2008/11/22

Saya's 薬学ニュース vol.14-薬剤師の労災認めず/「医薬品のネット販売規制、困ります」楽天が署名呼び掛け/海外医療ツアー、保険の適用も

薬剤師の労災認めず-東京地裁
2008/11/13 20:11   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
青森労災病院(青森県八戸市)に勤めていた薬剤師三浦恵吾さん(当時39歳)の「過労自殺」をめぐり、妻の久美子さんが国に対して労災不支給の取り消しを求めた行政訴訟の判決は、「業務とうつ病の発症には、因果関係が認められない」などとして訴えを棄却された。
「うつ病をいつ発症したかという最大の争点について明確に認定しない不当判決だ」として、判決を見守った約40人の支援者らからは批判が相次いだ。(参照記事:争点を判断しない判決に批判相次ぐ-薬剤師の過労死裁判)

医師や看護師の過労死に関しては、うわさで耳にすることもあったが、やはり薬剤師も論外ではないというのがこの記事からわかる。それが過重労働であったのか、業務と心身の病気との因果関係の有無などの判断は非常に難しいものである事を認識させられる記事であった。今年10月東京高裁で棄却された小児科医の過労死に関する民事訴訟においても、行政訴訟の判決では「過重な業務とうつ病との因果関係」を認めたものの、民事訴訟の判決では、「うつ病と業務との因果関係が認められない」という正反対の判決が下されるなど、判断を下すことの難しさ再認識させられる。
身内をこのような辛い事情で亡くし、さらに辛い事態を掘り下げて戦わなければならない。そんな不幸な人をこれ以上増やさないためにも、医療従事者不足による過重労働などの根本の問題の解決に力を注いでほしいものである。

「医薬品のネット販売規制、困ります」楽天が署名呼び掛け
2008/11/13 20:52-INTERNET Watch
[要訳&コメント]
一般医薬品のネット販売を規制する厚生労働省の省令案について、修正を求めるための署名活動を開始した。。「楽天市場」の医薬品関連カテゴリー内に署名ページを開設し、消費者や事業者に賛同を求めている。

*参照記事:大衆薬ネット通販「禁止の根拠を」  医薬品販売の議論が足踏み 大衆薬のネット通販、規制撤回を

薬学ニュースNo.12で載せた)一般用医薬品(大衆薬・OTC医薬品)のネット販売を規制する法案に対し、ネット販売において主力である会社が黙ってはいないだろうと思っていた矢先に見つけた記事。消費者を味方につけようという戦略である。消費者の判断が明らかになる点では興味深い動きである。
ただし、この内容では「利便性の低下」に関する内容しか明記されておらず、なぜ法改正によってOTC医薬品の分類がなされるようになったか、という安全面でも記載はない。このままでは、「自分たちの利便性が国に侵される」という不信感から票が集まる気もするので、正しい情報提示にはなっていないように感じる。

海外医療ツアー、保険の適用も
2008年11月17日-Nikkei Business

[要訳&コメント]
医療にかかる費用が増加の一途をたどる米国では、多くの患者が治療のため海外渡航するようになっているという。米国とインドでの、ひざの手術にかかる費用で比較してみる。
・米国内での手術:4万5000ドルから5万ドル(約450~500万円)
・インドでの手術:1万ドル(約100万円)+航空運賃(往復)約1330ドル(約13万円)程度。
費用の差は歴然である。
米国には、手術を受けに他国へ出かける患者向けに割安な海外医療ツアーを提供している会社が存在する。医療ツアー会社が、海外の医療機関を選択する際の判断基準としているのは、米国の医療施設を評価・認定する米非営利機関、医療機関認定合同委員会(JCAHO)の国際部門ジョイント・コミッション・インターナショナル(JCI)による認定の有無だ。海外医療ツアーにより、安価に医療費を抑えられる利点はあるが、多くの保険会社が保険の適用対象としておらず、自己負担を強いられているのが現状である。また、医療被害があった場合に、法的措置が取りにくいことも事実である。
以上、保険と医療被害に関しリスクを伴う現状があるが、保険の適応に関しては現在保険の適応が徐々に増えてきているので、検討している人にとっては朗報である。

個人的に気になっている海外事情が、新たに見えてきた気がした。海外で治療をするケースは、米国だけでなく他の国でも実際に行われているという。しかし、特に医療費のバカ高いアメリカでは、このようなケースがあってもおかしくない、ということに気付かされる。高額の保険料の支払に悩まされ、保険不携帯の住民も多く、一度病気にかかっただけでも自己破産…ということもよく耳にする。そんな厳しい中でこのような救済措置があることは、少し希望の光が見えたようでうれしい話だ。
マイケルムーア監督の映画「Sicko(シッコ)」で出演していたような、「辞めてよかった」と断言する元保険会社社員を生んだのは、いったい誰(何)なのでだろうか。

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