2008/12/21

Saya's 薬学ニュース vol.35-ネット販売10万の署名をもって反対/C型肝炎に維持療法が効かない?!/中国の偽薬ネット販売サイト/介護の講習を無料で提供

<Today's news>
1. あくまで撤回‐規制改革会議、強気の姿勢崩さず
2. C型肝炎の維持療法は一部の患者には効果なし
3. 一般用医薬品のネット通販継続求め要望書-ヤフーなど
4. 中国政府、偽薬品販売サイトのリストを公表

おまけ. 「素晴らしい機会に感謝」=憩の園=在宅介護のノウハウ学ぶ=17回で修了者7百人に

あくまで撤回‐規制改革会議、強気の姿勢崩さず
2008年12月10日-薬事日報

[要訳&コメント]
規制改革会議は、22日の最終答申に向けて検討を進めているが、医薬品ネット販売の規制緩和に関して、「アドホックなもので(最終)答申とは別扱いで進めたい」とした。「ネット販売と店頭販売がイコール・フッティング(同等の競争条件)のもとで競争し合う。そういう意味での工夫を検討する必要がある」とし、あくまでネット販売と対面販売を同等に扱うルール作りを行うべきとの考えを崩さなかった。

ネット販売規制反対派と賛成派の議論は白熱していく一方であるが、反対派が提示している“利便性を奪うことに対する対応策”などがいつになっても賛成派から提示されないのが気になる点である。これらの内容を話し合わないうちに法改正を行ってよいものなのだろうか。

C型肝炎の維持療法は一部の患者には効果なし
2008/12/11-ロイター

[要訳&コメント]
進行した慢性C型肝炎患者に対する低用量のペグ(PEG)インターフェロンを用いた維持療法は、初回治療が奏功しなかった患者には無効であることが新しい研究で示された。このほか肝疾患の期間が4年を超える患者では、予想外の健康状態の低下がみられることも判明した。
参考記事:原文

非常に残念な研究結果であるが、進撃に受け止めなければならない研究結果であることも明らかである。インターフェロンは決して楽な治療ではない。多くの副作用に悩まされながらも、治癒することを期待して頑張っている患者がいる。その期待を裏切るような無効な治療を続けることは決してならないのである。知り合いにC型肝炎患者を持つ私にとっては、非常に辛いが、同時に注意すべき点も見えたので良かったと思うべきであろう。

中国政府、偽薬品販売サイトのリストを公表 
2008年12月11日 13時14分-ロイター

[要訳&コメント]
高血圧や糖尿病、腫瘍などの薬を販売している74のサイトが、虚偽の説明を行っているとして政府のブラックリストに掲載された。今回ブラックリストに載ったWebサイトの多くは、禁止令にもかかわらず、いまだにアクセスできる状態にあり、薬の販売も続けられている。

中国らしい対応といえば、それまでである。中国のインターネット警察は、アクセスを遮断するなり閉鎖するなりできる広範な権力を有しているのにも関わらずその対応をしていないのは、やはり「他国に対する見せかけ」の部分が大きいためであろうか。なんとも腑に落ちない内容である。

一般用医薬品のネット通販継続求め要望書-ヤフーなど
2008/12/11 21:38   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
ヤフーや楽天など6つの企業・団体は12月11日、舛添要一厚生労働相に対し、現行の一般用医薬品(OTC)の通信販売を継続するよう求める要望書と賛同者約10万人分の署名などを提出した。
要望書は、通販で医薬品を購入することが不可欠な消費者にとって、対面販売の義務付けは健康維持の必要性の観点から重大な問題があると指摘。現在行われているOTCの通販を継続するよう要望している。
参考記事:一般薬の通信販売、利便性強調し“継続”求める 医薬品ネット販売規制に反対する楽天のネット署名が10万人突破

ヤフーがネット上で署名を募っているいる記事に関しては、Saya's 薬学ニュース vol.14で紹介したことがあるが、この署名フォームにおいては、薬事法改正の意図など、安全性を考慮した上で行われていることであるという記載は全くない。”国が国民の利便性を奪おうとしている!みんなで食い止めよう”とも受け取れる。政治不信があるなかで、これでは法改正の意図を理解していない人が、簡単に署名してしまう事もあるのではないだろうか。
この点ではこの署名の内容に関しては疑問が残るが、「副作用は販売方法の差ではなく、情報提供の差にある」という意見には納得である。今の状態で、果たしてインターネットで説明する以上に、薬剤師が説明をすることで危険を回避できる、と自信を持って言える薬剤師はどのくらいいるだろう。
あなたはインターネットで記載する情報以上に、患者の健康を守れるような説明ができると胸を張って言えますか?

おまけ...介護


「素晴らしい機会に感謝」=憩の園=在宅介護のノウハウ学ぶ=17回で修了者7百人に
2008年12月2日-ニッケイ新聞 - Brazil

[要訳&コメント]
ブラジルで、社会福祉法人救済会が実施する「老人のための在宅介護講習会~Formacao de Cuidador de Idosos~」の修了式が行われた。現時点で、約七百人が講習を終えたことになるという。この講習会は、毎回栄養士や理学療法士、作業療法士、医師、看護士、心理学者、社会福祉士、言語聴覚士などの専門家を呼び、食事や老人病、薬物、高齢者の心理についてなど幅広いテーマに分けて介護のノウハウを伝授するものだが、無料で行われていたものだという。

ブラジルでも高齢化社会は進んでいるようで、このような取組が市民のために無料で行われているということに驚いたので紹介した。介護の面では、診療報酬などの面で厳しい部分もあり、なかなか需要に応えられていないのが現状である。しかし、このように介護で人の役に立ちたいと思っている人は多く、もちろん日本にもたくさんいることは明らかである。早急に優遇措置がとられ、高齢社会の日本を支える人たちの活躍できる場が与えられれば、と願っている。

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