<Today's news>
1. 外来初診時に、タミフル耐性診断が30分で可能に
2. 男性型脱毛症用のみ薬「プロペシア」09年よりドーピングの禁止リストから除外
3. 冷え症の診かたと方剤の選び方(後編)
外来初診時に、タミフル耐性診断が30分で可能に
2009. 1. 20-日経DI
[要約&コメント]
外来初診において、インフルエンザウイルスのタミフル耐性を30分ほどで診断できる検査キットの開発が進んでいる。スマップ(SMAP;Smart Amplification Process)法という新たな遺伝子検査技術を応用したものである。
※SMAP法
血液一滴以下(数μL)程度の検体を前処理試薬と混合し加熱処理した後、そのまま増幅試薬に添加し、60度で反応させることで、簡便かつ迅速に特定の遺伝子を診断する方法
タミフル耐性のインフルエンザの場合、症状が悪化するばかりでなく死者も出ているのが現状である。このような簡易な診断方法の開発により、迅速に薬物感受性を確認でき、その上治療の切り替えが行えるのは、耐性菌が注目している中で非常に有用である。しかしさらなる問題は、耐性が発覚した際に、どんな治療法が代わりになり得るか、ということであろう。
男性型脱毛症用のみ薬「プロペシア」09年よりドーピングの禁止リストから除外
09年1月26日-日経ヘルス
[要約&コメント]
プロペシアは、世界で初めての医師が処方する男性型脱毛症用飲み薬。現在は日本を含めて世界60カ国以上で使用されているが、05年より禁止薬物の使用を隠蔽する「隠蔽薬」として禁止物質に指定されていた。近年の分析技術の向上により、フィナステリドを使用しても禁止物質の判別ができるようになったため、WADAが今回の除外を決定したという。
*プロペシア
一般名:フィナステリド
規格:0.2mg/1mg
薬効:「5α-還元酵素II型阻害薬」:脱毛の原因物質であるジヒドロテストステロンの産生をおさえる
副作用:ほとんどなし
科学の進歩に伴い、多くのオリンピック選手などの間での薬物使用が明るみに出やすくなってきている。彼らにとって、勝つことと負けることは生きていく上で雲泥の差なのであろう。しかし、だからと言って薬を使わずにありの姿で戦った人達が、薬を使った人たちに勝利を奪われるというのは、どんな言い訳を考えついてもやはりフェアとは言えない。そんな分野で薬学の進歩が影響を与えられているというのはうれしいことである。
冷え症の診かたと方剤の選び方(後編)
2009. 1. 21-日経DI
[要約&コメント]
今回の記事では「高齢男性の冷え」と「若い女性の冷え」について、症例を提示して説明している。高齢者の場合、加齢に伴う様々なホルモン作用の低下による熱産生の低下や末梢循環不全などが原因となり、八味地黄丸などが使用されるという。その他、多少の症状の違いにより、牛車腎気丸・真武湯等に変更・追加されることもあるという。
一方、若い女性の冷え症には当帰芍薬散が第1選択薬であるという。
<まとめ>
・四肢の冷えにはしもやけの薬である当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を用いる。
・胃腸機能が低下した冷えには人参湯(にんじんとう)を用い、むくみの所見があれば真武湯(しんぶとう)を追加する。
・高齢者の足の冷えには、漢方のホルモン補充療法と呼ばれる八味地黄丸(はちみじおうがん)を用いる。
・若い女性のぽっちゃり型体系の冷え症には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を用いる。
女性にとって冷え症は、習慣病というか大敵というか…悩まされてます。漢方の場合は、西洋医学のような"この症状にはこの薬"という分難しいように感じるが、人は一人一人全く違うため、医学はこうあるべきなのでは?と思う事も多々ある。特にカナダで自然療法医師に会ってから尚更強く感じるようになった。薬剤師も、患者を一人一人の個人として診るように努力しなければ、見落としてしまうことがある。個人として認める努力をすると、患者は自然と応える努力をしてくれるものであると感じることがよくある。まずは自分から心を開く努力をしなければならないのではないだろうか。薬剤師としてだけでなく、一人の人間として。
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