表理事
2009/01/04 10:00-キャリアブレイン

[要約&コメント]
積極的に業務分野の拡大を、とメッセージを残しているのは、薬剤師認定制度認証機構・内山充代表理事である。新しく求められる薬剤部の業務に対し、個々の薬剤師が人ごととせず、自分の問題と思って意識的に行動していく必要がある。「患者の安全を守るため」「よりよい医療にするため」といった大義名分が立つならば、薬剤師の業務や実務行為の範囲を広げることに積極的になってほしい。

彼の述べている内容は、非常に共感できるものである。自分が日々考えていることを、言葉にしてくれているような気がした。自ら積極的になるために、日々の勉強は必要である。と生涯教育の重要性に関してもしっかり述べられているが…
認定薬剤師教育の受講に関し、否定的な意見も見られるが、私は、資格取得のためというよりも、むしろ日々の知識補充のために活用している。大学で学んだ事はほとんどが風化してしまっていて、取り戻す方法を考えていた時に出会った。やはり、患者さんの健康を全体的にみるためには、薬の知識だけでなく制度の問題や疾病、栄養面まで知識を深める必要がある。カナダの知り合いの自然療法医師に言われたことは、薬剤師は薬だけでなく、もっと病態生理の部分まで掘り下げて勉強したほうがよい。そうすれば、生活習慣の指導などおのずとヒントが得られる、との事だ。日々の忙しい業務でなかなか難しいのは重々承知しているが、それで何もやらなければ、信頼される薬剤師にもいつまでたっても成り得ないのであないだろうか。
記事に載っていた言葉が、印象的だったので最後に載せておきたい。
「スキナー・ボックス」で有名な米国の行動心理学者、バラス・フレデリック・スキナーは、「学んだことがすべて忘れられた時に残る『何か』が教育(成果)である」という言葉を残しています。

花粉症対策の新しい目薬を発売-ロート製薬
2009/01/05 18:23-キャリアブレイン

[要約&コメント]
アレルギー用の目薬に炎症を鎮める成分「プラノプロフェン」を日本で初めて配合したという「金のアルガード」と、アレルギーの発生を原因から抑える抗アレルギー成分を配合した「銀のアルガード」3品、全4品を開発し、1月13日から全国の薬局・薬店で発売する。
炎症を鎮める作用を持つ「プラノプロフェン」を配合した。従来の一般用のアレルギー目薬は、主に抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤が配合されており、これに「プラノプロフェン」を加えたことで、「複合処方」が止まらないアレルギー症状に効果を発揮するという。「銀のアルガード」の3つの商品名は、「ロートアルガード・抗アレルギーカプセル」「ロートアルガード・ST点眼薬」「ロートアルガード・ST鼻炎スプレー」。 詳細は、ロート製薬のホームページ(http://www.rohto.co.jp/)参照。

冬が終わりに近づくと、うれしくなる半面、花粉症の人たちにとっては地獄の季節の始まり?なのでは?「プラノプロフェン」が初めて配合ということになれば、新たな効果を期待して使う人も出てくるかもしれない。「プラノプロフェン」といえば、先発薬ではニフランやプロラノンが聞きなれた名前なのではないだろうか。このOTC薬の含量記載がないので比較はできないが、副作用としては、これらの薬を例に説明するのがよいのではないだろうか。

おまけ...レセプト請求

レセプトオンライン請求義務化の撤回求め、国を訴える
2008年12月29日-m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
「レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟」の原告団結成総会が2008年12月26日、神奈川県保険医協会で開催された。 この訴訟は、2011年度から原則義務化されるレセプトのオンライン請求の撤回を求めて、国を相手に行う。提訴は、2009年1月21日を予定しており、横浜地裁で行う。
今回の訴訟は、オンライン請求そのものを否定するのではなく、義務化を問題視したもので、「オンライン請求の義務化を規定した省令に従う義務が存在しない」ことを確認するのが狙い。

Saya's 薬学ニュース vol.37もおまけでも紹介しているが、予定されていた原告団結成総会開かれ、本格的に訴訟が開始されることが示されている。現時点で600人近くの原告が集まっているようで、事態は深刻化しているように思う。義務化は個人的にも反対で、地域医療を支えている開業医をやめさせてまで行うべきものなのかは疑問が残る。メインは医師で結成されているが、薬局にとっても重要な内容なので、見守っていきたい内容だ。

2009/01/07

Saya's 薬学ニュース vol.51-ニューディール計画に医療の雇用を/進む療養病床削減

<Today's news>
1. 雇用創出は医療・介護重点に…政府がニューディール計画
おまけ. 日本の医療の根幹が崩壊-2008年重大ニュース(5)「進む療養病床削減」

雇用創出は医療・介護重点に…政府がニューディール計画
2009年1月1日-m3.com 提供:読売新聞


[要約&コメント]
雇用情勢の急激な悪化に対応して政府が策定する「雇用ニューディール(新規まき直し)計画」(仮称)の全容が31日、明らかになった。人手不足が指摘される医療・介護分野の資格取得を支援するなど職業別に雇用創出を図る。失業の急増が問題化している非正規雇用者については、職業訓練にかかる費用の給付と訓練期間中の生活資金支援の拡充に取り組み、労働条件などを巡る権利を守るための法制度の見直しを検討する。

「雇用ニューディール計画」の骨子
〈1〉医療、介護、農業など職種別に雇用創出計画を策定
〈2〉リストラに伴う失業者の再就職を助ける「雇用再生集中支援事業」を再開
〈3〉林業就業を促す「緑の雇用」事業を再開・拡充し、国や自治体、関係機関も臨時雇用の場を提供
〈4〉非正規雇用者の権利保護法制を検討
〈5〉育児休業者への所得補償を段階的に引き上げ、世界最高水準の育児休業制度を目指す
〈6〉起業後の法人税軽減や家庭菜園への農地貸与で高齢者を支援

その手があったか...医療者の不足がうたわれていたが、このことに気付かない私はかなり疎いのかもしれない。ただし、医療従事者の場合、資格の取得が一つの壁となるだろう。資格取得までの期間と費用をどのような方法でカバーしていくのか。

おまけ...療養病床

日本の医療の根幹が崩壊-2008年重大ニュース(5)「進む療養病床削減」
2008/12/29 10:00-キャリアブレイン

[要約&コメント] 2008年は、療養病床*の削減を進めようとする国と、存続を求める自治体や現場との攻防が繰り広げられた年だった。自治体や現場からは「高齢者の行き場がなくなる」と、療養病床の存続を求める声がやむことはない。年々増え続ける医療費の削減か、手厚いケアの確保か―。先行きは全く不透明だ。 療養病床の削減計画は、06年の小泉政権下で打ち出された医療制度改革の柱の一つだという。
*療養病床には、医療保険適用の医療型療養病床と、介護保険適用の介護型療養病床の2種類がある。両者は報酬体系は異なるものの、慢性期医療を必要とする患者を受け入れており、実際に提供しているサービスに大きな違いはない。

このまま療養病床が減少した末の、高齢者の行き場所は?医療費の削減は大いにかまわないが、国民の健康と安全が保障されない未来を創造するための医療費の削減には、どんな未来が待っているのだろう。医療費の削減では、できるだけ政府の方針を後押ししたい一方、やり方には現場を見ていただきたいという気持ちも強くなるのは私だけだろうか。

2009/01/06

Saya's 薬学ニュース vol.50-後発医薬品採用リストの公表は推進に有効か?/OTC医薬品の売上落ち込む/意外な市販薬と処方薬との相互作用/新型インフルエンザへの対応策

<Today's news>
1. 国立病院機構に後発医薬品の採用リストの公表を要請
2. 薬も買い控え、薬局・ドラッグストアの販売額落ち込む
3. 高齢者ほど薬を同時服用、副作用の危険性
おまけ. 新型インフルで対応指針 各消防本部が計画策定へ

国立病院機構に後発医薬品の採用リストの公表を要請  厚労省
2008/12/27 00:00-厚生政策情報センター

[要約&コメント]
後発医薬品の使用促進は、特に医師の理解を促すことが重要である、との見解を示している。また、公的医療機関における後発医薬品の採用リストを民間病院や薬局等の医療関係者に配布することが後発医薬品の使用促進に資するものであるという意見があったことから、独立行政法人国立病院機構と国立高度専門医療センターにおける後発医薬品の採用リストの公表を要請している。

Saya's 薬学ニュース vol.44でも紹介したように、社会保障費の自然増2200億円の圧縮財源に、後発品の使用促進で230億円を捻出して充てることを決めた政府の、第一歩目の動きかもしれない。まずは医師の意識改革といったところだろうか。採用リストを公表したところで、「後発医薬品は絶対に使いたくない」と思っている意識改革になるのかどうか、疑問が残るが...

薬も買い控え、薬局・ドラッグストアの販売額落ち込む
2008年12月29日23時01分 読売新聞

[要約&コメント]
薬局やドラッグストアなどで買える大衆薬(OTC医薬品)の販売が、2008年度は再び失速している。メタボ対策などを背景に、07年度の販売額は前年度比2・3%増の1兆1800億円と2年連続で増加したが、好調は続かなかった。

不況の波は医薬品にも押し寄せている。大衆薬の販売は、今回ネット販売禁止になったことでより落ち込むのではないかと考えられる。個人的に薬に頼ることが嫌いな私としては、不況によって、必要な薬だけを最低限確保し、他の方法で健康を維持していくことを考える、という動きは悪くないように思う。もちろん販売側としては、なんとかして売上を上げていきたいと考えているのだろうが...こうなったら、様々な商品を幅広く売るのではなく、販売側もよりよい商品に的をしぼって、その効果を的確に消費者に伝えていく必要があるのではないだろうか。

高齢者ほど薬を同時服用、副作用の危険性
2008年12月30日 19:27-AFPBB News

[要約&コメント]
複数の種類の薬の同時服用は、危険な副作用を引き起こす可能性があるが、高齢者になるほど一般的に、しかも処方薬ではなく市販薬で行っているとする研究結果が発表された。
、約25人に1人が、深刻な相互作用を引き起こす可能性のある危険な薬同士の同時服用を行っていることが判明した。75-85歳男性の場合ではさらに、10人に1人の割合だった。「2種類の処方薬を同時に服用すると危険な場合があることは一般的に知られているが、市販薬と処方薬、あるいは市販薬同士でも相互作用を引き起こすことが十分理解されていない」と警鐘を鳴らす。

薬剤師の役割、その一つに相互作用を見分けることも含まれている。特にお年寄りは服用薬の種類や数がやたらと多い人がいる。処方薬における相互作用などは、コンピュータシステムの発展により処方入力した時点から警告の表示が可能であるが、市販薬との相互作用に関して熟知している薬剤師はどのくらいいるだろうか。OTC医薬品に関しては、大学で勉強した記憶がほとんどない。六年制が導入され、やっとOTC概論という形でカリキュラムに組み込まれているくらいである。海外では、当たり前のようにOTC医薬品の授業がある。それは、必要性があるから、という事もあるが、この研究結果をみると、日本でも必要でないとはもはやいえなくなっている。薬剤師のさらなる役割として、市販薬と処方薬の相互作用に関して注目してみてはどうだろう。

おまけ...新型インフルエンザ

新型インフルで対応指針 各消防本部が計画策定へ
2008年12月24日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
総務省消防庁は22日、国内で新型インフルエンザが発生して多くの感染者が出ても、全国の消防職員が救急搬送などの消防業務を続けるための指針をまとめた。政府の推計では、新型インフルエンザが国内で流行すると、最大で患者3200万人、死者64万人が見込まれる。

新型インフルエンザの発生に備えて、具体的な対応指針が考えられているのはありがたいことである。人はパニックになると何をしでかすか分からない。しかし、方法をあらかじめ習得しておけば、多少の混乱があったとしても、日常の業務に置き換えて行動することができる。救急車搬送などは、その数が予想できないにしても確実に起こる事態であるので、早急に対応指針を確実なものにしていただきたい。患者がたどりつく、医療機関や医療者側の対策も事前に話し合われるべきであろう。

2009/01/05

Saya's 薬学ニュース vol.49-あなたは大丈夫?糖尿病疑い2000万人突破!/病院薬剤師研修のお知らせ/睡魔とホルモンの関係/募金先からささやかなクリスマスプレゼント

<Today's news>
1. 今後10年以上、患者増加か 糖尿病なりやすい日本人
2. 国民健康・栄養調査:あなたは大丈夫? 糖尿病疑い2000万人突破--07年  
3. 病院薬剤師研修のお知らせ : 神奈川県
4. 睡魔とホルモンの関係

おまけ. 途上国の子供からXマスカード=うれしい、元気もらった-NPO支援で協力者に

今後10年以上、患者増加か 糖尿病なりやすい日本人  
2008/12/26 00:00-共同通信社

[要約]
急増する糖尿病患者とその予備軍。日本人は体質的に糖尿病になりやすいうえ、高齢化も大きな要因となり、患者は今後10年以上にわたり増え続ける恐れがあるという。日本人などアジア人は一般に欧米人に比べ、血糖値を下げるホルモンのインスリンの分泌が少なく、少し太った程度でも糖尿病になりやすいとのこと。


国民健康・栄養調査:あなたは大丈夫? 糖尿病疑い2000万人突破--07年  
2008/12/26 00:00-共同通信社

[要約&コメント]
糖尿病が疑われる人は予備軍も含めて2210万人と初めて2000万人を超えたことが、厚生労働省が25日に公表した07年の国民健康・栄養調査で分かった。前年より340万人増え、10年前の1・6倍に達した。
成人男性の29%、成人女性の23%が該当するが、実際に治療を受けているのは男女合わせて5%に過ぎなかった。年齢別では、40代の15%、50代の27%、60代以上では3割以上が当てはまる。
日本人のカロリー摂取量は10年前よりむしろ減る傾向にあり、厚労省生活習慣病対策室は「運動不足やバランスの悪い食生活が、糖尿病増加につながっているのではないか」とみている。

糖尿病は自覚症状はあまりなく、気づいたころには症状がかなり悪化している状態なことが多い。そのために、このような結果が出ているように思う。しかし、糖尿病は悪化してしまうと全身を病魔にさらすことにもなり得る怖い病気である。症状は出ていないから、と安心せずに検診により定期的にチェックしておくことが生涯健康でいられる秘訣であろう。
この他にも、睡眠時に酒や薬の助けを借りていると答えた割合も掲載されており、とても興味深い結果となっていた。

病院薬剤師研修のお知らせ : 神奈川県
2008年12月25日-かながわの薬事情報

[要約&コメント]
〈対象〉神奈川県内の病院・診療所に勤務している薬剤師
〈日時〉平成21年2月12日(木曜)午後1時30分から午後5時まで(受付:午後1時から)
〈会場〉かながわ県民センター 2階 ホール
※会場へのアクセスについては下記の案内ページをご覧ください。(かながわ県民センター 交通アクセス

申込方法はWebを参照:http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/yakumu/yakuan/kensyuu.html

睡魔とホルモンの関係
2008年12月26日-毎日新聞

[要約&コメント]
質問内容:生理前から生理中にかけて、強度の眠気に襲われ頭がもうろうとします。最初は、寝不足や疲れによるものかと思っていましたが、いつも月の決まった時期(生理前後1週間ぐらい)に起こる周期的なものだと最近気づきました。周囲からは「居眠りが多い」と非難されることも多々ありますが、どうしようもありません。何か改善する方法はありますか? また、生理と眠気は関係あるのでしょうか? ホルモンの分泌とも関連しているのか、最近特にひどくなったように感じます。特に不眠などの睡眠障害はありません。平均睡眠時間は約5時間です。(47歳、女性)

女性の睡眠の質は女性ホルモンの月の分泌リズムや、更年期の女性ホルモンの変動にしたがって影響されます。多角的な検討が必要です。
月経前症候群(Premenstrual Syndrome, PMS)が考えられる一つ目の影響。不眠より過剰睡眠や日中の眠気を訴える人のほうが多く認められます。睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)も可能性があります。SASは夜間に気道閉塞などの呼吸障害で睡眠が妨げられ、日中著しい眠気に襲われる疾患です。(閉経前女性には一般にSASは少ない)
睡眠障害以外にPMSや更年期症状があれば、漢方薬や一部の抗うつ薬、低用量避妊薬、ホルモン補充療法などが適応になります。まずは婦人科を訪れてみるとよいでしょう。

ホルモンと睡眠に関しては、多少なりとも悩んでいる女性はいるのではないでしょうか。これに日本の多忙な生活がプラスされて、睡眠不足や日中の眠気に悩まされることは多かった気がします。この、ホルモンと睡眠のメカニズムを知っているだけでも、生理期間前後は睡眠を多くとったり、ピルの服用なども検討したり、と対策が立てられるので、悩んでいらっしゃる方は参考にしてみてはいかがでしょうか?

おまけ...途上国支援

途上国の子供からXマスカード=うれしい、元気もらった-NPO支援で協力者に
2008年12月23日 14:50-IBTimes

[要約&コメント]
特定非営利活動法人(NPO法人)ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)を通じ、海外の貧困地域に住む子供に募金をした支援者には今年も、海を越えて子供たちからクリスマスカードが届いた。数年前は現地に色鉛筆が無いためか黒一色だった絵は、カラフルな色使いに変わったという。
この活動は「チャイルド・スポンサーシップ」と呼ばれ、日本では4万人以上が参加。毎月4500円の支援金を海外の子供に送り、教育費や居住地域のインフラ整備に充てる。

心温まる記事だったので紹介した。ちょうど友人がガーナで青年海外協力隊として頑張っていることを思い出した。4万人以上の人が参加していることに驚いたが、同時にうれしくなった。私もクリック募金で毎日1円ずつ募金をしているが、1日に訪れる人も多さに正直驚かされる。一人1日1回しか訪れられないことになっているが、毎日のように何千人の人がクリック募金をしているのである。その全体金額も、2憶2千万を超えている。1秒1円以上の割合で募金が行われているから、相当な人数が募金をしていることになる。50クリックで、4カップ分の食糧が子供に支給される。この50クリックを少ないと感じるか、多く感じるかは人それぞれだろう。毎日募金をしても、4カップ分に相当する募金が完了するまで、ほぼ2か月近くかかるのである。今の募金金額に満足せず、さらに多くの人が1日1円クリック募金に参加してくれることを願っている。

2009/01/04

Saya's 薬学ニュース vol.48-脳卒中を救う意外な物質/HIVの新薬承認/献血してますか?/ついに決着した"ネット販売"議論/医療事故調査制度の見直しを

<Today's news>
1. 低用量の一酸化炭素が脳卒中患者の脳細胞を救う
2. HIVの侵入阻害、日本初の感染症治療薬
3. 来年度は201万リットルの献血が必要―厚労省 

4. “予定通り”に決着した医薬品ネット販売

低用量の一酸化炭素が脳卒中患者の脳細胞を救う
2008/12/25 -日経NET

[要約&コメント]
COは臓器障害を引き起こし、死をもたらすこともある無色、無臭の気体で、暖房装置、車、ガスレンジなどの燃焼煙に含まれている。COは体内で自然に作られており、さまざまな条件下で保護的な機能を果たしている。体外からのCOに同様の効果があるかどうかを確認するために、今回の実験を実施したという。

〔COの保護効果〕
・血管を拡張させ、血流を増大させる作用。
・抗炎症作用により、炎症による細胞死を防ぐ。
・脳の水分を減少させる作用。脳の水分が多いと、頭蓋内圧が高くなり脳細胞死を引き起こす。


毒になるCOが、加減によって治療に応用できるという。この記事を読んでいて、ふと一つの薬が頭に浮かんだ。それは、一時期薬害で騒がれたが、新しい治療のために再度医薬品として承認されたサリドマイドである。『くすり』は反対からよむと「リスク」。多少の加減や使い方によって、人を生かすことも殺すことにもなり得るものであることを忘れてはいけない。COの場合は、摂取量のコントロールが課題となるかもしれないが、死亡率の高い疾患に有効であることから、どうにか克服してほしい課題である。
HIVの侵入阻害、日本初の感染症治療薬
2008/12/25 17:56-キャリアブレイン

[要約&コメント]
日本でのHIV感染者とエイズ患者が1万5000人を超え、推定感染者数が年々増加する中、HIVの細胞内への侵入を阻害する日本初の抗ウイルス化学療法剤「シーエルセントリ錠150㎎」(一般名・マラビロク)の製造販売が承認された。
商品名:シーエルセントリ錠
一般名:マラビロク
規格:150mg
製薬企業:ファイザー
HIV感染症の治療については、3系統の薬剤を組み合わせた「多剤併用療法」の確立で、感染者の生命予後は大きく改善した。しかし、薬剤耐性ウイルスの出現などで、新規薬剤が求められていた。

ウイルスは生体の構成と似ている(細菌に比べ)ことから、抗ウイルス剤の開発はとても難しいとされている。ウィルスを殺すものは、生体の細胞も破壊しやすいからである。その中でも、長い年月をかけてでも、有効な薬を開発している人素晴らしい人たちがいるのだ、ということを改めて感じさせられる瞬間である。エイズに関しては、先進国である日本でも未だに悪化し続けている現状がある。教育面できちんとした情報提供が行われてこなかったために、性行為を行う年齢になっても、きちんとした知識を得ていない若者が多いのである。感染率が上昇し続けているのは、この部分(教育)が最も大きいと感じる。
すでに感染した人には、薬による治療が可能であり、このような薬の開発によりQOLは維持でき得るということを、そしてまだ感染していない人たちにも、さらなる予防法や差別・偏見の解消などのケアを行っていく必要がある。
 
来年度は201万リットルの献血が必要―厚労省 
2008/12/25 20:42-キャリアブレイン
 
[要約&コメント]
厚生労働省は、来年度は献血によって計201万リットルの血液を確保する必要があるなどとする「献血の推進に関する計画(案)」を報告した。
来年度に必要と見込まれる輸血用血液製剤の量は、全血液製剤0.02万リットル、赤血球製剤48万リットル、血小板製剤15万リットル、血漿製剤23万リットルで、それぞれ0.02万リットル、49万リットル、16万リットル、24万リットルが製造される見通しだという。

献血カーの近くを通ると、血液型ごとにどの血液が必要なのかが記載されている看板をよく目にする。これも、血液製剤の安定供給のために厚労省と赤十字が組んで行っていることである。このようなデータをみて協力しなければ、と思うのは職業病だろうか、それとも普通?
 
“予定通り”に決着した医薬品ネット販売 
2008/12/26 15:43-キャリアブレイン
 
[要約&コメント]
インターネットを通じた一般用医薬品(OTC)の販売の是非は、2009年6月に施行する薬事法改正で、厚生労働省が予定していた通りの結論に落ち着いた。副作用リスクに応じてOTCの種類を三段階に分けたうち、最もリスクが低い「第三類」に限定して、OTCのネット通販は許される。この結論は、来年の改正薬事法に合わせ、今年9月に厚労省が示した省令案の通りだ。

とうとう決着がついたネット販売議論。結局私がずっと求めていた答えは出てこなかった。自分としては、少し押し切られた感が残っているが、この結論が吉と出るか凶と出るかはしばらく見守っていきたいと思う。日本の薬の販売が規制され、海外の薬販売サイトの影響がどの程度拡大するか、またへき地などの土地の関係、障害者などの身体的な問題で薬が手に入りにくいの人たちやへの対応をどのようにしていくのだろうか。まだまだ目が離せそうにないトピックである。

おまけ...

民主党案を基盤とした4つの医療事故調査制度 
2008. 12. 19-Nikkei Medical Online

[要約&コメント]
2008年8月20日の福島県立大野病院事件無罪判決後、医療事故調査制度の整備の必要性が浮き彫りになったという。患者遺族側と医療者側にはそれぞれ別々の目的があり、以下の4つに分類している。
[患者遺族側]
・精神的側面:患者遺族の納得
・経済的側面:医療災害の補償
[医療者側]
・過去を清算する側面:当該医療者の処分・非難であり、「責任追及」
・将来を指向する側面:医療安全の向上・再発防止
この相対する目的を、一つの制度で解決しようとしていたが、それ自体が実は問題である。厚労省の医療安全調査委員会構想の典型であるという。

この他にも、解決・予防する上で大切な心得などが記載されており、医療訴訟に関して考えさせられる内容であった。ミスは人間である限り必ず起こる。その時にいかに患者と正面から向き合い、誠実に対応するかによって患者遺族の納得を得られるか。この部分が印象に残っている。

2009/01/03

Saya's 薬学ニュース vol.47-インフルエンザウィルス薬の確保/肥満と糖尿病、心拍数の関係/ネット販売被害、対応の遅れ/無免許で医薬品販売/エイズキャンペーン成功!

<Today's news>
1. 抗インフルエンザウイルス薬の安定供給、医療機関、卸売販売業に周知要請 
2. 高い心拍数は肥満と糖尿病の素因
3. 楽天に市民団体が質問書 ネット購入薬の自殺未遂で  
4. 無免許で医薬品販売 ダイエーの全国39店舗 

おまけ. 成果みえてきた大阪市のエイズ対策 検査体制整備とキャンペーンが相乗効果  

抗インフルエンザウイルス薬の安定供給、医療機関、卸売販売業に周知要請 
2008/12/23 00:00-厚生政策情報センター 

[要約&コメント]
抗インフルエンザウイルス薬の安定供給を図るために、患者数等の動向を勘案して必要量を精査した上で、特定の医療機関、薬局に過剰な量が供給されないことがないよう、管内の医療機関や卸売業者等に対し、周知徹底するよう求めている。具体的には、卸売業者は注文量への配慮や分割納入への協力、納入時期等の情報を提供するよう記載されている。

今年のインフルエンザの流行りは、昨年に次ぐ早いものとなっているという記事も掲載されているため、各薬局で薬確保の勢いが大きくなることが予想される。薬の確保はもちろん重要であるが、自分の薬局だけがしっかり確保していればいいというわけではない。隣の地域では確保ができずにインフルエンザが流行って感染が拡大して…となっては全く意味がないのである。このような場合、お互い助け合えるようなコミュニティが作られればより効率が良いのではないだろうか。
参考記事:インフルエンザ流行開始 昨年に次ぐ早さ 感染研が発表 

高い心拍数は肥満と糖尿病の素因
2008年12月24日-m3.com 提供:Medscape ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
健康被験者を20年間にわたって追跡した研究グループが、調査開始時に心拍数が高かった者は肥満になる傾向が2倍、糖尿病を発現するリスクが5倍大きいことを報告した。肥満と糖尿病、いずれの発現にも交感神経系が関与していることを意味している。
参考記事:糖尿病の先在によって癌患者の死亡リスクが上昇する(m3.com 提供:Medscape)(癌診断時に糖尿病が先在する癌患者では、非糖尿病患者に比べて死亡のリスクが高い。)

血圧を測る際、心拍数も検査されることが多い。しかし、いつも気にしてみる項目は、収縮期血圧と拡張期血圧。心拍数は、100以上になっていないかなどを基準にしか見ていなかったのが、今回の記事で把握の必要性が感じられた。患者に対し注意を促すだけでも、効果のある実験といえる。

楽天に市民団体が質問書 ネット購入薬の自殺未遂で  
2008年12月24日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約]
インターネットで大量購入した一般用医薬品(大衆薬)の鎮静剤で当時19歳の少年が自殺を図り、重い後遺症が出た問題で、市民団体「薬害オンブズパースン会議」などは22日、少年が利用したサイトを運営する楽天に、この自殺未遂を把握していたかどうかなどをただす質問書を提出した。
購入者が年齢を入力せずに注文できたり、厚生労働省の通知に反する医薬品を買えたりする例が複数あるという。

無免許で医薬品販売 ダイエーの全国39店舗 
2008年12月24日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
大手スーパーのダイエーは22日、医薬品を販売するために必要な免許を取得していないグループの39店舗が2006年3月から今月14日までに計106品目、1121個の医薬品を販売していたと発表した。詳細は調査中という。各店舗に対して本部が商品を納入する際の手違いや、各店舗が発注する際に免許が必要なことを知らずに医薬品を発注したことが原因とみられている。

今までの医薬品販売のずさんさが浮き彫りになっている記事を紹介した。ネット通販の是非が話し合われている最中、このような対応をしている販売会社に対し、どの程度信頼を置けるだろうか。まだ話し合いが行われてからそんなに長くはないので、システムが間に合っていないとしても、今この時点でネット販売の意義や、対応変化を見せられなければ、生き残りは厳しいように思う。

おまけ... エイズ(HIV,AIDS)

成果みえてきた大阪市のエイズ対策 検査体制整備とキャンペーンが相乗効果  
2008年12月19日-m3.com 提供:じほう

[要約&コメント]
大阪市が昨年6月に策定した、2007年から11年まで5年間の「エイズ対策基本指針」が、早くも成果を挙げ始める兆しをみせている。特にHIV抗体検査の検査機会を増やす試みが奏功したとみられ、早期発見・早期治療への関心が高まれば、HIV感染の拡大が抑制できるため関係者の期待は高い。

つい最近(1か月近く前だが)Saya's 薬学ニュース vol.27でも紹介した、大阪でのHIV感染の拡大が、政策により徐々に変化を見せていることが今回わかった。市を掲げての啓もう活動が、このようにしっかりと形として成果が現れてくるのはとてもうれしいことである。大阪を例に次に動き出すのはどの都道府県であろうか。
参考記事:大阪のHIV感染、最多200人超 「潜在」はさらに…