2008/12/04

Saya's 薬学ニュース vol.22-薬剤溶出ステントで生じる問題を回避できる新タイプのステント/肥満児の動脈は中年並みに老化している/自殺に使われた「ムトウハップ」製造中止

高脂血症関連のニュースが続きます。今日は生涯学習研修の通信教育で高脂血症をおさらいしたばかりなので、情報がとても身近に感じます。月経後の女性においては、LDLの値が急増し、平均値自体が既に抗コレステロールの値をオーバーしていて、2人に1人が高脂血症であるという事実には驚かされた。どのくらいの人がこの事実について知っているのだろう。

薬剤溶出ステントで生じる問題を回避できる新タイプのステント
2008/11/25-Dr 赤ひげ.com

[要訳&コメント]
新世代型のステント*によって、従来の薬剤溶出ステント(DES)にみられた遅発性の問題を回避できる可能性のあることが2つの研究で示された。
ステンとの第一世代:ベアメタルステントは、再狭窄を生じることが多かった。
第二世代の薬剤ステントは、遅発性ステント血栓症などの問題がみられた。
今回の新しいステントは第三世代で、「内皮前駆細胞(EPC)捕捉ステント」と呼ばれるもの。動脈壁内側の内皮前駆細胞がステントを覆うことを促す抗体でコーティングされており、治癒の速度を上げ、動脈を長期間開通させておくことができるという。
*ステント:狭窄した動脈を再開通させる血管形成術に利用される器具

動脈硬化などの治療に用いられるステント。副作用が軽減されたことが大きな進歩である。ステントの利用ということは、動脈硬化も進行し、薬での効果だけでは不十分という意味であるため、最終手段のような治療の進化は大きな意味を持つ。

肥満児の動脈は中年並みに老化している
2008/11/25-Dr 赤ひげ.com

[要訳&コメント]
肥満児の動脈は、実際の年齢よりも30歳以上老化していることが新しい研究で示された。(被験者は平均13歳で、ほとんどが白人であり、約半数が男児)肥満児および血液中のトリグリセリド(中性脂肪)濃度が高い小児ほど血管年齢が高い傾向があったという。
蔓延する肥満の問題を解消するには、出生前に両親を教育することから始める必要があると指摘している。「若い親の多くは子どもの栄養所要量について理解しておらず、カロリーの摂取量と消費量のバランスが取れていない。

実年齢よりも30歳以上老化している…ということは、例えば1歳の子であっても、血管年齢では私は優に抜かれてしまうということ…(究極な例だが)その子たちが私と同じ年齢になったら?!そう考えると怖い事実である。
海外に住んでいると感じるが、食べる量が尋常ではない。メニューを見てもこれを毎日食べれば、あれだけ大きなお尻になってしまうことも納得である。米や加の薬剤師は、薬剤師としての職能において高い信頼を得ているが、生活習慣病の予防や未病に関しては機能していないように感じた。親の教育ももちろんだが、義務教育での保健と栄養の教育も、食生活の見直しを考えさせるほどのものをしていくべきなのではないだろうか。

自殺に使われた「ムトウハップ」製造中止 「やめないで」存続望む声続々
2008/11/26-J-Cast ニュース

[要訳&コメント]
「硫化水素ガス」自殺の原料に使われた入浴剤の製造が中止されたことが明らかになったが、製造元には700人以上の愛用者から「やめないでほしい」という声が寄せられている。
入浴剤と洗浄剤を混ぜ合わせて「硫化水素ガス」を発生させ、これを吸って自殺に用いられたことから、製造を中止させられた「ムトウハップ」は、イオウなどを含む医薬品の入浴剤で、疲労改善、アトピーや皮膚病にも効果があるといわれ80年前から長い間利用されてきた。ある有名な温泉旅館も、温泉と偽って利用していたほど効果の高いものと考えられていたのであろう。
販売自粛要請により8割近くの薬局やドラッグストアが販売を停止させ、2ヶ月後に自粛要請が解除になった後でも、販売を再開させる薬局等は少なく、社員の退職を余儀なくされている状態である。

毒ガス自殺に使われる商品を取り除くということは、安全性の観点から一見正しい判断ともとれるが、それにより被害を被る人たちも多いということを考えさせられる。これは、報道により毒ガス(硫化水素)の作り方までも詳しい記載をしたために、それに続いて自殺が増えたという事実も見過ごしてはならない。過剰な報道は時として混乱を招き、新たな害を生んでしまうことも確かである。いくら良い商品、とはいっても安全上この商品を販売し続けることはできないし、愛用していた人たちには残念だが何かこれに代わる商品開発に励んでのしいものである。

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