2009/03/14

Saya's 薬学ニュース vol.83-3割の病院で薬剤師が剤形・処方変更などに関与/「ジフェンヒドラミン塩酸塩」の睡眠への影響を確認/クラビット後発品 保険収載にたどり着くのは?/6年制での大学院議論開始

<Today's news>
1. 3割の病院で薬剤師が剤形・処方変更などに関与
2. 睡眠ポリグラフィで「ジフェンヒドラミン塩酸塩」の睡眠への影響を確認
3. クラビット後発品 保険収載にたどり着くのは?
4. 6年制での大学院議論開始‐薬学系人材養成の検討会が初会合


3割の病院で薬剤師が剤形・処方変更などに関与
2009. 2. 10-日経DI

[要約&コメント]
約3割の病院で薬剤師が、剤形変更や処方変更、投与量、投薬・注射の提案を行うなど、幅広い業務に携わっている実態が明らかになった。(日本病院薬剤師会による調査)
回答があった項目な中では、「処方薬の剤形変更の処方を提案している」が最も多く、33.1%に達した。以下に、「薬物療法中の状態を定期的にモニターし、処方変更、投与量の変更、投薬・注射の中止の提案」(29.3%)、「医師が指定した慢性期の患者さんについて、定期処方のdo処方を行っている」(13.6%)、「保険薬局で後発医薬品に変更した処方薬を診療録に反映させるための代行入力を行っている」(9.4%)、「ワーファリンなど手術前中止薬をチェックし、処方削除のオーダー入力をしている」(5.7%)などが続いた。

これらのほとんどが、医師の同意の上で行っている業務であるというが、法律上ではグレーゾーンに入るものもあるという。法律を守ることはもちろん大切なことであるが、法律にがんじがらめにされて何もしなければ、新たな職能の獲得にはつながらない。グレーゾーンがあるからこそ、新たな職能開拓につなげられるのである。

睡眠ポリグラフィで「ジフェンヒドラミン塩酸塩」の睡眠への影響を確認
2009/02/12(木)-日経DI

[要約&コメント]
エスエス製薬株式会社は、ジフェンヒドラミン塩酸塩*の睡眠構築と、翌日のQOL(Quality of Life:生活の質)に及ぼす影響を確認し発表した。
徐波睡眠(Stage3+4)及びREM睡眠の出現量を抑制せず、Stage2を有意に増加させることがわかり、また、実睡眠時間(就寝時間-覚醒時間)および睡眠効率(実睡眠時間/観察時間×100)を有意に改善することで、翌日の身体的疲労及び集中力をも改善し、日中のQOLの改善にも有用であることが示唆されたという。
*ジフェンヒドラミン塩酸塩
ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン剤)の中でも、とくに催眠鎮静作用の強いことが知られている。欧米でも睡眠導入を目的としたOTC医薬品として利用されている。

抗ヒスタミン薬の睡眠効果は、花粉症の薬を試したことのある人であれば体験している人も多いのではないだろうか。その効果からOTC医薬品で睡眠改善薬として販売されるようになり、睡眠で悩む人の中では喜んだ人も少なくないだろう。エスエス製薬株式会社の睡眠改善薬といえば「ドリ〇ル(ジフェンヒドラミン50mg含有)」であるが、正直効果は疑っていた。
患者さんの中には、処方せん薬で服用しているような睡眠薬と同じもの、と勘違いしている人も多いので、異なることを説明した上で、今回の結果をお伝えするのもよいかもしれない。

クラビット後発品 保険収載にたどり着くのは?
2009/02/12 17:35-キャリアブレイン

[要約&コメント]
昨年の後発品業界の話題は、血圧降下剤「アムロジピン」一色だった。これに対し、今年の目玉となる後発品の一つが、抗菌剤「レボフロキサシン」(第一三共のクラビット)だ。承認を得た会社数は32社に上る。このうち何社が保険収載にたどり着くかが今後、注目すべきポイントとなる。安定供給や先発品との特許係争といった“不安要素”を抱える後発品は、厚労省の胸算用ひとつでふるいに掛けられるのが実情である。

後発品の承認、保険収載に関わる話をあまり耳にすることのなかった自分としては、興味深い内容であった。このようなバトルが繰り広げられていたとは。後発医薬品の普及を目指す厚労省、そしてその恩恵にあずかる後発医薬品メーカー。この両者の間にどのようなやりとりが繰り広げられるのであろうか。

6年制での大学院議論開始‐薬学系人材養成の検討会が初会合
2009年02月17日-薬事日報

[要約&コメント]
会合で文科省は、薬学系大学院のあり方に関して、
●6年制と4年制で異なる薬学系大学院の人材養成の目的をどう明確化するか
●薬学系大学院に必要な教育研究内容
●教育内容に応じた設置基準上の専任教員数  等について検討が必要とした。
癌専門薬剤師やトランスレーショナルリサーチを推進する研究者の育成など、臨床現場でより高度な医療を提供するための人材を養成する場とする点について委員間の賛同が得られたものの、学部で6年間、大学院で4年間学んだ学生の「就職先」を懸念する声があがった。

3年前から、6年制及び4年制大学を同時並行させていくことになり、いくつかの大学では2種類の募集をかけたが、実際のところ4年制への入学希望者は少ない、という結果となった。その大きな理由としてはやはり就職の面であろう。4年制へ進んでも薬剤師の免許は取れない。研究をしたい、と思って入学しても、4年間もあれば将来を考え直すこともあり、高校生の時点では選択肢の広がる6年制を選ぶのも無理はない。果たしてどのような見解を示すのであろうか。

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