2009/08/19

Saya's 薬学ニュース vol.99-糖尿病入院患者の低血糖が高死亡率に関連/60歳以上の97%が“COPD”の疑い/「レーシック手術で感染症」50人が提訴/抗精神病薬「クロザリル」を発売/ 医療改革“真夏の戦い”へ

<Today's news>
1. 糖尿病入院患者の低血糖が高死亡率に関連
2. 50代の69%、60歳以上の97%が“COPD”の疑い
3. 「レーシック手術で感染症」50人が提訴
4. 抗精神病薬「クロザリル」を発売 ノバルティスファーマ

おまけ. 医療改革“真夏の戦い”へ 米大統領に妥協圧力

みなさんこんにちは。
大変ご無沙汰しております。時間に余裕が出てきましたので、さっそく薬学ニュースを再開させたいと思います。今後とも皆さんよろしくお願いいたします。


糖尿病入院患者の低血糖が高死亡率に関連
2009/07/31(金)-ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
入院中に低血糖症を起こした糖尿病患者は、入院中あるいは1年以内の死亡リスクが有意に高いことが新しい研究で示された。 低血糖症を来した日が1日増えると、入院中の死亡リスクが85.3%増加し、退院後1年間の死亡リスクも65.8%増加した。さらに、低血糖症を来した日が1日増えると入院日数も2.5日伸びることが判明した。「直前に食べた食事のような明らかな理由による低血糖症であっても、自然に生じた低血糖症と同様にリスクが高いのかどうかを調べる総合的分析はできない」と述べている。

この内容からみると、ここで述べられている低血糖症状とは、自然に起きる低血糖症状のことを主に指していることがわかる。特に入院患者の場合は状態が重症化し、食事を摂れないケースもある。そんなときに入院前とお同じ治療をしていては低血糖を引き起こすリスクも高くなるということである。
低血糖のリスクはみな承知の上であるが、このように具体的な数字でみると1日の低血糖発現も侮ることはできない。

50代の69%、60歳以上の97%が“COPD”の疑い
2009/07/31(金)-ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
40歳以上で10年以上の喫煙者のCOPDの疑いが、40代で20%、50代で69%、60代では97%と、年代とともにと急増するという。ファイザー株式会社が行った調査からわかった。また、COPDの疑いがある人のうち68.4%(253/370人)は、ニコチン依存症であることもわかったという。
私の祖父もCOPDで他界した。何度言ってもタバコだけはやめなかった。そして病院にも行こうとしなかった。祖父は当時80近くだったので、この割合を知っていたら…と思うことがある。すでに依存症だったのだろう。

「レーシック手術で感染症」50人が提訴
2009/08/03(月)-ケアネット.com 記事提供:読売新聞 ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です
[要約&コメント]
東京都中央区の診療所「銀座眼科」(閉鎖)で、レーザーを照射して視力を矯正する「レーシック手術」を受けた患者に感染症被害が多発した問題で、患者50人が「感染症の危険を知りながら手術を続けた」として、元院長などに計約1億3000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。 手術を受けた患者が感染性角膜炎になり、「衛生管理を見直さず、感染被害を続発させた責任は大きい」と主張している。

今はやり(?)のレーシック手術。友人の何人かもすでに手術を受け、良好な視界を手に入れたことを喜んでいる。ただし、おこなう場所に関しては選らぶ必要がありそうだ。実際に手術を行った友人の紹介など、信頼を重視して選ぶほうがよさそうだ。

抗精神病薬「クロザリル」を発売 ノバルティスファーマ
2009年8月3日 (月)-薬事日報

[要約&コメント]
ノバルティスファーマは、抗精神病薬「クロザリル錠25mg、同100mg」(一般名:クロザピン)を新発売した。クロザリルは、日本初の治療抵抗性統合失調症治療薬。2種類以上の抗精神病薬で十分な効果が得られない患者に対して、効果を発揮する。ただし副作用発現が多くみられたことから、「クロザリル患者モニタリングサービス」(CPMS)が運用され、医師や保険薬局はCPMSへの登録が義務となる。

この薬が開発されたのは1960年代と古く、他の向精神薬開発の糸口となった薬であるという。ただし、無顆粒球症等の重篤な副作用のため開発は中止された。他の薬で治療困難な患者に効果が認められ今回販売に至ったが、使用には厳格な副作用・血中濃度モニタリングが必要となる。副作用発現に十分注意する必要のある薬なので要注意である。

商品名: クロザリル錠
一般名:クロザピン
規格:25mg、100mg
用法用量:初日は12.5mg(25mg錠の半分)、2日目は25mgを1日1回経口服用する。3日目以降は症状に応じて1日25mgずつ増量し、原則3週間かけて1日200mgまで増量。維持量は1日200~400mgを2~3回に分けて経口服用。最高用量は1日600mgまで。
副作用:無顆粒球症、めまい、立ちくらみ、吐き気、口渇等
注意:糖尿病患者には原則投与しない、白血球数検査が必要

おまけ...米国の国民皆保険制度改革

医療改革“真夏の戦い”へ 米大統領に妥協圧力
2009年8月3日-ケアネット.com  提供:共同通信社 ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
オバマ氏は、約4700万人が無保険状態であることに加え「重病にかかったり失業すると保険が適用されない」という現状のいびつさを指摘。保険会社の「もうけすぎ」も批判し、公的保険の導入で競争を強め、健全化を図ると訴えている。これに対し、改革反対の共和党デミント上院議員らは「政府は余計な手を出すな」との立場。政府主導の国民皆保険は「社会主義への一歩で米国の自由に対する脅威」という保守派の価値観が根底にある。
7月30日付のニューヨーク・タイムズ紙の世論調査結果によると、69%が「公的保険を導入し国民皆保険となれば、自分の保険の質が低下する」と懸念を表明。一方で、公的保険がなければ「いつか自分の保険がなくなる」との回答も66%に上り、有権者の揺れる気持ちを示した。

医療ニュースではホットな話題の一つでもある米国の国民皆保険制度に関する議論。1兆ドル(約94兆6500億円)規模の支出を伴う改革をどう乗り切るのか。世論の反応も期待と不安が混ざっているのがわかる。しばし見守っていきたい議論である。

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