2008/12/09

Saya's 薬学ニュース vol.24-膣カンジダの塗り薬、一般用医薬品で初の承認へ/「酸化マグネシウム」の長期投与に注意/「対面販売」貫きネット通販禁止を―日本薬剤師会など9団体が声明/医療崩壊の根本原因は医療費抑制政策(上)

膣カンジダの塗り薬、一般用医薬品で初の承認へ
2008/11/27 21:53   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
再発した膣カンジダ*を治療する塗り薬が、一般用医薬品としては初めて承認される見通しとなった。
膣カンジダの治療には、膣内に挿入する膣錠や、外陰部に塗布する塗り薬といった抗真菌剤などを使用するが、再発率が高く、一般用医薬品への患者のニーズは大きいという。
これまでに承認を受け発売された膣カンジダの一般用医薬品には、いずれも膣内に挿入するタイプで、外陰部のかゆみに作用する塗り薬はなかった。
イソコナゾール硝酸塩(ロート製薬)とミコナゾール硝酸塩(大正製薬)を有効成分とする一般用医薬品が承認されるようである。
*膣カンジダは、カンジダ菌という真菌(カビの仲間)によって起こる膣炎。カンジダ菌は膣内だけでなく、皮膚や口内、腸内などに性別に関係なく存在し、抵抗力が弱まった時など、菌バランスが崩れた時に発症するといわれている。外陰部のかゆみや発赤、おりものの量や性状の変化などの症状を伴う。

膣カンジダで薬局を訪れる患者さんにも何名かあったことがあるが、自分の場合は初めての患者多く、再発の患者さんにはあまり会ったことがなかった。再発率が高いのであれば、OTC薬の販売は有効に思う。ただし、抗生剤や抗菌剤の場合、使用量や使用期間が長くなると耐性ができやすい欠点もある。むやみに使用することがないように指導することが必要であり、医療用医薬品を使用経験があり、症状や使用経験のある人に対して、OTC薬を勧める形が良いのではないかと感じる。

「酸化マグネシウム」の長期投与に注意
2008/11/27 21:25   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの治療薬や、便秘薬として用いられる「酸化マグネシウム」の副作用について、「本剤の投与により高マグネシウム血症が表れることがあるので、長期投与する場合には定期的に血清マグネシウム濃度を測定する」*よう注意を呼び掛けている。
「高マグネシウム血症」が表れると、呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止に至ることがある。このため、「悪心・嘔吐、口渇、血圧低下、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、傾眠等の症状の発現に注意する必要がある。

高齢者の場合、カマという略名で便秘症に対して処方されているケースがかなり多い。
〈用法用量の比較〉
制酸剤:通常成人1日0.5~1.0gを数回に分割経口投与
緩下剤:通常成人1日2gを食前又は食後の3回に分割経口投与するか、又は就寝前に1回投与
尿路蓚酸カルシウム結石発生予防:通常成人1日0.2~0.6gを多量の水とともに経口投与
上記の用法用量比較からみても、便秘症に使用する用量は最も多い。高齢者の場合は排泄能も成人に比べて低下しているため、特に注意する必要がある。服薬指導時の注意喚起に利用していきたい記事である。
*添付文書「過量投与時の処置」部分抜き出し
処置:大量服用後の間もない場合には、催吐並びに胃洗浄を行う。中毒症状があらわれた場合には、心電図並びに血清マグネシウム濃度の測定等により患者の状態を十分に観察し、症状に応じて適切な処置を行うこと。(治療にはグルコン酸カルシウム静注が有効であるとの報告がある) なお、マグネシウムを除去するために血液透析が有効である。

「対面販売」貫きネット通販禁止を―日本薬剤師会など9団体が声明
2008/11/28 21:26   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
日本薬剤師会や全国薬局協励会など薬業団体9団体は11月28日、東京都内で合同記者会見を開き、「一般用医薬品の販売は対面販売が原則であり、インターネットによる販売は禁止すべきである」とする共同声明を発表した。
「薬剤師は消費者に安心して薬を服用してもらえるよう、必要な薬を『販売する』一方で、不要なものは『販売しない』。この点で、ネットで薬を販売するというのは、本来の在り方と大きく異なるのでは」との意見も出た。
共同声明を出したのは、日本薬剤師会、全国医薬品小売商業組合連合会、全国配置家庭薬協会、全日本薬種商協会、日本医薬品登録販売者協会、日本置き薬協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本薬局協励会、日本薬業研修センターの9団体。

薬に関するあらゆる組織が、ネット通販には反対。という意見で一致している中、インターネット販売者はどのような対応を見せるのであろうか。私が一番気になっている「今までネット通販を唯一の方法として薬を購入していた人達への対応に関して」は触れられていなかったのが残念である。出ていた意見の中で、「現在のネット通販の考え方は『なし崩し的』だと言っていい。ネット通販を認めるのなら、相当な議論を重ねなければならないはずだ」との意見もあり、見方を変えれば議論を重ねることでネット通販も不可能ではない、ともとれるのではないだろうか。すべてを反対するだけではなく、ネットの利便性と安全性を兼ね備えた方法はないのだろうか。
参考記事:大衆薬のネット通販禁止を―薬害被害者団体など(「消費者の求める『利便性』は、あくまで『安全性』を前提にしたものだ」と強調。「ドラッグストアなどで、一般用医薬品が何の情報提供もなく販売されてきた状況を改善し、『対面販売』を原則として、リスクの程度に応じた実質的な情報提供と専門家による相談応需を確保することを主たる目的として行われた」と指摘し、あくまで第三類に関しても、話し合いの余地はあるにしても、原則ネット通販禁止を要請している。)

おまけ...アメリカの医療
医療崩壊の根本原因は医療費抑制政策(上)保険医協会講演会で李啓充氏が警鐘
2008/11/20 -JanJanニュース

[要訳&コメント]
日米の医療に携わった、医師で評論家の 李啓充(り・けいじゅう)氏が講演し、民間保険と株式会社病院が幅を利かす米国の実態を紹介、「官から民へ」を合い言葉に進むわが国の医療保険制度改革に警鐘を鳴らした。
財布からは、国民医療費について、今後の増加分は民間保険などで賄い、公的保険の適用対象を広げない意向が示された。赤字を抱える自治体病院を廃し、「株式会社による無駄のない医療」を、と訴える。目指しているものは、米国型の医療制度であるという。
日米の国民負担率(社会保険料と租税の和が国民所得に占める割合)を見てみると、日本36%、米国32%と4割を切るのに対し、スウェーデンは7割超。しかし、実際のところ、国民負担率は負担の実態を反映していない。それは、米は税金として国に支払うもののほかに、民間保険会社に支払う分があり、それは国民負担率に含まれていないからである。実際それらを合計すると、日本の倍近くを年間支払う必要がある。(例:50歳、自営業、4人家族、2008年度納付額=日で248万円、米で493万円)民間保険の支払い額は年間上昇しているため、この差はさらに大きくなると考えられる。
社会保険料の本人負担と事業主負担の割合を、日仏で比較した場合、
・本人負担は日本10.89%、フランス9.63% (ほとんど同じ)
・事業主負担が日本11.27%に対してフランスは31.97% (日本の3倍近)
→フランスでは普通の人の負担割合が低く、大きな政府が成り立っている。

海外の医療制度やシステムをこのように比較して見ることは、非常に興味深い。日本にいるだけでは気づけなかったり、知らずに過ごしてしまうこともあるのではないだろうか。日本が向かっている先は、いったいどのようなものなのか想像するのは難しいが、知らずに変な方向へ向かっていた…となるよりは、このように経験した人の意見を取り入れることも重要なのではないかと思う。マイケルムーア監督の映画「Sicko(シッコ)では、アメリカの医療の極端な一面が紹介されているが、あくまでその一面も事実な訳で、目をそむけてはならない部分である。
*(下)に関する内容はSaya's 薬学ニュース vol.26 に掲載中

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