2011/09/01
vol.111
1. 日本の保険制度、英医学誌ランセットが特集
2. 厚労省、後発薬普及へ承認データ活用、科学的根拠など官学共同で公開
3. アストリム、軟骨成分摂取サプリ発売
4. ユニ・チャーム、9月からピンクリボン活動、中国でも実施
5. 「医療費にも消費税を課税すべき」 日本病院会・堺会長
おまけ. “世界で百人”の青年医師が特別講演へ、今は…
日本の保険制度、英医学誌ランセットが特集
2011年8月31日14時35分 読売新聞
[要訳]
国際的に見れば低い医療費で公平な保険制度を構築できた要因として、並行して進めた公衆衛生政策のほか、経済成長、高い識字率、教育水準、伝統的な食習慣と運動などをあげた。
ただ、現状は人口の高齢化、政治停滞、景気低迷などで、「日本の保険医療制度は大きな課題に直面している」と指摘した。「過去の成功は必ずしも将来のトップレベルの成果を保証しない」と警告している。
*comment*
日本の保険制度はまさに破たん寸前、過去には誇っていた時期もあったかもしれないが、逆にこの失敗から学ぶところがあれば、と思う。機会があれば特集を読んでみたい。
厚労省、後発薬普及へ承認データ活用、科学的根拠など官学共同で公開
2011/09/01(木) ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
後発薬の使用は増加傾向だが、すんなりと普及が進まない実態もある。その理由の1つが医師が抱く後発薬品質への不安だ。同省ではこれを払拭するために、後発薬を承認した科学的根拠を広く示す構えで、審査機構や関連学会の協力を得て、ホームページなどを通じ、早ければ今年度中に公開する。
*comment*
最も有効な後発医薬品を選定する際、比較する材料(資料)の確保がまず大変であり、情報源も様々である。ある一定の比較できる文献やサイトなどが出来れば、普及にもつながるのでは?
アストリム、軟骨成分摂取サプリ発売
2011/09/01(木) ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
プロテオグリカンをはじめ、2,型コラーゲンやヒアルロン酸、N-アセチルグルコサミンを配合し、バランス良く軟骨成分を摂取することができる。
関節痛やロコモティブシンドローム(運動器症候群)に対応した商品として初年度1万個以上の販売を目指す。
*comment*
コンドロイチンやグルコサミンなどは、実際にどの程度軟膏成分として取り込まれているかは、定かにはなっていない。ヒアルロン酸なども分子量が大きいため吸収できないと考えられているが、その辺はどのような取り組みがなされているのだろうか?
ユニ・チャーム、9月からピンクリボン活動、中国でも実施
2011/09/01(木) ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
ピンクリボン活動(乳がん早期発見啓発活動)を9月1日から10月31日まで実施すると発表した。同活動は4年目を迎えるが、今年からは中国にも拡大。
*comment*
中国の乳がん罹患率などは日本と比較してどのようになっているのだろうか??
「医療費にも消費税を課税すべき」 日本病院会・堺会長
2011/08/31(水) ケアネット.com ※ケアネット.com閲覧には会員登録が必要です
[要訳]
社会保障と税の一体改革の中で消費税増税が検討されていることについて、医療費にも課税すべきとの見解を示した。「あきらかに不平等な税制で医療機関の負担は増大した。」と主張している。
*comment*
医療費に税金がかからないのは当たり前のことのように思っていたが、果たして課税すべきなのか、すべきでないのか??
他の国民皆保険制度が無料で医療を提供している中で、医療費に課税というのは個人的にあ抵抗のある話であるが、他の課税であまかない切れない今の日本にとっては仕方のないことなのだろうか。
“世界で百人”の青年医師が特別講演へ、今は…
2011年8月31日 読売新聞
[要訳]
東日本大震災が起きた3月11日、4階まで津波が押し寄せた宮城県南三陸町の病院で患者の避難・治療にあたった医師の菅野武さん(32)が9月2日、出身の自治医科大(栃木県下野市)に招かれ、特別講演を行う。
菅野さんは4月、勇気ある行動で米誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれた。講演では、47都道府県に地域医療を支える医師約3200人を送り出している同医大の教員や学生に、「絶望的な状況でもあきらめず、自分にできることを考えてほしい」とメッセージを送る。
2009/02/05
Saya's 薬学ニュース vol.74-米国の中高年25人中1人に重大な薬物相互作用リスク/シロスタゾールは血小板凝集阻害を増強?!/OTC医薬品流通変革と消費者の行動変化調査/薬学老舗4校の調整機構離脱/ニコチン蓄積の仕組み解明 禁煙用たばこも可能?
1. 米国の中高年25人中1人に重大な薬物相互作用リスク
2. 冠動脈ステント留置術を受けた抗血小板薬抵抗性の患者でシロスタゾールは血小板凝集阻害を増強
3. OTC医薬品流通変革と消費者の行動変化についての調査結果を発表
4. 老舗4校の調整機構離脱に「モラル問われる」と批判
おまけ. ニコチン蓄積の仕組み解明 禁煙用たばこも可能?
米国の中高年25人中1人に重大な薬物相互作用リスク
2009. 1. 19-日経DI
[要約&コメント]
米国では、中高年者の9割が医薬品やサプリメントのいずれかを使用しており、重大な薬物相互作用のリスクが懸念される組み合わせが4%に見られることを示した。
調査対象2979人の中で91%は医薬品/サプリメント使用者、42%が1製品以上のOTC薬を、49%が1製品以上のサプリメントを使用していた。最も多く使用されていた処方薬またはOTC薬は、高脂血症治療薬、抗凝固薬を含む心血管疾患治療薬(アスピリン、ヒドロクロロチアジド、アトルバスタチン、リシノプリル、メトプロロール、シンバスタチン、アテノロール、アムロジピン、フロセミド、エゼチミブ、バルサルタン、ワルファリン、クロピドグレル)。重大な薬物相互作用が懸念される組み合わせの半数に、非処方薬が関わっていた。また、半数弱に抗凝固薬(ワルファリンなど)や抗血小板薬(アスピリン)が関与していた。
原題は「Use of Prescription and Over-the-counter Medications and Dietary Supplements Among Older Adults in the United States」
Saya's 薬学ニュース vol.59で高齢者は薬への感受性を受けやすいことから、高齢者に投与すべきでない薬について紹介したが、今回は相互作用に関する内容である。OTC医薬品やサプリメントの服用は、日本に比べて欧米のほうが多いように思う。セルフメディケーションが進んでいることもあるが、アメリカの場合は治療費や薬剤師の問題も絡んでいるだろう。日本でもOTC薬やサプリメントは少なからず利用者がいる限り、その点も含めた相互作用にはさらに注意を重ねていく必要がありそうである。
冠動脈ステント留置術を受けた抗血小板薬抵抗性の患者でシロスタゾールは血小板凝集阻害を増強
2009. 1. 19-日経DI
[要約]
冠動脈ステント留置術を受けたhigh post-treatment platelet reactivity (HPPR)症例に対して、標準的抗血小板療法(アスピリン+チエノピリジン系薬)にシロスタゾール*を追加した3剤療法の有効性が検討された。
アスピリンとチエノピリジン系薬の2剤による抗血小板療法(2剤療法)は、PCI施行例あるいは急性冠症候群の長期予後を改善することが知られている。一方、シロスタゾールは血小板と血管平滑筋細胞のPDE-3の選択的阻害により、細胞内のcAMP濃度を高める作用を持ち、待機的ステント留置術では、3剤療法(アスピリン+チエノピリジン系薬+シロスタゾール)は、2剤療法と比べてADP惹起血小板凝集が高く、新内膜過形成を抑制することが知られている。
研究結果から、「対象症例数は少ないが、冠動脈ステント留置術を受けたHPPR症例において、シロスタゾール追加は、クロピドグレル高維持量投与に比べてHPPRを抑制し、血小板凝集阻害を高めることが示された」との結論を導いている。
*シロスタゾール
商品名:プレタール(抗血栓薬)
副作用:頭痛,動悸,むかつき,軟便など
シード・プランニング、OTC医薬品流通変革と消費者の行動変化についての調査結果を発表
2009年01月19日-マイライフ手帳@ニュース (プレスリリース)
[要約&コメント]
今年6月からコンビニなどでも一部医薬品が買えるようになる薬事法の改正による消費者動向の変化と流通の変革について調査した。登録販売者がいればコンビニやスーパーで医薬品を購入する人は66%に達することがわかった。
年代別に比較すると肯定的見方が最も多かったのは40代で7割を超えた。一方、60代では4割が「そう思わない」と回答した。年代によって若干の差が見られる結果となった。また「夜間緊急時に医薬品を買いにいく店舗」として女性消費者の85%がコンビニをあげ、「他の買い物のついでに医薬品を買えたら便利な店舗」としては84%がスーパーと答えた。
今回の薬事法改正は、医薬品販売に多いな変化を与えることになりそうである。不景気により、医薬品購入事態は減るだろうが、利便性が増すことによりアクセスの量が増えるのでもしかしたら、OTC医薬品売上は上昇する可能性もある?かもしれない。しかし、無駄な医薬品使用が増えることは避けたいことである。その判断を、どこまで薬剤師・登録販売者がつけられるか、が今後求められてくるであろう。
老舗4校の調整機構離脱に「モラル問われる」と批判
2009年01月20日-薬事日報
[要約&コメント]
東京薬科大学、星薬科大学、昭和薬科大学、日本大学薬学部の老舗4校が、調整機構を介さず、独自に確保した実習先で実習を行う態度を鮮明にしたことについて、薬学教育協議会の望月正隆理事長(東京理科大学教授)は「モラルが問われる」と痛烈に批判。
各大学の調整機構に対する不満の最大は、調整機構を介した実習では、最後まで学生が具体的にどの薬局で実習をするかが分からない点にあるという。また、大学独自のカリキュラムを生かすため、やむを得ない措置だと説明する大学もあるが、そうした勝手な行為をした結果の実習で、どれほどよい実習が保障できるのだろうか」と疑問を呈した。
おまけ...たばこ
ニコチン蓄積の仕組み解明 禁煙用たばこも可能?
2009年1月20日-m3.com 提供:共同通信社
[要約&コメント]
ニコチンは導管を流れる水と一緒に根から葉に向けて移動。NtJATというタンパク質がニコチンを取り込み、葉の細胞内にある液胞という袋にため込んでいたことがわかった。この働きを邪魔すれば、ニコチンを含まない品種のタバコ(吸った気分はそのままに、ニコチン中毒からの脱却を助ける禁煙用たばこ)が開発できる可能性があるとのことである。
ニコチンが入っていなければイライラ感などは消えないだろうし、吸った感じは同じと言えるのかは疑問であるが、禁煙の推進に向けて大きな一歩であることは確かである。
2009/01/23
Saya's 薬学ニュース vol.62-糖尿病は脳機能を低下させる/喫煙は大腸がんのリスクも高めることが判明!/餅の丸のみが胃潰瘍の原因?!/花粉症対策「症状がでてから」が6割近く/医療崩壊-医師不足を切り口に-
1. 糖尿病は脳機能を低下させる
2. 喫煙は大腸癌の罹患と死亡のリスクも高める
3. もち丸飲みで胃かいように
4. 花粉症対策「症状が出てから」が6割近く
おまけ. 医療崩壊 ~医師不足を切り口に~(2)
糖尿病は脳機能を低下させる
2009年1月9日-m3.com ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
[要約&コメント]
厳格にコントロールされている場合でも、軽度糖尿病により精神機能が低下するという。糖尿病患者の反応時間と認知速度は共に正常であったが、新しい言語情報を迅速かつ正確に処理する必要のある課題については遅れがみられた。この障害は速度には影響するが、言語の流ちょう性には影響しなかった。
臨床的に重要ではないとしても、脳にも影響を与えることは確かである。視力、末梢神経、腎機能、脳、もはや全身に及ぶ影響は糖尿病の恐ろしさを表している。自覚症状がないのは幸いなのか、悪化に気づけない恐怖というべきなのか…少なくとも糖尿病の可能性があると言われた人は、全身の機能が低下してどうにもならなくなる前に、どうか治療を始めていただきたい。
喫煙は大腸癌の罹患と死亡のリスクも高める
2009. 1. 9-NMオンライン
[要約&コメント]
喫煙は、肺癌のほか、口腔、咽頭 喉頭、食道、胃、腎臓、膀胱、子宮頸部、膵臓などの癌のリスクを高めることが示されている。だが、大腸癌と喫煙の関係を調べた研究では、一貫した結果が得られていなかった。
1日の喫煙本数が10本増えるごとに、リスクは7.8%(5.7%-10.0%)上昇した。10pack-years増加当たりのリスク上昇は4.4%(1.7%-7.2%)だった。リスク上昇傾向が認められるのは約10年を経過した時点で、統計学的有意性が見られるのは30年後からだった。
喫煙者には耳が痛い話かもしれない。これを聞いてもやめる気になれない、やめられないのは本人にとってもつらい話なのだろう。しかし、私には同情はできない。強い意志をもってやめている人たちは少なからずいるからである。現在全体的に喫煙者は減少傾向にあるが、未だに男女とも30%前後の値を示しているのが現実である。
もち丸飲みで胃かいように
2009/01/13 22:15-キャリアブレイン
[要約&コメント]
「食物が異常な大きさのまま胃内に長期間滞留した場合、胃酸が出続けて出血性病変を生じる可能性がある」という。食べ物が長時間残っていたため、胃液が出続け、胃角部で接触性の粘膜障害を来し、胃かいようができてしまうケースが見つかった。このほか丸飲みしたシラタキや結びコンニャク、ギョーザ、大量の寒天などでも起こる可能性があるとのことなので、注意が必要である。
胃潰瘍らしきものを持っている自分にとっては興味深い記事だったので紹介した。これを見た限りでは、胃潰瘍の原因も様々だなぁ、と感じてしまう。コンニャクや寒天は健康食品としても販売されているので、薬局で購入する際は一言注意を呼び掛けるのも親切かもしれない。
花粉症対策「症状が出てから」が6割近く
2009/01/13 15:48-キャリアブレイン
[要約&コメント]
日本人の5、6人に1人が罹患し、「国民病」ともなっている花粉症について、花粉症を自覚している人の6割近くが、症状が出てから対策を始めていることが明らかとなった。
また、「花粉症状に対し、どのような薬で治療しているか」との問いには5056人が回答。「市販の目薬」が1471人(29.1%)で最も多く、次いで、「病院での処方薬」が1243人(24.6%)、「市販の内服薬」が819人(16.2%)、「市販の点鼻薬」が768人(15.2%)などだった。
日本にいたころは、1月頃から花粉症に控えて薬を服用していたことを覚えている。だいぶ楽になるのだが、この調査ではその有用性を多くの人は知っていないようだ。今年の花粉は例年よりも多いとのことなので、あらかじめ準備が必要なのと、投薬時に花粉症薬を服用している人のためにも、来年のアドバイスをしてあげると喜ばれるかもしれない。
おまけ...
医療崩壊 ~医師不足を切り口に~(2)
2009年1月10日-NBオンライン
[要約&コメント]
日本全国には約9000の病院がある。2006年、医療費削減により全国の病院の43パーセントが赤字であったという。医業収入よりも医業費用のほうがかかっているために、医業をやればやるほど赤字になるのが公立病院の今の現状なのである。
また、救急医療の性質上、患者の出入りは予想がつかないため、救急体制を充実させようとすれば、採算性の悪化は避けられない構造になっている。
医師不足は医療界では重要なトピックの一つである。公立病院も次々と経営難に追い込まれることももはや日常茶飯事である。なぜこんなことが起きているのか、分かりやすく説明されているので一読の意味はありそうだ。
2009/01/20
Saya's 薬学ニュース vol.59-「高齢者に処方すべきでない薬」を紹介/血栓治療の重要ポイントをおさらい/グレープフルーツとバイアグラを一緒に飲むと?/タミフル耐性をいち早く検出するには/今話題のワンコイン健康診断
1. これが「高齢者に処方すべきでない薬」だ!
2. 血栓症治療の基礎「Virchowの3原則は今日も生きている」
3. グレープフルーツジュースでバイアグラの作用増強を試みた患者
4. タミフル耐性をいち早く検出するには
おまけ. ワンコインで健康診断 フリーターらに人気
古いニュースが多いですが、日経メディカルオンラインのニュースで去年もっとも注目された記事の中から、薬学形のものをピックアップしてみました。面白い内容が盛りだくさんです。
これが「高齢者に処方すべきでない薬」だ!
2008. 4. 12-NMオンライン(年間ランキング)
[要約&コメント]
米国で用いられている高齢患者の薬剤処方の基準「Beers Criteria」の日本版に相当するもの。高齢者において、疾患や病態に関係なく一般に使用を避けることが望ましい薬剤46種類と、特定の疾患・病態において使用を避けることが望ましい薬剤25項目がリストアップされている。このリストは、日本医師会雑誌4月号に掲載されたほか、国立保健医療科学院疫学部のWebサイト上でもPDFファイルとして公開されている。
<高齢者において疾患・病態によらず一般に使用を避けることが望ましい薬剤>リストでは、副作用などの投与時のリスクが効果を上回ると考えられ、ほかに安全と考えられる代替薬がある薬剤を中心に掲載。高齢者に使用した際の起こり得る問題と、その重篤度も併記されている。
これは、おそらくもともと医師向けに作られたものだろうが、薬剤師にとって必要な資料でもある。医師が知らずに投与している薬でも、副作用の状況から判断して医師に伝えることができるからだ。薬局の薬剤師がどこまでできるかは何とも難しい話であるが、気づきのきっかけを作ることのできる資料として、是非皆さんにも活用していただきたいと思う。
血栓症治療の基礎「Virchowの3原則は今日も生きている」
2008. 12. 19-NMオンライン(年間ランキング)
[要約&コメント]
血栓症を抑制するために抗血小板薬や抗凝固薬が用いられてきたが、治療を強化すると出血性障害が増加するというジレンマに悩まされてきた。血小板のみをターゲットとした治療戦略のあり方の限界があり、血栓形成の要因として、血流の変化、血液成分の変化、血管壁の性状変化の3つが重要であるという学説(Virchowの三原則(Virchow's triad))を紹介している。
詳細PDFファイル:血栓形成とその対応──抗血小板から抗血栓へ(PDF)
脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす血栓の形成を抑制する抗血小板薬は、確かに予防の観点からは重要であるが、血小板のみで考えても高い治療の効果は得られない。患者さんと一緒に治療に向き合っていく中で何が大切なのかを改めて考えさせられた記事であった。
グレープフルーツジュースでバイアグラの作用増強を試みた患者
2008. 12. 24-NMオンライン(年間ランキング)
[要約&コメント]
患者は、バイアグラが1回の受診に付き7回分しか処方されないことに不満を抱いていた。度々病院に通うのが面倒だったし、薬局でいちいち薬の説明を受けるのが嫌だったからだ。ある時、街の本屋で薬に関する本を立ち読みしていてGJが薬の作用を強めることを知った。患者はGJにより本剤の作用を増強できれば、1回当たりの飲む量を減らせて服用回数を多くすることができるのではないかと考えた。
バイアグラとGJとの相互作用に関する検討結果は一定していない(AUCには有意な変化はないがCmaxは42%増加するという報告、AUCが23%増加するが、Cmaxには変化は見られないとの報告もある)。しかし、シルデナフィルは主にCYP3A4により代謝されるため、GFとの併用は降圧薬同様危険であるのがわかる。さらに、シルデナフィルあるいはバルデナフィルは、エリスロマイシン(商品名:エリスロシンほか)やイトラコナゾール(商品名:イトリゾールほか)と併用すると、前者の血液中濃度が上昇することが知られている。
情報があふれているこの世の中で、このような安易で危険な情報が簡単に流れているというのは非常に悲しいことである。知識がないだけに、その有効性を経験しても危険性まで気づくことはできないのである。この事実は薬局の薬剤師が投薬中に不審に思い尋ねた結果わかったことである。日々の投薬が不適正使用を食い止める唯一の砦になり得るのでは、ということを考えさせられる。このようなうわさが広がるのは早い。自分の受け持ちの患者にシルデナフィルを服用している患者がいたらとりあえず注意が必要である。
タミフル耐性をいち早く検出するには
2008. 12. 30-NMオンライン
[要約&コメント]
タミフル耐性問題が大きな課題となっている中、タミフルの臨床効果が実際に低下しているのを、いかに早く検出するかが重要」と指摘する。その上で、解熱時間が1つの指標になりうる。
<発症からタミフルの初回内服までの時間別にみた解熱まで時間>解熱時間は、30時間前後に集約していることから、タミフルの初回内服から30時間以上経っても解熱しない場合は、再度受診するよう促す必要がある。
2007年後半から今年3月の調査では、耐性株の出現頻度は世界全体で16%にのぼり、2008年4~10月の調査では39%に拡大していた。日本でも全体では2.6%だったものの、鳥取県で37%という高頻度で耐性株が検出されるなど、今シーズンは耐性ウイルスを強く意識した診療が求めらる状況となっている。
ニュースの量から見ても、タミフル耐性インフルエンザの内容はHotなものになっている。唯一の治療薬が使えなくなったら...?新型のインフルエンザが大流行したら?人々の不安は高まる一方である。ただし、一つだけ言えることは、これらのウィルスは風邪の菌同様うがいや手洗いなど基本的な予防策も十分効果がある。できることを徹底してやっていくことが大切ではないだろうか。
おまけ...健康診断
ワンコインで健康診断 フリーターらに人気2009.1.9 07:54-産経新聞
[要約&コメント]
「ワンコイン健診」と呼ばれる気軽に受けられる健康診断が好評だ。低額なうえ、数分で結果が分かる手早さが魅力で、定期的に受けることが望ましい健康診断から遠ざかりがちなフリーターや自営業者に加え、職場の定期健診では物足りない会社員らの支持を得ている。
検査内容は、大きく分けて「血糖値」「総コレステロール」「中性脂肪」「身長、体重、骨密度、血圧など」の4つ。1回の検査は数分で各500円(ワンコイン)、セットでは1500円で受けることができる。セットの場合、血液を採取した後、身長や血圧などを測る間に全項目の結果が用紙に打ち出される。その間、わずか10分程度。
その他関連記事:5分で結果、500円健診 若者向けに初の出店 (m3.com)
ワンコイン健診の話は、もともと知人から聞いていた話ではあったが、実際にニュースに載っていたので掲載することに。健康診断は、自営業やフリーターの人にはどうも二の次三の次に考えられ、さらに自分は健康と思い込むことで病状の悪化に気付かず気づいた時には…ということがよくある。運営者も当時看護師としてそういう人たちを多く見てきたことから思いついたアイディアだという。早期発見が今後継続して実行できれば、医療費拡大の大きな抑制策となる。塵も積もれば…である。個人的に応援している活動なので、頑張ってもらいたい。
2009/01/18
Saya's 薬学ニュース vol.58-インフルエンザ-タミフル耐性株の出現/癌死亡者の増加と人口減少/レセプトオンライン請求サービスで不具合/禁煙成功者47.1%(和歌山)/外国人患者に言葉の壁
1. タミフル耐性株を宮城と滋賀で初めて分離
2. 鳥取県でタミフル耐性株が突出して多い理由
3. 癌死亡が34万人超に‐人口は過去最大の減少
4. 社会保険診療報酬支払基金向けレセプトオンライン請求サービスで不具合
おまけ. 励まし合って乗り切ろう 第11期禁煙教室受講生募集 和歌山・田辺 、 外国人患者に言葉の壁 群馬県が通訳を派遣 「列島ライトアップ」
タミフル耐性株を宮城と滋賀で初めて分離
2009/01/09 21:56-キャリアブレイン
[要約]
タミフルが効かないインフルエンザウイルスの「耐性株」が今シーズン、既に宮城県と滋賀県で分離されていることが明らかになった。国立感染症研究所では「耐性株が徐々に各地域に広がっている」としている。タミフル耐性株は、遺伝子の突然変異でインフルエンザのH1N1型ウイルスを構成するタンパク質の一部が変質したもので、2007年に北欧で増加傾向が確認されて以来、世界的に増加している。
鳥取県でタミフル耐性株が突出して多い理由
2008. 12. 25-日経メディカルオンライン
[要約&コメント]
世界的に広がっているA/H1N1型インフルエンザウイルスの「タミフル耐性」。諸外国に比べれば日本はまだ耐性化率が低いが、調べてみると、なぜか鳥取県だけ突出してA/H1N1型に占めるタミフル耐性株の比率が高かったのだという。
<日本国内におけるA/H1N1タミフル耐性株の検出状況>
世界中で最もタミフル(一般名:オセルタミビル)を消費している国の割に、耐性株の出現率が低いことが驚かれている。また、耐性はH1N1の流行規模に依存する傾向が強く、米国ではこの型のインフルエンザが流行する可能性が高く、タミフル耐性株の出現頻度も66.2%と既に高い状態です。
日本はタミフルに依存している傾向が強いので、耐性が高い割合で起こっていても不思議ではなかったが、以外にも低い値で驚いた。しかし、このまま依存し続ければ、耐性ができるのも時間の問題、ということを忘れてはいけない。
癌死亡が34万人超に‐人口は過去最大の減少
2009/01/08 -薬事日報
[要約&コメント]
厚生労働省が公表した「2008年人口動態統計の年間推計」では、癌による死亡者は前年より6532人増え、34万3000人と過去最高になった。癌が脳卒中を抜いて、日本人の死亡原因のトップになったのは1981年のことで、それ以来増加傾向が続いている。2位は心疾患で18万4000人(前年より8461人増)、3位は脳血管疾患で12万6000人(1041人減)と推計している。
死亡数が増加した主要因は、高齢化の進展によるもので、人口の減少は2年連続。出産期の女性人口は減っており、厚労省は「本格的な人口減少社会に突入した」と分析している。
この数字を見るとさすがに驚かされる。周りに癌と戦っている人達がいるが、他にもこんなに多くの人が命を落としていたとは。高齢社会の日本にとっては避けられない事実なのだろう。とはいっても、癌は早期に見つかれば治療の見込みがある病気である。定期健診などで計画的に身体検査を行うことをお勧めする。
社会保険診療報酬支払基金向けレセプトオンライン請求サービスで不具合
2009/01/08-ITpro
[要約&コメント]
NTT西日本が「フレッツ・光プレミアム」上で提供するレセプトオンライン請求サービスを介した請求で接続しにくい状態が続いているほか、一度接続しても途中で切れてしまい請求を完了できないケースがあるという。障害は前日7日14時29分に発生し、は1月9日朝9時から復旧したとのこと。
このレセプトオンライン請求サービスに関してはSaya's 薬学ニュース vol.5で昔紹介したこともある。サービスの不具合はどの会社でも起きることであるが、対応の遅れは禁物である。ただし、今回の問題は、回復の見込みが立っていないと書かれていながらも、1日半で復旧したとのことなので、まずまずでは?と思うのは私だけだろうか。しかし、重要なのは今回起こった不具合を二度起こさないような対策がすぐに練られるべきであるということである。
訴訟の動きが先か、それとも制度化が先か。この点も目が離せない。
おまけ...禁煙
励まし合って乗り切ろう 第11期禁煙教室受講生募集 和歌山・田辺
2009年1月7日-m3.com 提供:毎日新聞社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
[要約&コメント]
田辺市健康増進課は、市民対象の第11期禁煙教室の受講生15人を募集している。過去の参加者の禁煙成功率は47.1%。同課は「励まし合って乗り切りましょう」と参加を呼びかけている。無料。
医師による禁煙外来の説明、管理栄養士による禁煙継続のコツの紹介、禁煙した人との交流会があり、最終日の「卒煙式」のあと、禁煙して気付いたことなど参加者の意見交換を行う。
一般的な禁煙成功率の割合は十数%ということを聞いたことがある。これに比べればはるかに高い値なのではないだろうか。禁煙には同志の存在が重要であることがわかる。一人ではなかなか難しいのであろう。禁煙者の割合を減らす事で、肺がんなどのリスクを減らすことができ、市民の健康を維持していくには非常に意味のある取組なのでは、と感心した記事である。
外国人患者に言葉の壁 群馬県が通訳を派遣 「列島ライトアップ」
2009年1月8日-m3.com 提供:共同通信社 ※m3.com閲覧には会員登録が必要です
[要約&コメント]
在日外国人が215万人を突破し(2007年末現在)、定住化が進む中、医療現場で言葉の壁が問題となるケースが増加している。通訳を、外国人患者が連れてくる家族や友人に頼る場合が多く、正確かどうか分からないのが現状だ。群馬県は06年度から医療通訳者の派遣制度を実施しているが、ボランティアのため本来の仕事との調整が困難などの課題もあり、国に制度化を求める声が出ている。
▽専門用語に悪戦苦闘:普段使わない用語のため、一般会話が話せても医療現場では通用しない場合もある。正確な情報を伝えるためには欠かせない内容である。
▽国が制度化を:NPOによる活動のため、必要な時に人員を確保できない場合があり、運営が厳しい状態にあるのが現状。
などの問題を提示している。
この問題点は、自分も薬局の中で改善していきたい課題でもある。薬局の場合は、疾患など幅広く取り扱うため、一見広い知識や語彙が必要に感じられるが、第一段階の薬の説明に絞ってしまえば勉強範囲は限られてくる。また、薬袋や薬の説明書など、あらかじめフォーマットを作っておけば、最悪印刷して手渡すことでも大いに有効活用してもらえる。ただし病院の場合は、細かい症状を伝える、などさらに内容が複雑になるので難しいのは確かである。
外国人が日本で増えていることは確実であるし、これから増えていくことも分かっているはずである。国に制度化を願う気持ちは自然なことなのではないだろうか。
2009/01/10
Saya's 薬学ニュース vol.53-避妊用ピルが環境を汚染?!/緑内障の新発売/医薬品・医療機器等安全性情報12月/全国初禁煙条例?!/BMIも測れるトイレ
1. 「避妊用ピルが環境を汚染」、カトリック医学協会が見解示す
2. 「タプロス点眼液0.0015%」新発売のお知らせ
3. 医薬品・医療機器等安全性情報 12月
4. 全国初の禁煙条例に暗雲 妥協の分煙案も、反発強く 「列島ライトアップ」
おまけ. 大和ハウスとTOTO、自宅で健康をチェックできる「インテリジェンストイレ」新機種
「避妊用ピルが環境を汚染」、カトリック医学協会が見解示す
2008/12/19
Saya's 薬学ニュース vol.33-たばこ/ネット販売規制で得するのは?/薬局方改正案/日本と米の老人ホーム医療の違い
1. 脳内の分子スイッチで喫煙欲求が抑えられる
2. 飲食店でのタバコの煙、“不快”が78.3%――でも我慢
3. 薬のネット販売規制で得するのは誰か?
4. 薬局方の改正案、大筋で了承
おまけ.米国における老人ホーム医療の実際
脳内の分子スイッチで喫煙欲求が抑えられる
2008/12/08-Dr赤ひげ.com
[要訳]
脳内の神経ペプチド受容体(ヒポクレチン-1、別名オレキシン A)を遮断することによって、たばこへの欲求を急速に低下できる可能性のあることが新しい研究で示された。また、この受容体がコカイン依存症の再発を制御する上でも中心的な役割を果たしていることが判明している。
喫煙は米国で年間44万人の死亡原因となっており、それによる医療コストは年間1,600億ドル(約15兆円)に上る。
参考:現在販売されている禁煙補助剤
・チャンピックス錠0.5mg/1mg(バレニクリン酒石酸塩)*:国内初の飲む禁煙補助薬
・ニコチネルTTS(ニコチン貼付剤)
・ニコレット(ニコチンガム)
*チャンピックス錠(処方せん医薬品)
一般名:バレニクリン酒石酸塩
適応:ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助
用法・用量:第1~3日目は0.5mgを1日1回食後に経口服用、第4~7日目は0.5mgを1日2回朝夕食後に経口服用、第8日目以降は1mgを1日2回朝夕食後に経口服用する。なお、本剤の服用期間は12週間とする。
副作用:吐き気や鼓腸、便秘などの胃腸症状、頭痛、精神症状(不眠、異常な夢、不安感、イライラ、怒りっぽい、気分の落ち込みetc)
飲食店でのタバコの煙、“不快”が78.3%――でも我慢
2008年12月9日 12時41分-Business Media 誠
[要訳&コメント]
これまで飲食店での他人のタバコの煙によって不快な思いをしたことがある人は67.3%で、喫煙者の46.5%も「不快に感じたことがある」と答えた。不快な思いをした飲食店を再び利用するか、という問いには22.3%がYesと答えており、リピーターは少ないと考えられる。しかし、不快に思っても「吸うのを止めてほしいと言いたいが、我慢する」人が81.8%と大半を占めた。
参考記事:タバコの喫煙者率、過去最低の25.7%(成人男性の平均喫煙率は39.5%、ピークだった1966年の83.7%と比べ、44.2ポイントの減少。一方の成人女性の平均喫煙率は12.9%で、ピークは1996年の18.0%だったが、その後はほぼ横ばいが続いている。)
タバコ関連で2つの記事を紹介した。日本でも喫煙者は徐々に減少しているようだが、欧米に比べると公共の場での喫煙に関してはまだまだ甘いように感じる。私が現在住んでいるカナダのアルバータ州では、飲食店の全席禁煙が当たり前になっている。喫煙による被害を考えると、本人の健康被害だけではすまされない現状が、医療費からみてとれる。喫煙者の半数近くが、他人の喫煙に対し「不快に感じている」のにも関わらず、自分は吸う、のは…?
タバコをほんの少し値上げして社会保障費の自然増を抑制しよう、と考えるよりは、タバコを買えないほどの金額に設定して、禁煙補助に力をいれ、医療費を削減させたほうが長い目でみて効果があるのではないだろうか。
(喫煙者には反発をかつコメントになってしまって申し訳ないが…)
薬のネット販売規制で得するのは誰か?
2008年12月09日 19時30分-ascii.jp
[要訳&コメント]
この記事では、以下の内容を挙げて、規制することを批判している。
・対面販売にしても薬剤師がインターネットに記載されているような、通り一遍の説明以上はできないであろうし、対面販売でも説明を無視したり聞く耳を持たない人はいるので、安全面の観点においては特に変わりはない。
・日本の薬のネット販売を禁止することで、どうしても手に入れたい人は海外からのネット購入に走る人がいて逆に危険である。(海外の薬なら厚労省が責任逃れができる)
・価格競争の制限により、地方の薬局の経営が守っているだけ。厚労省の決定を、共同声明などで後押ししている団体(日本薬剤師会)なども、所詮厚労省と利害関係のある団体である。
⇒薬局で売っても、リスクをゼロにすることができないないのであれば、リスクをゼロにすることではなく、利便性と安全のバランスを考えて消費者自身が選択させることが重要だ。と述べている。
ホットな話題として討論が繰り広げられている「ネット販売」に関する記事であるが、経済学の切り口で、多少辛口?!に述べられている。彼が最も言いたかったことは、規制を行う意味を改めて考えてほしいということなのではないだろうか。危険だからといってすべてを規制してしまっても、危険度をゼロにすることは難しい。むしろ、いろんな縛りを作ることで消費者の選択権や自己責任が低減されてしまう。
この点に関しては、Saya's 薬学ニュース vol.12(3つ目に紹介した記事)で「ネット販売」に関して初めて取り上げた記事に私がコメントした内容に近いことが書かれている気がした。私が訴えたかった内容はまさにこのことで、薬剤師の立場からでは言いにくかった内容も毒舌だが書かれていたので、ある意味スッキリした。
「しょせん薬剤師は通り一遍の説明しかしないし」という部分を見ても、消費者にはそんな程度にしか薬剤師の職能は映っていないのだな、と改めて残念に思う反面、今までできていなかった、という過去の話を引きずるのではなく、今回の法改正により、薬剤師に何が求められているのかを改めて考え、その期待にこたえていくことが重要なのではないだろうか。
参考記事:大衆薬のネット通販、規制撤回を 大衆薬ネット通販「禁止の根拠を」 「医薬品のネット販売規制、困ります」楽天が署名呼び掛け 医薬品ネット販売の継続容認訴え、業界団体が新自主ガイドライン 「対面販売」貫きネット通販禁止を―日本薬剤師会など9団体が声明 「ネットで安全は買えるのか」対面販売の重要性訴えフォーラム
薬局方の改正案、大筋で了承
2008/12/09 19:48-キャリアブレイン
[要訳&コメント]
厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会」の「日本薬局方部会」が開かれ、現行の第十五改正日本薬局方の改正案と新規収載候補品目案の審議などを行った。このうち改正案については、一般試験法の中の4試験法(微生物限度、無菌、崩壊、溶出)と生薬リュウコツに関する生薬総則や医薬品各条(生薬など)の条文の追加・修正案が大筋で了承された。
参考記事:局方の一部改正案を了承‐一般試験法の日米欧3局方を調和
この内容は、国家試験を受ける薬学生にとっても重要な情報であろう。後発医薬品の、生物学的同等性で用いられている溶出試験法も、一部変更されているので、薬剤師としては確認が必要である。
おまけ...介護医療
米国における老人ホーム医療の実際
2008/12/08-週刊医学界新聞
[要訳&コメント]
米国では老人ホーム(NH)に依存せずに自宅介護を受けている高齢者のためのサービスが充実している。最近はNHをより“自宅”のような環境にするという運動が盛んである(Eden Alternative)。
米国のNH入居者は24時間介護が必要な長期介護の患者以外にリハビリや点滴治療,創傷治療などが必要な短期入居者が混在しているのが特徴である。医療コスト削減のために急性期病院を退院した患者がNHで治療を継続して自宅に戻ることが一般化している。NH入所後90日間は30日ごと,その後は60日に一度の医師による予防を心がけた診療が義務付けられている。
老年医学は内科学とも家庭医学とも異なる独特な専門分野であり,高齢社会の先頭を走る日本に不可欠である。
日本では、老人ホームの新規入居者受け入れリストが長くなる一方で、受入れが厳しい状態が続いている。今後ますます高齢者が増えていく中で、どのように対応していけばよいだろうか。米国と日本の状況を比較しながら書かれているので、そのヒントを見つけられるかもしれない。在宅医療や介護医療に興味のある人は是非読んでみてほしい。
2008/12/18
Saya's 薬学ニュース vol.32-貧しい国への支援(糖尿病とインスリン)/超多剤耐性結核菌/「センサーチップ搭載の薬」/医学部に薬学の授業を導入/「遠隔予防医療相談システム」
1. 最貧国の子供たちへ、インスリンと糖尿病ケアの無償提供
2. 超多剤耐性結核の治療に大きな一歩
3. 「センサーチップ搭載の薬」で、身体反応をモニター
4. 山形大医学部に医薬品安全対策の講義―国内初
おまけ. KDDI・NEC・慶応大、「遠隔予防医療相談システム」の実験を開始~公民館で画面を共有しながら相談可能
最貧国の子供たちへ、インスリンと糖尿病ケアの無償提供
2008年12月5日-ノボ ノルディスク ファーマ株式会社プレリリース
[要訳&コメント]
ノボ ノルディスク社は、世界で最も貧しい国々の10,000人の子どもたちに、インスリンの無償提供を含む糖尿病ケアの提供を行うことを発表しました。これは、「糖尿病とともに生きる子供たちの未来を変える」というプログラムで、2009年から5年間にわたって行うものです。
先進国において1型糖尿病の子供は寿命を全うできる可能性があるのに対し、サハラ以南のアフリカで生まれた子供が1型糖尿病と診断された場合、その寿命は1年にも満たないのが現状です。
アフリカにおける1型糖尿病の子供たち(0-14歳未満)は、38,000人と推定されるという。その子供たちが、インスリンを手に入れられないことで、1年未満の寿命で亡くなっていく…こんな事実を皆さんはご存知でしたか。食べ物が手に入らず飢餓により亡くなっていくことが多い貧しい地域では、インスリンなどの薬剤はどれだけ高価なものとして映っているのだろう。先進国でも国内で薬が承認されておらず、海外から全額負担で購入している人や、海外で移植をしに日本を発つ人たちもいる。そのくらいの、いやそれ以上に難しいことなのかもしれない。飢餓や感染症ばかりに目が行っていたが、糖尿病も支援の一つになるのだと、この記事で改めて教えられた。この子供たちは、先進国で生まれていれば…と考えることもあるのだろうか。それとも、その先進国という言葉を知らずに亡くなっていくのだろうか。
超多剤耐性結核の治療に大きな一歩
2008年12月8日-週刊医学界新聞
[要訳&コメント]
財団法人微生物化学研究会は超多剤耐性結核菌(XDR‐TB)に有効な治療薬の開発をめざし,米国のリリー結核創薬イニシアチブとの共同開発研究を開始したことを発表した。
微生物代謝産物から発見した化合物CPZEN‐45は、「XDR‐TBに有効で,10剤耐性結核菌にも高い有効性がある」「高い安全性を有する」「耐性菌の出現頻度が極めて低い」といった特徴をもつため、結核菌に対する有効性が期待されている。
結核菌は、一般の人からは「過去の話」のような印象を持たれているかもしれないが、今でも死亡原因第4位に位置する驚異の疾患であることを忘れてはならない。それも、今まで効いていた薬に耐性が出始めていることが原因である。抗生剤・抗菌剤には、必ずと言っていいほど耐性が作られる時が来る。それが遅いか早いか、という話だけであり、新しい薬が開発されたからといって安心してはいられない。さらなる開発が必要なのである。
「センサーチップ搭載の薬」で、身体反応をモニター2008/12/09-Wired Vision
[要訳&コメント]
あと数年のうちには、錠剤を口にするという行為が、ただ薬を飲んで効いてくれるのを待つ、という以上の意味を持つようになるかもしれない。
薬の効果を簡単にモニターできるシステムを開発した。超小型コンピューターとセンサーを薬剤に組み込み、携帯電話やインターネットにつなぐというものだ。
この技術を利用すれば、患者の重要データを自動的に収集し、糖尿病や高血圧といった慢性疾患の管理に役立てることが可能になる。特に、一定量の投薬に対する患者の反応を詳細に追跡するのに役立つとみられる。
参考原文:WIRED NEWS 原文(English)
この技術で吸収や分布、代謝や排せつの速度が測れれば、薬物動態のチェックなどにも応用できるのではないだろうか。この技術がどこまで使えるものなのかがはっきり分からないので何とも言えないが、技術の進歩はここまで来たか…といった興味深い記事だったので紹介した。
山形大医学部に医薬品安全対策の講義―国内初
2008/12/08 11:00-キャリアブレイン
[要訳&コメント]
山形大医学部は2010年度から、医薬品・医療機器の承認審査や市販後安全対策、薬害の問題などについて総合的に学ぶ講義を、医学部内に新しく設置する。薬害問題や医薬品の規制の仕組みなどについて系統立って学ぶ講義の開設は、全国でも初の試みになる。
講義の内容は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施している医薬品や医療機器の承認審査や、市販後の安全対策、副作用の被害拡大防止の方法のほか、薬害の問題などについて
山形大医学部では、この他にも現在診療科離れが起きている小児科や産科、救急医学、外科の4科のいずれかを研修内容として選択することで、一部の授業料を免除するなどの取り組みも国内初で行っている。
薬害を学ぶことで、薬の恐ろしさなどを患者の訴えから学ぶことはできるだろうが、これがどこまで学生の胸に響くか...見守っていきたい内容である。西洋医学においては、症状などから診断を下すまでに力を入れ、一度診断が下ればルーチンのように薬が決定される。一度出た薬はなかなか削除されないのが現状ではないだろうか。一人の患者に対しこんなにも薬の種類が処方されているのは、日本くらいではないだろうか、と感じるが、その辺医師がどのように考えているのかディスカッションしたい内容である。薬はできるだけ減らす方向で、さらに最小限の薬で症状を維持する。この点をこれらの教育から気づいてもらえれば、意味のある講義だと思うのだが。
おまけ...在宅医療
KDDI・NEC・慶応大、「遠隔予防医療相談システム」の実験を開始~公民館で画面を共有しながら相談可能
2008年12月8日 18:24-RBB Today
[要訳&コメント]
慶応義塾、NEC、KDDIの3者は8日、同大学の「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」 の一環として、「遠隔予防医療相談システム」の実証実験を開始した。
採血された血液のサラサラ度合いを血液レオロジー測定装置で検出し、データをインターネットで都心の医師に送信し、住民と医師や健康コンシェルジュスタッフが血液データをはじめとする健康データをコミュニケーション端末の画面上で共有しながら、健康相談や助言などを行うことが可能となる。医師と定期的に話すことで住民の安心感を高め、QOL (Quality of Life) の向上、中長期的には自治体の医療費負担の削減につなげることが目標とのこと。なお、血液サラサラ度合いがわかる動画を遠隔で住民と医師が共有するのは、世界初の試みとなる。
*遠隔予防医療相談システム概要Saya's 薬学ニュース vol.10のおまけでもIntelによる、TV電話を使った在宅医療患者のための医療管理システムを紹介した。Intelでは患者の血圧や心拍数のデータ管理によるものだが、今回の慶応大学では血液のサラサラ度合を機械を使って遠隔で測定する事が可能になるという。これらはいずでも、へき地における医師不足などの問題に対し、予防や未病の観点で期待ができる内容なので紹介した。いつでも相談できる、というイ環境は、市民にとっても安心材料となるだろう。
2008/12/12
Saya's 薬学ニュース vol.27-大阪のHIV感染、最多200人超 「潜在」はさらに…/インフルエンザH1N1型にタミフル耐性株が増加/インフルエンザ患者急増、昨年に次ぐペース/介護職に一部の医療行為認める…厚労省
2008.11.29 14:16-産経新聞
[要訳&コメント]
国内の感染者・患者数は、調査を始めた昭和60年以降、年々増加。今年9月までの累計で1万5037人に上っているが、感染の判明自体を恐れて検査を避ける「潜在感染者」はさらに多いとみられる。感染原因は同性間の性的接触が42%を占める一方、異性間の接触でも35%に上り、特に若い世代に目立つという。
献血する際の2次感染予防検査で見つかるケースが大阪の場合は他府県と比べて多く、HIV検査を目的に献血する「不適切利用」が多いのが原因とみられる。
こうした状況に対処するため、府や大阪市は今年3月、大阪・ミナミに大阪検査相談・啓発・支援センター「chot CASTなんば」を開設。保健所などの従来の公的検査機関と異なり、検査時間を週2回の平日夜間や土日の午後に設定したことから、検査に訪れた人が増加した。この結果、感染者・患者数も増えた面もあるという。
感染者数が上記に示されているが、「潜在感染者」数が把握できない状態では、この数だけをみて判断はできないだろう。先進国の中で唯一感染者が上昇している日本。まだエイズに対する認識の低さから、「不治の病」「差別」「偏見」の文字は取り払われていないように思う。感染した人の中には、「感染してどうせ死ぬんだから、これからみんなにうつしてやる」といった考えに発展してしまった人もいるようで、これらの誤解が事態の悪化を生んでしまうこともある。さらなる呼びかけが必要であろう。
エイズに感染してから恐ろしいのは、感染により免疫が低下している状態では他の疾患にかかりやすく、たかが風邪でも危険な状態に陥ってしまうことである。保険を適用した上で治療を行えること、不治の病ではないこと、治療をきちんと行えば周りと変わらない生活を送れるということを知ってほしい。
参考記事:エイズ孤児1900万人、サハラ以南深刻 ユニセフ 中国のエイズ感染者26万人
インフルエンザH1N1型にタミフル耐性株が増加
2008/12/01 23:18-キャリアブレイン
[要訳]
インフルエンザのH1N1型ウイルスに、タミフルが効かない「耐性株」が増加している。昨年北欧でタミフルの効かない耐性株の増加傾向が確認されて以来、世界的に増加しているという。耐性株の出現は遺伝子の突然変異に伴い、ウイルスを構成するタンパク質の一部が変質したことによるもの。
インフルエンザ患者急増、昨年に次ぐペース
2008/12/02 12:00-キャリアブレイン
[要訳&コメント]
インフルエンザの患者報告数が早くも急増している。患者報告数は今年第41週以降増え続けており、第47週(11月17日―23日)の患者報告数は2632人。「1987年の測定開始以降、最も流行が速かった昨シーズンに次ぐペース。今、急速に増えている時だ」として、注意を呼びかけている。
今年第36週から第47週までの患者累積報告数は6351人。年齢群別では、5―9歳の1952人、0―4歳の1647人、10―14歳の882人、30―39歳の570人の順に多い。 インフルエンザウイルスの分離報告でみても、「今後どの型が流行するかはまだ不明」という。
インフルエンザに関する記事を2つつづけて紹介したが、今年はインフルエンザに注意が必要な年であることは間違いない。お年寄りの感染者数が他の年齢層に比べて未だ少ないデータが出ているが、心配なのは小児である。他の年齢層に比べて2倍~4倍近くになっている。インフルエンザウィルスの型も報告ではまんべんなく検出されているので、その動向も今後見ていく必要がありそうだ。
新型インフルエンザが恐れられている中、さらに薬の耐性が増加しているというのは、深刻な事態ととらえるべきであろう。最近は、インフルエンザといえば「タミフル」といったように、タミフルばかりに頼りすぎている傾向がみられる。これでは、耐性ができるのは当り前、といっても言い過ぎではない。抗生剤や抗菌剤は必ずと言ってよいほど耐性が現れるものである、という認識を忘れず、量や期間に関しても"使いすぎ"ということがないよう、医師の処方に対しても注意を払って頂きたいと願うばかりだ。
おまけ...介護
介護職に一部の医療行為認める…厚労省
2008年11月20日 読売新聞
[要訳&コメント]
厚生労働省は介護や高齢社会の将来像を示す「安心と希望の介護ビジョン」の中で、研修を受けた介護従事者が、施設で医師、看護師と連携しながら、経管栄養の処置やたんの吸引などができる仕組みが必要だとした。
この意見に対しては、「唐突すぎる」などの反対意見も出ていたが、私個人としては厚労省にしては大胆で興味深い取組のように感じた。医師や看護師不足が深刻な中、施設には介護士という立派な資格保持者がいる。介護士の中にも、緊急な事態にあった場合法律で規制され何もできない自分に対し悔しい思いをした人がいるのではないだろうか。そういう人たちは自分でしっかりと勉強しているし、新たな裁量が与えられれば、研修にも積極的に取り組もうとする人達は出てくるはずである。
確かに唐突すぎる話かもしれないが、せっかくこのような話ができているのであれば、時間をかけてでも前向きに検討していただきたい内容であったので掲載した。
これは薬剤師にも言えることで、国によっては研修を受けた薬剤師に対し、処方権を与えているところもある。これも同じことで、処方できる薬剤や期間に制限があるものの、前向きに考えている薬剤師は研修に参加し、少しでも患者の役に立とうと頑張っている。もちろん、処方するということは、責任はすべて自分にかかってくる訳で、あえてその権利を持とうとしない薬剤師も存在する。それでよいのではないだろうか。薬が切れてしまいそうだが、医師にすぐにかかれないような患者に対し、薬剤師の責任のもとで1週間だけの処方を行い、その間に医師にかかるよう説明する。患者にとっても、医師にとってもありがたいことのように感じるのは私だけであろうか。
