2009/01/18

Saya's 薬学ニュース vol.58-インフルエンザ-タミフル耐性株の出現/癌死亡者の増加と人口減少/レセプトオンライン請求サービスで不具合/禁煙成功者47.1%(和歌山)/外国人患者に言葉の壁

<Today's news>
1. タミフル耐性株を宮城と滋賀で初めて分離
2. 鳥取県でタミフル耐性株が突出して多い理由
3. 癌死亡が34万人超に‐人口は過去最大の減少
4. 社会保険診療報酬支払基金向けレセプトオンライン請求サービスで不具合

おまけ. 励まし合って乗り切ろう 第11期禁煙教室受講生募集 和歌山・田辺 、 外国人患者に言葉の壁 群馬県が通訳を派遣 「列島ライトアップ」

タミフル耐性株を宮城と滋賀で初めて分離
2009/01/09 21:56-キャリアブレイン

[要約]
タミフルが効かないインフルエンザウイルスの「耐性株」が今シーズン、既に宮城県と滋賀県で分離されていることが明らかになった。国立感染症研究所では「耐性株が徐々に各地域に広がっている」としている。タミフル耐性株は、遺伝子の突然変異でインフルエンザのH1N1型ウイルスを構成するタンパク質の一部が変質したもので、2007年に北欧で増加傾向が確認されて以来、世界的に増加している。
鳥取県でタミフル耐性株が突出して多い理由
2008. 12. 25-日経メディカルオンライン

[要約&コメント]
世界的に広がっているA/H1N1型インフルエンザウイルスの「タミフル耐性」。諸外国に比べれば日本はまだ耐性化率が低いが、調べてみると、なぜか鳥取県だけ突出してA/H1N1型に占めるタミフル耐性株の比率が高かったのだという。

       <日本国内におけるA/H1N1タミフル耐性株の検出状況>

世界中で最もタミフル(一般名:オセルタミビル)を消費している国の割に、耐性株の出現率が低いことが驚かれている。また、耐性はH1N1の流行規模に依存する傾向が強く、米国ではこの型のインフルエンザが流行する可能性が高く、タミフル耐性株の出現頻度も66.2%と既に高い状態です。

日本はタミフルに依存している傾向が強いので、耐性が高い割合で起こっていても不思議ではなかったが、以外にも低い値で驚いた。しかし、このまま依存し続ければ、耐性ができるのも時間の問題、ということを忘れてはいけない。

癌死亡が34万人超に‐人口は過去最大の減少
2009/01/08 -薬事日報

[要約&コメント]
厚生労働省が公表した「2008年人口動態統計の年間推計」では、癌による死亡者は前年より6532人増え、34万3000人と過去最高になった。癌が脳卒中を抜いて、日本人の死亡原因のトップになったのは1981年のことで、それ以来増加傾向が続いている。2位は心疾患で18万4000人(前年より8461人増)、3位は脳血管疾患で12万6000人(1041人減)と推計している。
死亡数が増加した主要因は、高齢化の進展によるもので、人口の減少は2年連続。出産期の女性人口は減っており、厚労省は「本格的な人口減少社会に突入した」と分析している。

この数字を見るとさすがに驚かされる。周りに癌と戦っている人達がいるが、他にもこんなに多くの人が命を落としていたとは。高齢社会の日本にとっては避けられない事実なのだろう。とはいっても、癌は早期に見つかれば治療の見込みがある病気である。定期健診などで計画的に身体検査を行うことをお勧めする。

社会保険診療報酬支払基金向けレセプトオンライン請求サービスで不具合
2009/01/08-ITpro

[要約&コメント]
NTT西日本が「フレッツ・光プレミアム」上で提供するレセプトオンライン請求サービスを介した請求で接続しにくい状態が続いているほか、一度接続しても途中で切れてしまい請求を完了できないケースがあるという。障害は前日7日14時29分に発生し、は1月9日朝9時から復旧したとのこと。

このレセプトオンライン請求サービスに関してはSaya's 薬学ニュース vol.5で昔紹介したこともある。サービスの不具合はどの会社でも起きることであるが、対応の遅れは禁物である。ただし、今回の問題は、回復の見込みが立っていないと書かれていながらも、1日半で復旧したとのことなので、まずまずでは?と思うのは私だけだろうか。しかし、重要なのは今回起こった不具合を二度起こさないような対策がすぐに練られるべきであるということである。
訴訟の動きが先か、それとも制度化が先か。この点も目が離せない。

おまけ...禁煙

励まし合って乗り切ろう 第11期禁煙教室受講生募集 和歌山・田辺
2009年1月7日-m3.com 提供:毎日新聞社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
田辺市健康増進課は、市民対象の第11期禁煙教室の受講生15人を募集している。過去の参加者の禁煙成功率は47.1%。同課は「励まし合って乗り切りましょう」と参加を呼びかけている。無料。
医師による禁煙外来の説明、管理栄養士による禁煙継続のコツの紹介、禁煙した人との交流会があり、最終日の「卒煙式」のあと、禁煙して気付いたことなど参加者の意見交換を行う。

一般的な禁煙成功率の割合は十数%ということを聞いたことがある。これに比べればはるかに高い値なのではないだろうか。禁煙には同志の存在が重要であることがわかる。一人ではなかなか難しいのであろう。禁煙者の割合を減らす事で、肺がんなどのリスクを減らすことができ、市民の健康を維持していくには非常に意味のある取組なのでは、と感心した記事である。

外国人患者に言葉の壁 群馬県が通訳を派遣 「列島ライトアップ」
2009年1月8日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
在日外国人が215万人を突破し(2007年末現在)、定住化が進む中、医療現場で言葉の壁が問題となるケースが増加している。通訳を、外国人患者が連れてくる家族や友人に頼る場合が多く、正確かどうか分からないのが現状だ。群馬県は06年度から医療通訳者の派遣制度を実施しているが、ボランティアのため本来の仕事との調整が困難などの課題もあり、国に制度化を求める声が出ている。
▽専門用語に悪戦苦闘:普段使わない用語のため、一般会話が話せても医療現場では通用しない場合もある。正確な情報を伝えるためには欠かせない内容である。
▽国が制度化を:NPOによる活動のため、必要な時に人員を確保できない場合があり、運営が厳しい状態にあるのが現状。
などの問題を提示している。

この問題点は、自分も薬局の中で改善していきたい課題でもある。薬局の場合は、疾患など幅広く取り扱うため、一見広い知識や語彙が必要に感じられるが、第一段階の薬の説明に絞ってしまえば勉強範囲は限られてくる。また、薬袋や薬の説明書など、あらかじめフォーマットを作っておけば、最悪印刷して手渡すことでも大いに有効活用してもらえる。ただし病院の場合は、細かい症状を伝える、などさらに内容が複雑になるので難しいのは確かである。
外国人が日本で増えていることは確実であるし、これから増えていくことも分かっているはずである。国に制度化を願う気持ちは自然なことなのではないだろうか。

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