2011/08/31

vol.109

<Today's news>
1. ジェネリック(1)効き目は同等 安価な薬
2. 腰痛にストレスが関与 再発、慢性化の要因に 日常活動維持が大切  「医療新世紀」
3. 人体実験で83人が死亡 グアテマラで米科学者ら
4. 5歳以下へのビタミンA補給、死亡率・罹病率・視覚異常を大幅に抑制
5. 喫煙者への禁煙介入、周術期イベントの発生を抑制、米国調査
おまけ介護、嫁から娘へ 子育て中も兄弟頼れず 先のこと「考えたくない」 「ウーマン・アイ」


ジェネリック(1)効き目は同等 安価な薬
2011年8月30日 提供:読売新聞

[要訳]
日本国内で出荷された医療用医薬品に占めるジェネリックの割合(数量)は徐々に増えているものの2割程度で、7割の米国など、かなり浸透している国と比べるとまだまだ低い。「普及がなかなか進まない背景には『ジェネリックは何となく嫌』との根拠のない拒否感が根強い。経済性の高さを始めとしたジェネリックの利点をもっと社会に広める必要がある」と話す。

*comment*
何年も前から同じような議論が繰り返しなされていて、特にあまり進んでいないように感じるのは私だけだろうか。薬に関しては、「安い」だけでは一定の獲得にはつながるがそれ以上の効果は見られない。先発品を好むという国民性ももちろんあり、安全と信用が確保できなければ進まない。海外では「ジェネリックを選ばなくてはならない」法律の存在が手動で行っている部分が大きいように感じる。


腰痛にストレスが関与 再発、慢性化の要因に 日常活動維持が大切  「医療新世紀」
2011年8月30日 提供:共同通信社 m3.com  ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
腰痛で病院を受診する人のうち、診察や画像検査で原因が特定できるのは15%で、残り85%は原因が特定しきれない「非特異的腰痛」に分類される。このタイプの腰痛の多くは放っておいても痛みは消える。しかし、心理的な問題から腰を動かさずにいると筋肉が硬直、気がめいってうつ傾向が強まり、さらに体を動かさなくなる「痛みの悪循環」に陥ることがある。

*comment*
この記事では、実際にストレスが腰痛に影響を与えていた人の例の紹介もされている。原因もわからず腰痛にお悩みの方は、日々のストレスを見直すきっかけにされてみては??


人体実験で83人が死亡 グアテマラで米科学者ら
2011年8月30日 提供:共同通信社 m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
米国の科学者が1940年代、薬の効果を確かめる目的で中米グアテマラの刑務所や精神科病院で故意に性病に感染させる人体実験を行っていた問題で、オバマ大統領直轄の調査委員会は29日、実験対象となった83人が死亡したと明らかにした。

*comment*
当時ペニシリンなどの抗生物質の効果判定のために行ったとのことだが、そんなに昔の話ではない。医学の発展のために尊い命がこのように失われていたとは。医療者としての責任感を改めて感じる記事である。


5歳以下へのビタミンA補給、死亡率・罹病率・視覚異常を大幅に抑制
2011年08月30日 ソース:BMJ(論文一覧) m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
無作為化比較試験43件の6カ月から5歳の小児19万4483人を対象に、ビタミンAと死亡率および罹病率減少との関係をシステマティックレビューとメタアナリシスで調査。ビタミンA補給により試験17件で全死因死亡率24%低下、7件で下痢による死亡率28%低下が見られた。ビタミンA補給と視覚異常の減少との関連も確認された。
原文:原文(BMJ)を読む

*comment*
ビタミンAが小児に有効であることは前々から知られているが、過剰摂取は逆に小児にとって良くないため、用量の厳守が重要になりそうである。


喫煙者への禁煙介入、周術期イベントの発生を抑制、米国調査
2011年08月30日 ソース:BMJ(論文一覧) m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
2002-08年に待期的手術を受けた39万3794人を対象に、禁煙が手術転帰に及ぼす影響を後ろ向きコホート研究で検討。非喫煙者や過去の喫煙者に比べ、現在の喫煙者は術後の肺炎、手術部位感染、死亡リスクが有意に高く、年20箱以上の喫煙で手術合併症が有意に増加した。禁煙介入により周術期イベントが抑制される可能性が示唆された。


介護、嫁から娘へ 子育て中も兄弟頼れず 先のこと「考えたくない」 「ウーマン・アイ」
2011年8月30日 提供:共同通信社 m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
2000年の介護保険制度開始から10年以上が過ぎた。介護から「逃げられない」存在としてクローズアップされてきたのが、高齢の親を持つ娘たちだ。
病院の付き添いや食事、夜中のトイレ介助に追われ、眠れない日が続くと仕事にしわ寄せが来た。遅刻、早退、休みが増え、ついに「派遣切り」に。新たな仕事も、病院やヘルパーからの電話でたびたび中断され、いたたまれなくなって辞めた。体調も悪くなり「うつ状態」になった。
介護はいつまで続くか分からない。今は両親の年金で生活しているが、どちらかが亡くなれば生活費は足りない。そのとき仕事はあるだろうか。結婚は...。つらくなるから、先のことは考えないようにしている。

*comment*
介護うつになる人は年々増えている。介護保険ができて多少の補助にはなっても、周りの意識はいまだに変わっていない。特に経験していない若い世代の理解は得にくいのが現状だろう。自分たちの時に何ができるか、どのような準備ができるか。若い世代に少しでも生きやすい介護保険を作り上げていく必要がありそうである。

vol.108

<Today's news>
1. 喫煙女性は心臓病の危険大 「医療新世紀」
2. 電力制限の解除前倒し 東電管内、9月9日 震災・豪雨被災地は2日
3. 急性白血病で作業員死亡 福島第1原発に従事
4. (福島)全市民 内部被曝調査へ
おまけ みんなそれなりに大変 香山リカのココロの万華鏡


 喫煙女性は心臓病の危険大 「医療新世紀」
2011年8月30日 提供:共同通信社 m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
女性の喫煙者は男性喫煙者に比べ、狭心症や心筋梗塞など、心臓に血液を供給する冠動脈の血流が悪くなって起こる心臓病のリスクが25%高いとの調査結果を、米ミネソタ大などの研究チームが英医学誌ランセット(電子版)に発表した。

*comment*
喫煙者は、妊娠前期に気づかないまま喫煙しているケースもあるため、子供にも害が発生しやすい。早く気づいてくれればいいのだが。。。


電力制限の解除前倒し 東電管内、9月9日 震災・豪雨被災地は2日
2011年8月30日 提供:共同通信社 m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
9月22日までの予定だった東電管内は同9日を最終日とする。東北電管内は、東日本大震災と新潟・福島豪雨の被災地について9月9日までの予定を2日までとする。そのほかの地域は、予定通り9日までとする。東電の管内でも、被災地は2日を最終日とする。
※電力使用制限令
大規模停電の発生など国民生活に悪影響を及ぼす恐れがある場合、政府が企業などの電力使用を強制的に制限できる措置。電気事業法27条に定められている。東京電力福島第1原発事故などによる電力不足に対応するため、政府は7月1日、第1次石油危機以来約37年ぶりに発動した。契約電力500キロワット以上の大口需要家を対象に、ピーク時の電力使用量を昨年夏に比べ15%削減するよう要請した。

急性白血病で作業員死亡 福島第1原発に従事
2011年8月30日 提供:共同通信社  m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
東京電力は30日、福島第1原発の復旧作業に当たっていた40代の男性作業員が急性白血病で死亡したと発表した。この作業員の被ばく線量は0・5ミリシーベルトで、東電は「医師の診断によると作業と死亡の因果関係はない」と説明している。
関連記事: 協力企業男性、白血病で死亡…東電「関連ない」 (2011年8月30日12時58分 読売新聞)

*comment*
この記事の題名を見たとき、とうとう出たか!と思い心臓が高鳴ったが、原因は放射能ではない様子。しかし、いつこのような犠牲者が出るか時間の問題かもしれない。


(福島)全市民 内部被曝調査へ
2011年8月30日 提供:読売新聞

[要訳]
福島市は、4歳以上の全市民を対象に内部被曝(ひばく)の調査を行う。内部被曝の計測装置「ホールボディーカウンター(WBC)」を年内に1台、独自に購入し、子供や妊婦を優先して始める。
福島市のWBCは大型トラックに搭載され、1日に40~50人を計測できる。市は、調査の優先対象として、4歳から中学生までの児童・生徒、妊婦計約4万人を想定している。

*comment*
市民が今一番心配していることであろう。果たしてこの結果が吉と出るのか、凶と出るのか。

みんなそれなりに大変 香山リカのココロの万華鏡
2011年8月30日 提供:毎日新聞社

[要訳]
「私だけじゃない」と「私だけ」。このふたつは、ずいぶん違う。
被災者の方たちは、「私だけじゃない」と思うことで自らが直面している困難に耐え、悲しみを抑えようとしているようだった。
一方「私だけ」のほうは、診察室でうつ病などをわずらう人の口からときどき聞く。
同じような困難が目の前にあるとき、「つらいのは私だけじゃない」と自分に言い聞かせるのと、「こんなにひどい目にあっているのは私だけ」と思うのとでは、どちらがより立ち向かう力になるか。それは言うまでもないだろう。
あなただけじゃない。この時代、多くの人が、目に見える形でも心に秘めていたとしても、さまざまな苦しみや悩みを抱えながら生きている。それでも少しでもいいことがあれば、にっこり笑って「みんないっしょですから」とつぶやけば、つらさは少し、減るのではないだろうか。

*comment*
「なんで私だけこんな思いをしなければならないのか。。。」
こんな風に思った経験みなさんありませんか?私は最近ありました。 どんなにつらい経験をしていても、同じような体験をしたことのある人の体験談を聞いたり、共感してくれる人がいると、「自分だけじゃない」と思えて立ち直れる人は多いはず。最近ちょっとへこんで「なんで自分だけ」と思っている人がいたら、読んでもらいたい記事の一つです。

2011/08/30

vol.107

<Today's news>
1. 初の経口多発性硬化症治療薬の承認を了承- 薬食審・医薬品第一部会
2. 専門医から見たアルツハイマー新薬
3. 【10年度概算医療費】36.6兆円と過去最高‐薬価引下げで調剤の伸び鈍化
4. 禁煙したい市民を支援 岐阜市、補助剤無料配布
5. 深酒以上にアルコールの年間摂取量と頻度が高血圧と強く関係
おまけ.  接待の自主規制強化 医師の51%が一定の理解示す 本誌調査

2011年08月26日 21:01 キャリアブレイン
[要訳]
イムセラ/ジレニアは「多発性硬化症の再発予防および身体的障害の進行抑制」の適応で、新規作用機序(スフィンゴシン1-リン酸受容体調節薬)を持つ。多発性硬化症の国内患者数は約1万人で、希少疾病用医薬品に指定されている。
関連記事: 【医薬品第一部会】新たなMS治療薬が登場‐2品目の適応拡大も了承 (2011年8月29日 (月) 薬事日報)


2011年08月27日 10:00 キャリアブレイン
[要訳]
今年に入り、アルツハイマー型認知症治療に用いる新薬が相次いで発売された。ようやく国内でも海外で標準治療薬と呼ばれている4製剤が使用できる環境が整った。
国内のアルツハイマー型認知症治療薬4製剤は、「コリンエステラーゼ阻害薬」と「NMDA受容体拮抗薬」の2種類に分けられます。
同じコリンエステラーゼ阻害薬でも、新たに登場したガランタミン、リバスチグミンは、それぞれドネペジルとは異なる特長を持っています。またリバスチグミンは、唯一パッチ剤であることも大きな特長です。メマンチン(製品名=メマリー)は「NMDA受容体拮抗薬」です。
海外ではいずれの薬から治療を開始してもよく、効果がなければ切り替え、またはメマンチンと併用するといった治療薬のアルゴリズムがあります。

*comment*
ドネペジル(アリセプト)による単剤体制が続いたことで、アリセプトが国内売上トップになった大きな要因かもしれない。ただ、気になった部分は、「効かない患者さんにもドネペジルを使い続けるしか手段がありませんでした。」という部分。日本の医療をそのまま語った言葉のように感じる。効かない薬でも、それしかなければ使い続けるしかない・・・それが今の日本の医療費に反映しているのではないだろうか?このような現象ではカナダではありえない。随時効果の診断が下され、有効性が見られなかったり、症状が重度になった場合は十分な有効性が示されていないため服用の継続はできないようになっている。
上記のような内容が「悪」とみなされる日が来なければ、日本の医療費に明るい未来は来ないだろう。

2011年8月29日 (月) 薬事日報
[要訳]
調剤は6兆0822億円で、薬価引き下げを反映して伸び率は3・6%と前年度を4・3ポイント下回り、処方箋1枚当たり調剤医療費は4年ぶりに落ち込んだ。処方箋枚数が7・6億枚で4・3%増加したものの、1枚当たり医療費が7985円に0・6%低下した。電算処理分ベースで処方箋1枚当たり医療費の内訳を見ると、技術料が4・7%増の2104円、薬剤料が2・4%減の5867円、特定保険医療材料料が1・3%増の13円で、薬剤費比率が73・5%へ前年度から1・3ポイント縮小した。
医療費の増加は8年連続。
関連記事:概算医療費36・6兆円 10年度、8年連続最高(2011年8月29日 提供:共同通信社 m3.com)  


2011年8月29日 提供:共同通信社 m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
岐阜市は9月から、市薬剤師会と共同で、希望する市民に禁煙補助剤のパッチを無料で配布し、薬局の指導を受けながら禁煙に取り組んでもらう事業を始める。
禁煙に挑戦したい20歳以上の市民100人を募集。参加者は提携する市内の薬局で2週間分の補助剤をもらい、指導を受ける。3週目以降は自分で補助剤を購入する必要があるが、指導は引き続き無料。3カ月で禁煙達成を目指す。

*comment*
市での禁煙対策として、公共施設の禁煙化などが多く見受けられたが、直接治療に対して介入するケースは初めて見た。確かに禁煙補助剤は金額も高く、ちょっと初めて見るということが出来ない。ただし、この禁煙補助剤は身体的な症状は軽くするものの、手がさみしいからたばこがほしい、暇になるとたばこを吸いたくなるという精神的な部分は補助できないため、軽い気持ちで初めても続かないことが多い。薬剤師によるしっかりとした説明と指導が重要になるだろう。この取り組みの結果が気になる。


2011. 8. 29 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
アルコール摂取量と飲酒の頻度は、ともに男性において血圧と強い関係が認められた。「深酒そのものの血圧への影響は中程度であり、アルコール摂取量の血圧に及ぼす影響を変化させるほどのものではなかった」とした。その上で、「高血圧はアルコールの年間摂取量や摂取頻度に深く関係しており、特に男性において強い関連性が認められた」と強調した。
なお、女性における年間アルコール摂取量と飲酒頻度の血圧への影響は、男性に比べて明確ではなかった。

*comment*
日本では塩を使う料理が多く、ただでさえ高血圧になりやすい人種である。これに加えてアルコールを常時摂取する人は特に気を付けたほうがいいとのこと。精神を落ち着かせ、ストレス解消の助けになるとしても限度をわきまえて。


2011/08/29 05:02 ミクスOnline 

[要訳]
製薬業界が2012年4月から「接待」に関する自主規制を強化するが、接待を受ける側の医師はどのように受け止めているのだろうか。
数値データだけ見ると、一定の理解を示した医師が約51%、不満を持っている医師が約25%となるが、医師の自由コメントを読むと違った側面が見えてくる。それは不満を示した医師のコメントの中に、「MRとの接点が少なくなりそう」「他の医師との接点が少なくなりそう」という内容が少なくないこと。企業のカネで飲食ができなくなることへの不満を示しているのではなく、ゆっくりと有益な情報交換ができる場がなくなることへの不満を示していると読み取れる。

*comment*
驚いたのは最後の部分。MRとして働いたことがないので実態は分からないが。。。

vol.106

<Today's news>
1. 社会問題化したイレッサの副作用
2. 抗癌剤が抱える4つの宿題
3. 「茶のしずく石鹸」で厚労省が迅速報告求める通知
4. 麻杏甘石湯+銀翹散にインフルエンザの解熱促進効果
5. 日薬・児玉会長、医薬分業率100%目指す 
おまけ. 「公式」なき時代の若人に贈る3つのアドバイス 

本誌連動◇イレッサが残した宿題 Vol.1 社会問題化したイレッサの副作用
2011. 8. 29 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
ゲフィチニブ(商品名イレッサ)により薬剤性肺障害が社会問題化し、「医薬品には副作用がつきものである」という当たり前の事実が再認識された。一方で残された課題も多い。
2002年7月、非小細胞肺癌治療薬のゲフィチニブは、世界に先駆けて日本で承認された。患者や医師の要望を受け、薬価収載前でも保険診療との併用が認められる特定療養費制度(当時)が適用され、販売元のアストラゼネカは薬価収載前に発売する異例の対応を取った。
ところが、ゲフィチニブを服用した患者が急性肺障害間質性肺炎を発症し、相次いで死亡したことが明らかになったのだ。日本人が薬剤性肺障害を起こしやすい理由はまだ分かっていない。ただ、「ゲフィチニブが契機となって、世界的に薬剤性肺障害への関心が高まり理解も深まった」という。

*comment*
がんの治療をしている患者や医師にとって、救世主とも取れるような薬だったのだろう。誰もがすがる思いで使用していた様子が見受けられる。
現在海外での臨床試験が盛んになっているが、この薬のように日本人のみで起こりうる副作用も存在するため、臨床試験のみをうのみには出来ない。自分の担当してる患者からどれだけ情報を聞き取り、それを他の患者のために報告していけるかが薬剤師の役割でもあるように思う。
「薬には副作用がつきものである」という根本的なことを忘れてはならない。薬を扱うものとして、できれば薬を使いたくないというのはここからきている。ただ、使用しなければならない時に、どのようなリスクがあって、どのような症状から判断できるのかなどを丁寧に伝えていくことが薬剤師として重要な任務であるように改めて感じた。


本誌連動◇イレッサが残した宿題 Vol.2 抗癌剤が抱える4つの宿題
2011. 8. 30 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
1 抗癌剤の有効性は何で評価すべきか
無増悪生存期間(progression free survival:PFS)と、全生存期間(overall survival:OS)のどちらで評価すべきか、という興味深い議論がなされている。
2 全例調査を課せば安全性を担保できるか
3 個別化医療で抗癌剤を生かせるか
個別化医療は、企業にとっては開発した薬剤の市場を自ら狭めることにもなる。だが、抗癌剤をより有効、かつより安全に使うために、有効な手段となるはずだ。
4 抗癌剤の副作用を金銭で救済すべきか
抗癌剤の使用と死亡との因果関係をどう判定するかなど、実際には様々な課題があり、“落とし所”はまだ見えない。

*comment*
1の「腫瘍が小さくなることをメインにおくか、生存率をメインにおくか」、という議論が興味深かった。製薬会社としては「腫瘍が小さくなった」という事実が売りになるためこちらをメインに考えがちであるが、腫瘍がいくら小さくなっても生存率が変わらなければ、患者としては同じ事のようにも思える。結局抗がん剤の毒性が腫瘍とは異なる形で患者の体を蝕んでいるのだとしたら、飲む意味があるのだろうか?この点では 『抗がん剤は効かない』(文藝春秋社刊)の著者である近藤誠氏(慶大放射線科講師)の論点に非常に共感できる。
 また、3の個別化医療により対象者をできるだけ絞りこむことが今後できるようになれば、莫大な数の副作用発現を抑えられるかもしれない。

 
2011. 8. 25 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
エソメプラゾールは、ラセミ体であるオメプラゾール(商品名オメプラール、オメプラゾンほか)の一方の光学異性体(S体)である。
オメプラゾールは、その代謝能力には個人差が大きいことが知られているのに対し、エソメプラゾールは、薬物動態及び薬力学作用の個人差が少ないと考えられている。また、エメプラゾールは、総代謝固有クリアランスがオメプラゾールに比べて低いことから、血漿からの消失が遅く、AUCが高くなるため、オメプラゾール以上の臨床効果が期待できる。さらに同薬は、オメプラゾールが取得している適応症(逆流性食道炎など)以外に、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」にも適応を取得しているのが特徴である。

*comment*
オメプラゾールの欠点を補う製品の登場か!?オメプラゾールにとって代わる製品となりうるのだろうか?
2011. 8. 26 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
「茶のしずく石鹸」により小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)を発症する患者が出ているという。2009年ごろから同石鹸を使用し始めた後、小麦含有食品を摂取して、眼瞼浮腫や顔の浮腫を呈する患者が出始め、問題が表面化した。茶のしずく石鹸を販売していた悠香(福岡県大野城市)によると、これまでに何らかの症状を訴えた人は600人以上。WDEIAの原因は、同石鹸に含まれていた加水分解小麦と考えられている。
株式会社 悠香HP http://www.yuuka.co.jp/

*comment*
この石鹸は女性のほとんどが知っている商品であるように思う。現在株式会社 悠香では、
2010年12月7日以前の販売商品に関しては交換または返品の対応をしている。同年12月8日以降の商品に関しては、小麦由来成分の替わりにシルク由来の成分を配合しているとのこと。
化粧品に関しては、添加物による害が判別しにくい分原因が特定できないケースも多い。化粧品だから、と自分の許容範囲外と決めつけている薬剤師も多いのでは?

2011. 8. 30 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
2009年のH1N1インフルエンザのパンデミックの初期に、中国で行われた無作為化非盲検試験で明らかになったという。

 
2011年08月27日 20:25 キャリアブレイン
[要訳]
日本薬剤師会は8月27日、東京都内で通常総会を開いた。この中で、児玉孝会長は「薬剤師の職能を確立するための手段として、医薬分業率100%を完成させたい。そのためには国民から役立っていると思っていただく必要がある」と述べた。
児玉会長は、「薬剤師が医薬品の研究、開発、製造から調剤、セルフメディケーション、生活者への服薬指導に至るまでのすべての過程において責任と主体性を持つことが大事だが、あらゆる面でまだまだ」と指摘。
*comment*
この題名を見たとき、医薬分業率だけの問題だろうか?と疑問を持って見てみた記事だが、記事を見てみても疑問が残る。責任と主体性を持つ事はもちろん重要だが、抽象的で具体性に欠ける。どんな活躍をと考えているのか、もっと具体的な議論に発展させたいものだ。
「公式」なき時代の若人に贈る3つのアドバイス
2011. 8. 25 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です
[抜粋]
アドバイス1:本当にやる気があれば、臨床留学はできる
もちろん簡単ではありませんが、本当にやる気があれば、必ず道は開けます。
要は、本当にやりたいと思っているかどうかです。その覚悟を聞き返すと、たいていの人は口をつぐんでしまいます。この決意ができるかどうかが、臨床留学で成功するかしないかの分かれ目になると言っても過言ではありません。
アドバイス2:人と同じことをしない― Make a difference ! ―
直訳すれば「違いを作り出す」ということになりますが、「何か大きな仕事をして現状を変える、改革する」というニュアンスがあります。人と同じことをやっていては“make a difference”することはできません。
アドバイス3:野心を持つ
「野心」ならば何でもありです。金でも地位でも名誉でも。どんなことであれ、大きな仕事をするには野心が必要です。野心がないと、人は重箱の隅をつつくような仕事で満足してしまいがちだからです。
*comment*
進路に悩んでいる後輩に伝えたい言葉を代弁してくださった記事なので載せました☆

2011/08/28

vol.105

<Today's news>
1. 調剤ミスの疑い、女性死亡 薬剤師2人を書類送検
2. 【ピジョン】妊娠期の便秘に向けた飲料でトクホ参入-オリゴ糖が腸内環境を改善
3. 【日本ジェネリック医薬品学会】公知申請で要望書-先発ヒント同一時期に
4. [社会保障] 難治性の長期治療に備え、40%が民間の医療・介護保険に加入
5. C型慢性肝炎の新薬承認へ
6. (富山)県が医薬品卸支店に業務停止処分

調剤ミスの疑い、女性死亡 薬剤師2人を書類送検
2011年8月19日 提供:共同通信社 (MSN産経ニュース)
[要訳]
男性薬剤師が昨年3月25日、胃酸中和剤を調剤しなければいけなかったのに、別の薬剤を調剤し、女性管理薬剤師は4月1日、調剤ミスの報告を受けたのに服用中止の指示や薬剤の回収をせず、7日に女性を死亡させた疑いで薬局経営者の男性薬剤師(76)と、女性管理薬剤師(65)をそれぞれ書類送検した。
関連記事:
調剤ミスで75歳死亡、薬剤師2人を書類送検(2011年8月19日 読売新聞)
調剤ミス:2薬剤師、書類送検 患者らに不安「信用していたのに」 /埼玉(毎日新聞 2011年8月20日 地方版)
*comment*
友人薬剤師が教えてくれた記事。調剤ミスの報告があったにもかかわらず薬剤回収をせずに死亡させた。。。報告の時点で止めていれば救われた命かもしれないのに。。。
怒られることを恐れて報告をしない、というケースはおそらく他の薬剤師の中にも経験があるのかもしれない。筆者が以前務めていた薬局の長も調剤過誤に関してはひどく叱る傾向にあり、それを恐れた部下たちは本部への調剤ミスの報告を怠っていた。今回の事件と同じ事が起きても不思議ではない現状である。
過誤が起きた時に部下を叱りつけるだけでなく、どのように改善していったら過誤が起きにくくなるのかを一緒に考えられるような環境作りが薬局には求められるのではないだろうか。


【ピジョン】妊娠期の便秘に向けた飲料でトクホ参入-オリゴ糖が腸内環境を改善
2011年8月26日 (金) 薬事日報

[要訳]
育児用品・マタニティ用品のピジョンは、妊娠期特有の便通の悩みにも最適な、水感覚の飲料「お願いオリゴ」(特定保健用食品)を新発売した。高純度タイプの乳果オリゴ糖がビフィズス菌を増やして、腸内の環境を改善し、お通じを良好にする。
一般女性に比べて、妊婦が便通に悩みやすい理由としては、
▽妊娠により黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増えることで、大腸の運動が鈍くなり、体内に滞留した便から水分が吸収され、硬い便になりやすい
▽子宮が徐々に大きくなって腸を圧迫し、腸の動きが低下する
‐‐などが挙げられている。また、つわり期の食事量の減少や、運動不足も要因になっている。
税込み希望小売価格は500mLペットボトルが189円、2Lペットボトルが630円。

*comment*
妊婦の便秘薬では酸化マグネシウムなどのマイルドな成分などしか使用できないため、このようにあ便秘になりにくい環境を作ることができるのは、セルフメディケーションの観点からも有効であると考えられる。とりすぎも良くないので、一日の用量を守って!

【日本ジェネリック医薬品学会】公知申請で要望書-先発ヒント同一時期に
 2011年8月26日 (金) 薬事日報
[要訳]
医療関係者がGE薬を使いづらい理由の一つとして、「先発品とGE薬の適応症、用法・用量の不一致がある」と指摘した上で、「公知申請は、ある一つの銘柄について行われるのでなく、特許の切れた同じ成分を主成分とするGE薬においても同じ時期に実施し、同一タイミングで新規の効能・効果等を追加すべきである」との見解を表明。

*comment*
確かに、先発品とGE薬の適応症や用法・用量の不一致が現場の薬剤師を混乱させているのは確かである。患者さんはこんなことが起きていることなど知りもしないだろうが。。。果たして厚労省の返答は?


[社会保障] 難治性の長期治療に備え、40%が民間の医療・介護保険に加入
2011年8月26日 提供:WIC REPORT(厚生政策情報センター)

[要訳]
主な調査事項は、民間の医療保険や介護保険加入状況、および加入理由、重要と考える社会保障の分野、社会保障の給付と負担のあり方など。、民間の医療保険や介護保険へは61.3%の者が加入していた。30歳代から50歳代では70%を超えていることがわかった。
加入理由では、「公的医療保険や公的介護保険の自己負担分を補うため」が45.3%と最も多く、次に「治りにくい病気にかかり治療が長期化することに備えて」が40.0%となっている。
関連記事:【厚労省調査】6割が民間保険に加入‐自己負担分を補填 (2011年8月31日 (水) 薬事日報)

*comment*
国民皆保険制度という制度がありながらも、民間保険の需要が高くなっている要因としては、公的保険への不信感もあるのではないだろうか。老後国から十分な補助が得られないことへの不安がこのような保険への加入につながっているようにも感じる。


C型慢性肝炎の新薬承認へ
2011年8月26日 提供:共同通信社  m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会は25日、C型慢性肝炎の新しい治療薬「テラビック」(一般名テラプレビル、田辺三菱製薬)の製造販売を承認してよいとする意見をまとめた。
経口投与の抗ウイルス薬で、C型慢性肝炎ウイルスの複製に関係する酵素を阻害し、ウイルスの増殖を抑える。現在標準的に行われているペグインターフェロンと抗ウイルス薬リバビリンの併用治療が効かない患者にも、効果を期待できるという。

*comment*
C型肝炎治療にお困りの方には朗報か?!副作用などの詳しい情報が必要である。

(富山)県が医薬品卸支店に業務停止処分
2011年8月26日 提供:読売新聞
[要訳]
医師の処方せんを必要とする医薬品を、支店社員5人が不正に購入・販売していた。5人は2006年から5年以上にわたり、向精神薬や糖尿病薬、勃起(ぼっき)不全治療薬、脱毛症薬など計797箱(約240万円相当)を購入、または知人など24人に販売した。

*comment*
やっと卸に対する信用が回復してきたという時にこのニュース、残念である。人間である以上このようなことは今後も起こりうるので、不正ができないようなシステムづくりの徹底が必要である。

2011/08/26

vol.104

<Today's news>
1. 医系予備校は「必要悪」か?
2. レセプトに見る「処方後に骨折が増える薬」とは
3. 疾患・治療法の患者説明用iPadアプリが登場

4. 健康教室は「やればいい」というわけではない  

医系予備校は「必要悪」か?
2011. 8. 26 日経メディカルブログ ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳&コメント]
医系予備校は、なかなか勤勉さを持てない駄目な生徒ばかりを集めた、授業料ばかり高い予備校だと思われがちです。
しかし、こうした実利、効率中心の医系予備校にも利点はあります。子どもたちが医学部にどうしても行かなければならない理由は、他の学部の場合に比べてより明確なケースが多いです。親が医者であることも、在日であることも、第三者がとやかく口を出すべきことではありませんが、結構強固な理由といえます。。。

*comment*
様々な理由があるにしろ、医療者になることの動機や倫理観を持たずに、不純な動機をもった資格保有者を作り出すことが可能な医療系予備校は個人的には良く思っていなかったが、医療系予備校が求められるその背景には様々なものがあることを教えてくれた記事。



レセプトに見る「処方後に骨折が増える薬」とは
2011. 8. 24 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
抗ヒスタミン薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬、抗てんかん薬、筋弛緩薬を対象にしぼり、5726人を対象に調査。筋弛緩薬は各年代で骨折出現率が2倍以上になりました。

*comment*
このような結果が出ているが、実際薬だけにより影響ではなく、筋弛緩薬を服用する患者=スポーツをする患者なども含まれており、骨折をするリスクが高い生活環境に置かれていること影響しているのではないか、という考察がなされている。一言助言をする程度としては活用できるのでは?



疾患・治療法の患者説明用iPadアプリが登場
2011. 8. 22 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
CG動画の制作、ソフトウエアの開発を手掛けるメディカクラウド(千葉県船橋市)は、医師や看護師などが患者への説明に使うiPad向けアプリケーション「IC動画HD」を開発、公開した。
疾患や治療方法について解説した30秒~1分程度のCG動画が7本収録されており、必要な動画を選んで再生する。「口頭で説明するより、図で示した方が分かりやすく、動画を使えばさらに患者の理解度を高められる」という。一つひとつの動画は、長くても1分程度と短いのが特徴だ。
現在、エーザイツムラ科研製薬三笠製薬が協力している。

*comment*
手術の説明なども、言葉よりも画像でみたほうが患者にとってわかりやすいのは確かである。
薬局でもiPadを使って有効にカウンセリングに役立てられないだろうか?誰か開発しているのかな?



健康教室は「やればいい」というわけではない
2011. 8. 19 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳&コメント]
住民の健康保持を目的として地域に直接出て行くこうした活動は、Community Outreachといいます。Community Outreachは、ただやればそれでいいというわけではなく、きちんとしたプランがあって初めて意味のあるものになります。講演会や健康教室も例外ではありません。地域ニーズやリソースの把握がなおざりなまま、思いつきやひらめきだけで実施しても、自院、患者の双方にとってムダになりかねません。このモデルは、おおまかには下表のような手順で実施されます。

(参考URL http://homepage1.nifty.com/PRECEDE-PROCEED/precede.html http://lgreen.net/precede.htm)。

*comment*
また、これらを円滑に進めるためにも、地域のお茶会などへの参加も重要であることを勧めている。地域の社会貢献の一環として考えている人は是非参考にしていただきたい記事である。

vol.103

<Today's news>
1. 7社が適応追加で公知申請 適応外薬の解消の一環
2. 全A型インフルに作用の抗体発見 予防薬開発に期待
3. アリセプトが国内売り上げトップ- 今年4-6月
4. HbA1cの国際標準化、2012年4月をめどに完全移行
おまけ.   “眠れる”中国の巨大介護マーケット- 介護企業の海外展開(上)

7社が適応追加で公知申請 適応外薬の解消の一環
2011/08/25 05:00 ミクスonline

[要訳]
 追加する適応は、医療現場から強い求めがあり、同省検討会議も医療上必要性が高く、医学薬学上も公知であると判断したもの。
公知申請は、追加する適応に対する当該医薬品による治療が広く行われ、実績があると判断されていることから、新たに治験することなく申請できる。
▽サワシリン細粒ほか(アモキシシリン水和物、アステラス製薬)、パセトシン細粒ほか(同、協和発酵キリン):追加適応「小児における最大投与量の引き上げ」。「1日量として最大90mg(力価)/kgを超えないこと」を追記する。
▽ラステットSカプセル(エトポシド、日本化薬)、ベプシドカプセル(同、ブリストル・マイヤーズ):「がん化学療法後に増悪した卵巣がん」 等

*comment*
日本における抗生物質などの用量は海外と比較すると圧倒的に少なくなるため、適応外処方の例も多かったはず。医療機関からの強い要望が通ったことはありがたいことである。


全A型インフルに作用の抗体発見 予防薬開発に期待
2011/08/25 10:08 【共同通信】
[要訳]
「H1」や「H3」などの型にかかわらず、すべてのA型インフルエンザウイルスに作用する抗体を、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)などの研究チームが発見し、25日までに米科学誌ジャーナル・オブ・ビロロジー(電子版)に掲載された。
同大の黒沢良和教授は「流行が予想されるどのウイルスにも作用する予防薬の開発につながる重要な発見」としている。
関連記事:A型インフルウイルスの抗体発見…新薬に期待も 2011年8月25日15時22分 読売新聞 

*comment*
高齢者や免疫力の低下している基礎疾患を持っている患者などへの予防注射や予防薬の開発につながるチャンス。元気な人達は予防薬に頼ることなく基礎的な免疫力の維持・向上に力を入れる努力を。



アリセプトが国内売り上げトップ- 今年4-6月
2011年08月23日 20:50 キャリアブレイン

[要訳]
医薬品市場調査会社IMSジャパンの今年4-6月の市場統計(薬価ベース)によると、エーザイのアルツハイマー型認知症治療薬アリセプト、サノフィ・アベンティスの抗血小板薬プラビックスの売り上げが、それぞれ前年同期比20%を超える伸びを示し、国内の医療用医薬品の中でアリセプトはトップ、プラビックスは6位となった。
<売上上位10位の製品>
1.アリセプト356億円(前年同期比22.8%増)
2.武田薬品工業の高血圧症治療薬ブロプレス327億円(5.6%減)
3.ノバルティスファーマの高血圧症治療薬ディオバン313億円(11.8%減)
4.アステラス製薬の高コレステロール血症治療薬リピトール280億円(5.4%増)
5.第一三共の高血圧症治療薬オルメテック224億円(4.6%増)
6.プラビックス216億円(27.1%増)
7.武田の消化性潰瘍治療薬タケプロン206億円(10.1%増)
8.久光製薬の鎮痛消炎薬モーラス201億円(10.2%減)
9.エーザイの消化性潰瘍治療薬パリエット199億円(7.9%増)
10.武田の抗がん剤リュープリン192億円(4.7%増)
薬効別に見ると、糖尿病治療薬が15.1%の伸びを示した。(DPP-4阻害薬がいずれも大きく伸長した。)国内医療用医薬品市場の総売上高は2兆3138億円(5.3%増)。

*comment*
高齢化に伴うアルツハイマーや痴呆の問題が浮き彫りになったニュース。今後さらに拡大することが予想される。相変わらず医薬品業界は低迷することなく伸びているようです。



HbA1cの国際標準化、2012年4月をめどに完全移行
2011. 8. 25 日経メディカル 
 [要訳]
日本糖尿病学会は、HbA1cの表記を、日本のJDS値から、国際的に使用されているNGSP値に相当する値に変更することを2010年に決定、まずは同年7月から学術論文や国際学会の発表に適用した。いよいよ2012年4月には日常診療・検診・健康診断にも適用され、完全移行の見通しだ。

(図1●HbA1c表記変更の工程表) 

*comment*
とうとう実施の時期が決定されたようですね。


“眠れる”中国の巨大介護マーケット- 介護企業の海外展開(上)
2011年08月23日 12:00 キャリアブレイン
[要訳]
団塊世代が75歳以上になる2025年に向け、日本国内の介護マーケットは右肩上がりの成長拡大を続ける。高齢化の進展で、介護業界は一見、安泰と思われがちだ。それにもかかわらず、ここにきて中国など海外への進出を試みる介護企業の動きが本格化してきた。介護企業はなぜ、海外を目指すのか―。
「いずれ日本国内の介護マーケットは伸び悩みの時代を迎えるが、中国は日本と比較にならないほど多くの高齢者が生まれる。これを商機ととらえ、中国が高齢化のピークを迎える前に、地盤固めをしておきたい思惑があるのだろう」と指摘する。

*comment*
介護の海外展開。新しい動きに関して興味のある方はどうぞ。

vol.102

<Today's news>
1.「受診時定額負担」で4000億円削減、うち半分は受診抑制効果
2.高齢者への抗うつ薬、薬剤の種類により有害転帰の出現率に差
3.計画停電時の医療機関公表 東日本15都県の373施設
4.薬剤師も聴診器活用、副作用など早期発見
5.【薬事法違反】薬局製剤にステロイド混和‐広島市が業務停止命令
6.【11年情報通信白書】4人に1人がWebサイトで健康・医療情報

[要訳&コメント]
「受診時定額負担」で4000億円削減、うち半分は受診抑制効果
2011年08月09日 m3.comメッセージ ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
政府・与党社会保障改革検討本部が6月30日に、「社会保障・税の一体改革成案」を決定して以降、医療界では様々な議論が沸き起こっています。
注目点の一つが、「受診時定額負担」。
「受診時定額負担」とは、初再診時に、定率の窓口負担金とは別に、例えば、「100円」などの定額負担を、患者に求める仕組み。高額療養費制度を見直し、長期高額医療を受ける患者などの負担を軽減するための財源確保が目的です。
。「年間の入院外の受診延日数は、医科(約16億日)と歯科(約4億日)を合わせ、約20億日なので、100円の定額負担を徴収すると、約2000億円。外来負担を引き上げると受診抑制が働くため、これまでの経験を踏まえ、その額は約2000億円と推計され、合わせて約4000億円の財政効果があると見込まれる。公費負担は医療費の約3割なので約1300億円になる」

「受診抑制」はセルフメディケーションにもつながるが、100円程度で果たして影響はあるのか?一方たかが100円でも負担が厳しくなる高齢者もいる中で、一定に負担を設けるというのはさらに考えなければならないポイントでもある。でも、どこで線引きを設けるか?ただ、国民の負担を少しずつ増やさない限り日本の復活は見込まれないのも事実。

その他の関連記事
受診時定額負担は「弥縫策」にすぎず - 安達・中医協委員2011年8月9日 安達秀樹


高齢者への抗うつ薬、薬剤の種類により有害転帰の出現率に差
2011年08月05日 ソース:BMJ(論文一覧) カテゴリ: 精神科疾患(関連論文) ・神経内科疾患(関連論文) ・投薬に関わる問題(関連論文)

[要訳&コメント]
65-100歳のうつ病患者6万746人を対象に、抗うつ薬と有害転帰との関連を集団ベースのコホート研究で調査。三環系抗うつ薬に比べ、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と他種の抗うつ薬は、転倒、全死因死亡などの有害転帰リスクの有意な上昇と関連していた。個々の薬剤では、トラゾドンやミルタザピンなどが有害転帰の高リスクと関連していた。
原文

※トラゾドン:日本での商品名「デジレル®」や「レスリン®」
※ミルタザピン:日本での商品名「リフレックス®」や「レメロン®」

計画停電時の医療機関公表 東日本15都県の373施設
2011年8月8日 提供:共同通信社

[要訳&コメント]
政府は5日、計画停電が実施された場合でも人命救助などに支障が出ないよう特別に電気の供給を続ける医療機関として、東京電力と東北電力管内の15都県にある373施設のリストを公表した。両社は計画停電を原則行わないとしており、万が一に備えたもの。
対象は、重篤な患者を受け入れる「救命救急センター」に指定された病院や大学病院などで、東京電力管内の8都県の261施設と、東北電力管内の7県の112施設。
医療機関名リスト http://setsuden.go.jp/

薬剤師も聴診器活用、副作用など早期発見
11/07/21記事:読売新聞

[要訳&コメント]
長崎市の長崎大病院で、医師や看護師が使う聴診器を薬剤師も活用するようになった。

患者の体調を把握するフィジカルアセスメントを通じて、副作用の早期発見などにつなげるのが狙い。九州・山口の医療機関では珍しい取り組みで、フィジカルアセスメントの技術を持つ薬剤師を増やしていく方針だ。
日本病院薬剤師会によると、薬剤師によるフィジカルアセスメントは医療行為とみなされ、医師法に抵触する可能性があるとされてきた。しかし、厚生労働省が昨年4月、医療現場での薬剤師の積極活用が求める通知を出したことを受け、同会は「医療行為には当たらない」との解釈を公表。こうした動きを背景に、各地の医療機関で研修を実施するなどの動きが広がったという。
長崎大病院は昨年2月、フィジカルアセスメントの技術を持った薬剤師の育成に向け、研究会を設立。月1回、医師や歯科医師らが指導する講習を開き、受講を終えた8人が今年1月から入院患者のフィジカルアセスメントを実施。副作用の有無の確認や、医師に対する薬の処方提案に生かしている。

フィジカルアセスメント:患者の体の打診や聴診を通じて状態を把握する行為。
どの程度薬剤師によるフィジカルアセスメントの動きが広まっているのだろうか。薬剤師達が自ら動くことで法律を変えていくという動きがみられるのはうれしいことだ。徐々に積極的な薬剤師が増えることを希望する。

【薬事法違反】薬局製剤にステロイド混和‐広島市が業務停止命令
2011年8月12日 (金) 薬事日報

[要訳&コメント]
広島市は、ムラオカ薬局(広島市西区)に対し、薬事法に基づく業務停止を命じた。ステロイドを含む処方箋薬を粉砕して漢方製剤に混和し、処方箋交付のない患者に販売したもの。違反品は薬局製剤の「ムラオカ鼻炎薬」の一部で、2008年2月から今年4月まで販売していた。
市は、違反品の服用中止や、健康被害が疑われる場合に医療機関を受診するよう呼びかけると共に、同製品によって緑内障や糖尿病の発症、免疫機能低下による感染症悪化などが現れる可能性があると、注意喚起している。

薬事法に違反していることはもちろん問題ではあるが、一番の問題は果たしてステロイドを含有していることで受ける影響を患者に説明していたかどうかである。これらを説明していなかったとしたら、薬事法に違反している以上に薬剤師としての資質が疑われる。

【11年情報通信白書】4人に1人がWebサイトで健康・医療情報
2011年8月11日 (木) 薬事日報

[要訳&コメント]
総務省の2011年版情報通信白書は、インターネットの普及に伴う国民の情報収集行動の変化を分析している。健康・医療関連の情報源は、05年に11・6%だった「パソコンのWebサイト」が10年には23・8%まで拡大し、「友人・家族」の22・6%を抜いた。「携帯情報サイト」は0・6%から5・3%に伸びた。ただ、最多は「テレビ」の45・6%で05年と同じだった。

今後さらにネットを利用した情報の収集が発展していく可能性があるので、情報の正確性が求められる。Webの情報はでたらめである可能性も多いので、利用者は100%情報をまにうけないよう、そして医療者はこの現状を受け止め、より正確な情報を提供できるよう知恵をしぼって行く必要がある。