2011/09/17

vol.127

<Today's news>
1. 糖尿病発症後の目標を達成できないという落胆はうつ症状と関連する
2. インスリン デテミルは妊娠中でも安全で胎児・新生児に与える影響はNPHと同様
3. よく噛んで食べるとGLP-1やPYY値が上昇、肥満の人でも確認
4. やはり胴囲も大事、超過体重で胴囲が大きい人は10年間の2型糖尿病の累積発症率が2倍強に
5. 蛋白質を多く摂取し続けると2型糖尿病リスクが約1.4倍に増大する可能性
6. 2施設共同試験で「サプリに認知症改善効果あり」


糖尿病発症後の目標を達成できないという落胆はうつ症状と関連する
2011. 9. 16  日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
うつは2型糖尿病患者の重要な合併症であり、特に糖尿病診断後の最初の1年にリスクが高まるとされる。「人生の大きな目標を達成できなくなると感じることが、うつの発症につながることが示唆された。2型糖尿病と診断された患者に対し心理面への介入を頻繁に行い、患者に生きがいや可能性をもっと認識させることが重要だろう」と語る。
関連記事: 新規2型糖尿病患者の摂食障害はうつと強い関連(2011. 9. 15 日経MD)

*comment*
関連記事においては、うつ病だけでなく摂食障害(なかでも最も多いのが無茶食い)との関連性も示唆している。糖尿病だけでなく、他の疾患でも生活に制限ができるとメンタルに障害(うつ病等)になりやすくなるのかもしれない。疾病の改善だけでなく、メンタルのケアも今後求められてくるかもしれない。


インスリン デテミルは妊娠中でも安全で胎児・新生児に与える影響はNPHと同様
2011. 9. 16 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
インスリン デテミルは、妊娠中の1型糖尿病患者でNPH製剤と同様、安全に用いることができ、周産期における胎児・新生児に与える影響という点ではNPHに対し、より良好な傾向があることが、17か国における1型糖尿病女性を対象とした前向きオープンラベルランダム化比較試験によって明らかになった。

*comment*
インスリン デテミル=レべミル
妊娠糖尿病の血糖コントロールに優先して使用されるようになるのだろうか。

よく噛んで食べるとGLP-1やPYY値が上昇、肥満の人でも確認
2011. 9. 15 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
GLP-1は、小腸下部のL細胞から分泌され、血中グルコース値に応じてインスリン分泌を促進する。一方でPYYは、視床下部に働きかけて食欲を抑制することが知られている。そのため両者は、血糖値や中性脂肪、体重のコントロールに重要な役割を果たしていると考えられている。
被験者は、一口分の食べ物を5回噛んで飲み込む方法と、一口分を30回噛む方法で、それぞれ別の日に試験食を食べた。普通の速度で食べた場合、一口の咀しゃく回数はおよそ7~8回で、5回の咀しゃくは、“早食い”のような食べ方だという。

*comment*
あなたは何回噛んで食べていますか??「早食い」だといわれている人は、一口分30回を意識して食べるようにすると、みんなと同じくらいの速度で食べられるようになるかもしれません。


やはり胴囲も大事、超過体重で胴囲が大きい人は10年間の2型糖尿病の累積発症率が2倍強に
2011. 9. 15 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
BMIと胴囲は、それぞれ独立して2型糖尿病の発症と関連があった。特に女性では男性に比べて、胴囲が強力な危険因子であることが分かった。「超過体重で胴囲が大きい人(男性102cm以上、女性88cm以上)は、10年間に2型糖尿病を発症する可能性が高いことが示された」と結論した。

*comment*
糖尿病はうつ病などの発症にも影響があるという研究が発表されたばかり。まだ糖尿病になっていない人も、糖尿病になってからは色々とうるさい制限が出てくるので、今のうちから少しずつ努力することが、生涯食べたいものを食べて過ごすことのキーになりそうである。


蛋白質を多く摂取し続けると2型糖尿病リスクが約1.4倍に増大する可能性
2011. 9. 14 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
これまでの研究結果では、蛋白質を多く、また炭水化物を多く摂取することで、短期的な体重減と血糖コントロールに効果があることは知られていた。長期的にはリスクが高まる可能性が示されたわけで、今回の検討結果は波紋を呼びそうだ。一方、食物繊維を多く含むパンやシリアルの摂取は、逆に2型糖尿病リスクを減少させ、ソーセージやハムなどの加工肉の摂取量が多いち、2型糖尿病発症リスクを増大させることから、「蛋白質の摂取を控え、替わりに食物繊維を多く含むパンなどを摂取することが、2型糖尿病リスクを抑えるためには望ましい」と結んだ。


2施設共同試験で「サプリに認知症改善効果あり」
2011. 9. 14 日経MD ※日経メディカル閲覧には会員登録が必要です

[要訳]
サプリメント(商品名フェルガード)の摂取が、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症に伴う、せん妄や異常行動などが改善すると注目を集めている。フェルガードは、米ぬかから抽出したフェルラ酸とセイヨウトウキの根抽出物ガーデンアンゼリカを混合したサプリメント。
妄想や幻覚、多幸や脱抑制といった症状に特に効果があった。また、NPI-Dでは妄想や脱抑制に有意な負担低下が認められた。
SPECT検査の結果としては、フェルガード投与後に両側帯状回、右前頭葉、左頭頂葉、脳幹に有意な上昇が見られた。また、左後頭葉、右後頭葉の一部で有意な血流の低下が認められた。
*comment*
サプリメントによる疾患への効果はきちんとした試験がなされないうちに広まると、誤解と誇大評価が広がり、間違った使用につながる可能性がある。薬剤師として、その点の注意喚起が必要になりそうである。

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