2009/04/14

Saya's 薬学ニュース vol.85-第一三共の高血圧治療薬、インドで販売/タケプロンの効能追加を申請/米国の河川魚は薬剤に汚染されている/途上国中心に多剤耐性結核菌患者が急拡大/申し込み多く受け付け中止 国内初のがんワクチン外来/診療報酬請求の電子化を先送り

<Today's news>
1. ランバクシー、第一三共の高血圧治療薬、インドで販売
2. タケプロン「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の発症抑制」の効能追加を申請
3. 米国の河川魚は薬剤に汚染されている
4. 途上国中心に多剤耐性結核菌患者が急拡大 毎年49万人が感染

5. 申し込み多く受け付け中止 国内初のがんワクチン外来
おまけ. 診療報酬請求の電子化を先送り 政府、開業医に配慮

大変ご無沙汰しております。
カナダ国内での移動や日本への一時帰国などで長らくアップデートできずにおりました。
その間に、様々な方より貴重なコメントを頂き、まことにうれしく思います。
私の疑問に答えていただいた方、ありがとうございました。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。他の読者の方とも、是非ディスカッションなどで知識共有等おこなってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

ランバクシー、第一三共の高血圧治療薬、インドで販売
03/31/2009-インド新聞

[要約&コメント]
第一三共の連結子会社であるランバクシー・ラボラトリーズは具体的な事業連携活動の一環として、2009年4月から第一三共の主力製品である高血圧症治療薬オルメサルタン・メドキソミル(日本での製品名:オルメテック)をOlvanceの製品名で、インド国内で販売することとなった。

同じアジア諸国の一員であるインド。今まではあまりインドの薬学に関して興味を持ってこなかった。第一三共はインドの製薬会社と「複眼経営」の実現を目指しているとのことであるが、インドの薬業事情はいったいどうなんだろうか。人口が多い分、価値が認められれば大きな売り上げが見込まれるとの期待もできるであろう。
インドの薬業事情が気になる方はこちら→薬事日報 インド薬業事情
薬事日報で連載が掲載されていました。

内容を見てみると、発展途上とはいっても日本や欧米に似ているシステムを用いていることがわかる。ただ、公的支出が日本に比べると低く、貧富の差が激しいインドでは低所得者には厳しい条件となっているのがわかる。
また、日本の薬科大学数は非常に多いと思っていたが、インドでも150校近くあるという。日本よりも8.7倍の国土、10倍の人口を持つ点からすれば、理解できなくもないが・・・人口の多さといえば、病床数の少なさに驚かされる。(0.7床/千人)これでは病気もしてはいられない。

タケプロンの「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の発症抑制」の効能追加を申請

2009/04/02-ケアネット ※ケアネット閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
高齢化が進む日本では、脳梗塞や心筋梗塞の再発予防のために低用量アスピリンを服用する患者が増加しているが、国内において、低用量アスピリン投与時における潰瘍の発症抑制の効能・効果が認められた消化性潰瘍治療剤はないという。

胃・十二指腸潰瘍の中でNSAID潰瘍の割合は高く、アスピリンの服用は高用量でも低用量でも消化管出血のリスクとなることが論文等でも明らかとなっている。アスピリン服用者対非服用者とでは、10倍近く発生率に差があることからも、何らかの対応が必要となる。特に高齢者の場合はその発生率も上昇するため、脳梗塞等で服用率も増加するのであれば尚更である。適応・非適応に関わらず、高齢者に対しては注意が必要である。現在では潰瘍治療中はアスピリンは禁忌となるため、低用量アスピリン+PPIの処方では保険が適応にならないのが現状であるため、タケプロン*が適応となれば保険適応の中で予防が可能になるのである。

文献:溝上裕士,わが国における低用量アスピリンによる胃粘膜障害 血栓止血誌18巻第4号:309-316,2007

*タケプロン
一般名:ランソプラゾール
現在適応:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
副作用:肝機能値異常、頭痛、めまい、軟便、下痢

米国の河川魚は薬剤に汚染されている

2009年3月26日/HealthDay News

[要約&コメント]
米国(シカゴ、ダラス、フィラデルフィア、フェニックス、オーランド周辺の水路)の河川に生息する魚が微量の薬剤および化学物質に汚染されていることが明らかにされた。魚の組織および肝臓に、一般的な抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミンをはじめとする7種類の薬剤が認められたという。ジフェンヒドラミン以外には、コレステロール低下薬gemfibrozil(Lopid)、高血圧治療<カルシウム拮抗薬>のジルチアゼム(商品名:ヘルベッサー)、てんかんおよび双極性障害の治療薬のカルバマゼピン(商品名テグレトール)、抗うつ薬fuloxetine(Prozac)、抗うつ薬セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)、石鹸(せっけん)をはじめとする衛生製品の香料としてよく用いられるガラクソライドおよびトナライドが検出されたとのこと。これまでに野生の魚から検出されたことはなかったものもあるという。

カナダでは、医薬品は一般ゴミとして廃棄してはならず、必ず薬局や医療機関に持っていくこととなっている。アメリカではどうなのだろうか?対する日本では回収しておらず、一般用ゴミとして廃棄するよう伝えているが、果たして日本の下水処理システムは欧米に比べていかがなものなのだろうか?
抗うつ薬などが魚の生態に影響を与える可能性がある、と示唆されている中では、アメリカでもカナダのように医薬品の回収を徹底させたり、すでに法で定められておりそれが実行されていないようならば、啓蒙活動も必要になるのではないだろうか。

途上国中心に多剤耐性結核菌患者が急拡大 毎年49万人が感染
2009年4月2日-m3.com 提供:共同通信社  ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約]
世界保健機関(WHO)当局者は1日、多剤耐性結核菌(MDR-TB)の国際会議で、世界で毎年900万人が新たに結核に感染し、そのうちの約49万人は2種の薬が効かなくなる多剤耐性結核菌であることを明らかにした。インフラの整備が遅れている途上国を中心に急拡大している。

申し込み多く受け付け中止 国内初のがんワクチン外来
2009年4月2日-m3.com 提供:共同通信社  ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
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[要約]
国内初のテーラーメードがんワクチン外来*の申し込みが始まったが、案内開始直後からホームページ(HP)や電話での問い合わせが殺到(計約1600件)。約90分後、申し込み案内のHPを閉鎖、電話での自動応答も中断した。
*ワクチン外来
免疫特性に合わせてがんワクチンを投与する。自由診療扱いで治療費は高額だが、抗がん剤や放射線治療などに比べて体の負担が軽いという。臨床試験に当たり、治療は主治医の承諾や大学側の審査を経る必要がある。

おまけ... レセプトオンライン義務化

診療報酬請求の電子化を先送り 政府、開業医に配慮

2009年4月1日 -m3.com  提供:毎日新聞社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
政府は3月31日、医療機関の診療報酬請求を11年4月から全面オンライン化する方針について、「地域医療の崩壊を招かないよう配慮」したうえで事実上11年度からの義務化を先送りすることを決めた。オンライン化は事務経費削減を意図した医療費抑制策の一環で、「改革が後退」との批判を受けるのは必至だ。
オンライン請求は、開業医の場合で3・2%しか普及していない。紙での請求と違い不正を見つけやすいため、政府は06年4月、08年度から段階的に義務化し、11年度から全医療機関に広げる方針を決めていた。

確かに利便性を考えるともちろんオンライン化のほうが有効に思われるが、開業医主に痴呆の医師不足が懸念されている状態で、利便性のためだけに彼らを定年に追いやるにはいかないのではないだろうか。開業医不足がオンライン化に向けて大きな壁となっているのであれば、オンライン化には一定の条件を設け、病床数何個以上の病院はオンライン化を義務化する、などすべてに対し義務化する必要性が本当にあるのか再度考えて頂きたい。

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