<Today's news>
1. 低用量の一酸化炭素が脳卒中患者の脳細胞を救う
2. HIVの侵入阻害、日本初の感染症治療薬
3. 来年度は201万リットルの献血が必要―厚労省
4. “予定通り”に決着した医薬品ネット販売
低用量の一酸化炭素が脳卒中患者の脳細胞を救う
2008/12/25 -日経NET
[要約&コメント]
COは臓器障害を引き起こし、死をもたらすこともある無色、無臭の気体で、暖房装置、車、ガスレンジなどの燃焼煙に含まれている。COは体内で自然に作られており、さまざまな条件下で保護的な機能を果たしている。体外からのCOに同様の効果があるかどうかを確認するために、今回の実験を実施したという。
〔COの保護効果〕
・血管を拡張させ、血流を増大させる作用。
・抗炎症作用により、炎症による細胞死を防ぐ。
・脳の水分を減少させる作用。脳の水分が多いと、頭蓋内圧が高くなり脳細胞死を引き起こす。
毒になるCOが、加減によって治療に応用できるという。この記事を読んでいて、ふと一つの薬が頭に浮かんだ。それは、一時期薬害で騒がれたが、新しい治療のために再度医薬品として承認されたサリドマイドである。『くすり』は反対からよむと「リスク」。多少の加減や使い方によって、人を生かすことも殺すことにもなり得るものであることを忘れてはいけない。COの場合は、摂取量のコントロールが課題となるかもしれないが、死亡率の高い疾患に有効であることから、どうにか克服してほしい課題である。
HIVの侵入阻害、日本初の感染症治療薬
2008/12/25 17:56-キャリアブレイン
[要約&コメント]
日本でのHIV感染者とエイズ患者が1万5000人を超え、推定感染者数が年々増加する中、HIVの細胞内への侵入を阻害する日本初の抗ウイルス化学療法剤「シーエルセントリ錠150㎎」(一般名・マラビロク)の製造販売が承認された。
商品名:シーエルセントリ錠
一般名:マラビロク
規格:150mg
製薬企業:ファイザー
HIV感染症の治療については、3系統の薬剤を組み合わせた「多剤併用療法」の確立で、感染者の生命予後は大きく改善した。しかし、薬剤耐性ウイルスの出現などで、新規薬剤が求められていた。
ウイルスは生体の構成と似ている(細菌に比べ)ことから、抗ウイルス剤の開発はとても難しいとされている。ウィルスを殺すものは、生体の細胞も破壊しやすいからである。その中でも、長い年月をかけてでも、有効な薬を開発している人素晴らしい人たちがいるのだ、ということを改めて感じさせられる瞬間である。エイズに関しては、先進国である日本でも未だに悪化し続けている現状がある。教育面できちんとした情報提供が行われてこなかったために、性行為を行う年齢になっても、きちんとした知識を得ていない若者が多いのである。感染率が上昇し続けているのは、この部分(教育)が最も大きいと感じる。
すでに感染した人には、薬による治療が可能であり、このような薬の開発によりQOLは維持でき得るということを、そしてまだ感染していない人たちにも、さらなる予防法や差別・偏見の解消などのケアを行っていく必要がある。
来年度は201万リットルの献血が必要―厚労省
2008/12/25 20:42-キャリアブレイン
[要約&コメント]
厚生労働省は、来年度は献血によって計201万リットルの血液を確保する必要があるなどとする「献血の推進に関する計画(案)」を報告した。
来年度に必要と見込まれる輸血用血液製剤の量は、全血液製剤0.02万リットル、赤血球製剤48万リットル、血小板製剤15万リットル、血漿製剤23万リットルで、それぞれ0.02万リットル、49万リットル、16万リットル、24万リットルが製造される見通しだという。
献血カーの近くを通ると、血液型ごとにどの血液が必要なのかが記載されている看板をよく目にする。これも、血液製剤の安定供給のために厚労省と赤十字が組んで行っていることである。このようなデータをみて協力しなければ、と思うのは職業病だろうか、それとも普通?
“予定通り”に決着した医薬品ネット販売
2008/12/26 15:43-キャリアブレイン
[要約&コメント]
インターネットを通じた一般用医薬品(OTC)の販売の是非は、2009年6月に施行する薬事法改正で、厚生労働省が予定していた通りの結論に落ち着いた。副作用リスクに応じてOTCの種類を三段階に分けたうち、最もリスクが低い「第三類」に限定して、OTCのネット通販は許される。この結論は、来年の改正薬事法に合わせ、今年9月に厚労省が示した省令案の通りだ。
とうとう決着がついたネット販売議論。結局私がずっと求めていた答えは出てこなかった。自分としては、少し押し切られた感が残っているが、この結論が吉と出るか凶と出るかはしばらく見守っていきたいと思う。日本の薬の販売が規制され、海外の薬販売サイトの影響がどの程度拡大するか、またへき地などの土地の関係、障害者などの身体的な問題で薬が手に入りにくいの人たちやへの対応をどのようにしていくのだろうか。まだまだ目が離せそうにないトピックである。
おまけ...
民主党案を基盤とした4つの医療事故調査制度
2008. 12. 19-Nikkei Medical Online
[要約&コメント]
2008年8月20日の福島県立大野病院事件無罪判決後、医療事故調査制度の整備の必要性が浮き彫りになったという。患者遺族側と医療者側にはそれぞれ別々の目的があり、以下の4つに分類している。
[患者遺族側]
・精神的側面:患者遺族の納得
・経済的側面:医療災害の補償
[医療者側]
・過去を清算する側面:当該医療者の処分・非難であり、「責任追及」
・将来を指向する側面:医療安全の向上・再発防止
この相対する目的を、一つの制度で解決しようとしていたが、それ自体が実は問題である。厚労省の医療安全調査委員会構想の典型であるという。
この他にも、解決・予防する上で大切な心得などが記載されており、医療訴訟に関して考えさせられる内容であった。ミスは人間である限り必ず起こる。その時にいかに患者と正面から向き合い、誠実に対応するかによって患者遺族の納得を得られるか。この部分が印象に残っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿