アスピリンや抗酸化物質には心臓発作などの一次予防効果なし
2008/10/27-Dr.赤ひげ.com
[要訳&コメント]
糖尿病や末梢動脈疾患(PAD)を有する高リスク患者において、アスピリンの服用は心臓発作や脳卒中の発症リスクの低減をもたらせないことが、新しい研究で明らかにされた。そのほかの研究でも、一次予防については6つの研究で一致して否定的な結果が出ているという。心血管障害を起こしたことのない患者に対しても、アスピリンが勧められてきたが、この勧告を変更する必要があると同誌の論説で指摘。心疾患のない人はアスピリンによる利益よりも出血リスクが上回るとHiatt氏は述べている。
※すでに心臓発作または脳卒中を起こした人の二次(再発)予防としては間違いなく有効である。(研究でも明らか)
今まで、心疾患や末梢動脈疾患を有する患者の抗血栓作用として、当たり前のようにアスピリンが使用されていたが、実はそれらを有効とするエビデンスはないというから驚いた。今までの常識を覆す研究の結果と言えるだろう。薬剤師としても、「二次予防としては有効性が認められているが、一次予防としての有効性にはエビデンスがない」ということを知っておく必要がある。
ピロリ菌が食道癌(がん)を予防する
2008/10/27-Dr.赤ひげ.com
[要訳&コメント]
世界人口の約半数がもっているといわれるヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)に、一部の食道癌(がん)を防ぐ作用のあることが新しい研究で示された。ピロリ菌のCag A遺伝子陽性株を有する人は、食道腺癌になる比率が約半分であるという。
これは、以下の機序によって起こるとされる。
①ヘリコバクター・ピロリ菌が胃酸の産生を低下させることによって食道への酸逆流を抑え、腺癌リスク②胃から分泌され食欲を刺激するホルモンであるグレリンghrelinの産生を低下させる。→肥満の軽減による。
ピロリ菌と聞くといいイメージを持つことはなかったが、この他にも下痢や喘息を減少させる効果があるかもしれない、というのだからとても興味深い。ただし、これらの効果があるとは言ってもピロリ菌はピロリ菌。しっかり除菌をしないと胃潰瘍などのリスクも高まるため除菌療法は怠らずにしっかり完了させてもらいたい。除菌療法で最も重要なのは、しっかりと飲み忘れなく服用しきること。当たり前のことであるがこれが守れれば、ほぼ90%の確率で除菌は成功するのである。
ある日突然、強い恐怖に襲われる「パニック障害」
MSN女性のヘルスケアライブラリ
[要訳&コメント]
私たちが日常経験する「パニック状態」と「パニック障害」とはまた異なるもの。「パニック状態」の場合はそうした状況に陥る“原因”がはっきりとしているが、パニック障害の場合ではそれがない。
〈パニック障害に特徴的な発作の症状〉
■ 胸がドキドキする・冷や汗をかく・身体や手足の震え
■ 呼吸が速くなる、息苦しい、息が詰まる
■ 胸の痛みや不快感 ・吐き気、腹部の嫌な感じ
■ めまい、ふらつき ・非現実感、自分が自分でない感じ
■ 狂ってしまうのではという恐怖、死への恐怖
パニック障害の原因としては最近、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」「ノルアドレナリン」のバランスが乱れることにより、脳から体への指令や情報伝達がうまくいかず、発作が発症するのではと考えられている。そのため内科で心臓や呼吸器の検査をしても、異常が見つからないというわけだ。
抗うつ薬などで不安を抑え、行動療法(苦手な場所などに慣れさせることで、不安や恐怖を感じなくさせる方法)などで完治させることが可能とされている。
パニック障害という言葉は前から聞いたことはあったが、実態について知らなかったので良い勉強となった。「パニック」という言葉が、普段使われている「パニック」とは違う意味であることを知ったのは良い機会となった。未だに私と同じように誤解している人がいると思われるので、正しい知識を持つことは医療者だけでなく、一般の人達もいざ自分の周りの人がパニック障害にかかった、という際に知っておく必要がある。
パニック障害に使われる薬として、SSRIやSNRIが用いられるという。下記に代表的な薬剤を示しておく。
SSRI:副作用=吐き気・眠気・口の渇き・便秘etc
-デプロメール・ルボックス(フルボキサミン)
-パキシル(パロキセチン):減らすときは少しずつの減量が必要!(離脱症状)
-ジェイゾロフト(セルトラリン):他のSSRIに比べて副作用が少ないのが特徴。パキシルで起こるような離脱症状も少ない。SSRIの中でもっとも使用されている薬。
SNRI:=SSRIと同様の副作用があるが、服用開始1~2週間で軽減。
-トレドミン(ミルナシプラン):少量から服用スタート。他の抗不安薬と併用されることが多い。
0 件のコメント:
コメントを投稿