2008/11/29

Saya's 薬学ニュース vol.18-便秘の治療について

こころとからだの相談室:便秘の治療について
2008年11月14日-毎日新聞

[要訳&コメント]
質問内容:毎晩茶さじ1杯のセンナを寝る前に服用すると翌朝便が出るのですが、こんなに何年間も飲み続けていても、体に害がないものでしょうか? また、何年も続いている便秘を解消する方法は何かありますでしょうか?

便秘の治療は、(1)食事療法(2)運動療法、そして(3)できるだけ少量の下剤を用いるのが基本。
下剤はセンナのような「刺激性下剤」(大腸の粘膜を刺激して水分の分泌を促すなどの機序)ではなく「緩下剤(塩類下剤)」を用いることを勧めている。効き過ぎると水様便や泥状便になりやすいのが欠点である。
現代の人たちが便秘がちなのは、食物繊維の摂取不足が原因と言われている。水分のこまめな摂取と運動により、大腸収縮運動(蠕動運動)を誘発するため、便秘解消によいといわれている。
刺激性下剤の使用は、比較的効果の発現も早く、よく用いられているが、量の使いすぎに注意する必要がある。

便秘で悩む高齢者は本当に多く感じる。薬局に薬を取りに来る高齢者のほとんどに下剤が処方されている。多数の薬を服用することで、便秘を悪化させることもあるが、食生活の変化(食物繊維摂取不足)も多いように思う。食物繊維が良いとはいっても、中にはかえって便秘を悪化させるような食材もあるので、注意が必要である。

2008/11/28

Saya's 薬学ニュース vol.17-医薬品のインターネット販売に関する日本薬剤師会の見解/医薬品ネット販売の継続容認訴え、業界団体が新自主ガイドライン/「薬は健康に害がある」 中国人が世界最多

医薬品のインターネット販売に関する日本薬剤師会の見解
平成20年11月21日-日本薬剤師会HP

[要訳&コメント]
「一般用医薬品の販売は対面販売が原則であり、インターネット販売については禁止、少なくとも第三類医薬品に限定すべきである。」
この見解を導くのに、数点の理由を示している。
①医薬品には副作用がつきものである。
②対面販売でないことにより、リスクの未然回避や受診勧奨が不可能。
③副作用被害が起こることは当然であり、ネット通販による具体的事例を出すまでもない。
④ネット通販における情報は一方的なものであり、情報の真偽も確かなものではないためネット通販は安全上容認できない。
⑤今回の薬事法改正により、ネット通販に対する対応の見直しが行われていることを留意するべきである。
⑥医薬品の販売は、利便性よりも安全性がより確保できる制度のもとで行われることが重要である。

現在、国と企業間においてHOTな話題であるが、薬剤師会が正式に見解を示した。この見解は、厚生労働省の考えを支持するものであり、法規制を後押しするものととれる。以上の理由は妥当なものであり、納得出来得る。それでは、へき地などで医薬品購入の厳しい人たちへの対応はどのように考えているのだろうか?法規制により「禁止」とすることは簡単である、しかし、それにより不利益を得る人たちもいる。この場合は、これらの人達が悪い行いをしたために規制が加えられるものではない。再度、法規制による利点を欠点を洗い出し、欠点に関する対応に関しての考えていくべきではないだろうか? 参考記事:OTCネット販売、「第三類医薬品に限定すべき」―日本薬剤師会
 
医薬品ネット販売の継続容認訴え、業界団体が新自主ガイドライン
2008/11/20 17:09 -INTERNET Watch

[要訳&コメント]
一般医薬品のネット販売を行っている薬局・薬店40者が会員となっている特定非営利活動法人の日本オンラインドラッグ協会(JODA)*は20日、「安全・安心な医薬品インターネット販売を実現する自主ガイドライン」を発表した。ネット販売に際して使用上の注意事項などの情報提供を適正に行うことや購入者の状態の確認・質問を行うことなどを必要条件として定める。

このオンラインドラッグ協会(JODA)が具体的に行っていることとして、「購入ボタン」を押した顧客に対し、使用者は今までに、このお薬を使用してアレルギー症状(しっしん、かゆみ、体のむくみ等)を起こしたことがある」「使用者は緑内障あるいは前立腺肥大症のいずれかの診断を受けている」「使用者は妊娠あるいは妊娠している可能性がある」といったチェック項目を表示し、該当する項目がある場合には購入操作を継続できないようにしている。また、店舗の薬剤師に直接電話やメールによる相談もサービスの一環として提供している。「このガイドラインにのっとれば、医薬品のネット販売について、店頭での販売を上回る安全・安心を確保できる」と断言している。
この場合、店頭で薬剤師が確認すべき事項を同じように確認し、該当する人は医薬品が購入できない理由まできちんと表示することで、購入を控えることはできるのではないだろうか。あえて健康被害を望んでいる人はいないからである。ただ「禁止」とするのではなく、代替案やシステムづくりなどに目を向け、安全性と利便性の両方を維持できるような取り組みを個人的に望んでいる。
*日本オンラインドラッグ協会:http://www.online-drug.jp/

ACニールセン調査:「薬は健康に害がある」 中国人が世界最多
朝日新聞-2008年11月21日15時7分

[要訳&コメント]
世界51カ国・地域の2万8千人を対象に行われた調査で、「薬は健康に害がある」と考えている中国の消費者の割合は世界で最も多いという調査結果を発表した。
中欧・東欧・南米・北米では初期症状の際に薬を服用する習慣があるのに対し、アジア太平洋地域とベトナムでは薬で治癒するという消費者が最も多く、45%に達した。その次に多かったのがタイとインドネシアで、中国・日本・シンガポールの割合は33%でほぼ同じだった。
中国の消費者は、軽い病気だとひとまず様子を見て、自然に治らなければ薬を飲むという人が3分の2近く、今で薬を飲んだことがない人が2%だった。病気を「自然治癒」にまかせる中国の消費者のうち、7割近くは「薬は三分の毒」だと考えて薬を服用しないのだという。

薬は外にもなり得る。これは薬学の勉強をして強く感じたことである。日本の多くの人も、薬は害になり得ることを認識していながら、その認識には個人差がある。サプリメントや健康食品であれば、食品同様に安全である、と考えていては大間違いである。これらの中にも、薬より厳しい審査が行われていないことで、特に米国のものであると死亡例をだすような製品もあったり、その成分表示は意外に当てにできないものが多い。初期症状に薬を服用する人の割合が中国と同じ33%ということは、薬が害となり得るという認識ん関しては低いとしても、できるだけ薬に頼らずに行きたいと思っている日本人も多いということが分かる。中国では薬に頼らず、予防面で力を入れているという部分が、非常に感心できる内容であった。

2008/11/26

Saya's 薬学ニュース vol.16-慢性疾患患者にファクスでタミフル処方も/後発品に「積極的でない」薬局が3分の1超/女性の性欲回復にテストステロンのパッチ剤が有効

慢性疾患患者にファクスでタミフル処方も
2008/11/20 20:08   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議が開かれ、検疫や感染の拡大防止など8分野のガイドライン改定案が大筋で了承された。改定案では、新型インフルエンザ発生前後の各都道府県の医療体制が明確化したほか、慢性疾患の患者を対象としたファクスでの抗ウイルス薬(タミフルなど)の処方なども盛り込まれた。
発熱外来を行う発生段階別の医療機関の明確化や、都道府県はごとの対策会議開催や対策本部の設置など、発生後の医療体制については言及されたが、未だシステムが明確化されていない段階である。その他に、慢性疾患の患者については、かかりつけ医師の了承と感染の有無の電話診断を条件に、ファクスでタミフルなどの抗ウイルス薬などの処方せん発行が可能になるとの事だ。

感染が現実のものとなれば、数十万の人が死亡する確率があると恐れられている、新型インフルエンザ。こればかりは予防接種などでの対応ができないので、以下に拡大を防げるかがKeyとなる。他の記事で、感染が発覚した場合、その地区の小中学校をすべて休校にするなどの措置が考案されているが、これらの内容は、皆が共通に把握していなければならない事である。自分が感染して、対応に関して無知であったために感染を拡大してしまった、となっては全く意味がないからである。全体にいきわたるように、学校への通知や自治体への通知など、早め早めに知らせる対応を期待する。

後発品に「積極的でない」薬局が3分の1超
2008/11/19 21:41-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
今年9、10月に全国の保険薬局を対象に実施した後発医薬品の使用状況に関する調査の中間報告によると、全体の3分の1を超える薬局が「説明・調剤にはあまり積極的には取り組んでいない」と回答していることが判明した。
その理由としては、
「近隣の医療機関が後発医薬品の使用に消極的なため」
「後発医薬品の品質に疑問があるため」
「後発医薬品の効果に疑問があるため」 などであった。
その他の調査で、9月に扱った合わせて約55万枚のうち…
・「(後発品への)変更不可」欄に処方医の署名がない処方せんの割合:59.8%
・このうち1品目でも後発品に変更した薬局:77.5%
・後発品について説明した患者の割合が10%未満の薬局:38.2%
「後発医薬品調剤体制加算*」を算定している薬局:83.6%

後発医薬品調剤体制加算を算定している薬局が8割以上であったことは、良い傾向とも見えるが、「説明・調剤にはあまり積極的には取り組んでいない」との回答をみると、"点数稼ぎ"のためともとれる。薬価の高い先発品から薬価の低い後発品に変更するということは、薬局の全体的な売上は勿論下がるわけではあるし、そういった現状に苦しんでいる薬局も多いのではないだろうか。そんな事情がこのアンケート結果からは見てとることができる。
*後発医薬品調剤体制加算
直近3か月の後発品の調剤率が30%以上だと加算できる

女性の性欲回復にテストステロンのパッチ剤が有効
Dr赤ひげ.com-2008/11/17

[要訳&コメント]
高齢女性の性欲減退の治療法はそう多くはないが、テストステロンのパッチ(貼付)剤が有効であることが新しい研究で示された。しかし、この治療には無駄毛(unwanted hair)が生えるなどの副作用があるほか、乳癌(がん)リスクが増大する可能性もあるという。
テストステロンパッチ剤は、ヨーロッパでは女性の性欲減退治療薬として利用されているが、米国食品医薬品局(FDA)は2004年12月に、長期的な安全性を示すデータがないことを理由に承認申請を棄却している。

乳がんのリスクが増大する可能性がある、という部分が気になったので読み進めてみると、どうやら4人(被験者800人中)の乳がん発症者のうち、2人は実験前に乳がんがあったとみられ、残りの2人も乳がんリスクの高い女性であったことを記していた。テストステロンのためであったかは不明であるようだが、使用においては定期的な検査が必要であると考えられる。
望む人がいるならば、男性に対するED治療があるように、女性に対する治療があってもよいのでは?と個人的には感じた。ただし、使用においてのリスクに関しても目をそむけずにしっかり向き合ってほしい。

2008/11/25

Saya's 薬学ニュース vol.15-個人に最適な投薬法へ日米連携/「新型インフル」流行で事業継続できる? /09年中間決算35%経常減益-大手製薬14社

個人に最適な投薬法へ日米連携
2008/11/12 18:43-キャリアブレイン
日米の研究機関でつくる「国際薬理遺伝学研究連合(GAP)」が、個人の体質の違いを遺伝子レベルで把握し、それぞれの特性に合った診断・治療・予防や薬剤の投与を可能にする「オーダーメード医療」の確立に向け、新たな共同研究に乗り出した。遺伝的素因により、様々な疾患(癌や喘息、うつ病等)の治療における有効性や副作用に大きな違いがあることがわかっており、その部分を明らかにすることで、個々の患者の体質に適合した最適な薬剤投与「オーダーメイド医療」の実現を目指している。

薬局で副作用の確認をすることは、薬剤師業務として義務であるが、副作用の発現には個人差はもちろんのこと、副作用の種類も多岐にわたりすべてを把握することはとても難しい。また、下手に副作用の可能性について伝えることで、患者に不安感を与えることもある。この不安感を与えずに、的確に患者の副作用症状を聞き出すということが、経験の薄い薬剤師達にとっては一つの課題であるろう。それを遺伝子レベルで把握していくことは、最適な薬の選択や副作用発現の回避など、現場にとって大いに助かる内容である。

「新型インフル」流行で事業継続できる?
2008/11/18 13:27   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
「鳥から人への感染は続いており、いつ(人から人へ感染する)新型インフルエンザが発生してもおかしくない状況」である中、いざ感染が発生した場合の企業の対応についての本が出版された。
「職場の感染予防策では、個人と組織の行動変容が重要」として、▽感染者に接しない▽「せきエチケット」を徹底する▽流行時には人込みにいかない▽顔をできるだけ触らない▽アルコール度数60%以上の速乾性手指消毒剤などで頻繁に手を洗う―などを普及させることを優先事項として挙げた。

医療機関ではどうだろう?医療従事者は職場での感染リスクが高いが、感染が発生してしまった場合、医療機関を閉鎖するわけにはいかない。他の企業とはまた違い、より一層その対処法について十分な知識が必要である。各医療機関ではどの程度まで話し合われており、従業員にその内容が伝わっているのだろうか。感染はいつ起きてもおかしくない状態である。多くの人を救う側である医療従事者が倒れてはいられない。今一度、インフルエンザに対する対応を、個人が、そして医療機関単位でも考えていってもらいたい。
参考記事:新型インフル流行時に医療現場を維持できるか

09年中間決算35%経常減益-大手製薬14社
2008/11/18 12:50-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
東証一部上場の製薬企業14社の2009年3月期中間決算(連結)の概況と通期見込みを発表し、売上高は14社で3兆4100億円(前年同期比4.7%増)だった一方、営業利益5417億円(同32.4%減)、経常利益5785億円(同35.0%減)、純利益3424億円(同38.2%減)と大幅減益となった。
海外企業の買収・子会社化に伴うインプロセスR&D費(仕掛研究開発費)や無形固定資産償却費の発生などによる販売管理費上昇が響いた。
14社の国内売上高は2兆619億円(同1.3%増)で、主力製品が伸張したものの、薬価改定の影響などにより増収幅は縮小した。海外売上高は1兆3480億円(同10.3%増)で、ベンチャー企業の買収や子会社化に伴う売り上げ増が大きく寄与。海外売上高比率は前年同期比で2.0ポイント増の39.5%となった。

おまけ…救急医療
患者受け入れ調整で「地域救急センター」設置へ―東京都
2008/11/16 19:32   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
搬送患者受け入れの迅速化などを検討している東京都の「救急医療対策協議会」は、二次救急医療機関の機能と連携を強化するため、都内に12ある二次医療圏内にそれぞれ、患者の受け入れ調整などを行う「東京都地域救急センター(仮称)」を設置することなどを提案している。
基本的な取り組みとして、(1)救急患者の迅速な受け入れ(2)「トリアージ*」の実施(3)都民の理解と参画―の3つを挙げている。
(1)では、通常の対応で医療機関の選定が困難な場合、一時的に受け入れた救急医療機関が応急治療を行い、必要に応じて他の病院に転送する「一般受入・転送システム」導入の必要性を強調。
(2)では、救急医療における「トリアージ*」の必要性が指摘された。
(3)では、救急医療における医師など医療資源の不足から、「都民自らが『救急医療は重要な社会資源である』という認識を持ち、適切な受療行動を心がけることが重要」として、患者側の意識改革を提言。
*トリアージとは
一般に、災害時など多数の傷病者が一度に発生した際、搬送や治療の効率化のため、重症度に応じて治療の優先順位を決めること。

参考記事:「救急医療対策協議会報告について

医師不足などの問題で、救急患者の受け入れを拒否せざるをえない状況にある中、応急処置の場所を確保するというのは非常に有効なシステムであると考える。何よりも、搬送可能な病院を確保する救急救命士の負担が大きく軽減するのではないだろうか?薬とは関係ないが、興味深い記事だったので載せてみることにした。

2008/11/22

Saya's 薬学ニュース vol.14-薬剤師の労災認めず/「医薬品のネット販売規制、困ります」楽天が署名呼び掛け/海外医療ツアー、保険の適用も

薬剤師の労災認めず-東京地裁
2008/11/13 20:11   キャリアブレイン

[要訳&コメント]
青森労災病院(青森県八戸市)に勤めていた薬剤師三浦恵吾さん(当時39歳)の「過労自殺」をめぐり、妻の久美子さんが国に対して労災不支給の取り消しを求めた行政訴訟の判決は、「業務とうつ病の発症には、因果関係が認められない」などとして訴えを棄却された。
「うつ病をいつ発症したかという最大の争点について明確に認定しない不当判決だ」として、判決を見守った約40人の支援者らからは批判が相次いだ。(参照記事:争点を判断しない判決に批判相次ぐ-薬剤師の過労死裁判)

医師や看護師の過労死に関しては、うわさで耳にすることもあったが、やはり薬剤師も論外ではないというのがこの記事からわかる。それが過重労働であったのか、業務と心身の病気との因果関係の有無などの判断は非常に難しいものである事を認識させられる記事であった。今年10月東京高裁で棄却された小児科医の過労死に関する民事訴訟においても、行政訴訟の判決では「過重な業務とうつ病との因果関係」を認めたものの、民事訴訟の判決では、「うつ病と業務との因果関係が認められない」という正反対の判決が下されるなど、判断を下すことの難しさ再認識させられる。
身内をこのような辛い事情で亡くし、さらに辛い事態を掘り下げて戦わなければならない。そんな不幸な人をこれ以上増やさないためにも、医療従事者不足による過重労働などの根本の問題の解決に力を注いでほしいものである。

「医薬品のネット販売規制、困ります」楽天が署名呼び掛け
2008/11/13 20:52-INTERNET Watch
[要訳&コメント]
一般医薬品のネット販売を規制する厚生労働省の省令案について、修正を求めるための署名活動を開始した。。「楽天市場」の医薬品関連カテゴリー内に署名ページを開設し、消費者や事業者に賛同を求めている。

*参照記事:大衆薬ネット通販「禁止の根拠を」  医薬品販売の議論が足踏み 大衆薬のネット通販、規制撤回を

薬学ニュースNo.12で載せた)一般用医薬品(大衆薬・OTC医薬品)のネット販売を規制する法案に対し、ネット販売において主力である会社が黙ってはいないだろうと思っていた矢先に見つけた記事。消費者を味方につけようという戦略である。消費者の判断が明らかになる点では興味深い動きである。
ただし、この内容では「利便性の低下」に関する内容しか明記されておらず、なぜ法改正によってOTC医薬品の分類がなされるようになったか、という安全面でも記載はない。このままでは、「自分たちの利便性が国に侵される」という不信感から票が集まる気もするので、正しい情報提示にはなっていないように感じる。

海外医療ツアー、保険の適用も
2008年11月17日-Nikkei Business

[要訳&コメント]
医療にかかる費用が増加の一途をたどる米国では、多くの患者が治療のため海外渡航するようになっているという。米国とインドでの、ひざの手術にかかる費用で比較してみる。
・米国内での手術:4万5000ドルから5万ドル(約450~500万円)
・インドでの手術:1万ドル(約100万円)+航空運賃(往復)約1330ドル(約13万円)程度。
費用の差は歴然である。
米国には、手術を受けに他国へ出かける患者向けに割安な海外医療ツアーを提供している会社が存在する。医療ツアー会社が、海外の医療機関を選択する際の判断基準としているのは、米国の医療施設を評価・認定する米非営利機関、医療機関認定合同委員会(JCAHO)の国際部門ジョイント・コミッション・インターナショナル(JCI)による認定の有無だ。海外医療ツアーにより、安価に医療費を抑えられる利点はあるが、多くの保険会社が保険の適用対象としておらず、自己負担を強いられているのが現状である。また、医療被害があった場合に、法的措置が取りにくいことも事実である。
以上、保険と医療被害に関しリスクを伴う現状があるが、保険の適応に関しては現在保険の適応が徐々に増えてきているので、検討している人にとっては朗報である。

個人的に気になっている海外事情が、新たに見えてきた気がした。海外で治療をするケースは、米国だけでなく他の国でも実際に行われているという。しかし、特に医療費のバカ高いアメリカでは、このようなケースがあってもおかしくない、ということに気付かされる。高額の保険料の支払に悩まされ、保険不携帯の住民も多く、一度病気にかかっただけでも自己破産…ということもよく耳にする。そんな厳しい中でこのような救済措置があることは、少し希望の光が見えたようでうれしい話だ。
マイケルムーア監督の映画「Sicko(シッコ)」で出演していたような、「辞めてよかった」と断言する元保険会社社員を生んだのは、いったい誰(何)なのでだろうか。

2008/11/21

Saya's 薬学ニュース vol.13-国家試験や将来像などで議論/「薬剤師に採血や聴診器を」/「薬剤師余り」への対応策を議論/スギメディカルに富士バイオ治験部門など譲渡

最近では、日中の気温がマイナスを維持するようになってしまいました。朝起きると、二重の窓には氷の結晶がきれいに作られています。夕方近くになると0(ゼロ)℃程度まで上がってくるので、少しずつ解けていく雪の結晶を見ることができます。こんな体験ができるとは。。。雪の結晶、幻想的で昔から好きなんです♪

さて、今日の薬学ニュースは??

国家試験や将来像などで議論―医道審・薬剤師分科会が初会合
2008/11/13 21:39-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
薬剤師の行政処分や国家試験の実施方法などについて審議する医道審議会薬剤師分科会の初会合が開かれ、2006年に薬学部が6年制に移行したのに伴う、今後の国家試験の方向性や薬剤師の将来像などについて意見が交わされた。話し合われた点は以下の3点。
〈薬剤師国家試験に関して〉
・6年制に対応した新たな国家試験の実施年:H12年に実施する方向で検討中
・4年制卒の受験生への対応:6年制対象の試験と同じ内容で実施する予定
・新たな国家試験の合格発表の期日:現場の混乱を避けるため、年度をまたがないようにできるだけ早めていく方向で
〈薬剤師の行政処分に関して〉
・薬害などが起きた場合、全面的に薬剤師が責任をとれるような、スペシャリストの育成を目指していきたいとのこと。
「日本社会、そしてチーム医療の中で、薬剤師をどのように位置付けるかを見極めるべきだ」と強調した。

興味深い記事が掲載されました。6年制と4年制の学生が入り混じっている現在、6年制に対するカリキュラムさえも整っていないのが現状である。現学生(浪人生も含め)にとっても、4年制で卒業した薬剤師にとっても、気になる話題であるのは確かである。特に気になったのが「スペシャリストの育成」と最後の文章である。何をもってスペシャリストと言えるのだろうか?確かに薬学が起きたにもかかわらず、責任は国や医師。薬に関することであるのに、薬剤師という名前は全くもって出てきていなかった。薬に関して責任をとれずに、何に責任をとれるというのだろうか?
6年制のカリキュラムを決めていく中で、スペシャリストの育成を目指しているのであれば、最後の文章のように、どのような役割をスペシャリストとして担えるのか、位置づけをはっきりしないうちは何も語れないのではないだろうか。

「薬剤師に採血や聴診器を」
2008/06/12 21:24-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
2008年春の薬剤師国家試験の合格者が初めて1万人を超え、さらにこれからも増加が間違いない状況。「薬剤師余り」がすぐそこに見えている中で、「薬剤師の職能拡大」 に関する議論がなされた。その中で出た意見が、薬剤師にも「採血や聴診器によるヘルスチェックの権利」を与えては、というもの。
医師不足、看護師不足という状況の中で、チーム医療としてある程度薬剤師の裁量を増やし、条件付きで鎮痛剤などの限られた薬に対する処方権を与えるなど、その内容は大きなものである。
それに対し、現状を考えると6年制教育でそこまで教育することは厳しいが、志願者に対し新たに研修項目を設置し、認定薬剤師のような制度を作っては、という意見もでた。

ちょっと古い記事でしたが、スペシャリスト育成の一つの例として取り上げてみました。現に、カナダのアルバータ州では、認定薬剤師にのみ処方権が認められており、上記で議論されている内容を実際に行っている国もある。もちろん医師のように全ての医薬品に関して処方できるわけではなく、一部に限定はされているが、これは普段の薬剤師業務において医師の信頼を得てきている歴史があるからこそ、可能となった、いわば薬剤師が勝ち取ってきた権利なのである。役割を果たしていないのに権利ばかり主張はできないので、これらの内容を大きな目標として掲げ、まずは「薬を買うときは薬剤師に相談して」、「処方時に投与量設定が難しい患者が現れた場合は、薬剤師との相談で決定する」ということが日常茶飯事に起こるような状態にしていくことが、6年制教育の課題なのではないだろうか。

「薬剤師余り」への対応策を議論
2008/06/12 17:12- キャリアブレイン

[要訳&コメント]
厚生労働省の「第3回薬剤師需給の将来動向に関する検討会」が開かれ、増加する一方である薬剤師の職能に関して焦点を当てて話し合われた。
1つがセルフメデュケーションのキーパーソン。地域医療の担い手、最も身近な健康相談相手という考え方である。薬局やドラッグストアで健康診査なども可能にすることで、健康相談相手でもあり、地域の健康管理と維持に努めていくことが可能になる。
もう一つが、病棟での臨床薬剤師としての役割である。

スペシャリスト育成に関する、違った視点での記事も紹介したい。現在、健康ブームもあり、TVやインターネットであらゆる"健康ネタ"を用いで視聴者に大きな影響を与えている。時には、理論をおおげさに評価していたり、ないものをあるかのように言うことで、視聴者の中で健康被害が出ていることもある。そういった情報を、客観的に判断し、正確な情報を患者に与えることも、薬剤師として重要な役割のように思う。病気になった人が処方箋を持ってくるだけの薬局ではなく、処方箋がなくても、薬の購入のために薬剤師を訪ねて薬局に来る人が増えるよう、予防や未病に一躍買えるようスペシャリストの育成もよい目標となるのではないだろうか。

スギメディカルに富士バイオ治験部門など譲渡
2008/11/20 22:42-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
富士バイオは、非臨床事業やCRO(開発業務受託機関)事業、SMO(治験施設支援機関)事業を子会社と共に展開していたが、今回、この3事業がスギメディカルに譲渡されることになった。
スギメディカルは、調剤薬局、在宅医療、訪問看護を柱としてきたが、今回の事業譲渡を受け、他の治験関連企業や団体と連携しながら治験事業などへの参入を進めていくことになる。

調剤薬局や在宅医療をメインに行っていた会社が、治験に関する事業を展開する…あまりイメージのわかない話である。地域医療と治験をどのように結び付けていくのだろうか。薬局の顧客が治験に参加することもあるのだろうか?そうなると、薬局薬剤師の役割は?どう発展していくのか見ものである。

2008/11/20

Saya's 薬学ニュース vol.12-プロセッサ搭載のインテリジェントな薬を開発/飲み込めるカプセル内視鏡、日本で発売認可/大衆薬のネット通販、規制撤回を

Philips、プロセッサ搭載のインテリジェントな薬を開発
2008年11月12日 13時21分-ITmedia

[要訳&コメント]
「iPill」と命名された「インテリジェントカプセル」は、患者の体内の酸性度の変化をセンサーで感知し、自身が消化管内のどの位置にあるかを判断して、薬を必要な部位に放出できる近代的なカプセルであるという。
クローン病のような消化管疾患の治療薬を患部に直接投与すれば、投薬量を減らすことができ、副作用の軽減につながるとPhilipsは述べた。

カプセルの技術といえば、超小型カメラを内蔵するカプセルが体内を通る間に何枚もの画像を撮影する、というニュースを前に見たことがあるが、今回は投薬への応用がなされたようだ。薬の開発においては、標的となる部位だけに作用させる、ということが大きな課題である。必要な部位以外に作用することで起こるのが副作用だからだ。このカプセルのように、標的部位のみへの投与(放出)が可能になれば、抗がん剤治療にとっても大きな進歩である。少しでも厳しい副作用を軽減できるよう、患者の体にやさしい薬の開発がすすめられてほしいものだ。


オリンパスの飲み込めるカプセル内視鏡、日本で発売認可
2008年09月11日 16時10分-ITmedia

[要訳&コメント]
オリンパスメディカルシステムズは、錠剤のように飲み込める小腸用のカプセル型内視鏡について、厚生労働省から日本での製造販売認可を取得した。直径11ミリ、長さ26ミリのカプセル状。同製品は2005年10月から欧州、2007年10月から米国で販売している。

上記で話題になった超小型カメラを内蔵するカプセルの記事を見つけたので掲載しておこう。チューブを挿入せずに、錠剤サイズのカプセルを服用するだけでよいというのは、患者の不安を軽減するといった面でとてもありがたい。さて、この検査の金額はいくらになるだろうか。
 
大衆薬のネット通販、規制撤回を
2008/11/11 20:45-キャリアブレイン
 
[要訳&コメント]
厚労省が「一般用医薬品(大衆薬)のインターネットによる通信販売に対する規制を強化する方針*」を示しているのを受け、政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船会長)はこの方針の撤回を求める見解を公表した。、「ニーズがあるからこそネット販売が行われてきた」と強調し、明確な根拠なしに規制強化の方針を示す厚労省を厳しく批判した。
議論の論点は以下の数点だ。
・医薬品のネット通販を禁止する法的根拠(薬事法では禁止していないので、ネット販売は合法)
・消費者の利便性(ネット通販で扱われている大衆薬の7割近くが第二類医薬品。なかなか薬屋に行けないへき地の人たちはネット通販で大変助かっているのが現状。)
・医薬品の「対面販売」の原則がネット通販の規制の根拠になり得るか(ネット通販の主体には薬剤師の居る薬局が多いため、安全性の観点からも問題はないとの見方)
 
*一般用医薬品(大衆薬)のインターネットによる通信販売に対する規制
薬事法改正により、一般用医薬品(大衆薬・OTC医薬品)が第一~三類に分類され、これに合わせて厚労省は、ネット通販できる範囲を省令で規定することにした。
①リスクが最も大きい第一類医薬品:薬剤師による対応と、適正使用のための情報を販売時に書面で購入者に提供する義務あり。→ネット通販を認めない。
②第二類医薬品:薬剤師もしくは登録販売者による対面販売が原則で、書面による情報提供の努力義務の規定がある。→対面の原則が担保できない限り認めない。(事実上の禁止)
③第三類医薬品:薬剤師もしくは登録販売者による対面販売が原則だが、情報提供に関する規定がない。→ネット通販を認める。

※参照記事:大衆薬ネット通販「禁止の根拠を」  医薬品販売の議論が足踏み
 
法の改正には、いつも問題がつきものであるが、今回がそのよい例である。
確かに、今回新たに登録販売者という資格まで設け、さらにOTC医薬品の分類設定まで行ったのにも関わらず、ネット通販では何の規制もなく購入できる。という状況ではアンバランスな感じがしてしまう。しかし、インターネットに限っては、薬に限らずいくら規制を行ったところでも、あらゆる手段を使って規制を潜り抜けようとする人は出てくるものである。むしろ、「規制」「規制」と縛ることで変な犯罪やむやみに人の利便性を奪うことにもなる。もっと、購入者の自己責任を信じてもよいのではないだろうか。日本では、薬の承認にしても他国に比べてとても厳しく、薬によっては効くか効かないかのラインで用量を設定しているものもある。もっと周りを見てほしい。海外では、日本では処方箋がないと手に入らない薬もOTC医薬品として販売されており、薬局やドラッグストアに限らず、スーパなどでも販売が認められているし、薬局ではみな薬剤師に相談をしながらしっかり飲み方を守って服用しているではないか。ある程度購入者に自由を与えれば、自分で身を守る術を養うものである。勝手に飲んで健康被害にあうよりも、「飲む前に薬剤師に確認してから飲もう。」と自分から薬局に足を運ぶものである。
「禁止令」を出すならば、現在不透明である「ネット通販での医薬品販売による被害」の実際の数字を調査してからでも遅くないのではないだろうか。

2008/11/19

Saya's 薬学ニュース vol.11-糖尿病医療連携「継続的努力が必要」/レセプトオンライン請求の完全義務化、個別の判断は適当でない/HIV新規感染者が過去最多

最近栄養に興味が出てきたこともあり、NR(Nutritional Representative:栄養情報担当者)認定の資格について調べてみた。
2005年から開始されたもので、まだ多くの人が持っている資格ではない(約1,900名)。しかし、生活習慣病の罹患率が増加していることから、多くの人が"栄養"や"健康"に興味を持っているのは確かである。薬局でも、「最近TVで○○が△△に効くっていうのを観たんだけど…」という話を患者さんから耳にする薬剤師も多いのではないだろうか。ドラッグストア勤務の薬剤師に聞いたところ、"栄養"に関する質問は日常茶飯事であるとのこと。NRの資格勉強によって得た知識は、日々の勤務で有効に利用できるとの事だ。
どうやら、多くの会社で通信教育が可能のようであるし、これは一つ、挑戦してみる価値がありそうだ♪

薬剤師も、積極的に生活習慣病の予防や治療にあらゆる方面(薬だけでなく)から関わっていきたいものです。そんな風に思っている薬剤師も多いのでは?
興味のある人は以下のサイトへ☆
独立行政法人 国立健康・栄養研究所(http://www.nih.go.jp/eiken/index.html

糖尿病医療連携「継続的努力が必要」
2008/11/11 14:55-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
「東京都糖尿病医療連携講演会―地域での取り組み事例から学ぶ」で行われたディスカッションでは、今後、都内全域に拡大される糖尿病医療連携の課題について意見交換が行われた。以下、参加医師たちによる意見。
「数年ではうまくいかないと思う。少なくとも10年スパンで考える必要があり、継続的に努力する組織が必要」
「日常の予防や、早期発見などについてボトムアップする」
「合併症が進んできた患者に対し、さらに高度な医療を提供する」
「合併症が進んだ患者については、個別の対応になり、主治医と紹介先の医師との関係が大事になってくるので、普段から顔を合わせてしっかりと連携を取っていくことが必要になる」

この中で目にとまった意見がこれ。「糖尿病患者が多いので、医師だけではなく、コメディカルといかに力を合わせていくかが、医療連携を推進する一つのカギになるのではないか」
医師が、他の医療従事者達との連携により、糖尿病医療を克服していく考えを示したことはとても興味深い。さて、これに薬剤師が含まれているかどうかは定かではないが、含まれているとしたらそれはいったいどういった内容であろうか。
・薬のコンプライアンス?
・副作用の有無の確認?
そんなことは、他の疾患でも行っている内容である。では、糖尿病だからこそ協力し合える、薬剤師の役割とは?この答えを見出し、実行することが出来れば、"コメディカル"に参加する切符を得られるのではないだろうか。

レセプトオンライン請求の完全義務化、個別の判断は適当でない  厚労省答弁
2008/11/14 00:0-厚生政策情報センター

[要訳&コメント]
厚生労働省は、診療報酬のオンライン請求の完全義務化に関する質問に対する答弁書を公表した。H20年5月分の診療分について集計したところ、現在は以下のような状況だという。(社会保険診療報酬支払基金による集計結果)
〈オンライン請求を行った施設〉
医科病院:8708施設、医科診療所:7万5902施設、薬局:4万7060施設
〈オンラインでない方法で請求を行った施設〉
医科病院:123施設、医科診療所:1万2726施設、薬局:4558施設
また、アンケートを行ったところ、「実際にオンライン請求を行っている保険医療機関等の約6割が職員の業務負荷の軽減につながり、3割が病院経営の改善につながった」と回答していることから、個別の判断にゆだねず、すべての保険医療機関等がオンライン請求の対象とするよう答弁した。

オンライン請求への移行により、医療事務職員の業務負荷が軽減することに関しては、実際目にしていることから納得できる。このアンケート調査で、逆にオンライン請求による不都合点なども指摘されているはずであり、その点に関して、にオンライン請求義務化にする前に解決していただきたいものである。

HIV新規感染者が過去最多 感染・患者累計、初めて1万5000人超す
2008.11.19 18:38-産経新聞

[要訳&コメント]
今年7月~9月に新たに報告された国内のエイズウイルス(HIV)感染者数は294人で、4半期ベースで過去最多を更新したと発表した。今期で、昭和60年の報告開始以降、初めて感染者・患者数が1万5000人(薬害患者除く)を突破した。 新規のエイズ患者数は119人で、過去2番目に多かった。
そのうち、男性は282人(96%)と大半を占める。感染経路別では同性間性的接触が211人と最多で、ほとんどが男性だった。次いで異性間性的接触が54人となった。年齢別では30代が116人と最も多く、20代が83人と続いたが、40代以上の増加が目立った。

アメリカでも、エイズの感染は同性愛者によるものが多く、差別を受けてきた形になっているが、日本でもこれほどの割合で男性が多いのは個人的にも驚いた。ほとんどが異性間性的接触によるものと勘違いしていた私は、ある意味ショックな記事であった。だからといって(個人的に同性愛者を自然と受け入れている私にとっては)同性愛者を差別する気は全くないが、エイズ感染により互いに辛い未来を歩むことになるよりは、しっかりと検査を受けた上で愛を育んでほしい、と思わずにはいられない。

おまけ…エイズ(AIDS)
性やHIV、喫煙や薬物乱用 専門医の言葉に説得力 健康教育充実へ学校と連携
2008.9.24 07:47-産経新聞

[要訳&コメント]
性の問題や心の悩み、喫煙や薬物乱用など子供たちのさまざまな健康問題に対応しようと、専門医が学校に出向いて児童生徒向けの講演や教職員対象の研修を行うなど、学校と専門医が連携して健康教育を充実させる取り組みが進んでいる。以下の内容を始めて聞く学生たちは多いという。
・先進国では減少している新規患者数が、日本だけは増加が続いていること。
・かつては必ず死に至る病とされたが、複数の薬を組み合わせて使う多剤併用療法の開発によって、病気の進行が食い止められるようになり、いまでは慢性疾患の1つになったこと。
・とはいえ、薬をずっと飲み続けなければならず、1人の生涯治療費は約1億円かかること…。
・HIVの感染経路は性行為、輸血などの血液媒介、母子感染の3通りであり、握手をしたり、一緒にご飯を食べたり、蚊に刺されたり、咳(せき)やくしゃみなどでは感染しないこと。
・クラミジアなどの性感染症に感染しているとHIVに感染しやすくなること。

日本でのエイズ感染に関しては、"無知"による感染拡大が大きな要因と考えている。しかし、これらの内容を、若い世代(10代、20代)が知っているだけでも、今後自分の身の守り方、性行為に対する考え方なども少しずつ変わってくるのではないだろうか。単純なことであるが、今までなされなかったことにより、今の現状がある。気づいたとき対策を講じれば、まだ遅くはない。このような動きが全国で起こることを願って…

2008/11/17

Saya's 薬学ニュース vol.10-日本の用量では患者は救えない/こころとからだの相談室:医薬品の販売方法が変わるそうですが?/薬事法の規制緩和を目指す特区を提案-香川県NPO法人/Intel、在宅患者向け医療管理システム「Health Guide」を発表

日本の用量では患者は救えない
2008年11月7日-nikkei BPnet

[要訳&コメント]
日本と米国とでは用法・用量が大きく異なる例がある。特に重症の患者に対しては、米国流の大量投与が救命に必須となるケースは多い。「感染性心内膜炎*に対するペニシリンGの投与」例をあげて比較してみよう。
米:1日2000万単位を持続静注または4時間ごとに分割点滴静注
日:1回30万~60万単位を1日2~4回。「通常量より大量使用」が認められているが、用法が筋注のみで、点滴薬としての使用は承認されていない。
厚生労働省による承認段階では以上のように決められているが、実際のところこの用法・用量どおりに使用されていないとのこと。

日本の厚労省は、薬の承認に対し一般的に厳しいという見方がある。これは、害を最小限とし少ないながらも益を得ようという、とても日本人らしい考え方である。もちろん、欧米人と比較して体系も遺伝子も大きく異なることから、欧米のデータをそのまま使うことは出来ないというのは確かである。しかし、治療において一番大切なのは患者を良い方向へと導くこと。患者を助けたい、という思いと、規則を守らなければならない、という思いの板挟みになっているのは医師なのではないだろうか。そんな医師におんぶに抱っこにならないよう、薬に関しては的確なアドバイスを出せるように、日頃から文献などを読んだり、世界で行われている治療に関しても目を向ける必要があることを、この記事から学んだ気がした。

*感染性心内膜症とは?
感染性心内膜炎は、心臓の内側を覆う膜(心内膜)および心臓弁に生じる感染症。 症状が、他の感染症とあまり変わりがないため、診断が難しいとされている。
原因:細菌(または頻度は少ないが、真菌)が、血流中から侵入して心臓弁にとどまり、心内膜に感染することで炎症を起こす。通常正常な血液中に最近は認められないが、傷口などから侵入することもある。
症状
・急性:38.9〜40℃の高熱、頻脈、疲労感など
・亜急性:疲労感、37.2〜38.3℃の軽度の熱、中等度の頻脈、体重減少、発汗、赤血球数の減少(貧血)など

こころとからだの相談室:医薬品の販売方法が変わるそうですが?
2008年11月10日-毎日新聞

[要訳&コメント]
Q:薬局で購入した薬のパッケージに、【第1類医薬品】という表示がありました。以前はなかったと思うのですが、どういう意味でしょうか?
A:平成20年4月よりリスク(副作用など)の程度に応じて3つのグループに分類されました。
新たな制度では、リスクが高い第1類医薬品は、必ず薬剤師が説明したうえで販売することになります。一方、リスクの比較的低い第2類医薬品・第3類医薬品については、薬剤師だけでなく、「登録販売者」という新たな専門家が適切な情報提供や相談対応をすることで、販売できるようになります(表)。
第1類医薬品は、これまで医師の処方せんに基づいて医療用医薬品として使われていた成分を含むものがほとんどです。効き目のよい分、副作用などにもより慎重に注意する必要があります。第1類医薬品は必ず薬剤師にご相談のうえ、ご購入ください。

薬事法の規制緩和を目指す特区を提案-香川県NPO法人
2008年11月14日-nikkei BPnet

[要訳&コメント]
現在の薬事法では、特定保健用食品(トクホ)を除いて、素材の機能性などを食品に表示することはできない。そのため、機能性食品を開発する多くの企業が、“薬事法の壁”に苦労している。トクホの許可取得などは、人での臨床試験なども含め億単位の資金が必要だからである。一方、薬事法で認められた成分以外にも、食品の中には機能性などにおいて明確なエビデンスを確立しているものもあるため、そういった製品に対し「機能性食品において配合素材の機能性やエビデンスなどの表示を許可する」構造改革特区の提案を内閣府に申請したという。

私がお世話になった研究室でも、化粧品などの開発に励んでおり、今回ハンドクリームの販売スタートした。この製品も、自分たちで人体実験をしたところ、あらゆる不都合点を改善したことから、効能効果をうたえるほどの製品であることが判明。しかし、トクホ申請するには莫大な費用と月日がかかることから、医薬部外品としての販売をかいしさせた。“薬剤師法の壁”は想像以上に大きいようだ。
そのようなケースを見ているからこそ、上記の申請に関しては賛成であるが、気をつけたいのは「効能効果や機能性」がやたらと表示されるようになると、消費者の混乱を招くということである。
その中で、薬剤師が表示されているエビデンスを正しく読み取り、患者さんに的確なアドバイスと適正な製品を選択して差し上げることにより、薬剤師の新しい役割が見出せるのではないだろうか。

おまけ…在宅医療に関して
Intel、在宅患者向け医療管理システム「Health Guide」を発表
2008年11月11日 08時10分-ITmedia

[要訳&コメント]
Intelは、医療機関が遠隔から慢性疾患を持つ患者や高齢者の健康状態を監視し、患者に病状説明やアドバイスを送信できるシステムの予備実験を開始する。
患者の血圧や心拍数のデータ管理、処方せんや医師の診察などを患者に知らせる通知機能、患者と医療機関との通信ツールを含むインタラクティブなツールを提供。医療機関は患者の症状を常に把握でき、患者は自宅にいながら症状について問い合わせることができる。

最近では「テレビ電話」の技術がかなり進化し、誰もが"無料"で使える時代となった。声だけでなく、顔を見ると妙に安心するもので、海外と日本とのやり取りにも関わらず、あたかも相手がすぐそばにいる感覚にさえ陥ってしまうから不思議である。これを医療に応用することで、在宅医療で「何かあったら…」と不安を抱えている患者の"安心"を得られるかもしれない。
これを薬学の背景で捉えたらどうだろう?薬の質問においても、「このOTC薬は飲んでも大丈夫?」という質問があった場合など、そのパッケージなどを視覚でとらえられる事などが可能だ。また、電話ではどうしても相手の顔が見えない分、誤解などを招くこともあるが、TVを通して薬剤師が笑顔で答えるだけでも、薬局での服薬指導と同等の効果を得られるのではないだろうか。

2008/11/14

Saya's 薬学ニュース vol.9-米国、小児への治療薬処方が増加 糖尿病治療薬は4年で2倍に/ドリアンの皮から重金属排出薬開発に成功/パナソニック、医療現場のニーズに応えるヘルスケア向けTOUGHBOOK/それって病気?若者に流行の「プチうつ」

米国、小児への治療薬処方が増加 糖尿病治療薬は4年で2倍に
2008年11月04日 17:37-AFPBB News

[要訳&コメント]
米国では、慢性疾患にかかった小児における糖尿病治療薬の処方が2002-05年の間に倍増しているという。
5歳から19歳までの2型糖尿病患者に対する投薬治療では、上記の3年間の中で、特に女子が147%増と、男子の38.7%を大きく上回っている。その他ぜんそくや注意力欠如障害や多動性障害への処方も40%増となっており(高コレステロール治療も15%増)、これらの疾病では男子の患者が女子の3倍に上っている。
これらの要因として、「慢性疾患の危険因子の増加や小児への早期投薬治療に対する関心の高まりなどが挙げられる。

2008/11/06 08:15-マレーシアナビ - クアラルンプール,クアラルンプール,Malaysia

[要訳&コメント]
マレーシアでは、ドリアンの皮から抽出した成分で体内の重金属を取り除くことのできる薬の開発に成功した、と発表した。この薬は「ドリアンペクチン変化物質(MDRP)」と名づけられており、体内に蓄積した鉛・水銀・ヒ素などの重金属と結びついて排出を促す機能があるという。粉末状になっており、水やジュースと混ぜて摂取することができる。
環境汚染が進み、体内への重金属の蓄積は▽腎臓▽生殖器▽肝臓▽脳▽神経系——などの疾患の原因になっていると指摘。癌細胞の変異を防ぐ効果についても研究をつづけているとのこと。

果物の王様、ドリアン。くさくておいしい果物と言ったら誰もが思い浮かべる果物ではないだろうか?この薬は、自然由来ということがまた良い点である。体にも自然にもやさしい薬と言えるのではないだろうか。
この記事を読んでいてふと思い出した友達から聞いた話の中で、検診などでたまたま医師に診てもらった時に、高値の水銀が体内に蓄積されていたことが発覚した人がいる。放っておけば腎臓の機能に影響を及ぼすほどの状態で、すぐに除去処置を行い、なんとか今は普段の生活に戻っている。原因まで詳しく聞かなかったが、このように重金属の蓄積が進んでいる人も中にはいるのではいだろうか?重金属の除去には高い治療費がかかるらしく、家計にも負担がかかるので、このような治療法が見つかったことは喜ばしいことのように思う。同時に、検診でしっかり自分の体をチェックすることも重要であることを学んだ。

2008/11/06 18:28 -Enterprise Watch

[要訳&コメント]
医療現場特有の使用環境やニーズに対応できるよう、耐衝撃/耐落下設計とファンレス設計による水やホコリの侵入を防ぐ防塵/防滴性に加え、アルコールや次亜塩素酸などの薬品に対する耐性を備えるパソコンが2009年3月10日にパナソニックから新たに販売される予定だ。
以上の利点を考えると、病院での活用は有効であるが、個人的に、薬局にとってはさほど魅力的と言えるような製品ではない。ただし、今回記事として取り上げたのは、「薬剤のチェック」などにも活用されていることを知ったからである。以前からも、薬剤の投与ミスで医療訴訟などが起きたりと、入院患者への投薬ミスなどはすでに起きていることである。どんなに努力をしてもゼロにすることができない、このヒューマンエラーを減らす方法として、このような機械が取り入れられることは、有効な手段の一つではないかと思う。現に、以下の数字が表れているので示しておく。
「患者の手首に巻いたバーコードや、薬剤自体に取り付けたRFIDなどを読み取ることが可能で、これにより米国の検証では投薬ミスが30%減少したという。」
3月からの販売開始に伴い、いかに病院内で有効に活用されるかが見ものである。
 
おまけ…
MSNヘルスケアライブラリ
[要訳&コメント]
今若者に多い「プチうつ」。職場で嫌なことがあったり仕事で挫折したりすると、「うつなので、診断書を書いてください」とやって来るそうです。しかし、こういったタイプは落ち込みの原因もはっきりしており、
「葛藤回避型うつ病」「逃避型うつ病」と呼ばれるもので、抗うつ薬などは効果がありません。もし、何人もの医師を受診し、すべての医師に「あなたは病気ではありませんよ」と言われたら、それはうつ病ではありません。病気に逃げず、現実をしっかり受け止め、乗り越える強さを持ってください。
うつの原因として現在有力なのは、「セロトニン仮説」(脳内神経伝達物質であるセロトニンの減少)だといわれています。セロトニンの前駆体は、トリプトファンというアミノ酸です。トリプトファンの形で脳内に入り、それが変化してセロトニンになるため、ネットで高額で販売しているセロトニンそのものを服用しても、うつにはまったく有効ではありません。
トリプトファン自体は、体内で作れないので食物から摂取する必要があります。(肉類)また、青魚に含まれるEPAやDHAなどもうつに効果があるという説もあります。
*うつ病治療が長引く人に朗報
自立支援医療(精神通院医療)を利用することで、自己負担を1割に抑えられます。申請には保健所などで1年に1度更新申請を行っていただき、その際医師の診断書が必要になります。
 
〈抗うつ薬分類〉 ※抗うつ薬を詳しく知りたいという人のために載せておきます。
【三環系・四環系の抗うつ剤】
うつ病治療の古典的な抗うつ薬です。三環系・四環系の違いは、薬の分子構造の違いです。古典的な薬代がもっとも安く、1日3~4回服用しても100円/1日程度です(健康保険ではその3割負担)。飲み始めてから効果が表れるまでに三環系が2~3週間かかるのに対し、四環系は1~2週間程度で効果が出ます。
●副作用(最も多い):口の渇き、吐き気、眠気、便秘〈抗コリン作用によるもの〉
●主な商品名
トフラニール(三環系)・トリプタニール(三環系)・ルジオミール(四環系)・テトラミド(四環系)など
 
【SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)】
選択的セロトニン再取り込み阻害薬。セロトニンだけを選び、再取り込みを抑制する抗うつ薬の一種です。シナプスのセロトニンの再吸収に働きかけることで、うつ症状の改善を目指す薬です。古典的な抗うつ薬に比べ、副作用が少ないメリットがあります。薬代は1日3~4回の服用で500円/1日程度(健康保険ではその3割負担)。
●適応外使用:PTSD、月経前不快気分障害、摂食障害、全般性障害、社会恐怖、疼痛、疼痛性障害など神経症疾患 と広い分野で利用されている。
●副作用(三環系・四環系より少ない):口の渇き、吐き気、眠気、便秘
●離脱症状注意*(パキシル):減らすときは少しずつの減量が必要!
●主な商品名
パキシル・ジェイゾロフト・ルボックス など
*離脱症状:パキシルを急に中止したり減量することで起きる症状-めまい、ふらつき、嘔気・嘔吐、倦怠感、頭痛、不安定歩行、不眠、抑うつ感の増悪、焦燥など。
再度服用を開始することで、症状は軽減。
〈理論for Pharmacists〉SSRIは℃の薬剤も半減期が短く、特にパキシル(パロキセチン)のみが非線形の薬剤で、離脱症状(退薬症状)が現れやすい。高用量服用している患者さんほど、その症状は強く出ます。
【SNRI(Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors)】
セロトニンとノルアドレナリン再取り込み阻害薬。SSRIと同じ世代の抗うつ薬です。興奮神経を刺激して、やる気や気分を向上させる効果を発揮します。薬代は、SSRIと同様、1日3~4回の服用で500円/1日程度(健康保険ではその3割負担)です。
●副作用(三環系・四環系より少ない。1~2週間で軽減):口の渇き、吐き気、眠気、便秘
●主な商品名
トレドミン など
※これらの抗うつ薬は、聞いてくるまで2週間程度かかることがありますので、根気強く飲み続けてください。また、自分はもう大丈夫、と思って服用を中止すると、再度うつ病の症状が強く出てくることがあります。抗うつ薬とうまく付き合っていくことが、うつ病治療には欠かせないのです。
たいてい、服用継続期間は症状が改善してから6か月前後です。初めてうつ病にかかったか、再発のものかどうかによって多少前後します。早めにやめてしまうと、50%の確率で再発が起こる可能性があります。

2008/11/13

Saya's 薬学ニュース vol.8-30代男性のニオイ解明 ライオンが体臭抑える商品発売へ/FDAがうつ病治療用の磁気装置を認可/赤ワイン含有成分まねた薬、肥満などに効果ある可能性

カナダのエドモントンでは、地面一面が真っ白になる雪が降りました。
朝起きてみると外は銀色の世界★素敵ですね♪
まだ気温がマイナスでも1~5℃程度で、最高気温が0℃を超えるため、積もった雪はどんどん溶けていってしまいますが、これが冬本番を迎えると気温の低さのため(0℃をこえない)雪が氷になって解けなくなります。そうなると危険のようですので、万全な準備が必要です!

30代男性のニオイ解明 ライオンが体臭抑える商品発売へ
2008.11.13 23:22-産経ニュース

[要訳&コメント]
30代男性特有の体臭の原因は、使い古した食用油に似たにおいを発する「ペラルゴン酸」であることを解明したと発表した。来春をめどに、ライオンから新たなデオドラント商品が発売されるという。

男性にとっては朗報なのではないでしょうか?ネット販売でも体臭に効く石鹸などが販売されていますが、果たしてその効果は?原因の成分がわかれば、科学的に説明がつくので期待できそうですね。

FDAがうつ病治療用の磁気装置を認可
2008.11.4-Dr.赤ひげ.com

[要訳&コメント]
米食品医薬品局(FDA)は、うつ病の治療に用いる非侵襲性の脳刺激装置(noninvasive brain stimulator)を初めて認可した。
この装置は最初の抗うつ薬治療で軽減がみられなかった患者に対し、多剤併用以外の治療の選択肢を提供するものであるという。外科手術による電極の埋め込みや、最終手段とされるショック療法のようなリスクをもたらすこともないという。しかし、この治療は少し高価なのが難点。(治療回数によるが約59万~98万円)
装置商品名:「NeuroStar」
性質:頭蓋骨を通して磁気パルスを発することにより、脳細胞の興奮を促す微小な電荷を発生

高価であることが難点であるが、うつ病治療の新たな選択肢の提案としては、とても有効ではないだろうか。この治療を行うことで自殺企図率も減るというのだから、自殺者数に歯止めをかける手段としても期待ができるのではないだろうか。ただし、初めての試みであるため、今後治療対象者を増やしていく中で新たな問題が発見されていくこともあるだろう。非侵襲性であるとはいえ、脳に刺激を送るということは必要でない脳にも反応をきたす可能性もある。その部分を掘り下げて知らせてほしいものである。
 
2008年 11月 5日 13:31-ロイター
[要訳&コメント]
ブドウや赤ワインに豊富に含まれる成分[レスベラトロール]に、肥満や糖尿病対策として役立つ可能性があると、研究チームが4日明かした。この成分は、体内にある脂肪を燃焼したりするような酵素を活性化する効果があるとのこと。この酵素は、ジムに行って運動したりする際に活性化される酵素だという。
赤ワインですか…個人的には白ワインが好きで毎日飲んでいるから、できれば白ワインにその効果があってほしかった…と人生そううまくはいきません(笑)赤ワインやブドウには、老化を防止することで有名なポリフェノールを多く含んでいたり、と良い噂を聞くけれど、白ワインはどうなのでしょう?
そんな白ワイン愛好家にも朗報です★以下のような効果があるといわれています。
【白ワインの効果】
-殺菌効果:pH値が低いため抗菌作用をもつ。「魚料理と白ワイン」の由来でもあるように、赤痢菌、サルモ ネラ菌、大腸菌などの食中毒菌に有効。
-新陳代謝UP:カリウム(K)を多く含むことから、Kの利尿作用により、新陳代謝が活発になる。Kには、血圧の上昇を抑える効果も★
-骨粗鬆症予防:カルシウム(Ca)とマグネシュウム(Mg)をバランスよく含むことから、骨粗鬆症を防ぐ可能性も★
-痴呆防止:神経伝達物質や記憶に関係する物質を分解する酵素の働きを妨げる物質を持つ。
-ポリフェノール含有:ポリフェノールの量は赤ワインの方が多いが、長い期間飲んでいると白ワインでも効果に大差はないといわれている。
-「お酒は百薬の長」:ほどほどのお酒(1日1~2杯)であれば、お酒をたしなむ人のほうが長生きするとか♪(白ワインの効能ではありませんが・・・)

なので、お酒は楽しんで飲まなければ意味がない!何でも飲みすぎず、好きなものをほどほどに楽しむことで人生のQOLもUPするわけです♪ってこじつけ?
 
おまけ…「在宅介護」の動き
2008-11-5 12:30:00 -ケアマネジメント オンライン

[要訳&コメント]
社会保障国民会議では、医療・介護の社会保障機能強化について、医療の機能分化を進めて急性期医療に人的、物的資源を集中投入し、入院期間を短縮して早期の社会復帰を実現することが提案されている。同時に在宅における医療・介護を大幅に充実させ、地域での包括的なケアシステムを構築することにより、利用者のQOL(生活の質)の向上を目指すとしている。
一方で、以上の事を行っていく上で十数兆円という資金が必要になると見積もられているが、財源確保の具体的な施策は明記されていないのが現状だ。
 
 
 
 
【現状】
・在宅サービスメニュー、量の不足
・居住系整備不足
<人口5万人の場合>
 
 
  
 
  
【2025年の姿】
・できる限り住み慣れた地域で暮らし続ける
・自らの希望と選択でよりよいサービスを受けることができる
・施設・居住系サービスをスウェーデン並みに拡充
・24時間対応など多様な在宅サービス
・施設も地域に密着した小規模化、ユニットケア

2008/11/12

Saya's 薬学ニュース vol.7-アスピリンや抗酸化物質には心臓発作などの一次予防効果なし/ピロリ菌が食道癌(がん)を予防する/ある日突然、強い恐怖に襲われる「パニック障害」

アスピリンや抗酸化物質には心臓発作などの一次予防効果なし
2008/10/27-Dr.赤ひげ.com

[要訳&コメント]
糖尿病や末梢動脈疾患(PAD)を有する高リスク患者において、アスピリンの服用は心臓発作や脳卒中の発症リスクの低減をもたらせないことが、新しい研究で明らかにされた。そのほかの研究でも、一次予防については6つの研究で一致して否定的な結果が出ているという。心血管障害を起こしたことのない患者に対しても、アスピリンが勧められてきたが、この勧告を変更する必要があると同誌の論説で指摘。心疾患のない人はアスピリンによる利益よりも出血リスクが上回るとHiatt氏は述べている。
※すでに心臓発作または脳卒中を起こした人の二次(再発)予防としては間違いなく有効である。(研究でも明らか)

今まで、心疾患や末梢動脈疾患を有する患者の抗血栓作用として、当たり前のようにアスピリンが使用されていたが、実はそれらを有効とするエビデンスはないというから驚いた。今までの常識を覆す研究の結果と言えるだろう。薬剤師としても、「二次予防としては有効性が認められているが、一次予防としての有効性にはエビデンスがない」ということを知っておく必要がある。


ピロリ菌が食道癌(がん)を予防する
2008/10/27-Dr.赤ひげ.com


[要訳&コメント]
世界人口の約半数がもっているといわれるヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)に、一部の食道癌(がん)を防ぐ作用のあることが新しい研究で示された。ピロリ菌のCag A遺伝子陽性株を有する人は、食道腺癌になる比率が約半分であるという。
これは、以下の機序によって起こるとされる。
①ヘリコバクター・ピロリ菌が胃酸の産生を低下させることによって食道への酸逆流を抑え、腺癌リスク②胃から分泌され食欲を刺激するホルモンであるグレリンghrelinの産生を低下させる。→肥満の軽減による。

ピロリ菌と聞くといいイメージを持つことはなかったが、この他にも下痢や喘息を減少させる効果があるかもしれない、というのだからとても興味深い。ただし、これらの効果があるとは言ってもピロリ菌はピロリ菌。しっかり除菌をしないと胃潰瘍などのリスクも高まるため除菌療法は怠らずにしっかり完了させてもらいたい。除菌療法で最も重要なのは、しっかりと飲み忘れなく服用しきること。当たり前のことであるがこれが守れれば、ほぼ90%の確率で除菌は成功するのである。

ある日突然、強い恐怖に襲われる「パニック障害」
MSN女性のヘルスケアライブラリ

[要訳&コメント]
私たちが日常経験する「パニック状態」と「パニック障害」とはまた異なるもの。「パニック状態」の場合はそうした状況に陥る“原因”がはっきりとしているが、パニック障害の場合ではそれがない。
〈パニック障害に特徴的な発作の症状〉
■ 胸がドキドキする・冷や汗をかく・身体や手足の震え
■ 呼吸が速くなる、息苦しい、息が詰まる
■ 胸の痛みや不快感 ・吐き気、腹部の嫌な感じ
■ めまい、ふらつき ・非現実感、自分が自分でない感じ
■ 狂ってしまうのではという恐怖、死への恐怖
パニック障害の原因としては最近、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」「ノルアドレナリン」のバランスが乱れることにより、脳から体への指令や情報伝達がうまくいかず、発作が発症するのではと考えられている。そのため内科で心臓や呼吸器の検査をしても、異常が見つからないというわけだ。
抗うつ薬などで不安を抑え、行動療法(苦手な場所などに慣れさせることで、不安や恐怖を感じなくさせる方法)などで完治させることが可能とされている。

パニック障害という言葉は前から聞いたことはあったが、実態について知らなかったので良い勉強となった。「パニック」という言葉が、普段使われている「パニック」とは違う意味であることを知ったのは良い機会となった。未だに私と同じように誤解している人がいると思われるので、正しい知識を持つことは医療者だけでなく、一般の人達もいざ自分の周りの人がパニック障害にかかった、という際に知っておく必要がある。
パニック障害に使われる薬として、SSRIやSNRIが用いられるという。下記に代表的な薬剤を示しておく。
SSRI:副作用=吐き気・眠気・口の渇き・便秘etc
-デプロメール・ルボックス(フルボキサミン)
-パキシル(パロキセチン):減らすときは少しずつの減量が必要!(離脱症状)
-ジェイゾロフト(セルトラリン):他のSSRIに比べて副作用が少ないのが特徴。パキシルで起こるような離脱症状も少ない。SSRIの中でもっとも使用されている薬。
SNRI:=SSRIと同様の副作用があるが、服用開始1~2週間で軽減。
-トレドミン(ミルナシプラン):少量から服用スタート。他の抗不安薬と併用されることが多い。

2008/11/11

Saya's 薬学ニュース vol.6-新型抗HIV薬の臨床試験、結果はより効果的/WHO「エイズによる死者は2012年をピークに減少」/佐藤製薬、ウルソデオキシコール酸など配合の総合胃腸薬「ハイウルソグリーンS」を発売

AFPBB News新型抗HIV薬の臨床試験、結果はより効果的
2008年10月28日 04:36-AFPBB News(c)AFP/Ronaldo Schemidt

米医薬品大手メルク(Merck)の研究チームは26日、新型抗エイズウイルス(HIV)薬アイセントレス(Isentress)が、未治療患者の間でHIV感染が拡大するのをよりよく抑制できるとする臨床試験の結果を発表した。 ...

[要訳&コメント]
新型の抗HIVウィルス薬が最終臨床試験段階での有効性の有無を発表した。まだ承認までに至っていないが、この薬が承認されることでHIVウィルスの蔓延を防ぐ新たな可能性が出てくる。また、同社が出した他の抗HIVウィルス薬に比べ、副作用発現率が少なかった(77%→44%)ことも報告されている。
一般名:アイセントレス(Isentress)
企業:メルク
臨床試験段階での効果:アイセントレスは被験者の86%において、HIVの量を検出不可能な水準まで減少させた。
先進国の中でエイズ感染者数が増加している国は、日本だけだと言われている。
従来の性教育に対する抵抗から、教育課程で学ぶ機会が少ないこともあり、無知な若者の中でコンドームの不使用、容易な考えからの性行為が増加し、同時に感染者数も増加を続けている。
また、日本では「エイズ感染=恥ずかしいこと」 という見方も未だに強く、周りに相談できなかったり、身内にばれることを恐れて保険証を使用する上での治療を拒むケースも多いという。保険適応なしでの治療は高額を有し、若者の収入だけでは治療を継続していくことも難しのが現状だ。
エイズ感染の場合、自覚症状として現れないことが多いため、感染していることに気付いていない人も多い。その人たちが性行為を続けたらどうなるだろうか…
自分の身を守るためにも、コンドームの使用は徹底し、保健所などで受けられる無料の検査にも積極的に参加してほしい。早めに発見できれば回復も早い。自分の身を守れるのは自分だけであることを、再認識していただきたい。

2008年10月28日 01:02-AFPBB News(c)AFP/Ronaldo Schemidt

[要訳&コメント]
WHOは、HIV/AIDSによる死者数が今後5年で過去最高となるとの見通しを示す一方で、2030年までには現在の水準より減少するだろう」と予測している。08年の死者数は220万人、ピークの12年には240万人、30年には120万人に減少する。これは、以前WHOが予測した値よりも低くなるとの事だ。これは、新たな薬の開発により死者数を減少させている事も手伝っているのだろうか。
2008年10月27日-マイライフ手帳@ニュース (プレスリリース)

[要訳&コメント]
ウルソデオキシコール酸などをバランスよく配合した総合胃腸薬「ハイウルソグリーンS」が佐藤製薬からOTC医薬品として発売開始された。
製品名:「ハイウルソグリーンS」
成分名:ウルソデオキシコール酸、ビオヂアスターゼ1000、プロザイム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、ウコン末、ロートエキス 等
包装単位と金額(税込):12包 840円/30包 1,575円
会社:佐藤製薬
【ハイウルソグリーンSの特徴】
・ウコン末など7種類の健胃生薬を配合。
・ウルソデオキシコール酸と2つの消化酵素が消化を促進します。
・胃酸の分泌を抑制するロートエキスと2つの制酸剤が胃の痛みをやわらげます。

胃もたれや胃痛、消化不良にも広い範囲で服用できる総合胃腸薬ではあるが、H2ブロッカーなどは配合されていないので胃痛への作用はH2ブロッカー配合薬よりも弱いと考えられる。ウルソデオキシコール酸が配合されていることもあり、胃痛よりも消化不良の患者さんにお勧めできる内容である。

2008/11/09

Saya's 薬学ニュース vol.5〈増刊号〉-海外で話題の「トランス・ファット」(=プラスチック食品、狂った油)って一体?

カナダのエドモントンでは冬本番ということで、零下は当り前となり少しずつ雪もぱらつき始めました。
冬支度ということで、今日は冬用のウォーキングブーツを購入しました。一冬だけのことだけれど、これも零下30~40になるエドモントンで冬を生き延びるための必需品ということで、持ってれば一安心です★

さて、今日はスーパーの表示で気になったある成分の実態について、増刊号として紹介します。
「トランス・ファット」って日本ではあまり見かけない言葉かもしれません。
そうです、日本では表示義務などの規制がとられていない成分なのです。でも、これを摂り続けていくと…思いもよらない障害がおこるという研究結果があり、アメリカやカナダ、その他ヨーロッパなどで規制や表示義務などの対応がなされています。
それでは、その実態についてみていきましょう。
※以下の文章は、あるWebサイトを簡単にまとめたもので、営利目的で使用するものではありません。
http://www.burgarine.com/transfat.html

-トランスファット=別名「プラスチック食品」「狂った油」
と呼ばれていて、体にはあまりよくない油のようです。
なんでよくないかというと、マーガリンを想像していただければ簡単です。
マーガリンが植物油からできてるのに、なんで固形なの?と思ったことはありませんか?
普通、動物油(ラード・バター等)は常温で固体ですが、
植物油(サラダ油・オリーブオイル等)は液体ですよね。
それを固体にするには何かが入ってるわけです。
それがトランスファットで、化学処理を(水素添加)して分子構造を変化することで固体にしてるそうです。
この化学処理をすることで、防腐剤を添加しなくても日持ちさせることができるとか。
防腐剤が入ってないからといって安心してはいけません!

-トランスファットが体に引き起こす影響
1)心臓病のリスク増加
①肝臓に悪影響を及ぼし
②血液中の悪玉コレステロールの増加
③血液中の善玉コレステロールの減少を促進
→2倍の確率で心臓病のリスクが高まるといわれています。

2)老齢化増進
①トランスファットの構造から
②体内で酸化が促進され
→早く年をとる。ボケやすくなる。老化現象は体内の酸化減少により組織が壊されていくものです。

3)発がん率増加
①自然にできたものではないので、体内で壊すこともできず蓄積。同時に酸化も引き起こすので
→発がん物質になり得る

4)クローン病罹患率の増加?
クローン病は腸の慢性炎症疾患の難病です。
腸管壁の細胞が壊れるために異物が腸から侵入、
炎症反応で腸壁に潰瘍ができる事が原因の一つと言われています。
原因不明とされていますが、トランスファットを疑う識者も少なくありません。

-日本で表示がないのは?
欧米に比べトランス油脂の摂取量が少なく(米の1/5程度)、
トランスファットの影響を低減させるリノール酸の摂取が多い(トランスファットの7倍)こともあり、
そこまで害はないと考えられているからだそうです。
しかし、海外から食品を輸入したり、食文化が欧米化している今
日本も完全に"大丈夫"とは言えない気がします。

-トランスファットを含む食品
・マーガリン
・ショートニング(パンや菓子の原料の練り込み用の固体化した植物油脂。無味無臭。ほぼ油脂100%))
・植物油 (一般的な精製する過程で高い熱を加える為、一部がトランスファットに変化)・コーヒーフレッシュ (固体化した植物油脂を乳化剤で水に溶かしたものがコーヒーフレッシュです)
・パン、菓子パン
・ケーキ
・クッキー、クラッカー、スナック菓子
・チョコレート菓子
・アイスクリーム
・コロッケ、天ぷらなどの揚げ物惣菜
・フライドチキン、フライドポテト
・ファーストフード、ファミリーレストランの調理
・カレー・シチューのルウ

※日本で表示名が「植物油」「植物油脂」「植物性油脂」「加工油脂」などの場合も、
現状ではほとんどがトランスファットを含むと考えるべきだそうです。
※「無添加マーガリン」「無添加ショートニング」として販売している商品は、
トランスファットではなく、酸化防止剤や香料を無添加、という意味なので注意が必要です。

※これらの用語はすべて同じものをさします。表示確認の参考にしてください。
「トランスファット」「トランス型脂肪酸」「Trans Fat Acid」「TFA」

-+α
["無添加"表示の落とし穴-"キャリーオーバー"って知ってますか?]
加工食品などの表示で、"無添加"という文字を見て安心するのは早いそうです。
加工する段階で添加物を使わなければ、その原料に使われている添加物に何が入っていようと
表示の義務はないようです。それを"キャリーオーバー"というそうです。
Webの中で紹介されていた例は、「だし醤油」で
原材料に記載する義務があるのは、しょうゆとカツオですが、
その使った醤油にもし添加物が含まれていても、
原材料に関する表示の義務がないので"無添加"と記載できるようです。

[面白い話]
ある人の話で、マーガリンの一かけらを常温で窓際に置いたところ、
2年間カビも雑菌も何も繁殖せずに、ただホコリをかぶっただけだった。。。
→これが意味することは、マーガリンがプラスチックと同じであるということ。
分子レベルで構造を見てみると、プラスチックの構造とほとんど同じだそうです。
フライドポテトでも同じ現象が起こったようです...恐ろしい。。。

2008/11/08

Saya's 薬学ニュース vol.5-叱るより真因を追究、対策べからず集/NTTデータとNECがレセプト請求のオンライン化事業で協業、中小病院攻略へ/レセプトオンライン請求サービスを発売―ユーセン

今日は最近興味のある栄養分野で、ある成分について調べてみました。
それは「トランス・ファット」。カナダのスーパーでもたまに見かける表記。普通のファット(脂肪)と何が違うのでしょうか?「トランス・ファット」=「プラスチック食品」「狂った油」と呼ばれる所以は??
増刊号で載せてるので気になる方はそちらへ♪

さて、今日もとんでもないニュースが紹介されていましたね。酔っ払って無意識のまま母親を殺害する事件。無意識でも母親を殺せるものなのでしょうか?何か言い争ったりと云う事があったのかもしれませんが、無意識のしでかすことは怖いですね。本人も覚えていないので逮捕までに2か月かかったようですが、状況を把握できる今、本人はどんなことを思っているのでしょうか。悲しみ?後悔?それとも…
孝敏容疑者の言葉「状況からすると自分がやったんでしょう。でも、酔っていて記憶がありません」

叱るより真因を追究、対策べからず集
2008/10/01-ITpro
うっかりミスは、どうすればなくせるのか。IT業界の関係者にとどまらず、ヒューマンエラーの発生メカニズムを研究する元パイロットや心理学者、「失敗学」に詳しい大学教授などにも話を聞いた...

[要訳&コメント]
専門家がこぞって強調するのは、「人間はミスをするという事実を認めるのが対策の第一歩」ということだ。「気合を入れて臨めばミスは起こらない」と考えるのはご法度である。普段ミスをなくすために良かれと思ってしていることを改めることで、本来の意味でミスを減らしていこうという考え。
①× 作業ミスで片付ける○ ミスを招く真因を追究
②× ミスをしかる、罰する○ ミスしない人をほめる
③× 恥ずかしいから隠す○ 積極的に全社公開
④× ルールで縛る○ 絶対守れる最小限に抑える
⑤× 「チェック強化」で終わり○ 仕組みを見直す
⑥× 運用は単純作業と考える○ 臨機応変に動くのは高度な力が
⑦× 経営・品質部門が牽引○ 全員参加型の活動を

小さなミスによる大きな被害(医療過誤・医療事故)に関しては、医療においても言えることであり、医療現場においても上記の内容が当てはまると感じました。ミスが起きて最終的に被害を被るのは患者さんであり、その被害も最悪の死を招きかねない非常に事態に陥る可能性があります。今一度ミスを起こした際の対応について考え直し、対応を改めて行く必要があるように感じた記事でした。

NTTデータとNECがレセプト請求のオンライン化事業で協業、中小病院攻略へ
2008/10/27-ITpro
NECの山口琢也 医療ソリューション事業部長は「3年間で60億円の売り上げ、暗号化技術を使ったインターネット通信サービス市場で30%のシェア1位を目指す」と語る(写真1)。NTTデータの富田茂 医療福祉事業部長は「USBメモリーを使ってVPN環境を構築する同種のサービスは ...

[要訳&コメント]
NECとNTTが組んで、中小病院をターゲットに電子レセプトのコンピュータシステムの導入を行うことを考えている。08年度からレセプトのオンライン請求が段階的に義務づけられてきていることもあり、関係者は「3年間で60億円の売り上げ、暗号化技術を使ったインターネット通信サービス市場で30%のシェア1位を目指す」と語る。また、将来は電子カルテのデータを連携させた地域医療連携などに応用できる」と説明している。

まずレセプトとは、診療報酬明細書といわれ、医療費を計算するための薬、処置、検査などが書いてあるものです。薬局では調剤報酬明細書を作成しています。
薬局では主に医療事務が担当するレセプト業務に関する記事ですが、学生時代調剤報酬の資格勉強をしている際に、手書きで調剤報酬を計算するのがいかに大変かを経験したこともあり、他人事ではないように思えました。レセプト業務を電子処理化することで、医療事務の負担はかなり軽減でき、さらに人的な記載ミスもなくなり作業もスムーズになると考えられます。
小さな病院や薬局では、システムも導入など費用の関係もあり、なかなか踏み切るのが大変な部分ではありますが、低金額からのレンタルもあり導入後も訪問によるサービスがあるなど、全国に営業所がある大企業ならではの安心がプラスされることで、お互いにとってWin Winの状態に持って行けることが理想ですね。
光インターネットの導入でも知られるNTTですが、短期間に利用者の量が急激に増えたこともあり"電話をしてもなかなか通じない"、"初期設定の工事まで時間がかかる"などの事態が発生していたことも事実であり、これと同じ状態が起きる可能性も予想されます。その点の対応をきちんと改善した上で、"訪問サービス"などの文句ををうたって頂きたいものです。

レセプトオンライン請求サービスを発売―ユーセン
2008/11/05 20:11-キャリアブレイン

[要訳&コメント]
ブロードバンド・通信事業や業務用システム事業などを行うユーセン(本社・東京都港区)は、医療機関向けのレセプトオンライン請求サービスを発売する。
 サービスの名称は「GyaO SA(ショッパーズ・アクセス)レセプトオンラインサービス」。サービスについて、同社では、「利用者と環境を限定するため安全だ」「パソコン操作が簡単で、不慣れな人でも利用しやすい」と他社との違いをうたっている。

レセプトオンライン請求義務化への動きに合わせてNEC×NTT と ユーセンによるサービス競争が始まりそうであるが、果たしてどちらに…というのが重要なのではなく、重要なの中身である。ユーセンの「パソコン操作が簡単で、不慣れな人でも利用しやすい」というという文句は、コンピュータのスペシャリストでない医療機関で働く者にとってありがたいものなのではないだろうか。難しくては操作に時間がかかったり、ミスが発生する可能性もある。また、現場のニーズに合わせたシステムや手順になっており、現場の状況により変更を加えやすかったり、ミスを見つけやすかったりというプログラミングも必要になってくる。この部分は、いかに現場を知っているか、がキーになってくるのではないだろうか。

2008/11/07

Saya's 薬学ニュース vol.4〈増刊号〉-「脱処方せん」への道を/医療を語れるのは医師しかいない

読んでて面白い記事があったので追加で載せてみました。

「脱処方せん」への道を
2008/11/04 11:50-キャリアブレイン
そうです。薬の安全性に関する情報を提供することはもちろん、それだけではなく、患者さんの日ごろの心配事に耳を傾けたり、健康づくりのお手伝いをしたり、地域の薬局が果たす役割は幅広くあります...

[要訳&コメント]
この時期では、最近の薬学の新たな動向-登録販売者制度や後発医薬品における薬局や薬剤師の在り方などについてそれぞれの薬剤師の見解が話されており、中でも、これからの薬局のありかたとして「脱処方せん」のアイディアが書かれていました。この「脱処方せん」というアイディアは、私がオーストラリア・カナダと海外に住む機会が増えてから強く感じるようになったもので、他国の薬剤師の意義やあり方だと思っています。日本ではどうしても、薬局に行く場合の処方箋はいわば、薬局のゲートを通過するためのチケットのような役割として考えられがちです。しかし、海外ではそんな考えは一切なく、処方箋を持って薬局を訪れるほうが頻度的に少ない感じがします。ドラッグストアのように気軽に薬局に立ち寄り、薬剤師に相談をしてOTC薬を購入していく。そんな風景が当たり前なのです。身近な健康相談者としての薬剤師、そこにこそ薬剤師の役割を発揮させられるのではないか、と私は思っています。日本の制度的にOTC薬は比較的高く、国民皆保険で守られていることもあり、何か体に不都合が起きるとついつい安心のために医師に診てもらって「問題ない」と言われたい。ある意味それが日本人にとって薬になっているのかもしれませんね。
薬剤師として新たな役割を担えるよう、身近な相談相手となれるよう方法を探っていきたいです。

医療を語れるのは医師しかいない
2008/11/04 11:28-キャリアブレイン
「医療や社会保障に財源をもっと投入しなければ、日本の経済社会全体が回らなくなるのは明らか。そのためには、医師が医療の外にある他の社会システムの人々に対して共通言語で語り掛け、今の世界情勢における日本の位置、その中での医療が抱えている問題を共有できるようにしなければならない。医療を語れるのは医師しかいない」...

[要訳&コメント]
タイトルが気になって立ち寄ってみた記事。崩壊しつつある日本の医療制度に少しずつ変化が加えられ、当事者の国民は右往左往しているこの時に、今の情勢をしっかり把握して患者に対ししっかり説明できるのが医療者の役目である、と言われている気がした。身近な相談相手として、そして自分たちが担っている医療を正しく伝えるために私たちにとっては意義のある役割であると感じた。

Saya's 薬学ニュース vol.4-大日本住友製薬と大阪大学、精神神経創薬コンソーシアムを設立/アルツハイマー病などの治療薬開発に期待/仏サノフィの抗肥満薬、EUで販売中止へ

今日のニュースでは、大阪梅田で起きたひき逃げ犯の新たな事件裏が見えてきましたね。飲酒運転に関しては予想できましたが、まさか保険金詐欺事件の執行猶予中だったとは…さらに、シートベルト非着用や速度超過、酒気帯び運転などの交通違反を重ねて、1年間の免許取り消し処分を受けていた上に、懲りずに無免許で飲酒運転を続ける…この事件が起きる前になんとか食い止められなかったものなのか。

事件は起こってから気づき反省するというのは、被害者にとっては何とも皮肉な話ですね。このような最悪な事件が二度と起こらないようにするためにも、今回の反省から無免許運転者や飲酒運転者に対する検挙方法が考案されるとよいのですが。

悲しいニュースが続きますが、気持ちを新たに薬学のニュースに関してみていきたいと思います。

大日本住友製薬と大阪大学、精神神経創薬コンソーシアムを設立
2008/10/24-IP NEXT ニュース
大日本住友製薬は23日、大阪大学大学院医学系研究科と薬学研究科の計5講座とともに「精神神経創薬コンソーシアム(NDDC)」を11月に設立すると発表した。統合失調症やうつ病などの精神疾患について遺伝子・分子レベルで研究し、新規創薬標的を見出していく。 ...

[要訳とコメント]
大日本住友製薬は、大阪大学大学院医学系研究科と協同で、統合失調症やうつ病などの精神疾患について遺伝子・分子レベルで研究し、新規創薬標的を見出していく旨を発表した。

大学と製薬企業が共同研究を行う話は前にも聞いたことがありますが、非営利による研究を行う大学と研究費を出せる企業とが組むのは個人的には良いと動きであると思います。大学内には優秀な研究者がたくさんいる訳であるし、研究費の獲得が難しい大学にとっては研究の幅も広がり社会に還元できる良い機会、と考えるのですがいかがなものでしょうか?


アルツハイマー病などの治療薬開発に期待
2008/10/24 21:56-キャリアブレイン
「S100B」は、アルツハイマー病やてんかんなど神経疾患患者の脳脊髄液で濃度が高く、理研では、「今回の研究が、神経疾患の予防や治療薬の開発に寄与できる」としている。成果は、米国の科学雑誌「The Journal of Neuroscience」に掲載された。 「グリア細胞」は、人間の ...

[要訳とコメント]
理化学研究所脳科学研究センターと金沢大大学院医学系研究科の研究グループが、ニューロン(神経回路)と共に脳を構成している「グリア細胞」の中で最も数が多い「アストロサイト」が、神経活動の強化に伴って「S100B」というタンパク質を分泌し、神経活動を調節していることを発見した。「S100B」は、アルツハイマー病やてんかんなど神経疾患患者の脳脊髄液で濃度が高く、理研では、「今回の研究が、神経疾患の予防や治療薬の開発に寄与できる」としている。

アルツハイマー病は、今のところ進行を止める薬しか存在せず、治す薬の開発が期待されています。その大きな一歩を踏み出したのではないでしょうか。また、この詳細が解明されれば、ボケにくい体を作る予防策も新たに分かってくるかもしれないので、今後に期待したいですね。


仏サノフィの抗肥満薬、EUで販売中止へ
2008年10月26日 19:53 発信地:パリ/フランス-AFPBB News
パリで撮影された、仏製薬大手サノフィ・アベンティス(Sanofi-Aventis)の抗肥満薬「アコンプリア(Acomplia)」(2008年10月23日撮影)。(c)AFP/ERIC PIERMONT 【10月26日 AFP】仏製薬大手サノフィ・アベンティス(Sanofi-Aventis)は23日、同社の抗肥満 ...


[要訳とコメント]
サノフィ・アベンティスは抗肥満薬「アコンプリア(Acomplia)」の欧州連合(EU)域内での販売を一時中止したと発表した。米国では、うつ病の病歴がない肥満患者に、自殺願望や自殺行為を引き起こすリスクを増加させるとして、同医薬品の販売を見送っていたが、EUでは2006年から販売が許可されていた。


ダイエット経験者には手に入れたい一品だが、利点も大きい分リスクも大きいようである。"肥満は万病のもと"と言われていることもあり、肥満治療に対しては反対していないが、スリムになりたいという願望で薬を服用するのは十分に気をつけてもらいたい。このように国の厳しいチェックにより承認を経て販売開始された薬においても健康被害が出ている訳であるから、ネットで出回っているような"ダイエット薬"の危険性は十分想像でき得るものであろう。

See ya~

2008/11/06

Saya's 薬学ニュース vol.3-テオフィリン配合の鎮咳去痰薬「ミルコデ錠A」が発売開始/薬害で有名となった「サリドマイド」が販売再開/鎮痛薬の後発薬をめぐりアメリカで特許訴訟

一日遅れですが、OBAMAさんの当選演説を聞きなんだか心をつかまれたような気がしました。奥さんがバリバリ仕事のできる人であっても家庭を優先するという考え方も、自分的には惹かれる部分です。今のアメリカをどう変えられるのか。アメリカに住む気はありませんが、イラク情勢や北朝鮮問題など大きな変化は期待できなくても現状の改善程度は期待させていただきたいです。がんばれOBAMA!!
最近カナダの選挙が終わり、次にアメリカの選挙…とついつい住んでる地域周辺の話題に目を奪われていましたが、肝心の日本の政治はどうなってるのかしら?そっちにもみなさん(自分も含めて)注目してみましょう☆

佐藤製薬、厳しいせき・たん・ぜんそくの症状を改善する「ミルコデ錠A」
2008年10月21日-BPnet
佐藤製薬は2008年10月20日、つらいせき、たん、ぜんそくの症状を改善する鎮咳去痰薬「ミルコデ錠A」を発売した。収縮した気管支を広げて気道を確保し、痰を出しやすくする成分「テオフィリン」を300mg、「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」を配合したせき止め薬。 ...

[要訳・コメント]
つらいせき、たん、ぜんそくの症状を改善するせき止め薬「ミルコデ錠A」が佐藤製薬から販売された。
製品名:ミルコデ錠A
成分名:テオフィリン、塩酸メチルエフェドリン、キキョウエキス、セネガエキス、カンゾウエキス等
分類:第1類医薬品の鎮咳去痰薬 ※
剤形:淡青色の糖衣錠
包装単位と金額(税込):24錠 1,029円/48錠 1,408円
【ミルコデ錠Aの特製】
気管支拡張作用のあるテオフィリンを1日量300mg(OTC医薬品最大量)含み、さらに痰をうすめて出しやすくする「キキョウ、カンゾウ、セネガ」の3種類の生薬を配合することで、痰のからみを取り除き、咳を鎮めます。1回3錠服用する「ミルコデ錠」から1回2錠服用で同等効果を示すように進化したものだ。
また、第1類医薬品はOTC医薬品の中でもより専門性が高く、適正使用のための薬剤師による情報提供が義務化されているため、他社と専門性において差別化図るようだ。

テオフィリンという成分は喘息治療の医療用医薬品として投与される薬であり、一般的な鎮咳去痰薬に比べると強い効果が表れるのが予想されます。医療用ではテオフィリンが通常成人1日量400mg投与される。しかし、小児の服用に関しては過量により吐き気やおう吐などの副作用が注意される成分であり、OTC医薬品とはいえども服用に注意してもらいたいものです。
※OTC医薬品分類一覧
・第1類医薬品:OTC医薬品としての使用経験が少ないものや副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するもの。 ・第2類医薬品:副作用、相互作用などの項目で安全性上、注意を要するもの。またこの中で、特に注意を要するものを指定第2類医薬品とする。
・第3類医薬品:副作用、相互作用などの項目で安全性上、多少注意を要するもの。

サリドマイドを治療薬承認 年内にも46年ぶり販売再開
2008年10月16日-asahi.com

[要訳・コメント]
服用した妊婦の子に重い障害を引き起こした薬「サリドマイド」の新しい可能性として、血液がんの一つであり「多発性骨髄腫」の治療薬として製造販売することを承認した。薬害を引き起こした薬が再販売されるのは極めて異例だが、販売条件として処方医師や患者の登録のほか、妊婦の誤用を防ぐための十分な説明が挙げられている。

「薬害」という言葉を聞いたら誰もが思い浮かべることができるほど有名薬「サリドマイド」。販売を再開させるのでは、という話は前から耳にしていたけれど、ついに今回正式に承認されることとなった。治療困難な疾患の治療に有効であるという事実はとても喜ばしいことであるが、二度とあのような悲惨な事態が1件でも発生しないよう事前の整備を万全にしてもらいたいと願う。

バーとエンド、鎮痛薬の後発薬をめぐり特許訴訟を開始
2008/10/22-IP NEXT
ニュース後発医薬品の米バー・ファーマシューティカルズ(Barr Pharmaceuticals)は、子会社のバー・ラボラトリーズ(Barr Laboratories)が、エンド・ファーマシューティカルズ(Endo Pharmaceuticals)の鎮痛薬「Opana ER 」(一般名:塩酸オキシモルホン)持続放出 ...

[要訳・コメント]
後発医薬品の米バー・ファーマシューティカルズ(Barr Pharmaceuticals)は、エンド・ファーマシューティカルズ(Endo Pharmaceuticals)の鎮痛薬「Opana ER 」(一般名:塩酸オキシモルホン)の持続放出錠時関する特許の無効をFDAに主張したことで、エンド社は特許侵害でバー社を提訴した。

記事を検索していると、アメリカにおける訴訟関連記事を多数見かけます。
何故こんない訴訟が多いの?と知人に伺ったところ、アメリカにおける弁護士総数と日本におけるものとを比較すると、アメリカが圧倒的に多いそうです。人口を考えると当たり前ですが、アメリカの場合は仕事量に対して弁護士の数が余ってしまうため小さなことでも弁護します!といったように弁護士事務所側が宣伝をしているというのです。日本では、小さな用件で訴訟を起こせるほど弁護士は暇ではないので訴訟社会ではないのですね。訴訟には多大なお金と日数がかかるため、弁護士になる門を狭くしてその量自体を減らすようにしている日本のやり方は賢い!とその方はおっしゃっていました。弁護士になるのはどこの国も難しいのだ…と勘違いしていた私にとってはまた一つ勉強になった日でした。

See ya~

2008/11/05

Saya's 薬学ニュース vol.2-難治性便秘薬の皮下注射剤が日本で販売?!/違法薬販売の世界最大級スパム送信組織を摘発/医師の問診不十分で誤投薬

今日は黒人初米大統領当選のニュースや大阪梅田で起きたひき逃げ事件の犯人が捕まったりと盛りだくさんの日でしたね☆ひき逃げ事件の犯人に関しては、あんな悲惨な事故を引き起こしたのにも関わらず、よくのうのうと生きていられるなぁ、と信じられない気持でしたが、まさかホストに転向して普通に暮らしてるとは…しかも、引きずれば死ぬことはわかってただなんて…世の中にはとんでもない人がいるものです。被害者の遺族の気持ちを思うといたたまれないですね。

少し古いですが、たまりにたまった薬学ニュースの続きを載せていきたいと思います。

小野薬品、米社とライセンス契約-難治性便秘薬の皮下注射剤で
2008/10/17-IP NEXT ニュース

小野薬品工業は17日、米Progenics Pharmaceuticalsと、麻薬性鎮痛薬の使用に伴う難治性便秘治療薬「メチルナルトレキソン臭化物(MNTX)」の皮下注射剤に関するライセンス契約を締結したと発表した。この契約により、同剤を日本で独占的に開発・販売する権利を取得する。 ...

[要訳*コメント]
麻薬性鎮痛薬の副作用で起こる難治性便秘を治療する薬として、皮下注射剤が今後新たに日本でも販売される見通しです。
薬品名:メチルナルトレキソン臭化物(MNTX)
剤形:皮下注射剤
会社:小野薬品工業

麻薬性鎮痛薬を使用する末期がん患者さんにとっては嘔吐を併発している事も多いので、経口剤の服用が困難な患者さんにはうれしいお話ですね。しかし、皮下注射剤となると薬局での取扱いはないので、病院での入院患者さんに対する朗報になるでしょう。

FTC、国際規模のスパム送信組織を摘発
2008年10月16日 08時18分-ITmedia

バイアグラと同様の効果があるとする薬やダイエット薬、処方箋薬などを違法に販売するためのスパムメールを大量に送信していた組織に、差し止めの仮処分が言い渡された。米連邦取引委員会(FTC)は10月14日、処方先薬や強壮剤と偽った製品を宣伝するスパムメールを世界 ...

[要訳*コメント]
スパムメールを送信する組織としては(ブラックリストに載るほどの)世界最大級の「スパムギャング」らが、自らを米政府公認の薬局と偽り、米食品医薬品局に認可されていない処方せん薬や、記載された成分がまったく含まれていない薬などを販売していた。裁判所は、この組織に対しスパムの送信と誤った製品広告の一時的な差し止めを命じるとともに、消費者救済裁判に備え、被告の資産を差し押さえた。

私のところにも来るこのスパムメール、引っかかる人は多く300万件以上の苦情が出ているという…こんなのでひっかかるのか?と簡単に考えていたけれど実際の数は想像をはるかに超えるものでした。バイアグラに関して言えば、心臓の疾患や薬を飲んでいる人が一緒に服用すると血圧が急激に低下するなどの副作用が起こり大変危険であるし、その他血圧の高い人や逆に低血圧の人、泌尿器の薬を飲んでいる人の中にも併用に注意しなければならないケースなどがあります。性交のため、とやたらと購入して飲んでしまうと健康にも被害が出る可能性があるので、購入を考えている人はその点を把握した上で検討していただきたいものです。

医師の問診不十分で誤診
2008年10月29日-読売新聞医療情報部

妄想や幻覚が表れる統合失調症で、治療を受けている患者は約70万人にのぼるとされる。一方、うつ病など心身の不調で受診したところ、統合失調症と誤診され .....

[要訳*コメント]
東京都の男性会社員(55)は、ひどいだるさや不眠に悩まされ、仕事の集中力が低下し、「社内での会話を盗聴されているのではないか」とおびえ、妻(48)を「スパイじゃないか」と疑うことがあったという。近くの病院の精神科を受診した際、問診票への記載で「被害妄想がある」といった項目に「○」印をつけたばかりに、10分ほどの診察の末「統合失調症」と診断され投薬が始まった。しかし、1年の服用を続けても状態は一向に良くならず、実際は統合失調症ではなく、うつ病や心身の一時的な不調にすぎなかったという。
統合失調症の診断には、症状や、生活歴や仕事内容などについても十分に問診し、発症までの経過などを聞くことが必要になるとのことだ。

統合失調症とうつ病などの心の病気との見分け方は正直難しいと思われますが、両者で体内で起こっている状態は違うものなので、間違った薬を飲み続けていても改善はされません。また、統合失調症の場合、薬の服用により社会に適応する能力にまでは回復するものの、完治することはないので、そこもうつ病などとは違う点です。

※統合失調症とは?(お薬110番より)-脳の情報伝達系に不具合を生じ、現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなる病気です。幻覚や幻聴、妄想も特徴的です。心の病気というより、脳内の「内因性」の病気です。ただ、精神的ストレスも症状悪化の引き金になります。統合失調症は、脳内の神経伝達物質「ドパミン」の過剰伝達が原因のひとつと考えられます。

2008/11/04

Sayaの薬学ニュース vol.1-抗てんかん薬の新薬が承認された/インフルエンザの有害事象は11.3%/日本調剤とマツキヨが業務提携

初の投稿になります♪とにかく新聞を見ることが苦手で、本を読むのが苦手で・・・そんな自分でも、ちゃっかり情報は手に入れたいって思ってるもんだから仕様がないというか始末におけない。いつもTakeばかりじゃいつか何も得られなくなっちゃう気がするので、私みたいなLazyさんたちがこんなサイトがあったらいいじゃん!って思えるサイトに徐々にしていきたいと思います♪

それはいつになることやら…とりあえず、素敵な友人に素敵なお誘いを頂いたので、ありがたく頂戴して気張らずぼちぼち初めてみることにしました★

このサイトが、自分の習慣となって知識となって、そしてそれが誰かのちょっとした助けにでもなれば作ったかいがあるって事♡

Here we go~~!!

グラクソ・スミスクライン、てんかん治療薬「ラミクタール(R)錠」承認取得

Thursday, October 16, 2008 2:28:00 PM-JCN NEWSWIRE

Japan Corporate News Network (プレスリリース)「ラミクタール(R)錠」は、成人および小児で、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん発作に対する併用療法に使用されます。本剤は、GSKが開発した新規抗てんかん薬で、神経細胞膜に存在するナトリウムイオンチャネルを頻度依存的かつ電位依存的に抑制する ...

[要訳]
抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん発作に対する併用療法に使用される、有効な新薬として新たに承認されたのが以下の薬
商品名:「ラミクタール(R)錠」(一般名:ラモトリギン)
剤形:「ラミクタール(R)錠小児用2mg」、「ラミクタール(R)錠小児用5mg」、「ラミクタール(R)錠25mg」、「ラミクタール(R)錠100mg」
会社:グラクソ・スミスクライン株式会社(LSE:GSK、以下GSK)
【「ラミクタール(R)錠」の製品特性】
- 成人に加え、小児の適応を取得しています。
- 部分発作及び全般発作における様々な発作型(二次性全般化発作を含む部分発作、強直間代発作、Lennox-Gastaut症候群における全般発作)に効果を示します。
- 錠剤をそのまま咀嚼して服用、錠剤を水とともに服用、錠剤を水に懸濁して服用と状況に応じて服用できるチュアブル・ディスパーシブル錠です。


山梨県薬の独自調査、タミフルは12.5%、リレンザは8.5%
2008年10月17日-Nikkei BP Net

山梨県薬剤師会のDEM事業は、日薬のDEM事業とは別に、県内の会員薬局を通して医薬品の有害事象事例を収集するもの。2008年1月4日から3月31日までの3カ月間に、会員薬局でオセルタミビルまたはザナミビルの交付を受けた患者について、有害事象の有無や種類、併用薬など ...

[要訳]
2007/2008年のインフルエンザ流行期において、インフルエンザ治療薬を服用した患者の11.3%に、精神・神経症状や消化器症状などの有害事象が発現していたことが明らかになった。発現率には服用した薬剤による差が見られ、リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)の服用者で12.5%、ザナミビル(リレンザ)の服用者で8.5%だった。

日本調剤とマツモトキヨシが業務提携へ
2008年10月31日-Nikkei BP Net

調剤薬局チェーン業界2位の日本調剤(本社:東京都中央区)とドラッグストアチェーン業界1位のマツモトキヨシホールディングス(本社:千葉県松戸市)は10月30日、業務提携に向けた協議を行っていることを発表した。 調剤併設型ドラッグストアの新規出店や既存店舗の転換、薬剤師や登録販売者のスキルの向上、仕入れの効率化などについて、提携の具体化を進める...

[コメント]
調剤薬局の「調剤だけでは生き残れない」という考えと、ドラッグストアの「薬事法改正によりスーパーなどとの価格競争の激化が予想されるため、調剤に特化させたい」という思惑が一致した形であると考えられる。OTC薬に対する指導が薄い傾向にある日本調剤にとっては、処方薬だけに限らない広い視点での薬の提供が今後期待される。登録販売員制度が本格始動した先のドラッグストアの生き残りはいかに?!と前から気になってはいたが、 調剤チェーンと組むとは…吉とでるか凶とでるか。