2008/12/12

Saya's 薬学ニュース vol.27-大阪のHIV感染、最多200人超 「潜在」はさらに…/インフルエンザH1N1型にタミフル耐性株が増加/インフルエンザ患者急増、昨年に次ぐペース/介護職に一部の医療行為認める…厚労省

大阪のHIV感染、最多200人超 「潜在」はさらに…
2008.11.29 14:16-産経新聞

[要訳&コメント]
国内の感染者・患者数は、調査を始めた昭和60年以降、年々増加。今年9月までの累計で1万5037人に上っているが、感染の判明自体を恐れて検査を避ける「潜在感染者」はさらに多いとみられる。感染原因は同性間の性的接触が42%を占める一方、異性間の接触でも35%に上り、特に若い世代に目立つという。
献血する際の2次感染予防検査で見つかるケースが大阪の場合は他府県と比べて多く、HIV検査を目的に献血する「不適切利用」が多いのが原因とみられる。
こうした状況に対処するため、府や大阪市は今年3月、大阪・ミナミに大阪検査相談・啓発・支援センター「chot CASTなんば」を開設。保健所などの従来の公的検査機関と異なり、検査時間を週2回の平日夜間や土日の午後に設定したことから、検査に訪れた人が増加した。この結果、感染者・患者数も増えた面もあるという。

感染者数が上記に示されているが、「潜在感染者」数が把握できない状態では、この数だけをみて判断はできないだろう。先進国の中で唯一感染者が上昇している日本。まだエイズに対する認識の低さから、「不治の病」「差別」「偏見」の文字は取り払われていないように思う。感染した人の中には、「感染してどうせ死ぬんだから、これからみんなにうつしてやる」といった考えに発展してしまった人もいるようで、これらの誤解が事態の悪化を生んでしまうこともある。さらなる呼びかけが必要であろう。
エイズに感染してから恐ろしいのは、感染により免疫が低下している状態では他の疾患にかかりやすく、たかが風邪でも危険な状態に陥ってしまうことである。保険を適用した上で治療を行えること、不治の病ではないこと、治療をきちんと行えば周りと変わらない生活を送れるということを知ってほしい。
参考記事:エイズ孤児1900万人、サハラ以南深刻 ユニセフ 中国のエイズ感染者26万人

インフルエンザH1N1型にタミフル耐性株が増加
2008/12/01 23:18-キャリアブレイン

[要訳]
インフルエンザのH1N1型ウイルスに、タミフルが効かない「耐性株」が増加している。昨年北欧でタミフルの効かない耐性株の増加傾向が確認されて以来、世界的に増加しているという。耐性株の出現は遺伝子の突然変異に伴い、ウイルスを構成するタンパク質の一部が変質したことによるもの。

インフルエンザ患者急増、昨年に次ぐペース
2008/12/02 12:00-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
インフルエンザの患者報告数が早くも急増している。患者報告数は今年第41週以降増え続けており、第47週(11月17日―23日)の患者報告数は2632人。「1987年の測定開始以降、最も流行が速かった昨シーズンに次ぐペース。今、急速に増えている時だ」として、注意を呼びかけている。
今年第36週から第47週までの患者累積報告数は6351人。年齢群別では、5―9歳の1952人、0―4歳の1647人、10―14歳の882人、30―39歳の570人の順に多い。 インフルエンザウイルスの分離報告でみても、「今後どの型が流行するかはまだ不明」という。

インフルエンザに関する記事を2つつづけて紹介したが、今年はインフルエンザに注意が必要な年であることは間違いない。お年寄りの感染者数が他の年齢層に比べて未だ少ないデータが出ているが、心配なのは小児である。他の年齢層に比べて2倍~4倍近くになっている。インフルエンザウィルスの型も報告ではまんべんなく検出されているので、その動向も今後見ていく必要がありそうだ。
新型インフルエンザが恐れられている中、さらに薬の耐性が増加しているというのは、深刻な事態ととらえるべきであろう。最近は、インフルエンザといえば「タミフル」といったように、タミフルばかりに頼りすぎている傾向がみられる。これでは、耐性ができるのは当り前、といっても言い過ぎではない。抗生剤や抗菌剤は必ずと言ってよいほど耐性が現れるものである、という認識を忘れず、量や期間に関しても"使いすぎ"ということがないよう、医師の処方に対しても注意を払って頂きたいと願うばかりだ。

おまけ...介護
介護職に一部の医療行為認める…厚労省
2008年11月20日 読売新聞

[要訳&コメント]
厚生労働省は介護や高齢社会の将来像を示す「安心と希望の介護ビジョン」の中で、研修を受けた介護従事者が、施設で医師、看護師と連携しながら、経管栄養の処置やたんの吸引などができる仕組みが必要だとした。

この意見に対しては、「唐突すぎる」などの反対意見も出ていたが、私個人としては厚労省にしては大胆で興味深い取組のように感じた。医師や看護師不足が深刻な中、施設には介護士という立派な資格保持者がいる。介護士の中にも、緊急な事態にあった場合法律で規制され何もできない自分に対し悔しい思いをした人がいるのではないだろうか。そういう人たちは自分でしっかりと勉強しているし、新たな裁量が与えられれば、研修にも積極的に取り組もうとする人達は出てくるはずである。
確かに唐突すぎる話かもしれないが、せっかくこのような話ができているのであれば、時間をかけてでも前向きに検討していただきたい内容であったので掲載した。
これは薬剤師にも言えることで、国によっては研修を受けた薬剤師に対し、処方権を与えているところもある。これも同じことで、処方できる薬剤や期間に制限があるものの、前向きに考えている薬剤師は研修に参加し、少しでも患者の役に立とうと頑張っている。もちろん、処方するということは、責任はすべて自分にかかってくる訳で、あえてその権利を持とうとしない薬剤師も存在する。それでよいのではないだろうか。薬が切れてしまいそうだが、医師にすぐにかかれないような患者に対し、薬剤師の責任のもとで1週間だけの処方を行い、その間に医師にかかるよう説明する。患者にとっても、医師にとってもありがたいことのように感じるのは私だけであろうか。

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