2009/02/03

Saya's 薬学ニュース vol.72-新型インフルエンザの対策(報道)/多剤耐性菌に23人院内感染 4人死亡/米ファイザーがワイス買収 6兆円/OTC市場占う「大衆肥満薬」の成否/ダイエット食品で女性入院

<Today's news>
1. 新型インフルで、BCP策定と家庭での準備呼び掛け
2. 多剤耐性菌に23人院内感染 4人死亡、福岡大病院 呼吸器通じ拡大か
3. 米ファイザーがワイス買収 6兆円、製薬最大手固める 競争力強化で、業界再編も
4. OTC市場占う「大衆肥満薬」の成否

5. ダイエット食品で女性入院 医薬品成分を検出

新型インフルで、BCP策定と家庭での準備呼び掛け
2009/01/26 12:24-キャリアブレイン

[要約&コメント]
新型インフルエンザのパンデミック(大流行)を想定し、BCP(事業継続計画)策定や家庭での準備を呼び掛けようと、東京都は1月24、25の両日、新宿西口広場イベントコーナーで、「新型インフルエンザ対策の現状と課題-先進事例に学ぶ事業活動のあり方」と題したシンポジウムを開いた。
NHK報道局では、放送機関としての責務を果たすためにパンデミック時でも放送を続けるという前提で、対策に取り組んでいる。
▽サージカルマスク36万枚、N95マスク3万6000枚を備蓄
▽PPE(個人防護具)と消毒薬の備蓄
▽PPEの脱着訓練
▽パンデミック時のシミュレーションVTRの作成  ―などの準備を済ませたという。

日本におけるインフルエンザ予防策はマスクに重点を置かれているが、ここカナダではマスクをしている人を見たことがない。薬局内で粉薬を混ぜる時に薬局用のマスクを着用したことがあるが、一般の人たちはどのように予防するつもりなのだろうか。国によってそれぞれ予防策は異なるだろうが、その点調べてみたら面白いかもしれない。

多剤耐性菌に23人院内感染 4人死亡、福岡大病院 呼吸器通じ拡大か
2009/01/27 00:00-共同通信社

[要約&コメント]
福岡市の福岡大病院救命救急センターの集中治療室(ICU)に運ばれた患者23人(4人が死亡)が、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性のアシネトバクター菌*に院内感染していたことがわかった。感染が人工呼吸器の使用を通じて広がったとの見方を示した。韓国で肺炎を発症し、日本に帰国後の昨年10月に入院、その後死亡した男性へのアシネトバクター菌感染が確認されたのをはじめ、呼吸器の部品から同菌が検出された。
アシネトバクター菌による院内感染は、国内では極めて珍しいという。
*アシネトバクター菌
土壌や水などの自然界や、人間の皮膚などに広く存在する細菌。通常は健康な人への病原性は弱いが、手術後など免疫力が低下した状態で感染すると重症化し、死亡することもある。

ICUなど、特に免疫の低下した患者の多い患者が集中する場所であったことが感染を拡大させた大きな要因であろう。死亡者も出ていることから、今後も警戒が必要である。洗浄による消毒を行ったにもかかわらず感染が拡大していることから、より厳格な消毒方法の検討も行う必要もありそうだ。

米ファイザーがワイス買収 6兆円、製薬最大手固める 競争力強化で、業界再編も
2009/01/28 00:00-共同通信社

[要約&コメント]
製薬業界で世界最大手の米ファイザーは26日、同業の米ワイスの買収で合意したと発表した。買収額は680億ドル(約6兆円)。両社の2007年の売上高を単純合計すると700億ドル規模に達し、最大手の地位を固める。 世界的な景気後退の影響で、米国では安価な後発医薬品が増加、経営を圧迫されているファイザーは規模拡大で競争力を高め、巻き返しを図る。製薬業界では新薬の開発費が高騰する一方、医療費抑制に向けて医療機関などが後発薬を積極的に使用。短期間で投資を回収しつつ、コンスタントに新薬を投入していく必要が強まり、規模拡大が課題となっている。

この景気後退が製薬企業にも大きな影響を与えているようだ。医療費の削減も大きな課題ではあるが、新薬の開発は求めている人がいる限り必要なことでもある。今後、ますます新薬の金額は上がりそうである。そんな中、日本は先発品を使い続けるのだろうか。もしくは、この不景気が功を奏して後発医薬品使用に拍車がかかるのか?!

OTC市場占う「大衆肥満薬」の成否
2009/01/29 14:44-キャリアブレイン

[要約]
大正製薬が、グラクソ・スミスクライン(GSK)から、OTCである肥満改善薬「アリー」の国内製品化権を獲得した。「アリー」を医療用として開発するのか、それとも直接、OTCとしての商品化を目指すのかについても、今のところ明確な方針を示していない。(現段階ではOTCとしての商品化の可能性が高いと推測されている。)
米ではOTC薬として半年間で300億円近くを売り上げたヒット商品だが、今のところ、他の主要国での承認はなく、副作用(激しい下痢)も強いことから、日本でのOTC販売は難しいとも言われている。

ダイエット食品で女性入院 医薬品成分を検出
2009/02/03 00:00-共同通信社

[要約&コメント]
30代の女性がインターネットで個人輸入したダイエット用食品から、国内で医薬品として承認されていない「シブトラミン」と、薬事法で劇薬に指定されている「フェノールフタレイン」の2種の医薬品成分が検出されたと発表した。女性は肝機能障害などで一時入院したが、食品の服用をやめると症状は改善したという。

せっかくなので大衆肥満薬の記事を2つ続けて紹介した。1つ目は、日本のOTC薬に画期的な事象を巻き起こす可能性のある記事であるが、2つ目の記事でそれを大きく覆されるような、マイナスの内容の記事である。同じ薬であるため比べることはできないが、この内容を見て厚労省が果たしてGoサインを出すのだろうか。4日後の記事であるとはいっても、タイミングが悪いとしか言いようがない…
しかし、日本でしっかりとした審査により承認した薬が販売されれば、逆にネットなどで海外の安全性が確保されていない薬に手を出すことを減らせるかもしれない。厚労省の判断はいかに?

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