2008/12/10

Saya's 薬学ニュース vol.25-Wikipedia、薬に関する項目は重要情報の抜けが多いとの調査結果/「1b型」限定の助成期間延長に、薬害肝炎原告が異議/肝炎患者への治療費助成、国の目標下回るペース/フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について

Wikipedia、薬に関する項目は重要情報の抜けが多いとの調査結果
2008年11月26日 17時08分-ITmedia

[要訳&コメント]
ユーザーが編集するWebリソース「Wikipedia」を使って薬に関する情報を調べる消費者は、潜在的に有害な薬物相互作用や副作用が分からずじまいになる恐れがあることが、最新の調査で明らかになった。健康関連のインターネット検索を行う人の3分の1は、一般市販薬や処方薬の情報を探しており、Google検索でWikipediaの項目が検索結果の最上位に表示されることが多いという。
「人々が医療関係者に問い合わせずに、こうした項目を唯一の、あるいは信頼できる情報源として利用すると、このような情報が分からないという悪影響がある」、「こうした情報の抜けは、誤りと同じくらい危険なことがある」と述べ、情報の取得方法に関し危険を呼びかけている。

情報の取得方法として利便性の高いインターネット。しかし、情報があふれるばかりで、その中から適切な情報を得るのは非常に難しくなっている。自分の飲む薬に関してインターネットで調べることは、有益な情報が得られることもあるが、同時に良い情報(効能や効果)しか得られず、悪い情報(副作用など)は表示されないケースがあることを、この記事では訴えている。TVでも同じだが、こういったメディアの場合は、その真偽を見極める必要があることを忘れてはいけない。この辺の情報提供も、医薬品の適正使用における薬剤師の役割に含まれるように感じた。
記事の筆者が推奨する医薬品検索サイト(英語):medlineplus.gov、medscape.com
参考記事:
医療情報、女性は友人や家族よりネットが頼り――米調査(医療および健康情報の入手先として、医師や医療専門家を挙げた人は82%、インターネットと答えた人は60%、友人、家族、夫や恋人という回答は51%)
「ネットで医療情報を入手」71%――米調査(ヘルスケア関連の情報入手にインターネットを使ったことがある人は2005年の53%から71%に増加。これは、米国の成人1億6000万人に相当するという。)

「1b型」限定の助成期間延長に、薬害肝炎原告が異議
2008/11/27 11:33-キャリアブレイン

[要訳]
C型慢性肝炎「1b」型で「高ウイルス」の患者に限り、来年度から治療費の助成期間を延長する厚生労働省の方針に対し、薬害肝炎原告の福田衣里子さんが異議を唱えた。「1a、2a、2bにも、(現行の助成期間の)48週で足りない人もいると思う」とも指摘し、同省の方針に疑問を投げ掛けた。
現在の助成期間の対象となっている48週について、「インターフェロンの医薬品の添付文書にも、48週を超えた有効性、安全性については確立していないと書かれている。添付文書上は48週を超えた延長については保証していない」と数字の根拠を説明した。

肝炎患者への治療費助成、国の目標下回るペース
2008/11/27 17:27   キャリアブレイン

[要訳]
今年度から始まった肝炎患者へのインターフェロン治療費の助成制度で、8月末までの5か月間に受給者証の交付を受けた患者の数が、年間10万人の国の目標に対して、2万2562人にとどまっていることがわかった。
、「制度自体を知らない人もいるので、一人でも多くの人に普及・啓発を行いたい」と話しており、リーフレットの作成や各都道府県に拠点病院を設置することなどによって、検査の重要性の周知やかかりつけ医の研修を行いたいとしている。

フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について
平成20年11月28日-厚生労働省 医薬食品局血液対策課

[要訳&コメント]
平成16年12月9日に公表したフィブリノゲン製剤納入先医療機関を対象として、平成19年11月7日付で実施した追加調査の結果について、11月14日までに回収した医療機関からの回答を取りまとめた状況を紹介している。

元患者数
お知らせした:6,441人(54%)(※2)
お知らせしていない:5,460人(46%)
→理由
投与後に死亡:1,826人(15%)
連絡先不明、連絡がつかない:1,900人(16%)
その他:1,734人 (15%)
[合計]11,901人

C型肝炎患者に関する記事を3つ紹介した。訴訟における原告側の勝訴により、国からの援助を勝ち取ったが、実際の援助は目標を大きく下回る状況であることがわかる。被害者の中には、援助の対象となる感染時期よりも前に感染した人たちもいたり、輸血を受けたことさえも忘れ、感染に全く気付いていない人たちも多く、さらにこの援助自体を知らない人たちさえもいる。といったように、情報がいきわたっていないのが現状である。
中でも、医療機関からのお知らせを行っていない人たちが50%近くいることに驚かされる。C型肝炎の場合は感染しても自覚症状がない場合も多く、症状が出てきた頃には重症になっている事も多いため、医療機関からの通知が患者への唯一の伝達方法であるかもしれない状況で、この数字には非常に残念である。連絡先が不明であり、連絡がつかないなら仕方がないとしても、方法があるのであれば、まずはそこから徹底して行っていくことが本当の意味での患者の救済になるのではないだろうか。

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