2009/02/24

Saya's 薬学ニュース vol.79-慢性不眠の非薬物療法とは?/ノロウイルスによる嘔吐・下痢に五苓散が効く/冷えたタリビッド耳科用液を点耳し目まいを起こした患者/薬局での後発品の選定マニュアルを公開/験談データベースで、がん患者の不安解消

<Today's news>
1. 慢性不眠の非薬物療法のレビュー
2. ノロウイルスによる嘔吐・下痢に五苓散が効く
3. 冷えたタリビッド耳科用液を点耳し目まいを起こした患者
4. 後発品は製剤的同等性とメーカーの信頼性を重視

おまけ. 体験談データベースで、がん患者の不安解消

慢性不眠の非薬物療法のレビュー
慢性不眠の治療のための非薬物療法について述べた家庭医向けレビュー論文
2009年1月28日-m3.com 提供:Medscape  ※m3.com閲覧には会員登録が必要です

[要約&コメント]

慢性不眠*を治療するための非薬物療法について家庭医向けにレビューした論文が『American Family Physician』1月15日号に掲載された。不眠患者において、非薬物療法によって睡眠パターンの確実な持続的改善がみられ、薬物療法に頼る必要がないことが、研究で認められている。
認知行動療法(CBT)では通常、週1回60-90分間の治療を4-8回行う。不眠に対するCBTの複合的要素には、認知心理療法、睡眠衛生、刺激制限、睡眠制限、逆説志向、および弛緩療法が含まれる。
具体的には:
・特に遅い時間帯にはカフェインおよびニコチンの摂取を避ける。
・就寝前4時間は運動を避ける。毎日の運動は良好な睡眠を促進するが、就寝直前の運動は睡眠を妨害することがある。
・夕食を大量に食べることを避ける。
・昼寝を避ける。
・毎日、規則正しい就寝時刻と起床時刻を維持する。
・寝室を快適な室温に保つ。
・寝室をできる限り暗く保つ。
・リラクゼーション法を用いて、就寝前に規則正しく予定したリラクゼーション時間をもつ。
・騒音が問題になる場合には耳栓を使用する。
・朝、少なくとも30分間は日光を浴びる。      等があげられる
*慢性不眠
睡眠の導入もしくは持続が困難であること、または非回復性の睡眠を経験することが1カ月以上持続し、重大な日中の障害を引き起こしていることと定義される。原発性不眠は、別の睡眠障害、基礎となる精神的もしくは内科的症状、または薬物乱用障害によって引き起こされる続発性(もしくは共存性)不眠とは区別される。

不眠に関しては、症状の大小はあるにしても、薬局に通う多くの人に見られる症状であった。前に比べれば「睡眠薬」という悪いイメージを覆すような薬の開発により、薬により睡眠がきちんととれる状態であれば、薬の服用に抵抗なく服用を勧めるケースも多くなっているが、医療経済面で考えれば服用しないに越したことはない。未だに睡眠薬に対し抵抗感のある人には、上記のような指導により薬に頼らない睡眠の獲得法を一色に考えていくのも悪くはないのではないだろうか。

ノロウイルスによる嘔吐・下痢に五苓散が効く
2008. 12. 25-日経DI

[要約&コメント]
噴水様嘔吐と数回の水様性下痢、軽度の腹痛が出現したノロウィルスの患者に対し、五苓散(ツムラTJ-17)3パック(分3)を3日分処方した。五苓散は水代謝の異常(水毒)に対して処方する薬剤。ノロウイルスによって起こされる嘔吐や水様性下痢などの症状は、まさに水代謝異常そのものだという。
西洋薬との違いにおいては、フロセミド(代表的な商品名:ラシックス)などの利尿剤は、人体が脱水になっている場合でも、投与すると尿量を増やし、脱水を助長するが、五苓散などの利水剤は、人体が脱水になっている時は尿量を減らし、脱水を緩和させる効果があるという。そのことから、五苓散は漢方薬理上、「利水剤」というジャンルに分類される方剤である。五苓散は小児や高齢者に対しても安心して使えるという記載もあった。

ちょっと古い内容の記事であったが、まさに漢方の不思議、と思わされる内容であったので紹介した。

冷えたタリビッド耳科用液を点耳し目まいを起こした患者
2009. 1. 28-日経DI

[要約&コメント]
寒冷地に住んでいる患者が、冬場、自宅の机の引き出しの中に入れておいたタリビッド耳科用液(一般名:オフロキサシン)をそのまま点耳したところ、目まいを起こしてふらついた。薬剤師からは、本剤は室温保存であり、冷蔵庫に入れる必要はないとだけ言われており、点耳液の温度と、副作用としての目まいとの関係については一切説明がなかった。
・タリビッド耳科用液の適用上の注意として、使用する際の薬液の温度が低いと、目まいを起こす恐れがあるので、使用時には、できるだけ体温に近い状態で使用することとなっている。本剤に限らず、冷水を外耳道に注入すると目まいを起こす危険性があることは一般的に知られている。

果たして、新人の薬剤師さん達は薬液の温度まで注意して説明できているでしょうか?私の店舗で働いていた新人さん達の中では、聞いたことがないような…現在住んでいるエドモントンという年は、冬場-10~20℃になるのは当り前で、冷え込むときは-30以下になることも。地域などによっても説明の仕方は変わってきますね。今後の服薬説明のワンポイントとして是非記事を一読してみてください。

後発品は製剤的同等性とメーカーの信頼性を重視 2009. 1. 28-日経DI

[要約&コメント]
後発品選定の大原則は「薬価収載された後発品の全品目について、可能な限り情報を集めること」であるという。
<チェックポイント>
1.生物学的同等性、製剤的同等性、溶出試験の同等性
2.メーカーの信頼性と供給の安定性
3.薬剤に関する情報・資料の有無
4.薬価差
上記以外にも、患者が実際に使用した感想などもデータベース化し、評価の対象としている。
同等性の検討では、「厚生労働省の承認外基準である、製剤的同等性を重視している」
参考資料:「ジェネリック医薬品選定マニュアル」(PDF)外用剤の「ジェネリック医薬品選定マニュアル」(PDF)「メーカー別製品情報比較表」(PDF)「ジェネリック医薬品使用患者からの製品の優劣等に関する情報」(PDF)

後発医薬品に対する薬剤師の評価は全体的に低い。しかし、その薬剤師達は果たしてここまでのことを行い、評価した上で言っているのだろうか。論文などにおいても、後発医薬品と先発医薬品を比較して後発医薬品の効果が低いことを述べているものも多いが、そのいくらかは見当違いな比較方法を行っており、それが結果的に知識不足による誤解を周りに与える事につながっている。厳しい目で見ることは重要である。しかし、先入観や周りの言動だけで判断してしまうのは、薬剤師として正しい判断をしているとは言えない。上記の記事のような努力をしている人たちが初めて、サポーターとして患者さんの役に立つことができ、そして医療経済など全般に貢献できるといえるのではないだろうか。

おまけ... がん患者

体験談データベースで、がん患者の不安解消
2009/01/22 20:14-キャリアブレイン

[要約&コメント]
がん患者の不安を取り除き、家族を支援しようと、厚生労働省から研究費助成を受けた研究班が、「がん患者の語り」データベースの作成に取り組んでいる。同データベースは、英オックスフォード大が作った「ディペックス」という映像データベースがモデルになっている。同じ病気の診断を受けた患者に病気と向き合うために必要な情報を、家族や友人、医療に携わる人々にはがん患者の体験を理解してもらうための情報を提供するのが目的。
質問項目は、
・最初に診断を聞いた時に考えたこと
・傷ついた言葉
・励まされた言葉
・生活の変化
・闘病中に困ったこと
・闘病を振り返って感じたこと   ―など。

癌患者さんにとって、自分の病気や運命を受け止めるためには、長いプロセスが必要となる。何で自分だけがこんな目に…誰もが通る道であるが、経験者の声をきくだけでも大きな助けとなるのではないだろうか。また、そのがん患者さんと向き合う医療者にとっても重要な意味があると考えられる。医療者の場合、なかなか患者の立場になって考えることが難しい。自分は患者でもなければその家族でもないからである。経験をしていない者にとってその気持ちを察することは非常に難しい。特に死に直面する経験は、人生の中で1度しか経験できない人のほうが多い。ただし、医療者にとって大事なことは、必ずしも患者の立場に立つことではない様に思う。患者とはまた違い、医療者の立場としてどのようの向き合うべきなのか、患者が何を求めているのかを知るきっかけをこのデータベースを用いることで、見いだせるかもしれない。

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