2009/02/02

Saya's 薬学ニュース vol.71-昨年の医薬部外品市場は横ばい/厚労省処方希望カードを配布 後発薬使用促進/「薬歴管理」は薬剤師の新たな役割/ パーキンソン病治療剤の製造販売承認を取得/21%の453万世帯が滞納

<Today's news>
1. 昨年の医薬部外品市場は横ばい
2. 処方希望カードを配布 後発薬使用促進で厚労省
3. 「薬歴管理」は薬剤師の新たな役割
4. パーキンソン病治療剤の製造販売承認を取得
おまけ. 21%の453万世帯が滞納 08年、国保で過去最悪 保険料上昇で支払えず

昨年の医薬部外品市場は横ばい
2009/01/21 12:22-キャリアブレイン

[要約&コメント]
昨年の医薬部外品市場は、前年とほぼ同額の1兆978億円だったことが、マーケティング会社「富士経済」の調査で分かった。項目別では、「薬用スキンケア」「薬用ヘアケア・スカルプケア」が微増だった半面、「薬用オーラルケア」や「ドリンク剤」などが減少し、全体では横ばいとなった。 4月の改正薬事法の施行に伴い、一部の医薬品が薬局やドラッグストア以外でも販売可能となるため、「機能や訴求の競合する一部の医薬部外品については、少なからず影響を受ける可能性がある」としている。

法改正によりコンビニなどで購入できるようにはなるが、この不景気ではそこまで大きな伸びを見せるかは疑問である。緊急時の薬へのアクセスが容易になることは喜ばしいことだが、安易な薬の使用などが起こることは避けたい。コンビニ内であれば、薬剤師よりも登録販売者の存在が重要となるので、4月以降の状況が楽しみでもあり、不安でもある。

処方希望カードを配布 後発薬使用促進で厚労省
2009年1月21日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
厚生労働省は20日までに、患者が病院窓口や薬局で提示して後発医薬品(ジェネリック医薬品)の処方を希望できる「お願いカード」を、中小企業の従業員らが対象の協会けんぽや後期高齢者医療制度の加入者に配布する方針を決めた。
後発薬の普及率は17%(06年度、数量ベース)にとどまり、12年度までに30%以上に引き上げる国の目標達成は厳しい状況。08年度の診療報酬改定で処方せんの様式が変わり、医師が後発薬への変更を認めない場合だけ「変更不可」欄にチェックするようになったが、医師や薬剤師の理解不足もあり後発薬の使用はあまり進んでいない。

後発品の普及率は17%。確か、H12年度が12%(16%?)であった気がするから、ほとんど変わっていないということである。国の政策によっても伸び悩みは隠せない状況である。処方希望カードの配布がどこまで影響を与えられるか。今までにも、すでに処方希望カードが存在していたのが少ししか利用されず、使用してもよいのか躊躇している患者も多くいた。後発医薬品の処方を希望する人の割合が多いことから、処方カードが定着すれば控え目な患者の手にも後発医薬品を提供できるようになるかもしれない。もう少し様子を見ていきたい。
参考記事:沢井製薬 患者さん対象調査報告~ジェネリック医薬品での処方・調剤を依頼する患者さんが着実に増加 前回13.2%から20.5%へ~

「薬歴管理」は薬剤師の新たな役割
2009/01/22 20:12-キャリアブレイン

[要約&コメント]
医業経営コンサルタントグループのMMPG(メディカル・マネジメント・プランニング・グループ、東京都中央区)は、「どうなる日本の医療2009!」をテーマに、定例研修会を都内で開いた。薬学部の定員増に伴う薬剤師の増加については、高齢者への重複投薬を防ぐための薬剤師の新たな役割として、『薬歴管理』を提案している。
その他、がん患者の不安を取り除くための取り組みとして、英国の任意団体「ディペックス」の映像データベースについて紹介された。消費税率引き上げの是非について言及しているが、消費税率を上げることはやむを得ないとしても、高齢者への臓器別医療やメタボ健診など医療の無駄を省くべき、と主張している。

薬歴管理に関しては、日本は進んでいるように感じる。ここカナダでも一部の州で薬歴の管理を薬剤師の仕事としてとらえているところもあれば、細かく管理していない州もある。患者一人一人の投薬記録などは勿論みたことがない。薬歴管理は勿論行っていくべきと考えているが、時に薬剤師の仕事をしばりつける原因ともなり得るとも感じている。待ち時間の延長や、患者の負担割合増加にも影響している事は確かである。薬歴の本来のあり方などを再度見直し、有効に活用されるような法規制が必要ではないだろうか。

パーキンソン病治療剤の製造販売承認を取得

2009/01/23 10:29-キャリアブレイン

[要約]

大日本住友製薬は、パーキンソン病治療剤「トレリーフ(R)錠25mg」(一般名・ゾニサミド)の製造販売承認を取得した。ゾニサミドは国内では抗てんかん剤(製品名「エクセグラン(R)*」)として1989年に発売されている。同社では、トレリーフの作用機序について「まだ完全には解明されていないが、ドパミンの放出を促進すると共に、ドパミンの分解を阻害することが考えられる」と説明している。レボドパ含有製剤と併用する。
*エクセグラン
一般名:ゾニサミド
薬効・薬理:てんかんのけいれん発作を予防
副作用:肝臓や肺の障害、血液の異常、尿路結石など

おまけ...

21%の453万世帯が滞納 08年、国保で過去最悪 保険料上昇で支払えず
2009年1月19日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]
厚生労働省は16日、自営業者や無職の人が加入し市区町村が運営する国民健康保険*で、保険料(税)を1カ月でも滞納した世帯が2008年6月1日現在、453万世帯に上ったと発表した。同4月に75歳以上が後期高齢者医療制度に移ったため世帯数自体は減少したが、加入世帯に占める割合は20・9%で過去最悪となった。
「無所得や低収入の加入者が増え、年々上昇する保険料を支払う余裕がないため」と分析している。09年は景気後退でさらに事態が悪化する可能性が高い。
*国民健康保険
国民健康保険 農家や自営業者向けの公的医療保険として始まったが、近年は高齢者や無職者が約半数を占める。健康保険組合や協会けんぽに入っていた人が離職すれば国保加入となる。75歳以上は昨年4月から後期高齢者医療制度に全員移った。所得が低い人が多い一方で高齢化から医療給付費が膨らみ、一般的に保険料負担は健保組合などより重い。加入者全員に掛かる「均等割」と所得に応じた「所得割」を合算して保険料を決める自治体が多い。低所得者には軽減措置がある。

保険に加入していない世帯が453万。国民皆保険を誇ってきた日本にとっては信じられない数字である。景気後退によりさらなる無保険者が増えることが予想されるが、その人たちを守っていくにはどうすればよいか。Saya's 薬学ニュース vol.24vol.26で、日本の医療はアメリカの医療に近づいている、という事実に警鐘を鳴らしている。

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