<Today's news>
1. 「小児難治性」適応の抗てんかん薬
2. 新生児けいれんとてんかん重積状態の治療薬
3. ウイルス性疾患予防と漢方薬
4. 厚労省が第三者委設置へ 人工心臓の少年死亡で
おまけ. 認知症は死因から見逃されている
「小児難治性」適応の抗てんかん薬
2008/12/19 15:10-キャリアブレイン
[要訳&コメント]
小児の適応を有するてんかん治療薬「ラミクタール錠」(一般名・ラモトリギン)が発売された。
商品名:「ラミクタール錠」
一般名:ラモトリギン
規格:小児用2mg,小児用5mg,25mg,100mg
製薬会社:グラクソ・スミスクライン
【特徴:】
①ほかの抗てんかん薬との併用療法により、二次性全般化発作を含む部分発作、強直間代発作、レノックス・ガストー症候群に効果を示す。
②成人だけでなく、小児の適応を有する。
③小児に発症するてんかんの中で極めて難治性のレノックス・ガストー症候群への適応を取得した日本初の抗てんかん薬
現在、日本におけるてんかん患者は約100万人。患者の80%が小児期に発症するが、小児のてんかん治療薬の選択肢は少ないという。
てんかん患者の80%近くが小児期に発症するのに、その薬が少ないというのは恥ずかしいことに知らなかった。ちょっと勉強になった記事である。副作用などの記載がなかったので、その点を補足しておこうと思う。
【副作用】:発疹や発赤、眠気、吐き気、めまい、かすみ目、肝機能低下
【その他の特徴:】
①口腔内崩壊錠。
②半減期が約31~38時間(バルプロ酸ナトリウム(デパケン)との併用で約2倍に延長)と長いため、副作用発生時は的確な説明を。
【注意:】
①グルクロン酸抱合を誘導する薬剤との併用では血中濃度低下。増量を検討。:フェニトイン(ヒダントール、アレビアチン)やカルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール(フェノバール)
※バルプロ酸ナトリウム(デパケン)との併用で半減期延長。減量を検討。
新生児けいれんとてんかん重積状態の治療薬
2008/12/22 13:20-キャリアブレイン
[要訳&コメント]
新生児けいれんとてんかん重積状態の治療薬「ノーベルバール静注用 250mg」(一般名・フェノバルビタールナトリウム)が販売された。
商品名:「ノーベルバール静注用」
一般名:フェノバルビタールナトリウム
規格:250mg
【特徴】
①日本で初めての静脈注射用フェノバルビタール製剤」で、新生児けいれんに適応を取得
②小児から成人までのてんかん重積状態に投与可
参考資料:新発売のご連絡(アルフレッサ資料)
経口剤に続いて、注射剤の紹介である。両社も、第一選択薬としての利用ではなく、併用や第二選択薬としての推奨であるが、ニーズがある薬なので今後目にすることがあるであろう。
【副作用】:意識障害、血圧低下、呼吸抑制、肝機能低下
ウイルス性疾患予防と漢方薬
2008年12月19日-毎日新聞
[要訳&コメント]
質問内容:感染性胃腸炎やインフルエンザなどのウイルス性疾患に効く漢方処方はあるのでしょうか? また、日頃の体調管理はもちろんですが、インフルエンザや風邪にかかりにくくする漢方処方はありますか?
風邪の諸症状を漢方では侵入してきたウイルス(病邪)と免疫力(正気)との間に起こっている邪正相争(じゃせいそうそう)という戦いによって生じるものと考えます。
漢方処方を選ぶ際には、八綱弁証というものを駆使して病位・病勢・病性を確認して処方を選びますので『この症状にはこれが効く』という処方はありません。『風邪のひき始めだから葛根湯』と安易に考えないようにしましょう。下記に風邪の症状軽減によく使う漢方薬の紹介。
【風邪の予防方法】:外邪と戦う正気を高めておくことが大切
①殺菌力のある粘膜を保つ:外出後の手洗いうがい、マスクの着用、室内の加湿
②抗ウイルス作用のあるものを常用:板藍根(ばんらんこん)、プロポリスなど
③外邪と戦う正気を高めておく:補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの補気剤
※タミフルの原料は大茴香(だいういきょう)という生薬の成熟した果実からできているという。
厚労省が第三者委設置へ 人工心臓の少年死亡で
2008年12月19日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳&コメント]
国立循環器病センター(大阪府吹田市)で臨床試験(治験)中の補助人工心臓を装着した少年=当時(18)=が約2週間後に心肺停止となり、約1年後の今年春に重い脳障害で死亡した問題*で、厚生労働省は18日、第三者による調査委員会を設置する方針を明らかにした。
18歳の少年が、自分の意志で治験に託した想い...心肺停止までの2週間、どのような思いで過ごしたのかを考えるととても辛くなりますね。そしてその両親は、本人の意志を尊重して治験の継続を決意したのでしょう。息子の容体が急変したあとに下さなければならないその決断の重さとその想いを、治験を行う側には忘れてほしくないですね。
*治験実施から死亡に至るまでの話
少年は心筋の働きが落ちて心臓が肥大化する「拡張型心筋症」と診断され、昨年春に入院。未承認の補助人工心臓「エバハート」の治験に少年本人が同意し、装着手術を受けたが、2週間後に心肺停止となり、今年春に死亡した。病院側は少年が意識不明となった後も家族に治験の継続を勧め、母親が同意書に代筆して治験が続けられたという。
おまけ...認知症
認知症は死因から見逃されている
2008/12/18 -日経NET
[要訳&コメント]
重度の認知症患者が死亡したとき、認知症が死因として記録されないケースの多いことが新しい研究により示された。この知見により、認知症が致死的な疾患であるとの知識が不足していることが明らかにされただけでなく、アルツハイマー病および認知症による死亡者数が実際よりも大幅に少なく算出されていることになるという。
認知症が死因として認識されていないのは意図的なものではないようだという。かつては老衰として知られていた認知症は、単なる脳の疾患にとどまるものではなく、精神面に加えて身体も徐々に侵され、最終的には癌(がん)やエイズと同じように肺炎を来すこともある。認知症が致死的な疾患であるという理解が欠けていると、終末期の患者に不必要な治療を家族が強く要求するようなことにもなるとのことだ。
確かに、認知症で死亡、ということはあまり耳にしたことがない。自分が病院で働いた経験がないからかもしれない。病院勤務の薬剤師などはよく耳にすることなのだろうか。患者のQOLを考えると、ただの認識不足、では片付けられない内容であることがこの記事から教えられた。
0 件のコメント:
コメントを投稿